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2005年12月 9日 (金)

信託の有限責任 (工作物責任)

 LLPが4日続いて、工作物責任、使用者責任ときたから次は製造物責任にいこうかなとちょっと考えたのですが、疲れたので信託に回帰。

 信託法の改正要綱試案で有限責任信託が検討されています。これは、信託財産にかかわる債権が10億円あっても信託財産が3億円しかなかったら、受託者は3億円支払ったらいい。7億円分自分の財産から支払わなくてもいいというものです。

 現行の信託法を上記のケースにあてはめると、受託者は7億円分自分の財産から支払わなくちゃいけないんです。でもそれだったらかなわないということで、実務上は有限責任特約で受託者の固有財産に対し、強制執行等ができなくなるというように取り決めているようです(田中和明 『信託法改正と信託実務』 信託223号 P55)。

 さて工作物責任と有限責任信託の問題を書きます。工作物責任とは何度もいうように土地、建物の所有者がこれらの資産について生じた損害に関しては、ほとんど無過失責任を負うという非常に厳しいものです。不動産に信託を設定すると、必ず信託の登記をして所有権は委託者から受託者に移ります。したがって不動産の所有者であったら必ず負わされる工作物責任が受託者に生じ、現行では、信託財産の範囲を超えてでも賠償をしないといけません。特約で免れるかどうかは未検討です。

 これが有限責任信託になると、受託者の財産を受託者固有の財産と信託財産にきっちり区別し、工作物責任についても信託財産の範囲に限定できることになるようです(『信託法改正要綱試案に関する意見』 社団法人信託協会)。

 受託者は不動産の所有者だけどもあくまでも名義的なものであり、実質的には受益者のために存在するという観点から考えると、工作物責任という無過失責任を受託者固有の財産をさしだしてまでも負うというのは合理的ではないのでこれは納得のいく案です。

 LLPで出資した場合、組合員は有限責任といっても工作物責任は無限責任で負わされます。信託を用いて、資産を運用した場合は、工作物責任は信託財産限度の有限責任になるということでしょうか♪

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