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2005年10月31日 (月)

制作委員会方式

 映画を作る場合の資金調達の方法として、制作委員会方式というのがあります。

 スケールの大きい映画を作るためには、それなりに巨額のお金がいります。映画を作るのは制作会社ですから、制作会社がお金を調達して映画を作り、完成した映画の著作権を持つというのが本来の姿なのでしょう。

 でも映画は、あたる場合もあればこける場合もあります。あたるか、こけるかは、上映してみないとわかりません。こけてしまったら、映画制作のために費やした資金を回収できなくなり、制作会社は倒産してしまうかもしれません。

 また最近の映画というのは、単に上映したら終わりというようものではなく、上映後、DVDで映画が販売されたり、テレビで放映されたり、映画のストーリが本となって出版されたり、主題歌がCDで販売されたりすることもあります。また映画のキャラクターを使った商品(キャラクターグッズ)が販売されることもあります。海外でも上映されるものもあります。

 このように映画ビジネスは、周辺の様々なビジネスを巻き込むことになり、あたると利益をもたらすことになるので、これらの映画ビジネスにからんで儲けたい人たちにも、映画制作の一部を負担してもらいましょう。そうしたら儲けもも差し上げますよというのが制作委員会方式です。

 この制作委員会方式は、通常、民法上の任意組合という方法で作られます。参加したい人は、契約を結び、お金をだします。映画が完成したら、映画の著作権の一部を取得しますので、リスクとリターンが合うので合理的だと考えられています。

 でもこの制作委員会方式というのは問題もあります。

 任意組合の組合員は、組合で生じた損失については、無限連帯責任を負うことになります。たとえば1億円を映画制作のために出資したのに、映画制作上、事故が起こり、損失の負担額が3億円になったというような場合があります。もし会社に出資したような場合だと、出資者は有限責任だから1億円の範囲で損失を負担することになりますが、組合員の場合は、3億円まで負担しないとけなくなります。

 また映画の著作権は、組合員の合有(勝手に組合員が自分の持分相当の著作権を切り取り転売するようなことはできない)になり、組合員全員がOKといわないと、利用したりすることはできません。上映したら大当たりのような場合、しばらくは、みんなハッピーだから意見の相違はあまりないかもしれません。しかし10年くらいたち、リメイクすることになった場合、歳月が組合員間の関係をおかしくしてしまうこともあるかもしれませんし、組合員の中には倒産してしまってるケースもあります。そうなるとリメイクして、再び大儲けしようと思っても、できなくなるケースもあります。

 このように無限責任を問われる制作委員会方式は、出資したからには、先々までのリスクを理解しておく必要があります。

参考文献 土井宏文 「資金調達目的での知的財産信託の活用法」 別冊NBL No102 商事法務

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2005年10月30日 (日)

株式会社の機関設計は43パターン

 信託ばっかり書いていると浮世離れと言われそうですので(笑) 今回は 来年から施行される会社法の話。会社法では、実質的には有限会社に株式会社が吸収合併され、ネーミングが株式会社となります。つまり、世の中にいっぱいある中小企業の仕様にあった会社が会社法でいう株式会社の幹になります。商法では、トヨタやソニーのような大企業の仕様にあった会社が幹だったのですが、

 この株式会社の機関設計 つまりどのような組織によって運営されるか(基本事項は誰が決め、経営は誰が行い、経営者のチェックは誰がするのか)について組み合わせが最大43パターンあります。(注1)

 このパターンにはルールが8つあって、それに基づいています。

①すべての株式会社は、株主総会のほか、取締役を設置しなければならない。(注2)

 すべての株式会社は、最低取締役1人が必要。株式会社は、株主のものだから、株主総会は当然必要。

②取締役会を設置する場合には、監査役(監査役会を含む)または三委員会等のいずれかを設置しなければならない。ただし大会社以外の株式譲渡制限会社(すべての種類の株式が譲渡制限株式である株式会社)において、会計参与を設置する場合には、この限りではない。(注3)

 取締役会(3人以上の取締役で構成)があるなら、監査役はいるけれども、資本金5億円未満でかつ負債200億円未満の会社で、会社の許可なく株式を譲渡できないような会社は、会計参与という税理士、公認会計士がいれば、監査役はいらない。

③株式譲渡制限会社以外の株式会社には、取締役会を設置しなければならない。(注4)

 どんなちっこい会社でも、会社の許可なく自由に株式が譲渡できるような会社の場合は、取締役会を置かないといけない。

④監査役(監査役会を含む)と、三委員会等を設置することはできない。(注5)

 現在でも有名な上場企業でアメリカ型の委員会設置会社をおいている会社はありますが、そんな会社は、監査役は置けない。だって、監査委員会をおいてるから

⑤取締役会を設置しない場合には、監査役会および三委員会を設置することができない。(注6)

 経営する取締役は1人なのに、チェックする人が複数っていうのは、おかいしからやらない。

⑥会計監査人を設置するには、監査役(監査役会を含む)または三委員会等(大会社であって譲渡制限会社でない株式会社にあっては、監査役会はたは三委員会等)のいずれかを設置しなければならない。(注7)

 1人取締役のような会社は会計監査人はおけない。

 資本金が5億円以上または負債が200億円以上の会社でかつ、株式を譲渡するのに会社の許可が要らない会社は、監査役会をおくか委員会設置会社にしないといけない。

⑦会計監査人を設置しない場合には、三委員会等を設置することはできない。(注8)

 資本金が5億円未満だろうと、負債が200億円未満だろうと、委員会設置会社を作りたいなら会計監査人も置いてね。

⑧大会社には、会計監査人を設置しなければならない。(注9)

 資本金が5億円以上または負債が200億円以上もある会社なら、会社の許可がないと株式が売れないような会社でも会計監査人は置いてね。

 これが完全に頭に入って、駆使できるなら、あなたは今日から機関設計のプロになれます!

注1 編集代表 関根稔、掛川雅仁、飯田聡一郎 「税理士、会計士、社長の疑問に答える新会社法の実務Q&A 」 P118 清文社

注2~注9 相澤哲編著 「一問一答新.会社法」 P102~103 商事法務 

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2005年10月29日 (土)

相続対策と相続税対策は違う

 相続対策の幹は、自分の所有するどの財産を誰にあげるかということです。

 より円滑に財産をあげるためには、コストパフォーマンスが大事です。第三者に自分の持ち物を売りたいならば、より高い値段で売りたいと思って交渉すると思います。でも、自分の財産を、自分の死後、家族に渡すときは、他人に渡す時と違って、もらう人があまりお金を使わない形で渡したいと思うでしょう。

 もらう人にとって財産を譲り受けたときに係る最大のコストは、相続税であり、贈与税です。

 ですから相続対策を考える場合、まず現状の財産の棚卸をして、今相続が発生した場合、いくら税金がかかるのかというのを計算することが大事になります。

 そして計算の結果、とても高い税金がかかるとわかった場合の税金を減らす対策としては、大きく分けて2つあります。

 1つは今ある財産の評価額を下げる方法。 たとえば利用していない土地がある場合は、この土地の上に、賃貸アパートを建てて、土地の評価を下げるというような方法があります。

 もう1つは財産を事前に減らす方法です。つまり相続前に財産の一部を、譲渡する方法です。家族に譲渡する場合もあれば、第三者に譲渡する場合もあります。譲渡方法としては、売買する方法もあれば、贈与する方法などがあります。

 しかしこれらの方法はあくまでも相続税対策であり、相続税対策は、相続対策を円滑に進めるための補助的な役割です。

 もう一度繰り返しますと、相続対策の幹は誰にどの財産を渡すかということです。

 もし、誰に何を渡すかを決めずに相続が発生した場合、相続人間で揉め事が起こり、争族になってしまうことがあります。

 そこでこの問題を解決する方法として遺言を作成し、誰に何を渡すかを決めておくことがあります。遺言があれば相続対策がすべて解決するとは限りません。遺留分の問題もありますが、争族リスクを下げる可能性は高くあります。

 そしてこの遺言を発展した形の受益者連続つまり財産の第一次継承者だけでなく第2次継承者以降も決めることが信託により可能になるかもしれません。

 

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2005年10月28日 (金)

リート(REIT)の上場

 10月27日の日本経済新聞の近畿経済欄を読んでいたら、「阪急リートが上場」という記事が載っていました。関西圏の不動産に主として投資する上場リートの第一号だそうです。

 リート(Real Estate Investment Trust) 不動産投資信託 たくさんの人からお金を集めて、専門家が不動産に投資し、その不動産が生み出す家賃、地代収入から経費を差し引いた金額を投資家に分配するような商品のことです。

