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2005年10月26日 (水)

後継ぎ遺贈型の受益者連続

  受益者連続の信託というものがあります。これは信託の契約で、ある条件を満たした時点で受益者がAからBへ BからCへ Cから-----となるような信託です。

 たとえば 大金持ちのAさんが財産を信託し、生存中にはAさんが受益者になり信託財産から利益を受け取り、Aさんが死亡した時点で、受益者が妻のBさんになり、Bさんが死亡または再婚した時点で、子供のCさんが受益者になるというような信託です。

 このような形の信託が英米ではよく使われているようです。なぜなら相続対策、事業承継の幹は、自分の財産を、渡したい人に 渡したい時期に 渡してあげるということで、この受益者連続ならそれが可能だからです。

 なるほど遺言という制度が日本にありますが、遺言の場合は、上記例でいうとAさんが亡くなった時にBさんに財産をあげるというところまでしか実現できないと考えられています。Bさんに財産が移転した後、Bさんには、Dさんという子供もいて、Bさんが遺言でAさんからもらった財産はDさんに渡したいと書いたら、DさんにAさんの財産は渡っていきます。そうすればAさんのCさんに財産を渡したいとい希望は、実現できなくなってしまいます。

 後継ぎ遺贈(数世代にわたって財産を誰に渡すかを遺言で決めること)は、民法の有力な説によると否定的とされています。後継ぎ遺贈を認めると、その人が生きている間だけ所有権がありますよとか、将来 誰かが亡くなったらこの財産の所有権者になれますというように、期間制限的な所有権を認めることになり、それは今の民法では認められていません。

 また、何代にもわたり資産の承継者を決めてしまうと、非常に長い間にわたって一族で財産を囲い込むことになり、財産の流通が妨げられるのでよくないということもあります。

 民法ではこのような考えがあるので後継ぎ遺贈が認められないのに、それが信託を使うことにより認められるのは問題ではないかといわれています。

 現行の信託法でも信託終了時点での信託財産の帰属者を決めることができるので、ここから、たとえばまずXさんが受益者になり、信託期間が終了するとYさんが信託財産をもらえるということはできます。

 この受益者連続については、信託法改正で、実現するかもしれません。その場合、赤の他人でも受益者になれるのか、何代先まで受益者連続を認められるのかなどに興味があります。

 なるほど相続税、贈与税の問題がありますが、それらを無視して考えると、この制度は、英米だけでなく日本でも有効な相続、事業承継対策として利用されるだろうなと思います。

 参考文献 四宮和夫 信託法(新版) 有斐閣

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