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2005年10月12日 (水)

資産流動化商品と信託業法の問題

  現在、世の中には、投資商品がたくさん販売されています。この投資商品をあまり投資に関する知識のない人たちが売買して、不当な損害を被らないようにするための法律として証券取引法があります。この証券取引法は、投資商品のうちのガリバーである株式をベースに作られているため、新たに開発された投資商品については、カバーしきれていない状態です。また投資商品の種類によっては、他の法律の規制の対象になっているものもあり、縦割り行政の弊害もでてきています。そこで現在、証券取引法を発展的に解消して、投資サービス法を作ろうとしてます。今回は、資産流動化商品における現状の信託業法の問題点を書きます。

 資産流動化商品のスキームを説明します。まず事業者(オリジネーター)が、資産を今後も利用したいけれども、オフバランス化したような場合、所有する資産をSPCに売却します。SPCはこの資産の購入資金を社債やローン等を発行して投資家から調達します。

 問題点は2つあります。

 1つは、オリジネーターがSPCに資産を売却する行為が頻繁に行われる場合には、信託受益権の売買が業としてなされるものとして信託受益権販売業に該当するおそれが生じることです。

 そうするとオリジネーターが信託受益権販売業者の登録をするか、信託受益権販売業者を取引の間にいれる必要が生じます。つまりコストがかかるということです。コストがかかっても、それにより投資家保護になるならばまだ良いのですが、この場合の投資家は、SPCが発行した債券を購入した投資家ではなく実質的にはオリジネーターの関係者であるSPCです。このSPCに対して、あえて信託販売業者をいれて、情報を開示する必要はないと思います。

 もう1つの問題点は、SPCの債券を購入した投資家に対する、信託受益権に関する情報の開示です。この債券がABS(資産担保証券)で、公募しているような場合は、投資家に目論見書が発行され、どのような資産がベースになっているのかがわかります。また私募の場合も商品内容説明書による開示がなされることが多いので特に問題はありません。

 問題となるのはローンタイプのABL(資産担保融資)の場合です。この場合は、証券取引法の適用がなく、特に開示資料を作成することがないようです。そうすると、ABLの投資家は、信託受益権の内容を知ることができなくなります。

 つまり、現行の信託業法では、投資家保護の対象にすべき人に対して、保護の手が届かず、あえて保護する必要がない人に対して、保護する義務が生じるようになっています。

このようなひずみが、投資サービス法で解決されればいいのですが、

参考文献 神田秀樹(責任編集) 投資サービス法への構想 財経詳報社

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