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2006年4月28日 (金)

信託税制の不思議 今の相続税では、受益者連続信託は根付かない

 信託法が改正されて、受益者連続というのが、可能になります。受益者連続と言うのは、たとえば財産を自分が死んだ時に奥さんに遺贈させ、奥さんが死んだ時に娘に遺贈させるというようなものです。

 永遠に受益者連続というのを認めと、死んだ人が、未来永劫に渡って一族を支配するというおどろおどろしいことになるので、期間限定つきですね。

 この受益者連続というのは、事業承継を考えた場合、画期的なことなのですが、これを阻むものがあります。すなわち相続税法

 いまの相続税法というのは、もちろん受益者連続というのを想定していません。それでもいまの相続税法にあてはまるとどうなるのか?これについて 松崎為久『財産管理、承継制度における信託の新しい活用法と税務上の課題 ~受益者連続信託の租税法的支店からの分析』第28回日税研究賞 入選論文集 日本税務研究センター 2005で検討してます。

 エッセンスを書くと

 たとえば大金持ちが受益者連続信託として、自分が死んだ時に財産を妻に遺贈させ、妻が死んだ時点で、孫にその財産を遺贈させるという信託を設定する。

 大きく分けて課税の方法は2つある。

 (1)被相続人の死亡時に、配偶者に単純遺贈するというパターン これだと配偶者の税額軽減が受けられる。でも孫への第2次遺贈というのが行われないと考える。 孫に財産を移動させるかどうかは、配偶者の意思にゆだねられるところもあるから受益者連続ではなくなってしまう。

 (2)孫への停止条件付遺贈とするパターン これだと被相続人が死んで、配偶者そのほかの相続人は、相続財産を未分割財産として受取ったとして相続税の計算をする。そうすると配偶者の税額軽減は適用できない。

 そして配偶者が死んだ時点で、孫への遺贈が行われるが、この時点で停止条件が成就し、相続財産がどのように分割されるかが固まるから、相続税の再計算を行う。分割されるから配偶者の税額軽減も適用でき、払いすぎた相続税が還付される。

 でもね。この時点で配偶者は死んでいるのですよ。配偶者の税額軽減というのは、か弱い配偶者の生活保障の意味で、被相続人の財産の半分か1億6千万のどっちか大きい金額まで配偶者がもらった場合は、その分の税金は払わなくていいですよというものなんです。

 それが受益者連続信託を、停止条件付遺贈ととらえると、配偶者が死んでから税金が還付されるので、配偶者の生活の保障にならないですよ。

 こんなもんあほらしい。だから受益者連続信託なんかやめて! もらった財産は、自分が死ぬ時に、旦那(被相続人)の希望どおりに渡せるように、私が遺言を書いときますから、となるのでしょうね。

 だから今の相続税だと、受益者連続信託は根付かないとなるわけです。

 信託を発展させるためには、ここのところをどうするかですね♪

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コメント

はじめまして.専門ではないものの,いつも興味深く拝読しております.
配偶者の相続税額軽減というのは,ずいぶん大きなメリットがあるのですね.
そうしますと,財産的な利益がなるべく配偶者に行くような形で遺産を残すのがよさそうだと思いました(具体的には,種類株式を活用することになるのかと).

また,遺族の生活保障を目的として受益者連続信託を設定することも想定されているかと思ったのですけれど,こちらについては,遺族に生活費を終身支給するとともに,残余財産を特定の者に引き渡すという内容の信託を設定する方がよいのかなと思いました.

それでは,失礼します.

投稿: みしっく | 2006年5月 3日 (水) 22時19分

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