制作委員会方式
映画を作る場合の資金調達の方法として、制作委員会方式というのがあります。
スケールの大きい映画を作るためには、それなりに巨額のお金がいります。映画を作るのは制作会社ですから、制作会社がお金を調達して映画を作り、完成した映画の著作権を持つというのが本来の姿なのでしょう。
でも映画は、あたる場合もあればこける場合もあります。あたるか、こけるかは、上映してみないとわかりません。こけてしまったら、映画制作のために費やした資金を回収できなくなり、制作会社は倒産してしまうかもしれません。
また最近の映画というのは、単に上映したら終わりというようものではなく、上映後、DVDで映画が販売されたり、テレビで放映されたり、映画のストーリが本となって出版されたり、主題歌がCDで販売されたりすることもあります。また映画のキャラクターを使った商品(キャラクターグッズ)が販売されることもあります。海外でも上映されるものもあります。
このように映画ビジネスは、周辺の様々なビジネスを巻き込むことになり、あたると利益をもたらすことになるので、これらの映画ビジネスにからんで儲けたい人たちにも、映画制作の一部を負担してもらいましょう。そうしたら儲けもも差し上げますよというのが制作委員会方式です。
この制作委員会方式は、通常、民法上の任意組合という方法で作られます。参加したい人は、契約を結び、お金をだします。映画が完成したら、映画の著作権の一部を取得しますので、リスクとリターンが合うので合理的だと考えられています。
でもこの制作委員会方式というのは問題もあります。
任意組合の組合員は、組合で生じた損失については、無限連帯責任を負うことになります。たとえば1億円を映画制作のために出資したのに、映画制作上、事故が起こり、損失の負担額が3億円になったというような場合があります。もし会社に出資したような場合だと、出資者は有限責任だから1億円の範囲で損失を負担することになりますが、組合員の場合は、3億円まで負担しないとけなくなります。
また映画の著作権は、組合員の合有(勝手に組合員が自分の持分相当の著作権を切り取り転売するようなことはできない)になり、組合員全員がOKといわないと、利用したりすることはできません。上映したら大当たりのような場合、しばらくは、みんなハッピーだから意見の相違はあまりないかもしれません。しかし10年くらいたち、リメイクすることになった場合、歳月が組合員間の関係をおかしくしてしまうこともあるかもしれませんし、組合員の中には倒産してしまってるケースもあります。そうなるとリメイクして、再び大儲けしようと思っても、できなくなるケースもあります。
このように無限責任を問われる制作委員会方式は、出資したからには、先々までのリスクを理解しておく必要があります。
参考文献 土井宏文 「資金調達目的での知的財産信託の活用法」 別冊NBL No102 商事法務