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2005年10月 6日 (木)

事業の信託 可能に

 平成17年10月2日(日曜日)の日経新聞の一面にどーんと事業の信託 可能にという記事が載っていました。私のいつわらざる感想は、なんで今頃? です。

 というのも、これは7月にだされた信託法改正試案から可能になることはわかっていたからです。信託法改正試案 第1条3項において信託契約の効力が生じる時に、受託者となる者は、委託者となる者が負担している債務を信託財産に属する債務として引き受けることができるものとする。とされているからです。

 現行では、委託者の債務を受託者に移すことはできないと考えられていました。

 事業信託ができればどのようなことができるかというと、業績の悪い部門を信託して、受託者が有能な経営者に任せて事業を行い、再生された時点で委託者にもどすということもできます。

 また信託宣言とセットになる必要がありますが、たとえば委託者が製薬会社で莫大な研究費をかけて新薬を作ろうと考えています。そして製薬会社は信託の免許をもっています。製薬会社はその新薬開発部門について、信託宣言をして委託者=受託者という状態にし、自分で信託受益権を発行し、受取ります。この信託受益権を製薬会社は投資家に販売します。その結果、製薬会社は莫大な開発資金を先に回収することができます。(ただし信託業法の問題とかで、実際には、信託会社の子会社を作ってということにはなると思いますが)

 このような事業信託は、会社を作って事業を分社する場合とどのように違うのでしょうか。上記の事業再生の例ならば、分社した場合は、事業は譲渡されたら、されたままです。しかし信託の場合は、信託期間が終了したら、委託者の手元に戻ることになります。

下記の場合は、委託者=受託者の状態ですから、新薬の開発について経験のある経営者や研究者が継続して事業を行うことができます。他の企業にうつすことはないにもかかわらず、信託した事業で生じた損失を、委託者は引き受けずにすむことになります。また委託者が倒産した場合も、信託された事業には債権者の手が届くことは原則的にありません。

信託については、株式会社よりも組織の規律がゆるやかですので、柔軟な経営をすることができます。

また現状の税制がそのまま適用され続けるならば、事業信託で生じた損益は、委託者にパススルーされることなります。

 なお信託の先進国であるアメリカでは、事業信託は、かなり昔に隆盛を誇ったようですが、株式会社の規律を免れ、パススルー課税を受けるために乱用されたため、規制がはいり、現在では下火になっているようです。

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