 不動産そのものに投資するのは、それなりの資金が必要ですし、売却も難しい場合があります。またその不動産を取り巻く環境の激変により、収入が激減したり、トラブルが生ずるリスクが高いです。

 これに対してリートのような不動産投資信託の場合は、投資単位が小口であるので買いやすく、上場しているような場合は換金しやすいです。また1つの不動産に投資するのではなく、通常は複数の不動産に投資するので、リスク分散が図られます。

 阪急リートですが、これはHEPファイブという、大阪の梅田にある商業施設他主として関西エリアの商業施設に投資するREITです。

 財務内容に関する東証の基準の阪急リートを比べると

               東証            阪急リート

1口あたり純資産  上場時まで5万円以上    51.8万円

純資産総額      上場時まで10億円以上  359億76百万円

資産総額       上場時まで50億円以上  579億93百万円

 10月26日の阪急リートの終値は64.2万円です。

 このリートの家賃収入のうち売上にリンクして家賃が変わるものが51%あります。つまり、関西の景気が上がると収入もあがり、投資家への分配も多くなります。

 大阪の梅田地区は、これから数年、大規模再開発が行われ、集客力は高まると思いますが、そのお客さんが流れてくるか。場所がいいのはプラスですが、競争が激しくなるので、既存の商業ビルは、新しくできるビルを超える魅力のある店づくりをしないと厳しいのではないかなあとも思います。

 http://www.hankyu-reit.jp/index.php

 http://www.tse.or.jp/cash/reit/

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2005年10月27日 (木)

特定贈与信託と税金の話をちょこっと

 特定贈与信託というものがあります。これは、特別障害者(重度の障害をお持ちの方)を受益者として、ご家族やご家族以外の方(個人に限られる)が、信託銀行と特別障害者扶養契約を結び、6,000万円までの財産(現金でなくてもいいようです。)を信託した場合、この信託設定の時点で、特別障害者の方は、贈与税を払わなくてもいい!というものです。

 この信託は、他益信託とよばれるものです。他益信託とは、委託者≠受益者である信託のことです。ちなみに自益信託は、委託者=受益者の信託です。

 他益信託を設定すると、設定以後その財産から受ける利益は、委託者から受益者にかわるので、設定時点で委託者から受益者に信託財産の贈与があったものとみなして、受益者は、贈与税や相続税を払わないといけなくなります。

 たとえばあるお金持ちの人が、1億円を信託して子供に毎年、生活資金として200万円わたすという信託を設定した場合、子供は毎年、200万円ずつしかもらえず、途中で解約してお金を引き出すことができないにもかかわらず、最初の設定時点で贈与税を子供は支払わなければなりません。

 もちろん1億円満額に対して、税金をかけるのではなく、定期金を受け取る権利として評価しますので1億円よりは低くなります。 この評価額ですが、終身お金をもらえるのか、それなら子供の年齢がいくつか、期間限定でお金をもらえるのか、それなら何年間もらえるのかなどに応じてかわります。でもいくら評価が下がるといっても、設定時点で子供にお金がないと贈与税を払うことはできませんよね。

 また子供は、毎年受け取る利益に対しては、所得の種類に応じて、税金をおさめなければなりません。これは特定贈与信託でも同じ。

 この信託の税金でおかしいなと思うところは、たとえば5年毎に1,000万円の運用益を受益者にわたすという他益信託契約を結び、毎年、信託財産から上がる利益は、受益者に分配せず、信託財産に組み入れたような場合でも、受益者は、毎年、税金を払わなければならないことです。つまり、受益者は、お金をもらってないのに、税金だけ払うという状態が4年間は続くということです。

 特定贈与信託は、税務上のメリットがあるので利用範囲が非常に狭められています。なんでもOKだったら相続税対策に濫用されるからでしょう。でも公益性を重視するならば、もうちょっと幅を広げたらいいのにと思います。

 ちなみに又聞きの話ですが、信託銀行さんは、あんまり特定贈与信託を営業されていないそうです。なんでも採算性に問題があるようで、、

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2005年10月26日 (水)

後継ぎ遺贈型の受益者連続

  受益者連続の信託というものがあります。これは信託の契約で、ある条件を満たした時点で受益者がAからBへ BからCへ Cから-----となるような信託です。

 たとえば 大金持ちのAさんが財産を信託し、生存中にはAさんが受益者になり信託財産から利益を受け取り、Aさんが死亡した時点で、受益者が妻のBさんになり、Bさんが死亡または再婚した時点で、子供のCさんが受益者になるというような信託です。

 このような形の信託が英米ではよく使われているようです。なぜなら相続対策、事業承継の幹は、自分の財産を、渡したい人に 渡したい時期に 渡してあげるということで、この受益者連続ならそれが可能だからです。

 なるほど遺言という制度が日本にありますが、遺言の場合は、上記例でいうとAさんが亡くなった時にBさんに財産をあげるというところまでしか実現できないと考えられています。Bさんに財産が移転した後、Bさんには、Dさんという子供もいて、Bさんが遺言でAさんからもらった財産はDさんに渡したいと書いたら、DさんにAさんの財産は渡っていきます。そうすればAさんのCさんに財産を渡したいとい希望は、実現できなくなってしまいます。

 後継ぎ遺贈(数世代にわたって財産を誰に渡すかを遺言で決めること)は、民法の有力な説によると否定的とされています。後継ぎ遺贈を認めると、その人が生きている間だけ所有権がありますよとか、将来 誰かが亡くなったらこの財産の所有権者になれますというように、期間制限的な所有権を認めることになり、それは今の民法では認められていません。

 また、何代にもわたり資産の承継者を決めてしまうと、非常に長い間にわたって一族で財産を囲い込むことになり、財産の流通が妨げられるのでよくないということもあります。

 民法ではこのような考えがあるので後継ぎ遺贈が認められないのに、それが信託を使うことにより認められるのは問題ではないかといわれています。

 現行の信託法でも信託終了時点での信託財産の帰属者を決めることができるので、ここから、たとえばまずXさんが受益者になり、信託期間が終了するとYさんが信託財産をもらえるということはできます。

 この受益者連続については、信託法改正で、実現するかもしれません。その場合、赤の他人でも受益者になれるのか、何代先まで受益者連続を認められるのかなどに興味があります。

 なるほど相続税、贈与税の問題がありますが、それらを無視して考えると、この制度は、英米だけでなく日本でも有効な相続、事業承継対策として利用されるだろうなと思います。

 参考文献 四宮和夫 信託法(新版) 有斐閣

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2005年10月25日 (火)

受託者会計は現金主義?!

 日本版LLP(有限責任事業組合)の出資者側の会計について、ASBJ企業会計基準委員会)が検討に着手しました。証券取引法上の有価証券とみなされるかどうかで処理がかわるようですが、あくまでもこれは出資者側、日本版LLP自体の会計も当然必要なのですが、これは日本版LLP省令で決め、ベースは商法施行規則だそうです。つまり普通の会社の会計処理のようなもの。

 信託も受託者会計というものと受益者会計というものがあります。受益者の会計は、スタンダードな会計基準によるもの。だから収益、費用も発生主義だし、評価損益の計上も必要になってきます。

 では受託者会計はどうなのか。 信託財産という塊に関する会計なのですが、

 現行の信託法では、受託者は帳簿を備え付け、一年に一度は財産目録を作らなければならないようですが、どのような方法で計上しなければならないのかはルール付けられていません。それでも何らかのルールに基づかないとめちゃくちゃになるので、信託慣行会計を使うのが原則のようです。

 これは合同運用信託というたくさんの投資家からお金をあつめて、専門家が集中投資し、儲けを投資家たちに分配するもののために作られたような会計で、どういうルールかというと

 ①現金を受託するときは、その金額、物(たとえば不動産)を受託するときは、不動産の時価ではなく、委託者の帳簿価額、額面、固定資産税評価等

 ②有価証券とかを持っている場合も評価損益は原則計上しない。

 ③収入、支出はいわゆる現金主義 未収、未払は計上しない。

 なんかぎゃっつ、といいたくなるようなルールですが、このルールが合理的な理由として

 ①信託財産の収支の健全性が維持されること

 ②全受益者に対して客観的、公平、かつ継続的

 ③きわめて多数の受益者に対して迅速に低廉なコストで計算ができる

 だ そうです。。。

 土地信託とか年金信託とか、これじゃまずいということで、普通の会計基準で財産目録などを作っている場合もあるようですが、原則はあくまでも信託慣行会計!

