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2005年10月14日 (金)

LPSを使った節税商品の否認 

 昨日(10月13日)報道で話題になった話題について書きます。

 これは、LPS(リミテッドパートナーシップ)を利用してアメリカの賃貸用中古アパートを購入した日本の個人の投資家の所得について、不動産事業のために生じた減価償却費や借入金の利息を、税金を計算するときに賃料収入から差し引いて生じた損失は認めることができないと国税当局が判断し、税金を払うように命令したことに対して、投資家たちは、今までこのような損失を差し引くことを認めてきたのに豹変するのはおかしいとして訴えたというものです。

 LPSとは、アメリカの州法によって設立された事業体で、1人以上の組合で生じた債務については無限に責任を負う出資者と、1人以上の出資額を限度に組合で生じた債務について責任を負う出資者から成り立っています。

 記事から得た内容を簡単に説明すると、外資系の証券会社の紹介で日本の投資家がお金を出資し、このお金をルクセンブルグの口座に集めます。そしてそのお金を米国のLPSに出資します。LPSは集めたお金をもとに、アメリカの賃貸用中古アパートを買います。投資家は、アパート経営をするLPSの出資者となります。このLPSが税務上、組合であるならば、出資者がアパート経営をしているとみなして、アパート経営で獲得した賃貸料収入を自分の所得として入れるだけでなく、必要な経費を差し引くことができます。もし、この経費が、収入より多い場合、つまりアパート経営の結果、損失がでたような場合で、その投資家に他の所得(たとえば給料)があるような場合は、給料からその損失を引くことができます。その結果、その投資家の所得は、損失分だけ少なくなるので、収める税金も少なくなり、その分だけ節税できるということになります。このような節税できるスキームも1つの商品とされています。

 課税庁は、このスキームによる損失は、認められないと判断したのですが、その判断の根拠として2つあげています。

 1つは、ルクセンブルグに資金を集めて、まとめてLPSに出資したのは、銀行が投資家からお金を集めてきて、 銀行が自らの判断で資産運用を行い、その儲けを投資家に還元するようなスキーム つまり投資信託のようなものとみなすということです。投資信託のような金融商品を所有する投資家は、事業に参加したいからではなく、より高い利益を受けたいからであるから、ここから利益を受けた場合は所得にいれて税金を払ってください。でも損がでても痛くないはずですから、税金の計算上所得から引くことはできないしくみになってます。

 もう1つは、LPSは、実質的には法人で、出資者とは、別の意思を持ち、事業を行っている存在だから、出資者自身が事業を行っているとはいえません。ですからその法人で生じた収入も費用は、その法人のものとして、独立して計算し、出資者の所得の計算上入れませんというものです。その根拠として、LPSは設立登記をし、賃貸契約の当事者になっているから法人であるとしています。

 この記事を読んでの感想ですが、国税当局は節税商品封じ、つまり頭を使った税金逃れをやっきになって退治しようしているような気がします。

 まず、投資信託かということですが、事実がどうなっているのかわからないのですが、投資信託と組合事業への出資の違いは、出資者が事業に参加しているかどうかということだと思います。事業に参加しているというのは、積極的な参加と消極的な参加があり、消極的な参加 たとえば通常は、専門家に事業の判断を委ねるが、うまくいかないような場合には解任できるような権限を有しているような場合も事業に参加しているとみなして、組合事業への出資となると考えます。

 次にLPSが法人かどうかということですが、設立登記といっても、これは組合契約を登記するようなもので、今、話題の有限責任事業組合(日本版LLP)も、設立時に登記しますし、LPSをまねて作られた投資事業有限責任組合も登記してます。LPSが契約の当事者になるから法人だということですが、日本版LLP等も契約の当事者になれるのではないでしょうか。また、LPSは、LPS名義で財産を所有できますが、これらの所有は出資者の共有状態になっていますので、日本でいう組合の場合と同じようなものです。

 日本版LLP等は、日本の税法上は組合として、組合の出資者に組合の所得も,税制改正により一定の限度がありますが損失も配賦されて税金の計算をされます。それなのに同じような事業体のLPSが法人というのは、説得力に欠けるよう思います。今後の裁判の動向が注目されます。

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