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2006年4月15日 (土)

信託税制の不思議 贈与税より先に所得税を払う? お返事

通りすがりの無資格者さん おはようございます。信託大好きおばちゃんです。

コメントどうもありがとうございます。

>受け取っていない財産から生じた利益について子供に
>所得税がかかるという解釈について疑問があります。

おっしゃることはなるほどです。誰でもそう思いますね。

>子供が20才になったら信託から生ずる利益を分配する
>というような信託の場合、相続税法上は停止条件付で
>受益権を与えることとしているものと解釈するのだと
>思いますが、それならば所得税法上は「受益者が特定
>していない」と解釈して委託者に所得税の課税がかか
>るということになるのではないでしょうか?

 税法は、基本的には、書かれた日本語をきちんと読むのが基本です。

 受益者が特定していないというのは、あくまでも誰がもらうかわからない場合です。この場合は、誰がもらうかは決まっています。ただもらう時期が将来なんです。

 20歳になるまで収益が発生して、子供はそれを毎年もらえません。でも収益は毎年、確定しているわけですね。これは、たとえば5年後にならないとお金を絶対に引き出せないような預金(仮定ですが)を有している場合の毎期の利息というのは、たとえ受取っていなくても原則的には計上しないといけませんよね。これと同じだと思います。

 このもらえないかもしれない信託の収益について税金をかけるのは合理的でないという質問は、実は以前、税務大学校が「事業体課税の理論と課題」に対する意見をHP上に求め、そのときに質問したのですが、その回答をかの朝長英樹氏がなさってますが、私が上記に書いているような理屈で合理的だとしています。

>税法によって用語の統一がされていないのかも知れま
>せんが、逆に所得税法上、この信託が信託設定時点に
>おいて「受益者が特定されているもの」と考えるのな
>ら相続税法上も「受益者が特定されている」即ち「委
>託者≠受益者」の信託の設定があったものとして信託
>設定時に贈与税が課されることになるのではないので
>しょうか?

 税法は上記にも書いたように書いてある日本語を素直に読むのが基本であり、相続税法において、停止条件付であるならその条件が成就している限り、そのときに贈与税や相続税は発生します。

 こう書いているけれども実際は、所得税と整合性がとれないから、こんな信託の場合は、信託設定時と解釈させたいなら、必ず、この間をつなげるもうひとつ別の法律等が作られるはずです。しかし作られていない。だから素直に所得税法、相続税法の条文を読む。そうすると私が書いたようなおかしな問題が生ずるわけです。

>今回の例にあてはまるような実例があればすっきりす
>るのですが、今のところ見つけることができていない
>ので厚かましいようですが、実例の有無など情報をお
>持ちでしたら教えていただけないでしょうか?

 この法律というのは、実は何十年も(ほとんど第二次世界大戦前から)改正されていません。受託者課税だ委託者課税だという論点は昭和15年に改正されてますが、

 何十年も改正されていないということは、その間、この法律が生きているわけです。それにもかかわらず不思議な現象が起こる可能性を放置していたのは、おそらく他益信託で停止条件付みたいなやつは、いろんな問題があるので信託銀行が引き受けなかった。だから事例もなかった。したがって改正する必要もなかったのが真実かもしれません。

 ちなみにこの考えのベースは、私がいきなりひらめいたのではなく、信託の税法の分野では第一人者の占部裕典 「信託課税法 その課題と展望」の論議をベースにしております。

 おそらく信託法が改正されると、後継ぎ遺贈だ、受益者連続だとなり他益信託が脚光される可能性が高くあります。お上もこの辺の問題点は、きっちり認識していらっしゃると思いますから、大事になる前に改正してしまうだろうとと確信しております。

 通りすがりの無資格者さん、これからも遊びに来てくださいね♪

 

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コメント

コメントありがとうございます。

税法(に限りませんが)は書かれてある日本語をきち
んと読むのが基本だということはわかっているつもり
なのですが、文理解釈をして素直に文字通り読んでみ
た結果、矛盾や違和感を感じるとどうしても、なんと
か自分の理解できている知識の範疇で納得いくような
解釈をあてはめようとしてしまうよくない傾向が私に
はあるようです。

