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2005年12月 8日 (木)

LLPと有限責任 (使用者責任)

 LLPの有限責任の問題で、昨日、工作物責任について書きました。これは、土地、建物の所有者の責任の問題であり、LLPの所有物は、組合員の合有と考えるので、組合員の責任になる。したがってLLPの財産の限度額で損害賠償すればOKとはならないというものです。

 工作物責任というのは、不法行為の中の特殊なものですが、同じようなものに使用者責任があります。

 X社の従業員Yが、会社の車で、商品を運んでいる途中で、事故って、Zに大怪我をさせた。このような場合、ZはXに損害賠償できるかというケースで、Xが負う責任です。

 この責任をZが問うためには

 Zは次について証明しないといけません。

①被告と直接の加害者との間に使用者、被用者の関係(があること)

②被用者が「事業の執行につき」

③第三者に不法行為を行ったこと

 これに対しXは

④被用者の責任及びその事業の監督につき相当の注意をなしたことまたは相当の注意をなしても損害が生じたであろうことを立証すれば、免責されるというものです(民法715条、内田貴 民法Ⅱ 債権各論 P445 東京大学出版会)

 このケースをLLPにあてはめると X LLPの従業員Yが LLPの車でZを撥ね飛ばし大怪我させた。ZはXを訴えられるか? ひいては Xの組合員 A,B,Cを訴えられるか?

 LLPがYを雇用することはできますが、LLPは権利義務の主体にはなれないということで、契約上は XLLPの組合員、A,B,CがXを雇用したという形になります。

 そうするとXの組合員YがZに怪我をさせたときは使用者責任はA,B,Cにダイレクトにくるのかという問題点があります。

 実質的にはXとYとの雇用関係ですが、形式的にはA,B,CとYの雇用関係となりますよね。

 法律だけ追いかけていくとA,B,CがYを雇い、Yが事業の執行につき、Zを怪我させたので、A、B,Cに使用者責任がかかります。これを免責するのはほとんど不可能だろうなと思います。

 そうするとA,B,CはLLPXの財産を超えて損害賠償をしないといけないのか? 

 結論としては、私は、使用者責任については、組合の業務に関して第三者に損害が生じたときは、組合員は、組合財産をもって当該損害を賠償する責任を負う(LLP法17条)に原則的にはあてはまるのではないかと思います。このケースは、Yが組合の仕事をして、その際に第三者であるZに怪我をさせた場合ですから。

 ただし悪意や重過失がある場合は、LLPの財産を超えて賠償をしないといけないとなるのではないのでしょうか(LLP法18条)

 まあ、そうじゃないと怖くて、LLPなんて作れませんよね。

  民法 第715条(使用者等の責任)

 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
 
 2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
 
 3 前2項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
 

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