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2005年10月 9日 (日)

パススルーってなんだろう?

 信託の税務に関する書籍などを読んでいると、パススルーという言葉がでてきます。これは、ある事業体が儲けた利益に対する税金を、その事業体本人でなく、事業体の出資者が払うような課税システムのことです。

 個人が事業を行って儲けた利益に対する税金はその個人が払います。会社が事業を行って儲けた利益に対する税金はその会社が払います。このように原則的には、儲けた利益は、儲けた当人が払うものです。

  しかしたとえば民法上の組合で儲けた利益は、組合そのものが払わず、組合員が払っています。これは、民法上の組合は、あくまでも契約であり、組合で生じたリスクも各組合員が引き受けるから、実質的には各組合員が各々事業を行っているものとして、組合に課税せず、組合員に課税しています。

  信託の課税の方法は、実は統一的に構築されておらず、接木のように新たに生まれた金融商品に応じて課税方法を作っています。原則的な課税方法は、信託財産で生じた利益に対する税金は、発生した時点で受益者が特定されている場合は、受益者が払い、受益者が特定していない場合やいない場合は、委託者が払います。信託財産自体が税金を払うことはありません。このような課税方法をパススルー課税といいます。

 有限責任事業組合(日本版LLP)が今年から設立できますが、これは組合の一種なので、組合で生じた利益については、組合本体ではなく組合員に対して課税されます。なぜ会社を作らず、日本版LLPを設立したいかという理由の一つにパススルー課税があります。パススルー課税ができると、組合で生じた利益だけではなく損失も組合員に配賦されます。もし組合員に組合以外の利益が生じていると、この配賦された組合の損失と相殺できるので、結果的に利益が圧縮され、払わなければならない税金の金額が減ります。

 なお日本版LLPは、組合だけれども、組合で生じた損失は、組合財産を限度として組合員が負担するものとなっていますので、組合損失の配賦金額についても、税制上制限が設けられています。

 信託について生じた損失に関する税制上の制限は今のところありません。これは信託に関して今までは規制が多かったのであまり広まらなかったから、税制上の制限をあえて設ける必要性もなかったのだと思います。

 今後は、信託が広まることが予想され、信託だけが無制限にパススルー課税を認めていると税金逃れが多発して政府も困るので、改正が行われるだろうと思います。

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