時代の先端をいく相続財産の評価方法 特許権
1.特許権を取得した場合の会計処理
会社が研究開発に莫大な費用を投入して、特許を取り、特許権として帳簿に乗っける金額は、通常、特許をとるために要した金額(たとえば弁理士費用)になりますね。過去の莫大な研究開発費用は、特許権という資産に含まれず、支出した時に費用として処理されます。
そして資産として貸借対照表に計上された特許権は、8年で償却されます。
この評価方法というのは、いわゆるコストアプローチの変形版といったところでしょうか。
2.ブランド価値評価研究会報告書 お薦めの評価方法は?
平成14 年6 月24日経済産業省 企業法制研究会が、ブランド価値評価研究会報告書を発表しました。
この中でブランドのような無形固定資産の評価方法として3つの方法を提唱しています。すなわちコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチです。チョー簡単に説明するとコストアプローチは、発生した費用の集積で評価する方法、マーケットアプローチは、同じような資産の売買がある場合は、それと比較して評価する方法、インカムアプローチは、その資産から生み出す収益から評価する方法です。
インカムアプローチの中にDCF法はあります。この3つのアプローチのうちインカムアプローチが無形固定資産の評価としては、妥当という考えが、今の主流かな。
3.相続財産である特許権を評価する場合
さて、たとえばものすごい特許権を有する人が死んだ場合の、彼または彼女が有する特許権の評価はどうなるの?
これは、財産評価通達のルールにのっとります。特許権(権利を使わしてあげるから利用料を払ってねという権利)と実施権(利用料を払うから権利を使って商売させてねという権利)が一致する場合と異なる場合で評価方法は異なり、どちらが多いかというと後者です。
特許権者と実施権者が異なる場合の評価方法はどうなるかというといわゆる将来受取る補償金の年額を現在価値に割戻して特許権の価値を評価しようとしています。
つまりインカムアプローチ、ちまたではやっているDCF法的評価方法が、以前から相続税の世界ではルール付けられていたわけです。
ただ、将来の利益というのは、いくら書いても絵に描いた餅で評価できないというお客さまのために、財産評価通達では、過去の収益のうち経常的な部分をベースに特許権を計算してもOKですよ規定しています。
ちなみに将来利益を受ける期間とは、相続発生した時から特許権が切れるまでの期間であり、特許権の保護期間は出願から20年です。
注 現在価値に割戻す時に採用する割引率は基準年利率による複利現価率です。本日現在(平成18年5月17日)だと、短期(2年以内)0,1% 中期(3年~6年)0.75%、長期(7年以上)1.5%というように、ちまたのDCFの割引率よりもかなり低いですね。それだけ評価額は高くなってしまいますが、
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