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2005年11月 8日 (火)

敵対的買収 信託型ライツプラン(直接型)の税金

 昨日 敵対的買収 信託型ライツプランのケースを2つ書きました。もうひとつあるのですが、それは後日で今日はこの2つのケースのうち直接型ライツプランの税金の話をちょこっと書きます。

Ⅰ直接型ライツプラン

 会社が譲渡制限のある新株予約権を無償で発行し、信託を設定します。買収者が現れた時点で、その時点の株主全員に新株予約権を無償交付します。だけど敵対的敵買収者はこの新株予約権を行使することも譲渡することもできません。他の株主は、新株予約権を行使し、買収者登場前の時価の半分で株式を取得し、売却してキャピタルゲインを手に入れることができます。

 ①新株予約権発行、信託設定時

 新株予約権者が将来敵対的買収者が現れた時点での株主ということは、新株予約権を設定した時点では誰が株主かはわかりません。このような場合、新株予約権という信託財産に関わる税金は、委託者である発行者が払いましょうと規定されています。ただ、このケースは、新株予約権者が新株予約権を受け取るという状態なので、実質的には、まだ信託予約権が発行されていないものと考えて税金はかけないと考えます。

 また信託会社は、信託にまつわる所得の帰属者にはならないので、税金はどの時点でもかかりません。

②敵対的買収者登場、株主に新株予約権交付、株主権利行使、株式売却

 一 発行会社

   この時点で実質的に新株予約権を無償で交付し、株主が権利行使をしたらお金が入ってきて、株式が発行されるという流れになります。このような一連の取引を資本等の取引といい、税法上は、このような取引をした会社に対して税金はかかりません。

 二 法人株主

  法人株主は、新株予約権をただでもらった時点で、新株予約権を時価でプレゼントされたと考えて、その金額を税金の計算上収入として計上しなければなりません。これは、法人税法の基本のルールである、取引は常に時価で行われたとして税金を計算しましょうという考えに基づいてます。

 そのかわり、権利行使をした時点では、新株予約権を時価評価した金額と権利行使により株式取得のために支出した金額の合計額が有価証券の取得価額となるだけで特に税金は生じません。

そして売却した時点で売却価額とこの有価証券の取得価額の差額の譲渡益に税金がかかります。

三 個人株主

 個人株主の場合は、法人株主と異なり、信託型ライツプランのように株主総会の特別決議を経て、ただで新株予約権の付与を受けた場合は、付与を受けた時点で税金はかからず、権利行使をした時点で権利行使時の株式の時価と権利行使価額(敵対的買収者が現れる前の時価の半分)の差額部分について税金を計算するというルールになっています。

 なぜこのような課税関係なのかというとこの信託型ライツプランの新株予約権の譲渡が制限されているから換金価値もないだろうということが前提とされているようですから、もし譲渡可能な新株予約権を個人株主に発行するような場合は、付与時に税金がかけられる思います(注1)。

 そして個人がその株式を譲渡した場合は、譲渡した時の株式の価額(時価)と権利行使時の価額(時価)の差額に対して税金がかかります。権利行使時の価額(時価)と株式の権利行使価額(株式の購入価額)の差額に関しては、すでに課税されているので、譲渡時点では税金はかかりません。

 個人の権利行使時の所得の種類はどうなるのでしょうか? 所得税は、法人税と違い所得の種類により税金の計算が違います。新株予約権の権利行使をして得た所得については、原則的には雑所得となると思います。では、株主がたとえば発行会社の役員や従業員の場合は、給与所得なのかな? でもこの新株予約権は、会社との雇用関係、委任関係があるものに対して特別に発行したものではなく、株主一律に発行し、その株主のうち特定の人が、たまたま発行会社の従業員だった、役員だった、ということですから雑所得ではないでしょうか。

注1 関根武 経済産業省掲載産業政策局産業組織課課長補佐 ライツプランの類型型における検討過程と課税上の取扱い P20 商事法務 No1746

 

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