 信託って、改正以後、ブームになると、この会計では黙っていない人たちがでてきて、わーわー難しい会計を適用させていくのでしょうね。これはこれで、シンプルでいいし、現行の難しい会計も、先祖返りして欲しいなとも思いますが、

参考文献 三菱信託銀行信託研究会編著 信託の法務と実務 4訂版 社団法人金融財政事情研究会

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2005年10月24日 (月)

RCCの事業再生信託

 RCC(整理回収機構)とくれば、バブル崩壊後の重苦しい世相と中坊社長が浮かびます。住専の不良債権処理のために作られましたが、住専にとどまらず、不良債権の回収、事業再生の業務を現在も行っています。

 このRCCの不良債権の回収、企業再生の業務を行う過程で信託を用いたスキームがあります。このうち初期の2つの信託を用いたスキームを書きます。

1つは不良債権の証券化のスキーム

 銀行が持っている不良債権をSPCを通じてRCCに譲渡し、RCCで信託を設定します。RCCは不良債権の回収業務を行います。銀行は、不良債権譲渡の対価として信託受益権受取り、この信託受益権を投資家に販売します。この結果、銀行は、不良債権をオフバランス化できます。

 なぜ直接RCCに売却せずに、信託設定にしているのかですが、まだ深く調べていないのですが、おそらく税金等のコストが売却するより信託設定の方が安いこと、売却した場合RCCが不良債権を所有してしまうので、自分が回収責任を全部背負い込むことになり、RCCの性格上(RCCの株主は預金保険機構)それはまずかったのではないでしょうか。

 RCCが不良債権を買い取り、そのまま持ち続け、回収業務を行い、それでも不良債権が回収されなかった場合は、RCCに不良債権がたまり、RCCの財務基盤を悪化させます。 

 RCC自体が不良債権を買取、それを担保に債券を発行して、債権者に販売する場合、もし発行した債権がデフォルト状態になるとRCCが矢面に立ちます。信託にすることにより、RCCは回収業務を行いますが、もし一生懸命努力してそれでも回収できなくても、その負担は証券化をした債権を購入した投資家になります。

もう1つが管理型信託

 いくつかの銀行が持っている不良債権をRCCに信託し、RCCはそれぞれの金融機関の不良債権を公平に回収し、その債権にくっついてやってきた担保不動産を処分していきます。このケースでは、銀行は不良債権の譲渡の対価として受け取った信託受益権を所有し続けるのでオフバランス化のメリットはありません。しかし複数の債権者がいて利害調整が難しいような場合、RCCを利用することにより公平、透明な回収作業が行えるために、意見がまとまりやすいというメリットや、現在は瀕死の会社でも、事業が再生する可能性が高いので、信託受益権を持ち続けることにより、会社との関係を保てるというメリットなどがあります。

 RCCの信託スキームは、事業信託を今後行うに際して、非常に参考になるのではないかと思います。

  

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2005年10月23日 (日)

特許権と著作権

 知的財産法といわれるカテゴリーの法律の代表選手として、特許権と著作権があります。

 特許権とは、簡単にいうと発明した物(理系っぽいなあ)を発明した人が独占的に利用して、そこから湧き出る利益を独り占めにできる権利のこと。 著作権とは、簡単にいうと、文芸、学術、アート、プログラムも含むけど、要するに自分が創造した表現(著作物という。 文系っぽいなあ)を、他の人が買ってにコピペして、お金儲けをしたり、自分の業績だ!と発表したりするのを禁止できる権利のこと。

 いずれも他の人が利用したい場合は、特許権者や著作権者にお伺いを立てなければなりません。 そしてOKになった場合も、権利者が使わせてやる代わりに、お金を頂戴といってきたら、それ相当のお金を権利者に支払わなければならなりません。

 もちろん個人的に利用するならば、いちいちお伺いをたてて、お金を払う必要はないのでしょうが、

 この特許権と著作権、目的が産業発展に寄与と文化発展に寄与というように異なっているため個性も違います。

 たとえば特許権は、登録しないと権利が発生しないし、著作権は別に登録しなくても、著作物を作ったら発生します。

 特許権では、同じような特許が時間差で申請された場合、たとえ後に申請した方が、先に発明しても、先に申請した方が、勝ち!です。

 著作権の場合、コピペではなく、自分の頭を使って創り出した物が他の人が作った物と全く同じようなものであっても、どちらが勝ち!ということにはなりません。

 また権利の保護期間ですが、特許権は、出願(特許を申請したいといって願書や明細書を特許庁に提出すること)から20年です。特許権の目的は、産業発展への寄与をした人に、寄与分の利益を保証して貢献に報いましょうということですが、いつまでも独占権を認めると、産業発展に寄与どころか、妨げになるから、ある程度の期間で独占権をやめましょうということです。

 これに対して著作権は原則的には著作者の死後50年間です。とっても長い期間ですね。文化の発展に寄与が目的ということで、長く独占権を認めても特許権ほど問題はないでしょうということでこの期間になったと思います。

 でもコンピューターのプログラムのようなビジネス関連の著作権も著作権者の死後50年っていうのはちょっとという感じです。コンピューターの進化スピードは速いから、創ったプログラムはすぐ陳腐化するので、長い間、独占権を持っていても、誰もすぐに使わなくなるからあまり旨みはないのかもしれませんが、

 ちなみに、減価償却期間はどうなっているのかなと減価償却耐用年数省令なる税金を計算するときの耐用年数ルールブックを調べたところ、特許権は8年 著作権はありませんでした。 著作権は減価償却しないのかな?とふっと思ったのですが、 特許権の取得価額って、特許出願にかかった費用を集めたものですが、著作権は、登録する必要がないから取得価額は0なんでしょうね。

 じゃ、大作家が亡くなった時の著作権評価は0か? 

 いいえ相続財産を計算するときは、著作権は原則としては、年平均印税収入の額X0.5X評価倍率(印税がもらえる期間に応じた複利年金現価率)で計算します。だから印税が多くて、著作権の存続期間が長く、かつ相続時の基準年利率が低い場合は、高い値段で評価されることになります。

 参考  尾崎哲夫 はじめての知的財産法 法律をあなたの「お友達」の1人に 自由国民社

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2005年10月22日 (土)

レモンマーケット

 レモンというとまず思い浮かぶのは、 レモン哀歌 高村光太郎「智恵子抄」

 「私の手から取った一つのレモンをあなたの綺麗な歯ががりりとかんだ」

  このフレーズとともに黄色くて爽やかな、しょっぱい感がさーっとイメージされます。

  先日、ネタ探しと基本の勉強のために渡辺晋「これ以上やさしく書けない不動産の証券化」PHP、 を買ったのですが、なぜ証券化関連の本の中でこれを選んだのかというと、本の帯にレモンマーケットという言葉があり、さーっと心に染みていったからです。

 なんか素敵そうだなあ♪  とっても知りたいなあ♪

 で、本題!  レモンマーケットとは、買い手が、その商品を外から見て、中身がどうなのかよくわからないような市場のこと。 レモンは黄色くてそこそこ分厚い皮に覆われていて、どのレモンがおいしいのかどうか判別がつかないことから、外からでは欠陥がわからないような中古の自動車のことをレモンカーというようです。

 このレモンマーケットについて深く研究した人がいて、その人 名前はアカロフというのだそうですが、2001年にレモンマーケットの理論でノーベル経済学賞を受賞されたそうです。

 売り手は商品の中身(欠陥とか)をよく知っているが、買い手はわからないような商品の場合、買い手は、内容に不安があるからリスク分安い値段でないと買おうと思いません。安い値段でしか売れないとわかると、売り手は、品質の良い商品とわかっても儲からないので、品質の良い商品を供給しなくなります。そうすると、売り手が供給するのは、欠陥のある商品だけになり、買い手は、欠陥のある商品なら「ただ」でもいらないと思うので、結局、市場は行き場のない欠陥のある商品の山と化してしまうということです。このような理論のことをレモンマーケットの理論というそうです。

 このレモンマーケットの理論のような恐ろしい結末にならないためにはどうすればいいのでしょうか。それは、商品の内容を買い手にわかるようなシステムを作ることです。

 このシステムの1つとしてディスクロージャー(情報開示)があり、商品を市場でたくさんの人に買ってもらう場合には、売り手は商品の内容について、ルールに基づいて情報を提供しなければならなりません。

 このディスクロージャー、それなりに知識のある投資家の人たちにとっては理解を促すよい資料なのでしょうが、そんなに知識のない投資家の人たちにとっては、ただの紙で、結局投資の判断のベースになるのが、金融機関の営業マンのセールストークだったりします。そして後日トラブルが起こったときに、ちゃんと資料を提供してたでしょ!と主張されて、泣き寝入り。 

 ディスクロージャーの内容を充実させるのはいいのですが、それよりも普通の人たちに、投資判断をするまでの資料の分析の仕方をわかりやすく教えるシステムを作った方がいいと思います。

 

 

 

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2005年10月21日 (金)

有限責任信託 300万円規制を作るのか?

