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2006年4月10日 (月)

信託税制の不思議 贈与税より先に所得税を払う?

 信託の税制って、いろいろ不思議なものがあります。そのうちの1つを書きます。

 信託というのは、ある人(委託者)が財産を ある人(受託者)に預けて、運用してもらい、その利益をある人(受益者)にわたすシステムです。

 委託者=受益者のような信託を自己信託といい、 委託者≠受益者のような信託を他益信託といいます。

 信託財産について生じた収益に対する税金というのは、誰が払うのかというと、受益者が特定している場合は、その受益者、 受益者が特定していない場合、不存在の場合は、委託者が払います。

 この受益者が特定しているというのがくせもので、たとえばお父さんが子供(10歳)のために財産を信託して、その子が20歳になったら、利益を分配するという信託を設定します。

 10歳から20歳までの間も、信託財産から利益を生み出した場合、その利益に対しては、原則的には(本文信託といわれる信託の場合は)、発生時に所得税がかかります(所得税法13①一)。

 つまり子供は利益を受けないのに税金がかかります。

 ところでお父さんが子供を受益者とするような信託を設定した場合は、お父さんが子供に利益をプレゼントしたと考えるので、贈与税やら設定の方法によっては相続税がかかります。

 それでは子供が20才になったら信託から生ずる利益を分配するというような信託の場合、いつ贈与税が課税されるかというと、子供が10歳の時ではなく、子供が20歳になったときなんです(相続税法4②四)。

 つまり 20歳になるまで、先行して子供は、受取っていない信託財産の利益に対して所得税を払い、20歳になると贈与税を支払うというような不思議な現象が起きていしまいます。

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所得税法 第13条 信託財産に係る収入及び支出の帰属

信託財産に帰せられる収入及び支出については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる者がその信託財産を有するものとみなして、この法律の規定を適用する。ただし、合同運用信託、投資信託、特定目的信託又は法人税法第84条第1項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する厚生年金基金契約、確定給付年金資産管理運用契約、確定給付年金基金資産運用契約、勤労者財産形成給付契約若しくは勤労者財産形成基金給付契約、国民年金基金若しくは国民年金基金連合会の締結した国民年金法第128条第3項(基金の業務)若しくは第137条の15第4項(連合会の業務)に規定する契約若しくはこれらに類する退職年金に関する契約で政令で定めるものに係る信託の信託財産に帰せられる収入及び支出については、この限りでない。。

  • 一 受益者が特定している場合 その受益者
  • 二 受益者が特定していない場合又は存在していない場合 その信託財産に係る信託の委託者

相続税法第4条 贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合(信託財産)

信託行為があつた場合において、委託者以外の者が信託(退職年金の支給を目的とする信託その他の信託で政令で定めるものを除く。以下同じ。)の利益の全部又は一部についての受益者であるときは、当該信託行為があつた時において、当該受益者が、その信託の利益を受ける権利(受益者が信託の利益の一部を受ける場合には、当該信託の利益を受ける権利のうちその受ける利益に相当する部分。以下この条において同じ。)を当該委託者から贈与(当該信託行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

令1の3 〔通達55-2〕

2 次の各号に掲げる信託について、当該各号に掲げる事由が生じたため委託者以外の者が信託の利益の全部又は一部についての受益者となつた場合においては、その事由が生じた時において、当該受益者となつた者が、その信託の利益を受ける権利を当該委託者から贈与(第一号の受益者の変更が遺言によりなされた場合又は第四号の条件が委託者の死亡である場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

  • 一 委託者が受益者である信託について、受益者が変更されたこと。
  • 二 信託行為により受益者として指定された者が受益の意思表示をしていないため受益者が確定していない信託について、受益者が確定したこと。
  • 三 受益者が特定していない、又は存在していない信託について、受益者が特定し、又は存在するに至つたこと。
  • 四 停止条件付で信託の利益を受ける権利を与えることとしている信託について、その条件が成就したこと。

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コメント

はじめまして。時折ブログを拝見させていただいてい
る者です。

受け取っていない財産から生じた利益について子供に
所得税がかかるという解釈について疑問があります。

例えば子供が20歳を待たずに死亡する場合も考えられ
ますが、その場合は子供は所得税だけ払って結局は何
ももらえないという不合理な結果になります。

子供が20才になったら信託から生ずる利益を分配する
というような信託の場合、相続税法上は停止条件付で
受益権を与えることとしているものと解釈するのだと
思いますが、それならば所得税法上は「受益者が特定
していない」と解釈して委託者に所得税の課税がかか
るということになるのではないでしょうか?

税法によって用語の統一がされていないのかも知れま
せんが、逆に所得税法上、この信託が信託設定時点に
おいて「受益者が特定されているもの」と考えるのな
ら相続税法上も「受益者が特定されている」即ち「委
託者≠受益者」の信託の設定があったものとして信託
設定時に贈与税が課されることになるのではないので
しょうか?

素人考えかもしれませんが、停止条件がついている間
は「受益予定者」は特定しているが「受益者」が特定
しているわけではない、と解釈せざるを得ないような
気がするのですが、いかがなものでしょう?

今回の例にあてはまるような実例があればすっきりす
るのですが、今のところ見つけることができていない
ので厚かましいようですが、実例の有無など情報をお
持ちでしたら教えていただけないでしょうか?

投稿: 通りすがりの無資格者 | 2006年4月14日 (金) 09時50分

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