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2006年5月30日 (火)

知財信託はなぜブレークしない リニューアル♪

1.知財信託はどんな場合に使えるのか?

信託業法が改正されて、特許権や著作権など知的財産権といわれるものも信託財産になれます。これらの知的財産権を信託するのは、いろんな会社が持っている知的財産権を一括管理することにより、管理の効率化を図るというニーズと知的財産権を担保として資金を調達しましょうというニーズが主たるものです。

誰が信託を使って管理の効率化を図るためのニーズを持っているかというと、大企業のグループ会社、大学、研究機関やベンチャー中小企業などです。

管理の効率化を図るためには、管理子会社を持つ方法も考えられますが、権利の譲渡時に、税法用語でいう適格組織再編(現物出資)にあてはまらない場合は、譲渡益に課税されるデメリットがあります。しかし信託を設定した場合は、このような課税関係は生じません。

2.グループ企業内信託の引受けは、簡単にできる

信託業法の改正により、銀行以外も信託会社を作ることが認められました。通常の信託会社や管理型信託会社は、最低資本金の規制の他信託業法による受託者責任等の規制があります。またTLO(大学の技術を民間に移転するために信託を使うもの)に関しては、最低資本金の規制はありませんが、信託業法による受託者責任等の規制は、信託会社同様にあります(信託業法52)。

これに対してグループ企業内信託(委託者も受託者も受益者も全員グループ会社のような信託)の引受けは、最低資本金の規制もなければ、信託業法により規制もありません。信託法の受託者責任のみあります(信託業法51)。

3.なぜグループ企業内信託はブレークしないのか

このようなメリットがあるにもかかわらずグループ企業内信託がブレークしたという情報は今のところありません。

大きな原因の一つとして、信託をすることにより損害賠償請求できる範囲が狭まるという問題点があります。

特許権を第三者が侵害し、やめろ!という差止請求を信託の受託者は行うことができます。なぜなら信託をすることにより特許権を有することになるからです。

相手方に対して、特許権の侵害により生じた損失の賠償を請求することはできる範囲は次のとおりです。

     譲渡された侵害物権の数量に特許権者の単位数量あたり利益額を乗じた額(特許法102①)。

     侵害者が侵害行為によって得た利益(特許法102②)

     特許発明の実施に対して受けるべき金額に相当する額(特許法102③)。

事業会社が自分の有している特許に対して侵害された場合は①~③を算定方法として利用できますが、受託者の場合は、自分で発明したのでないから③の実施許諾料相当額に限定されます。

立法による手当等がなされるまでは二の足を踏む企業が多いのかもしれません。

参考文献 小林卓泰 『知的財産ファイナンス』清文社

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