[誤解など]

コメントを読ませていただいて、自分なりに考えた結
果、私には2点、思い込みと無知による誤解があった
ような気がします。

まず一点目は、受益者の地位の取得の問題と、受益権
の取得の問題を混同していたことです。

停止条件付で受益権を与えることとされているだけで
受益者であることにかわりはないのに「受益権が与え
られていない=受益者でない」と勝手な解釈をしてい
ました。

二点目は、条件未成就の場合に所得税を払い損になる
と思い込んでいたことです。

これについてはまだよく検討はしていないのですが、
全くの払い損ばかりではなく、源泉分離課税の場合は
そもそも誰に課されたかを考慮する意味があまりない
し、その他の場合でも所得税法第64条あたりで救済
されるのではないかという気がしてきました。

[誤解に至る経緯…停止条件付遺贈との比較]

例えば条件未成就の停止条件付遺贈の場合、遺贈者が
死亡した時点で遺言の効力が生じて遺言により指定さ
れた者は受遺者となります。

この場合も「受遺者とはなるが、もらう時期が将来に
なるだけだ」と言えます。

しかし、受遺者はその条件が成就するまでは、遺贈義
務者に対して元本も果実も請求できません。

もちろん、担保の請求など一定の権利の主張はできま
すが、条件が成就するまでの間に得た果実は遺贈義務
者の所得になり、所得税も遺贈義務者に課せられるこ
とになっています。

つまり受遺者は、まだ自分のものになっておらず、も
らってもいないものから生じた所得に課税されること
はなく、結果として条件未成就のまま死亡した場合で
あっても特に救済措置を講じる必要はありません。

この停止条件付遺贈の場合との整合性を考えてしまっ
たのが誤解の原因だったようです。

[停止条件付他益信託と停止条件付遺贈の違い等]

まず、受益者又は受遺者としての地位は条件が成就し
なかった時にはじめて「なかったもの」とされるので
あり、それまでは有効である。

信託の場合、受託者はあくまでも信託行為に記載され
ている受益者のために財産を運用しなければならない
が、遺贈の場合は遺贈義務者が受遺者のために財産を
運用しなければならない義務はない。

受託者は受益者の地位を有する者のために信託財産を
運用するので、その結果得られたものは当然にして受
益者の地位を有する者に帰属するが、遺贈義務者の場
合は遺贈の目的となっている財産を受遺者のために運
用する義務はなく、運用した結果得られたものはその
財産を現に使用収益している遺贈義務者自身に帰属す
る。

そして、条件が成就した場合に、受益者は条件成就前
の果実も受け取れるが、受遺者の場合は条件成就後の
果実しか受け取れない。

[まとめ]

正確な用語の使い方ではないかも知れませんが、まと
めると次のような感じでしょうか。

<停止条件付の他益信託の場合>

1) 受給権の取得      は 停止条件であるが
2) 受益者としての地位   は 解除条件である。
3) 財産管理者(受託者)  は 受益者のために財
                産を運用する。
                   +
4) 条件成就までの運用益  は 条件成就後に受益
                者が受け取れる
                   ↓
                ので、受益者に課
                税される
5) 条件成就しない場合   は 所得税法64条な
                どで救済可?

<停止条件付の遺贈の場合>

1) 使用収益処分権の取得  は 停止条件であるが
2) 受遺者としての地位   は 解除条件である。
3) 財産管理者(遺贈義務者)は 受益者のために財
                産を運用しない。
                   +
4) 条件成就までの運用益  は 条件成就後であっ
                ても受け取れない
                   ↓
                ので、受遺者には
                課税されない
5) 条件成就しない場合   は 特に救済措置不要

[反省点]

信託については正直なところ、不勉強で知らないこと
だらけですので、もう少し勉強して、理解がついてく
るようになったらまたお邪魔しようと思っています。
お目汚しの書き込みで申し訳ありませんでした。

投稿: 通りすがりの無資格者 | 2006年4月16日 (日) 21時54分

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