 信託法の改正により有限責任信託(仮称)ができることになりそうです。

 信託に対して1,000お金を貸した人に対して、通常はこの元本1,000と利息を併せて返済しなければなりません。 でも信託で行っている事業がおかしくなって払えなくなった場合、もし信託財産として600あるならば、信託を運営している受託者は、600を払えばOKというような信託です。たとえ受託者が他に財産を5,000持っていても、その財産から400を返済する必要はないです。もちろん受託者に重大な問題があったような場合は、400を払わなければなりませんが、

 現行の信託法では、上記のようなケースでは、原則として受託者は600の信託財産を返済に充てるだけでなく、自分の財産から400を返済に充てないといけません。自分の責任でもないのに返済義務だけ重くのしかかるのは酷なので、特約で借入金が払えなくなった場合、信託財産のみを財源にして返済すると決めていることが多くあるようです。

 信託法が改正になり、有限責任信託が認められて喜ぶのは、受託者でしょう。そして困るのは信託財産と取引をする債権者でしょう。債権者は信託財産がなくなったら、貸倒になるリスクがあるからです。では債権者を守るためにどうするのでしょうか。

 債権者を守るための方法のうち最も重要なものは、債権の唯一の担保になる信託財産の確保です。信託財産は受益者に分配することを前提に存在しているから、いくら分配しても問題はないはずです。でもそれでは債権者を貸倒に対するリスクから守れなくなるので、一定の分配額の制限を設けるようです。

 一定の分配額を超えて受益者に分配したら、受託者はお金で補填しないといけないようです。でも分配をして得をするのは受益者だから、受託者は受益者から分配した分を返してくれと言えるようです。ただし受益者が限度オーバーの分配だったことを、分配をうけた日に知らなかったような場合は、受託者は受益者から分配分を返してもらえません。

 このような分配額の制限は、信託だけに設けようとしているのではありません。

 来年施行される会社法において、株式会社は、株主に対して配当を行った後、会社に純資産(資産-負債)を最低300万円は残さなければなりません

 また有限責任事業組合(日本版LLP)においても同様の300万円規制があります。

 このように出資者が出資額を限度にしか責任をとらないような事業体については、300万円規制を設けるようです。そうすると有限責任信託においても同様の300万円規制が入るのではないでしょうか。

 

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2005年10月20日 (木)

日本で遺言信託は発展するか?

 信託は、日本においては今までのところ投資信託のように多くの投資家からお金を集めて、専門家がそれを集中して投資し、儲けを投資家に配分するような際に、そのお金を集めて出したり入れたりするバスケットのようなもの(ビークルといわれますが)として使われることが多かったです。

 しかし欧米では、個人がその所有する資産を管理することが難しい場合だけでなく、相続対策、事業承継対策としても使われます。専門家に資産管理だけでなく、相続対策も相談でき、自分が望んでいるような形 すなわち誰に何を渡すかということを決め、実行できるからだと思います。

 日本においても最近、遺言信託に力をいれる金融機関が増えてきています。遺言に信託を設定するということだけのサービスから始まり、相続時に遺産を遺言にしたがって、配分していくところまでできます。

 なぜ日本の金融機関が遺言信託に参入したいかというと、遺言の作成にかかわることにより、個人の財産状況、家族状況などとても知りたい情報が正確に手に入るからだと思います。その情報をベースに金融機関が販売している商品を売り込むと、何も情報がないときよりも成約率は高くなるからです。

 では日本は英米のように今後、個人の資産管理信託が発展するでしょうか。私は、??です。なぜかというとたとえばアメリカでは、信託のしくみと相続のしくみが似ていて、信託が相続にスライドしやすいから発展したところもあるのですが、日本では信託と相続はシステムが違うからです。

 信託というのは、委託者が自分の財産を受託者に預け、運用してもらい、その運用利益や、元本を自分があげたいと思う人にわたせるしくみです。

 アメリカの相続は、日本のように相続と同時に被相続人の財産が自動的に相続人に移るというようなシステムではなく、いったん遺産財団という、被相続人のものでも相続人のものでもない、別の存在というものができると考えます。そして弁護士などが、その財産の管理をしたり財産の配分をしたりして財産の配分が全部終わると、遺産財団はなくなります。この遺産財団と信託というのは似たようなシステムだから、信託が多く利用されているように思います。

 日本においてこのままでは遺言信託の発展は難しいと思います。相続と信託は全然違うシステムですし、遺言信託関連の手数料がサービスと比較して高いからです。でも価格競争により合理的な手数料になるならば発展すると思いますし、信託を使うことにより相続税が安くなるというように税法かえたら大化けすると思います。

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2005年10月19日 (水)

アメリカの事業信託(ビジネス.トラスト)

 信託法の改正で可能になると予想されるものに事業信託(ビジネス.トラスト)があります。これは、四宮和夫 信託法 有斐閣によると、多数の人々から資金を集めて、受託者会を中心とする企業組織体を作り、それによって特定の事業を経営し、そこから生ずる利益を出資者たる受益者に分配し、受益証券を発行してそれを市場に流通させる仕組みです。

 広い意味では、事業信託は事業経営を目的とするか事業経営と関連のある信託で、アメリカでは、投資信託をさすこともあるようです。

 狭い意味での事業信託の特徴は 

①信託宣言により設定される 委託者=受託者

②受益権が証券化される

③受益者に支配権が留保される。

四受益者の有限責任が認められる

 というようなもので、上記をみているとたとえば①、②は現行の信託法では不可能ですが、改正により日本でも可能になりそうです。

 このビジネストラストの代表例として、マサチュセッツ.トラストがあります。これは、アメリカのマサチュセッツ州では、法人が不動産を取得することができなかったために、会社の代用として登場した組織体だそうです。課税上の特典がなくなって衰退したそうですが、この課税上の特典とは、おそらくパス.スルー課税のことなんでしょうね。

 このビジネストラストは、受益者は、利益のみを受けて、リスクを負担しないことになっているので、一般の会社の株主とあまりかわりません。にもかかわらず信託においては、会社に要求させるような債権者保護のための資本充実の規制がないので、会社の厳しい規制を逃れるために使われる可能性があることをして指摘しています。

 日本においてもいずれ事業信託が可能になり、旨味がわかるとわーっと広がる可能性はあります。事業信託の発展を削がないような規制を考えて欲しいですね。

 参考文献 四宮和夫 信託法 新版 有斐閣

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2005年10月18日 (火)

中間法人がなくなる!!!

 中間法人というのがあります。よくある株式会社のような法人は、その法人のためにお金を出した人は、儲かれば利益をわけてもらえることから営利目的で作られたものと考えられます。これに対して中間法人というのは、儲けた利益を分配しないことから非営利目的の法人とされます。

 中間法人には、無限責任中間法人と有限責任中間法人とがあります。

 無限責任中間法人は、社員が中間法人の債務に対して、無制限に負担しなければならないものです。

 有限責任中間法人は、社員(法人の運営に参加する人)が、中間法人の債務に対して、無制限に負担しないだけでなく、出資義務もありません。出資義務もないということは、法人の運営費用を収入で賄えないようは場合は、通常は、会社の憲法である定款で、社員が負担するように決めています。でも、お金は基金という形で、社員以外の人から集めることができます。この基金をだす人は、株式会社のようにお金をだすけど、口もだすということはできません。しかも利息のようなものももらえません。

 こんな条件の悪い基金に出資する人はいないと思われるかもしれませんが、世の中はうまくできるもので、そんな中間法人を使いたい人たちがいます。それが資産の流動化スキームに組み入れられるケースです。会社(オリジネーター)が所有している資産をこれからも利用したいけど、会社のバランスシートからはずして、先に代金をもらいたいようなケースです。

 オリジネーターがSPV(資産を所有し、投資家からお金を集めるためだけに存在する媒体 有限会社とかを利用することもある)に直接出資し、資産を譲渡した場合、万が一オリジネーターが倒産したらオリジネーターの債権者たちが、このSPVの資産を回収不能になった債権の弁済に充てようとSPVの資産を召し上げる可能性があります。それでは資産の価値を信じてお金をだした投資家たちは、大損してしまいます。

