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2005年12月 7日 (水)

LLPと有限責任 (工作物責任)

 LLPと有限責任を考える際、工作物責任はどうなるのかという問題があります。

 工作物責任とは、土地、建物の所有者にとって非常に厳しい責任です。

 土地の所有者Xが建物を建ててこれをYに貸しました。この建物の建築士がかの有名なアネハネハ氏であったこともあり、震度5の地震であっさりつぶれてしまい、この建物の下敷きになってZさんが死にました。Zさんの遺族はZさんが死んだことに対する損害賠償を誰にできますか?

 建物を利用しているのはYですが、Yに過失がないような場合は、Xに対してZの遺族は訴えることができます。たとえこの倒壊の原因がアネハネハ建築士であり Xが悪意も過失もなくてもです。このようなXの責任のことを工作物責任といいます(民法717)。無過失責任だから非常に厳しい。もちろんXはアネハネハ建築士に求償できますが、アネハネハ建築士が破産宣告でもされたら泣き寝入りですよね。

 これは、個人の場合ですが、もし上記の事例でLLPが土地、建物を建てた場合、組合員はLLPが有限責任であることを理由に、LLPの財産を限度として損害賠償をし、それを越える部分は免責されますか?

 LLP法17条によると組合の業務に関して第三者に損害が生じたときは、組合員は、組合財産をもって当該損害を賠償する責任を負うことになっているから、原則はLLPの財産が限度です。

 でもこのケースの場合は、土地建物の所有形態はどうなっているかというと、これはLLPの所有でなく、LLPの組合員の合有となっています。工作物責任というのは、あくまでも所有者の無過失責任というものですから、LLPの有限責任性をもって、相手方に対抗することはできないと思います。

 したがって工作物責任で訴えられた場合は、LLPの建物の所有者である組合員は、所有者の責任として、LLPの財産の限度を超えても賠償をしないといけなくなるケースもあるのではないかと考えます。

(民法717条)

 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
 
 2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
 
 3 前2項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
 

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