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2006年4月12日 (水)

非適格組織再編と組合損失超過合計額

 今日の話は、いつも以上に非常にマニアックで、かつ いつも以上に長文です。 

ですが、もし法律を作っている系の人がご覧になっていたら、どこかで回答していただけませんか。

 LLP(有限責任事業組合)等で生じた損失というのは、パススルーできて、いくらでも構成員である組合員の所得と相殺できるとすると、いくらでも租税回避ができるので制限が設けられています。

 組合員が法人である場合の制限として、調整出資金額(組合に出資した金額に、組合で稼いだ利益の配賦分を加え損失を引いたようなもの)までしか損金になりません。超える部分(組合損失超過合計額)はキャリーされ、将来組合利益が生じたようなときに損失を相殺できます。

 また、組合の出資持分を譲渡したような場合は、その時点で全額損金算入可能です(改正税法のすべて平成17年版 P282)。

 さて、本題は、LLP等の組合員である法人が組織再編を行った場合でその組織再編が税法でいう非適格であった場合、組合損失超過額がどうなるのかという問題です。

 すなわち 非適格合併、非適格分割型分割の場合の組合損失超過合計額は、合併期日、分割期日の前日を含む事業年度で損金算入がOKなのか。条文を素直に読むと、そうじゃないようにもとれるのではっきりして欲しいということです。

以下非適格合併、非適格分割型分割、非適格分社型分割に区分して書いてます。

◎ 非適格合併の場合

    -----I------I--------------------I--------------------

         X1.3.31   X1.4.1                         X2.4.1

  3月決算法人が、X1.4.1合併期日で合併により消滅します。X1.3.31現在、LLPの組合損失超過合計額を有しています。

  非適格合併の場合、組合損失超過合計額を合併法人に引継ぐことは出来ません(措令39の32⑦)。また、被合併法人において、承継の日を含む事業年度後の事業年度において組合損失超過額はないものとする(措令39の32⑥)ということは、合併期日が承継の日と考えるから、X2.4.1以後の事業年度は組合損失超過額はないということです。ではX1.4.1の事業年度に組合損失超過額を損金算入できるかというと、この日には消滅しているから損金算入できません。

 ではX1.3.31に損金算入できるのでしょうか? 非適格合併の場合は、合併の日の前日に譲渡があったものとみなして含み損益を実現させます(法法62①、②)。この組合の出資金は、合併期日の前日に時価譲渡による譲渡利益または譲渡損失を計上すると思うのですが、そのときに組合損失超過額の損金算入もセットと考えていいのでしょうか。

 譲渡はX1.4.1だけども、この日は会社がないから前日にもっていったてことですよね。組合損失超過合計額は、いわゆる資産とか負債のように譲渡の対象になるものではないけど、出資金とくっついたものだから損失実現はX1,3,31でOKというのが可能でしょうか。

◎ 非適格分割型分割

-----I------I--------------------I--------------------

         X1.3.31   X1.4.1                         X2.4.1

  3月決算法人が、X1.4.1分割期日で、事業の一部を分割し、分割会社から対価として株式をその法人の株主にわたします。 X1.3.31現在、LLPの組合損失超過合計額を有しています。

 非適格分割型分割の場合、組合損失超過合計額を承継法人に引継ぐことは出来ません(措令39の32⑦)。また、分割法人において、承継の日を含む事業年度後の事業年度において組合損失超過額はないものとする(措令39の32⑥)ということは、分割期日が承継の日と考えるから、X2.4.1以後の事業年度は組合損失超過額はないということです。ではX1.4.1の事業年度に組合損失超過合計額を損金算入できるかというと、合併と異なり分割法人は存続し続けるから、損金算入は可能です。

 しかし非適格分割型分割の場合、分割期日の前日で、含み損益が実現することになります。もし組合損失超過合計額の損金算入がX2.3.31期であると、含み損益の実現はX1.3.31であることから、この部分だけ1期ずれてしまいます。整合性を保つために非適格分割の場合の組合損失超過合計額の損金算入時期は、LLPの出資金の含み損益の実現と同様にX1.3.31でよいと考えるのがいいのでしょうか。

◎非適格分社型分割

-----I------I--------------------I--------------------

         X1.3.31   X1.4.1                         X2.4.1

  3月決算法人が、X1.4.1分割期日で、事業の一部を分割し、分割会社から対価として株式を受取ります。 X1.3.31現在、LLPの組合損失超過合計額を有しています。

 非適格分社型分割の場合、組合損失超過合計額を承継法人に引継ぐことは出来ません(措令39の32⑦)。また、分割法人において、承継の日を含む事業年度後の事業年度において組合損失超過額はないものとする(措令39の32⑥)ということは、分割期日が承継の日と考えるから、X2.4.1以後の事業年度は組合損失超過額はないということです。ではX1.4.1の含まれる事業年度に組合損失超過合計額を損金算入できるかというと、合併と異なり分割法人は存続し続けるから、損金算入は可能です。

 また非適格分社型分割の場合の、含み損益の実現は、合併や分割型分割と異なり承継の日つまり分社の日(X1.4.1)に実現するので、組合損失超過合計額の損金算入と同時事業年度実現で、整合性がとれます。

 

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