 そこでオリジネーターがSPVに直接出資することによるリスクを回避(倒産隔離といいます)するために、いったんオリジネーターが有限責任中間法人を作り、基金を拠出します。そしてオリジネーターと関係のない第三者が有限責任中間法人の社員になり、SPVに出資します。SPVが投資家からお金をかき集めて、資産を購入します。

 このように流動化スキームで大切な役割をしている中間法人ですが、現在議論されている公益法人制度改革によると来年にもなくなるようです。ということは上記のようなスキームは今後は不能になるのでしょうか。

 現在、公益法人は、諸官庁の許認可により設立されるものです。公益法人制度改革によると、この公益法人の範囲を広くして中間法人のような非営利目的の法人も含めて、株式会社のように形式的要件を満たしたら設立できるようにします。そしてこの非営利法人のうち、公益性が高いと判断された法人については、税制上の優遇制度などの特典を与えるということになると思います。

 ですから中間法人というネーミングの法人はなくなると思いますが、このような組織体は今後も存在するので、上記のような流動化スキームは今後も可能と思います。

http://www.gyoukaku.go.jp/jimukyoku/koueki-bappon/yushiki/h161119houkoku.html

 

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2005年10月17日 (月)

知的財産権ってなんだ?

 知財信託をカテゴリーにして、1つ記事を書いたのですが、核になる知的財産権について勉強が進んでいません。これから、ここでちょこ、ちょこっと書いて頭の中に格納していこうと思います。

 特許庁のホームページによると、知的財産権(知的所有権ともいいます。)とは、人間の幅広い知的創造活動について、その創作者に権利保護を与えるものです。

http://www.jpo.go.jp/seido/index.htm

お金を反復、継続して生み出す知恵を、その知恵を生み出した人から切り出して、1つの独立した財産として存在させること。

 パソコンなんかは、知的財産権のかたまりで、知的財産権がなければ、ただの金属の箱。

 この知的財産権は、他の人からの侵害に非常に弱いです。パソコンという物体をもし、誰かが勝手に使っていたら、「それは私のものだから返してよ!」と主張して、取り返すことはできます。

 でも知的財産権は、目に見えないものだから誰かが勝手にコピペしてもわからないです。

 もしこのような知的財産権が第三者に侵害されることを守る法律がなかったら、莫大なコストをかけて新技術を開発する人や会社なんてあらわれません。それでは、産業が発展しないし、国も栄えない。これはまずいということで知的財産権を保護する法律を作りました。

法律で保護している主要なメンバーの権利としては、発明を保護する特許権、考案を保護する実用新案権、デザインを保護する意匠権、文芸、学術、美術に音楽からプログラムまでを保護する著作権、 ロゴのような商標を保護する商標権などがあります。

 この法律では、ソフトウェアを創り出した人に独占的利用権をあたえ、そのソフトウェアを利用したい人からお金をもらえるという特典をあたえました。つまり、他の人が勝手に「ただ」でコピペすることを禁止するような力をもっています。

 でもいつまでも創り出した人の独占権を認めると、産業の発展を阻害するかもしれないので、独占的に利用できる期間に制限を設けています。ただし商標権については、商売が続く限り継続して利用できるように保護期間は更新可能です。

  このブログで考えると、文章は著作権で保護されるのでしょうか。もしこのブログが大化けしそうになったら信託大好きおばちゃんを商標登録。信託大好きおばちゃんブランドのグッズをがんがん販売して、ロイヤリティでがっぽり稼ぐ。。。 

 とりあえず、毎日こつこつ書いて、「信託大好きおばちゃん」ブランドを創り上げたいと思います。 

 

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2005年10月16日 (日)

日本版LLPの組合員は、給与をもらえない!

 有限責任事業組合(日本版LLP)が今年から利用されています。これは組合契約だけれども、組合で生じた債務については、組合員は無限に責任を負うのではなく、原則的には組合財産を限度として責任を負いましょうというものです。日本版LLPでは、組合員が全員積極的に事業に参加しなければならりません。また組合員全員が日本にずっと住んでいない人(非居住者)や外国でできた法人(外国法人)であることは認められていません。

 この組合員が組合のために仕事をした場合、その仕事の対価としてお給料をもらうことができるでしょうか。そしてそのお給料の額は、日本版LLPの計算上、費用として、収入から認められるのでしょうか。

 どうもこれはだめなようです。個人で事業を始めた場合、個人の事業から得た所得の計算というのは、収入から費用を差し引いて計算するのですが、その事業主に対する給与は差し引くことができません。自分が自分に給与を払うというのはおかしいでしょということなのでしょう。

 日本版LLPというのはあくまでも組合契約であり、実質的には各個人がそれぞれ事業を行っているようなものだから個人が事業をやった場合と同じ所得計算をするのが妥当ということでしょうか。日本版LLPで損失が生じた場合、一定の限度はあるけれども、組合員に損失を配賦できますよね。損失の配賦は認めよ。給与は認めよというのはあまりにも都合がよすぎるでしょ!ということなのでしょう。

 でも現実問題として、日本版LLPに専従している組合員がいて、組合が全く儲からない場合は、給与をもらえないとするとどこから生活資金を手に入れることができるのでしょうか。

 個人で事業を行う場合、その個人の生活資金とかは、店主貸(貸付金のようなもの)として処理をすることになるのですが、そのような処理をしていいのでしょうか。もしこの貸付金がどんどんふくれていって、全然減らないような場合は、利息とかとらないと問題になるのでしょうか。

 給料はもらえないなら、外注費というか手数料としてもらうことはできないのでしょうか。組合員以外の人に作業を委託した場合は、外注費として経費処理は認められますよね。組合員だから、自分が自分に手数料を支払うのはだめだということですか。

 もしそうであるとすると、たとえばこの組合がソフトウェアを作って、原価計算をしないといけないような場合、組合員の作業分はいれられないということでしょうか。税金を計算するときの組合の帳簿と、原価計算をする場合の組合の帳簿の2つを作って、管理しましょうということなのでしょうか。

 組合から給与をもらうということは理論的にはおかしいのですが、認めてほしいなあと思います。そういえばむかし個人事業所得についてみなし法人課税というのがありましたよね。事業主報酬を一旦差し引き、給与課税をするというようなものだったと記憶しています。これを復活させ、個人の事業でも組合の事業でも事業主の報酬を費用として一旦認めるというようにしたらどうかなあと思うのですが。

 

 

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2005年10月15日 (土)

信長信託

 今日は土曜日、仕事的にはお休みなのですが、個人的には朝一番ののぞみで東京へ行って、出版する予定の本(ビジネス関係の共著です)の打ち合わせと、出版した本(MLで作った会社法の本です。)の出版記念パーティ。このように書くと作家みたいですね。こんな華やかな一日は、今までもこれからもあんまりないと思うので、楽しもうと思ってます。

 ということでタイトルの信長信託。 日本の信託は、明治の御世に英米から輸入されたのが始まりと以前書きました。しかしそれ以前にも信託のようなものは日本にありました。  

一番古いといわれているのが、空海(弘法大師)が作った綜芸種智院大学の創設。空海に帰依した貴族たちが、空海のために自分たちの土地を寄贈して教育機関を作ろうと考えました。でも空海は、宗教家だから、世俗の人から財産をプレゼントされるのはだめだったようです。そこで貴族たちは、自分たちの土地を第三者に譲渡し、その第三者が教育機関を作り、「弘法大師様、立派な学校ができました。どうぞお出ましになって、ご講義をお願いします。」ということになったのでしょう。  

 で、織田信長の登場。織田信長は、自分が支配していた領地で収穫された米のうち、一部を税金のような形で徴収しました。この徴収したお米は、京都とかのあきんどに預け、あきんどたちはこのお米を他に貸付け、利息というか利米を稼ぎました。そしてこの利米は、信長自身が受け取るのではなく、皇室に収めたそうです。戦国時代の末期ごろは皇室もお金がなくて困っていたからでしょう。信長は皇室に援助することにより後ろ盾を得て、他の大名との差別化を図りたかったのでしょう。これが信長信託というものだそうです。

 ネットで信長信託なんて検索しても、なーんにもでてこないだろうなと思ってたのですが、でてきました。  国内株式型(中小型株型) JF成長株オープン(愛称:信長)。急成長するかもしれませんね。ファンドマネージャーとかの会社を見極めるセンスが信長のようだったらね。

