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2006年4月14日 (金)

アメリカ法人が日本版LLPに出資した場合の受取配当の源泉税は何パーセント?

 今日も非常にテクニカルかつグローバルかつ長文です。いつも長文ですみません。指が動いてしまうのです。中身はコンソメですが、

 有限責任事業組合(以下日本版LLP)というのは、組合員のうち1人は、日本の居住者か日本の法人じゃないといけないですね(有責法3②)。ということは、日本法人と外国法人がジョイントで日本版LLPを組成できますね。

 もしこの日本版LLPが事業がうまくいって儲かったら、決められた配賦割合で利益が按分されますね。外国法人に按分された利益については、たとえ儲けを現金で分配しなくても、20%の税率で源泉税課税がされる可能性があります。

 20%の源泉税が課税されるポイントはいろいろありますが、最大のポイントは日本版LLPが日本にPE(permanent equipment 恒久的施設)を有しているかです。

 ここらへんは実質どうかというグレーなところですが、日本版LLPは登記をすること、1人以上は日本の居住者、内国法人であること、組合員全員が業務を執行することとなってるから、日本に事業の拠点があると通常はとらえられるので、PEが日本にあるととらえられそうですね。

 で、話はここで終わらず、次の展開があります。 この日本版LLPが実は非上場の日本法人の株式を保有し、大儲けをして莫大な配当をもらった。この配当に対する源泉税のうち、外国法人に配賦された配当に対する部分の源泉に日米租税条約の適用はあるのか?

 2国間の税金をどうするかというルールで最優先は、租税条約でその次が国内法です。日本法人の株式を米国法人が直接所有しているような場合は、持株比率により配当の源泉税率は変わります。子会社の場合は、源泉税は0 あと持株比率に応じて 5% 10%

 で次に問題になるのが、日本法人の株式を米国法人が直接持たず、その間にLLPだのGPSだのLPSだのLLCだの ようするに法人でも個人でもない事業体をかました場合はどうなるのか? 特に日本と米国でその事業体に対する課税の方法が異なる場合(たとえば日本では法人ととらえ、米国では法人ではなく組合ととらえる)はどうなるのかを日米租税条約では規定してます。

 もう1つ大切な情報が、米国ではCheck-the-Box Regulation というルールがあって、事業体それ自体を1つの納税義務者として法人税をかけるか、その事業体をパススルーさせて組合員に課税させるかを、納税義務者が選択できる制度があるんです。日本じゃ絶対考えられないけどね。

 本件で日本版LLPの出資者である米国法人が事業体課税を選択したか、構成員課税を選択したかがまず問題になります。

 事業体課税を選択した場合、米国法人がこの日本版LLPを日本法人と考えたととらえるから、この場合は租税条約の特典が与えられません(日米租税条約4⑥(e)).

では次に構成員課税を選択したらどうなるか。日本版LLPは日本では構成員課税のものであり、米国でも構成員課税を選択したということになるから、これは日本の法人の株式を米国法人が直接所有しているということになるから、日米租税条約の特典を受けて、持株比率に応じ 0だ5%だ10%だとなる。これが正解となるところなのですが、、、

ここでにょきにょきと日本版LLPが日本にPEを有しているという問題が持ち上がってくるのです。

 日米租税条約10条⑦によると 「1から3までの規定は、一方の締約国の居住者である配当の受益者が、当該配当を支払う法人が居住者とされる他方の締約国内において当該他方の締約国内にある恒久的施設を通じて事業を行う場合において、当該配当の支払の基因となった株式その他の持分が当該恒久的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。この場合には、第7条の規定を適用する。」

 つまりPEがあり、PEと実質的な関連がある場合は、配当の規定でなく7条つまり事業所得の課税となります。事業所得の課税というのは、日本に課税権があるから、日本の国内法で課税していいよ。ということは、配当の源泉税については、通常の20%課税となるのではないでしょうか。

 PEと実質的な関連があるというのを納税者サイドで否定するのは難しいかもしれません。事業とは全然関係なく、たまたま日本の株式を所有していて、それがあたって大儲けしたと説得していくのでしょうか。これでOKならいいのですが♪

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