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2005年10月14日 (金)

LPSを使った節税商品の否認 

 昨日(10月13日)報道で話題になった話題について書きます。

 これは、LPS(リミテッドパートナーシップ)を利用してアメリカの賃貸用中古アパートを購入した日本の個人の投資家の所得について、不動産事業のために生じた減価償却費や借入金の利息を、税金を計算するときに賃料収入から差し引いて生じた損失は認めることができないと国税当局が判断し、税金を払うように命令したことに対して、投資家たちは、今までこのような損失を差し引くことを認めてきたのに豹変するのはおかしいとして訴えたというものです。

 LPSとは、アメリカの州法によって設立された事業体で、1人以上の組合で生じた債務については無限に責任を負う出資者と、1人以上の出資額を限度に組合で生じた債務について責任を負う出資者から成り立っています。

 記事から得た内容を簡単に説明すると、外資系の証券会社の紹介で日本の投資家がお金を出資し、このお金をルクセンブルグの口座に集めます。そしてそのお金を米国のLPSに出資します。LPSは集めたお金をもとに、アメリカの賃貸用中古アパートを買います。投資家は、アパート経営をするLPSの出資者となります。このLPSが税務上、組合であるならば、出資者がアパート経営をしているとみなして、アパート経営で獲得した賃貸料収入を自分の所得として入れるだけでなく、必要な経費を差し引くことができます。もし、この経費が、収入より多い場合、つまりアパート経営の結果、損失がでたような場合で、その投資家に他の所得(たとえば給料)があるような場合は、給料からその損失を引くことができます。その結果、その投資家の所得は、損失分だけ少なくなるので、収める税金も少なくなり、その分だけ節税できるということになります。このような節税できるスキームも1つの商品とされています。

 課税庁は、このスキームによる損失は、認められないと判断したのですが、その判断の根拠として2つあげています。

 1つは、ルクセンブルグに資金を集めて、まとめてLPSに出資したのは、銀行が投資家からお金を集めてきて、 銀行が自らの判断で資産運用を行い、その儲けを投資家に還元するようなスキーム つまり投資信託のようなものとみなすということです。投資信託のような金融商品を所有する投資家は、事業に参加したいからではなく、より高い利益を受けたいからであるから、ここから利益を受けた場合は所得にいれて税金を払ってください。でも損がでても痛くないはずですから、税金の計算上所得から引くことはできないしくみになってます。

 もう1つは、LPSは、実質的には法人で、出資者とは、別の意思を持ち、事業を行っている存在だから、出資者自身が事業を行っているとはいえません。ですからその法人で生じた収入も費用は、その法人のものとして、独立して計算し、出資者の所得の計算上入れませんというものです。その根拠として、LPSは設立登記をし、賃貸契約の当事者になっているから法人であるとしています。

 この記事を読んでの感想ですが、国税当局は節税商品封じ、つまり頭を使った税金逃れをやっきになって退治しようしているような気がします。

 まず、投資信託かということですが、事実がどうなっているのかわからないのですが、投資信託と組合事業への出資の違いは、出資者が事業に参加しているかどうかということだと思います。事業に参加しているというのは、積極的な参加と消極的な参加があり、消極的な参加 たとえば通常は、専門家に事業の判断を委ねるが、うまくいかないような場合には解任できるような権限を有しているような場合も事業に参加しているとみなして、組合事業への出資となると考えます。

 次にLPSが法人かどうかということですが、設立登記といっても、これは組合契約を登記するようなもので、今、話題の有限責任事業組合(日本版LLP)も、設立時に登記しますし、LPSをまねて作られた投資事業有限責任組合も登記してます。LPSが契約の当事者になるから法人だということですが、日本版LLP等も契約の当事者になれるのではないでしょうか。また、LPSは、LPS名義で財産を所有できますが、これらの所有は出資者の共有状態になっていますので、日本でいう組合の場合と同じようなものです。

 日本版LLP等は、日本の税法上は組合として、組合の出資者に組合の所得も,税制改正により一定の限度がありますが損失も配賦されて税金の計算をされます。それなのに同じような事業体のLPSが法人というのは、説得力に欠けるよう思います。今後の裁判の動向が注目されます。

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2005年10月13日 (木)

利益参加型社債

 利益参加型社債というのがあります。これは、利益がでたら利益に応じて利息を払うことができる社債のことで、ケイマンの会社法においては、発行することができます。

 会社がお金を集める方法としては、株式を発行する方法があります。株主に対して、会社は、儲かったら配当を払うことができますが、業績の悪い時は、配当を払わないこともできます。

 日本の商法における社債は、会社が発行する借金のようなもので、利率が決められ、利払い日に利率に応じて利息を払わなければなりません。たとえ会社の業績が悪くても、利息の支払いを延期したり、利息の金額を減らしたりすることはできません。

 会社法においてどうなのかなと思って、会社法676条を読んだら、

会社は、その発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集社債(当該募集に応じて当該社債の引受けの申込みをした者に対して割り当てる社債をいう。以下この編において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
  ◆3 募集社債の利率

 となっているので、利率を決められるということは、利益変動による社債の発行はできないとうことなのかなと思います。利益参加型社債まで会社法で認めると、資本と負債の境目がなくなってしまうからでしょうか。でも種類株式の範囲の拡大をみていると、資本と負債の境目は限りなくなくなってきているようにも思えるのですが、

 なおなぜ利益参加型社債をテーマに書いたかというと、たまたま利益参加型社債に投資するような契約型外国投資信託をネットサーフィンして見つけたからです。

 これは外国籍の投資信託ですが、円建てなので為替リスクはなく、投資先は日本の不動産であり、J-REITの収益の分配が年2回なのに、この投信は毎月収益の分配があります。また平成20年3月までは、分配時の課税が10%の源泉分離課税。

 ホームページをダウンロードして読んでると、証券のスキームの教科書に載っているようなことのてんこ盛りです。このスキームについては、またいずれ書こうと思ってます。

 

 

 

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2005年10月12日 (水)

資産流動化商品と信託業法の問題

  現在、世の中には、投資商品がたくさん販売されています。この投資商品をあまり投資に関する知識のない人たちが売買して、不当な損害を被らないようにするための法律として証券取引法があります。この証券取引法は、投資商品のうちのガリバーである株式をベースに作られているため、新たに開発された投資商品については、カバーしきれていない状態です。また投資商品の種類によっては、他の法律の規制の対象になっているものもあり、縦割り行政の弊害もでてきています。そこで現在、証券取引法を発展的に解消して、投資サービス法を作ろうとしてます。今回は、資産流動化商品における現状の信託業法の問題点を書きます。

 資産流動化商品のスキームを説明します。まず事業者(オリジネーター)が、資産を今後も利用したいけれども、オフバランス化したような場合、所有する資産をSPCに売却します。SPCはこの資産の購入資金を社債やローン等を発行して投資家から調達します。

 問題点は2つあります。

 1つは、オリジネーターがSPCに資産を売却する行為が頻繁に行われる場合には、信託受益権の売買が業としてなされるものとして信託受益権販売業に該当するおそれが生じることです。

 そうするとオリジネーターが信託受益権販売業者の登録をするか、信託受益権販売業者を取引の間にいれる必要が生じます。つまりコストがかかるということです。コストがかかっても、それにより投資家保護になるならばまだ良いのですが、この場合の投資家は、SPCが発行した債券を購入した投資家ではなく実質的にはオリジネーターの関係者であるSPCです。このSPCに対して、あえて信託販売業者をいれて、情報を開示する必要はないと思います。

 もう1つの問題点は、SPCの債券を購入した投資家に対する、信託受益権に関する情報の開示です。この債券がABS(資産担保証券)で、公募しているような場合は、投資家に目論見書が発行され、どのような資産がベースになっているのかがわかります。また私募の場合も商品内容説明書による開示がなされることが多いので特に問題はありません。

 問題となるのはローンタイプのABL(資産担保融資)の場合です。この場合は、証券取引法の適用がなく、特に開示資料を作成することがないようです。そうすると、ABLの投資家は、信託受益権の内容を知ることができなくなります。

 つまり、現行の信託業法では、投資家保護の対象にすべき人に対して、保護の手が届かず、あえて保護する必要がない人に対して、保護する義務が生じるようになっています。

このようなひずみが、投資サービス法で解決されればいいのですが、

参考文献 神田秀樹(責任編集) 投資サービス法への構想 財経詳報社

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2005年10月11日 (火)

公益信託は、公益法人(財団法人)とどう違うのか

 事業が成功し、圧倒的な勝ち組になられた方が、自分の名前を冠した公益法人を作られることがあります。これは自分の財産を世の中に還元し、学術の発展等に貢献したいという純粋な気持ちに基づくものと思いますが、相続税を減らしたいとか、自分の名前を未来永劫に渡って残したいという俗人的な気持ちもあると思います。

 公益法人(財団法人)は、財産を拠出してできる公益を目的とする法人のことをいいます。法人ですから、法人の理事等が法人の機関として財産を運用し、公益のために使います。

 公益信託は、財産を持っている人が受託者と公益信託契約を締結すると、財産が信託され受託者に帰属し、受託者が管理することになります。

 公益信託と財団法人の違いですが、主要なものは2つあると思います。

 1つは、公益信託の場合は、設定手続は受託者が行うということです。公益法人の場合は、委託者が作るから、委託者本人が行わなければなりません。公益法人は、株式会社のように設立登記をすれば簡単にできるものとは異なり、主務官庁への許可申請等が必要なので、時間もコストもかなりかかります。

 もう1つは公益信託の運営コストが公益法人よりは少なくすむことです。公益法人(財団法人)は、長期にわたって運営することが求められています。公益法人の事務所や職員に係る運営コスト等は、基本財産の運用益に依存するところもあるので、この基本財産はある程度以上大きい必要があります。

 一方公益信託の方は、契約で信託期間を決められるので、比較的短期間で財産を取り崩し、公益のために使うことができますし、法人でないので、事務所をおく必要も専任の職員を雇う必要もないので、コストが公益法人と比較するとかかりません。したがって公益法人と比較して、小規模の財産でも公益信託が設定できます。

 なお、公益信託のうち一定の要件を要件を満たしたものは、委託者については相続税の非課税や、所得税の寄付金控除、法人税の寄付金の損金算入などの特典を受けることができます。

参考 社団法人 信託協会 公益信託その制度のあらまし

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2005年10月10日 (月)

知財信託はなぜブレークしない

 知財信託とは、知的財産を信託するものです。これは信託業法の改正により可能になったものです。従来の信託業法では、信託財産が限定列挙されていたため知的財産を信託することはできませんでした。この知的財産とは、たとえば特許権とか著作権とか、目に見えない価値のあるのですが、いくらなのかを客観的に評価するのが難しいものです。

 たとえば中小企業が持っている特許権をそのままもっていても管理することができる人がいないために、宝の持ち腐れになったり、侵害されても泣き寝入りするところ、いくつかの中小企業の特許権をまとめて信託することにより、専門家が管理できるというメリットがあります。

 大企業のグループがばらばらに持っている権利をまとめて管理することにより効率化が図られます。

 特許権を持っていた事業会社が倒産しても、権利は破産管財人の手にわたりません。

 もし知財管理会社を作り、そこに権利を譲渡した場合は、譲渡時に時価と簿価の差額に譲渡益課税がなされコスト増になりますが、信託の場合は、信託設定時点では、課税されません。

 また、信託設定により受け取った信託受益権を売却することにより、投下資本を早期に回収することも可能になります。

 知財立国をめざす日本の牽引車の一つに知財信託はなるはずですが、なかなかブレークしません。これはなぜなのか。要因はいくつかあると思いますが、決定的な要因の一つに、権利侵害者が現れたときに請求できる損害賠償の範囲が狭まることです。

 特許権侵害に基づく、損害賠償額のうち逸失利益の算定方法は

①譲渡された侵害物権の数量に特許権者の単位数量当たり利益額を乗じた額で、特許権者の実施能力を超えない額(ただし、特許権者に販売することができないとする事情があるときはその分を控除する)を損害の額と擬制する。(特許法102①)

②侵害者が侵害行為によって利益(限界利益)を得ている場合には、その利益額を権利者の損害と推定する。(特許法102②)

③特許発明の実施に対して受けるべき金額の額に相当する額(通常は侵害品売上額X実施料率)を自己が受けた損害の額として賠償請求できる。。(特許法102③)

 このうち、特許権を有している事業会社が、訴えの当事者の場合は①から③のいずれかの方法により算定された金額で損害賠償ができますが、信託をした場合は、信託会社自体は、③(信託会社自身が実施許諾権限を有していることが前提)しか請求できないことになります。

 さらに信託設定後の事業会社で、専用実施権や独占的通常実施権が付与されていないケースにおいては、原告適格すら認められなくなります。つまり信託設定により、権利を守るどころか、権利の侵害に手が出せなくなる状況がおこりかねないのです。

 この問題は法律を改正することで早期に解決しないと、大きな目標である知財立国のための知財信託は、掛け声倒れになってしまいます。

参考  弁護士 小林卓泰 知的財産信託における法的留意点 別冊NBL No102 商事法務

 

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2005年10月 9日 (日)

信託協会 相続、贈与税等の特例の要望

 毎年、信託協会は、税制改正の要望を行っています。この要望のうちの一つとして、信託を利用した、株式、株式投信等を子、孫へ贈与、相続した場合における課税の軽減というのがあります。

 どのようなスキームかというと、親、祖父母が、市場で上場株式や株式投資信託を購入し、それらに対して他益信託を設定します。つまり、委託者は親、祖父母ですが、受益者は子供や孫となるような信託を設定します。この信託の管理は受託者である信託銀行等が行います。また信託期間中は売却を禁止します。受益者である子供は、信託期間配当を受け取り、信託期間終了後に元本である株式や株式投資信託を受け取ります。

 このスキームの一番のネックは、他益信託を設定した時点で、委託者から受益者へ贈与があったとみなして贈与税の対象になることです。贈与税は、原則的には上昇カーブのきつい超過累進税率です。もちろん相続精算課税制度もありますが、この制度を用いても相続時に税金の再計算を行わなければなりません。

 信託協会が要望しているのは、信託スキームを用いた場合は、評価方法を見直したり、贈与に係る特別控除制度を創設するというものです。これが証券市場の活性化にも役立つからということです。

 数年前の株式市場が低迷しきった時でしたら、株価を支えるために、個人投資家に株式を長期間所有してもらえるようなシステムを作るのが合理的だったかもしれません。しかし現状は、株価も持ち直してきており、市場も活況を呈しているので、活性化のための相続、贈与税等の特例措置をする必然性はあまりないから、実現可能性は低いのではないかと考えます。

 でももし実現したら、信託ビジネスは大ブレークするでしょうね。

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パススルーってなんだろう?

 信託の税務に関する書籍などを読んでいると、パススルーという言葉がでてきます。これは、ある事業体が儲けた利益に対する税金を、その事業体本人でなく、事業体の出資者が払うような課税システムのことです。

 個人が事業を行って儲けた利益に対する税金はその個人が払います。会社が事業を行って儲けた利益に対する税金はその会社が払います。このように原則的には、儲けた利益は、儲けた当人が払うものです。

  しかしたとえば民法上の組合で儲けた利益は、組合そのものが払わず、組合員が払っています。これは、民法上の組合は、あくまでも契約であり、組合で生じたリスクも各組合員が引き受けるから、実質的には各組合員が各々事業を行っているものとして、組合に課税せず、組合員に課税しています。

  信託の課税の方法は、実は統一的に構築されておらず、接木のように新たに生まれた金融商品に応じて課税方法を作っています。原則的な課税方法は、信託財産で生じた利益に対する税金は、発生した時点で受益者が特定されている場合は、受益者が払い、受益者が特定していない場合やいない場合は、委託者が払います。信託財産自体が税金を払うことはありません。このような課税方法をパススルー課税といいます。

 有限責任事業組合(日本版LLP)が今年から設立できますが、これは組合の一種なので、組合で生じた利益については、組合本体ではなく組合員に対して課税されます。なぜ会社を作らず、日本版LLPを設立したいかという理由の一つにパススルー課税があります。パススルー課税ができると、組合で生じた利益だけではなく損失も組合員に配賦されます。もし組合員に組合以外の利益が生じていると、この配賦された組合の損失と相殺できるので、結果的に利益が圧縮され、払わなければならない税金の金額が減ります。

 なお日本版LLPは、組合だけれども、組合で生じた損失は、組合財産を限度として組合員が負担するものとなっていますので、組合損失の配賦金額についても、税制上制限が設けられています。

 信託について生じた損失に関する税制上の制限は今のところありません。これは信託に関して今までは規制が多かったのであまり広まらなかったから、税制上の制限をあえて設ける必要性もなかったのだと思います。

 今後は、信託が広まることが予想され、信託だけが無制限にパススルー課税を認めていると税金逃れが多発して政府も困るので、改正が行われるだろうと思います。

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2005年10月 8日 (土)

ビークルってなあに?

ビークルとは vehicle と英語では綴ります。英和辞書で調べると ① (通例陸上の乗り物)、輸送機関(car, bus, bicycle などの上位後) ②(伝達)手段、媒体 ③(人、能力の)見せ場 

信託でビークルという場合の意味は②なんでしょうね。お金儲けをするための媒体 金融商品を組成するときに必要な箱 

バスケットをイメージしていただいたらいいのかもしれません。投資信託を例にとって説明すると、 たくさんの人からお金をあつめてきてバスケットにいれる。お金儲けの上手な人がお金をまとめて株式などに投資して、配当とかキャピタルゲインがでたら儲かったお金をバスケットにいれる。そして、お金を出した人に、分配する。このバスケットがビークルといわれるものです。

  一般の会社も同じように投資家からお金を集めて、事業を行い、儲けを配当で回すので同じようなシステムです。でも会社の場合は、バスケットの中に人が集まり、その人たちが主役、その人たちががんばってやる事業がテーマというようなイメージがあります。

 ビークルの場合は、無色透明のバスケットで、中にあるのは、投資家から集めてきたお金と儲けを生み出す資産のみ お金儲けの上手な人は、ビークルの中に入って仕事をするというより、ビークルの外にいて、ビークルに対して指令をだしているというイメージがあります。

 なおこのビークルは、信託だけではありません。たとえば有限会社をビークルとして使うような金融商品もあります。それぞれの特徴が異なりますので、ケースバイケースで何をビークルに使うかは決められます。

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2005年10月 7日 (金)

信託宣言と 経団連、信託協会の意見対立

 信託法改正要綱試案において信託宣言を採用するかどうか、採用するならばどのような方法によるのかが検討されています。この信託宣言というのは、委託者が信託宣言!をすれば受託者になれるというものです。つまり自分の財産を自分で管理して、受益者に利益を分配できる。これは現行信託法ではできないとされていものです。おそらく自分の本来の財産と信託財産を分別管理するのが難しい等の理由によるものだと思います。

 この信託宣言についてどうあるべきかということで経団連と信託協会で意見が分かれています。

 経団連は、原則自由な信託宣言推進派です。なぜなら資産流動化の際のコストやリスクを軽減でき、事業部門について、事業資金の調達や他の企業との連携等を行うことが容易になるからなどなど。ようするに信託宣言が自由にできると、信託銀行に払っていたフィーを節約できるから推進したいということだと思います。でも信託宣言だけではだめで、その企業自体が信託の免許を取る必要があります。

 これに対して信託協会は原則信託宣言はできない方を支持しています。信託宣言を認めると、たとえば倒産しそうな会社が財産を信託することにより、破産財団に組み込まれるのを防ぐような行為が行われ、信託への信頼が損なわれるからだというような主張が行われています。ようするに信託の持っていた利権を取られたくないという考えが底辺にあるのではないかと思います。

 私自身は信託宣言推進派ですけれども、分別管理の徹底とか、執行免脱の防止が制度として機能することが前提だと思います。

 さて、どちらの主張が通るでしょうか?

 

 

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2005年10月 6日 (木)

株式管理信託は、相続対策になるか

 相続、事業承継のために役に立つ信託は何かなあと思うと、まず浮かぶのが遺言信託

でも、私は、株式管理信託が役に立つのかもしれないなあと思ってます。株式管理信託とは、たとえばオーナーが所有している会社の株式を信託します。受益者は、オーナーのままです。受託者は、信託された株式の議決権について、たとえばオーナーの後継者に全部委任するとか、半分は委任すると決めます。そして一定の時期になったら、受益者をオーナーから後継者に変えます。

 オーナーが所有権を持ちながら、後継者に株主総会の議決権を移管することにより、所有と経営が分離され、後継者のトレーニングができます。

 オーナーから後継者に受益者変更が起こる時点で、課税関係は生じます。変更時点がしオーナーの死亡時点であるならば相続税課税が生じ、死亡前ならば贈与税課税が生じます。

相続税の実効税率の方が贈与税よりも通常低いので、相続時に受益者を変更するのが妥当な場合が多いですが、業績が右肩上がりな会社の場合は、早めに贈与をした方がよい場合もあります。

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事業の信託 可能に

 平成17年10月2日(日曜日)の日経新聞の一面にどーんと事業の信託 可能にという記事が載っていました。私のいつわらざる感想は、なんで今頃? です。

 というのも、これは7月にだされた信託法改正試案から可能になることはわかっていたからです。信託法改正試案 第1条3項において信託契約の効力が生じる時に、受託者となる者は、委託者となる者が負担している債務を信託財産に属する債務として引き受けることができるものとする。とされているからです。

 現行では、委託者の債務を受託者に移すことはできないと考えられていました。

 事業信託ができればどのようなことができるかというと、業績の悪い部門を信託して、受託者が有能な経営者に任せて事業を行い、再生された時点で委託者にもどすということもできます。

 また信託宣言とセットになる必要がありますが、たとえば委託者が製薬会社で莫大な研究費をかけて新薬を作ろうと考えています。そして製薬会社は信託の免許をもっています。製薬会社はその新薬開発部門について、信託宣言をして委託者=受託者という状態にし、自分で信託受益権を発行し、受取ります。この信託受益権を製薬会社は投資家に販売します。その結果、製薬会社は莫大な開発資金を先に回収することができます。(ただし信託業法の問題とかで、実際には、信託会社の子会社を作ってということにはなると思いますが)

 このような事業信託は、会社を作って事業を分社する場合とどのように違うのでしょうか。上記の事業再生の例ならば、分社した場合は、事業は譲渡されたら、されたままです。しかし信託の場合は、信託期間が終了したら、委託者の手元に戻ることになります。

下記の場合は、委託者=受託者の状態ですから、新薬の開発について経験のある経営者や研究者が継続して事業を行うことができます。他の企業にうつすことはないにもかかわらず、信託した事業で生じた損失を、委託者は引き受けずにすむことになります。また委託者が倒産した場合も、信託された事業には債権者の手が届くことは原則的にありません。

信託については、株式会社よりも組織の規律がゆるやかですので、柔軟な経営をすることができます。

また現状の税制がそのまま適用され続けるならば、事業信託で生じた損益は、委託者にパススルーされることなります。

 なお信託の先進国であるアメリカでは、事業信託は、かなり昔に隆盛を誇ったようですが、株式会社の規律を免れ、パススルー課税を受けるために乱用されたため、規制がはいり、現在では下火になっているようです。

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信託の歴史

 信託は、昔、昔、十字軍がいた時代に起源があるようです。このとき、兵士が留守宅に残した家族のために財産を信頼できる友人に預け、運用してもらい、生活費として家族に渡したそうです。その後、信託はイギリスで家族の資産承継のツールとして発展し、アメリカ大陸に輸出されました。アメリカでもイギリス同様、家族の資産承継のツールとして発展しましたが、それだけでなく金融商品のビークルとしても発展していきました。

 日本では、明治の御世に信託が輸入されました。信託会社としてたくさんの会社が設立されましたが、粗製乱造状態になり、破産する信託会社も多くあらわれ、信託の信用は失墜しました。信用の安定を図るために、政府は信託と銀行をくっつけようとしました。その結果、信託は戦後、銀行でしか営めないようになりました。このような状況で、日本の信託は、英米のように家族承継のツールではなく、投資信託のような金融商品のビークルとて発展されるようになりました。

 なお今回の信託業法の改正により、信託は金融機関以外でも営めるようになり、信託財産も自由になるので、金融商品のビークルにとどまらず、日本においても資産承継のツールや企業再生のツールとしても利用されることになるかもしれません。

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信託ってなんだろう

 信託とは、委託者が財産を受託者に渡して、受託者でその財産を運用してもらう。そして儲かったらその利益を受益者に分配してもらうというようなもの。ベーシックな信託では、登場人物は、三人 すなわち委託者、受託者、受益者になります。

 委託者=受益者となる場合はありえます。これを自益信託といいます。委託者≠受益者となるような信託は他益信託といいます。

 でも現行の信託法では、委託者≠受託者となるような信託はありえません。なぜなら信託法 1条において 「他人をして一定の目的に従ひ財産の管理又は処分を為さしむるを謂」ふと定められいるからです。でも信託法の改正で、信託宣言により委託者=受託者となるような信託ができるようになるかもしれません。

 

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