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2006年6月 8日 (木)

細かいことを言うようですが

今日は、こころぐ(私のブログの運営元)のメンテナンス日ですので、早朝に作りこんでおいて、夜にアップです。村上ファンドねたが3つ続いてたのですが、今日は細かい法律のことで、ぜひ「税法作っている系の方」にご覧になっていただけたらなあって思います。

PEのある外国法人が日本企業から配当を受取った場合、配当の源泉税は、所得税額控除できますよねというものです。

1.所得税額控除って制度

 配当や利子の支払を受ける場合、いつも源泉税を差引かれます。上場会社が1,000円の配当を支払った場合、今だったら個人(日本の居住者)が受取るのは900円です。日本の会社の場合は930円です。個人は10%、法人は7%差引かれるからです。会社の場合は、3%の地方税分を差引かれません。

 会社の場合は、70円差引かれて終わりでなく、確定申告の際に精算します。どう計算するかというと 1,000×30%-70230←法人税納税額

30%は法人税率で、源泉税分は法人税の前払と考えるわけです。

2.外国の会社が日本の配当を受取った場合

 日本にPE(支店のようなもの)がない外国の会社が日本の会社から配当を受取った場合も日本の会社が受取った場合と同じで源泉税が差引かれます。支払いを受ける国との間の租税条約(税金に関する条約)で配当の源泉を軽減、免税すると決めている場合は税率がかわります。この場合、日本での納税は源泉だけで終わります。精算しろといっても外国にいてるから無理でしょう。

 それでは日本にPEがある外国の会社の場合はどうなるのか。このような会社が配当を受取る場合も同じように源泉税が差引かれます。でもPEがある外国の会社は日本の会社と同じように確定申告をするから、その際に源泉税を精算することが可能です。

3.法令や通達はどうなっているか

ところで平成10年までの規定によると外国法人は配当に関しては所得税額控除はできませんでした。しかし今の規定を読むとPEがあるような外国法人の場合は、所得税額控除が可能と読めるのです。

法人税法施行令190 所得税額の控除の適用がない配当等

法第144 (所得税額の控除)に規定する政令で定める配当等は、 法第141 1号(外国法人に係る法人税の課税標準)に掲げる外国法人が支払を受ける 所得税法第161 5号(内国源泉所得)に掲げる配当等で、その者の 法第141 1号に規定する事業を行う一定の場所を通じて国内において行う事業に帰せられるもの以外のものとする。

 これって、所得税額控除の適用対象にならないのは、PE(支店等)のない法人が日本の会社から受取った配当ということではないですか。だったらPEがある場合は、通常は、その配当の源泉は所得税額控除の対象になると解釈できると思うのです。

武田昌輔成蹊大学名誉教授が 国際税務Vol18 No6 「外国法人が受け取る内国法人からの配当にかかる源泉所得税に関する留意点」でも同様の趣旨のことをお書きになっていらっしゃいます。

 で、関連の法人税基本通達

20-4-1 配当等に係る所得税額に対する税額控除の不適用

法第141条第1号《外国法人に係る法人税の課税標準》に掲げる外国法人が所得税法 161 5号《内国法人から受ける配当等》に掲げる配当等の支払を受けた場合において、当該配当等のうち令第188条の3《所得税額の控除の適用がない配当等》に規定する配当等につき同法の規定により課される所得税の額については、法 68 《所得税額の控除》の規定の適用がないことに留意する。

すみませーん。 令第188条の3って今ないですけど

ついでにこの法人税基本通達逐条解説3訂版 奥田芳彦編著を読むと

外国法人が内国法人から受ける配当等は国内源泉所得に該当するが、このうち法人税法施行令第188条の3に規定する配当等については、法人税の課税上は受取配当等の益金不算入の規定の適用を受けることができるため、実質的には課税所得を構成しないことになる。そこで、これについては、支払い段階における源泉所得税の課税をもって我が国における課税を完結させることとするため、その受取配当につき課された源泉所得税については、所得税額控除の対象としないほか、国内源泉所得にかかる所得の金額の計算上これを損金の額に算入しないこととされている。

こっちも令188条の3をベースに書いていらっしゃいますが、平成10年前の話をいまだに引きずっているのではないですか?

この辺の通達や本って、税務の世界ではメートル原器みたいなものなのです。でもどう考えてもバグっているように思えるのですが、

それとも私の現行条文の読み方が間違っているのでしょうか?

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コメント

TAX さんおはようございます。信託大好きおばちゃんです。
TAXさんの回答を読んで、これはTAXさんの方が解釈のアプローチとしては正しいなあと思いました。

租税条約までも組み込んで条文を作る必要はないですからね。

投稿: 信託大好きおばちゃん | 2006年6月14日 (水) 06時12分

早速のお返事ありがとうございました。お忙しいのに丁寧に説明してくださって、ほんとに感謝です。

国内法の総合主義と租税条約の帰属主義の違いからのご説明を条文を引き引き読ませていただきました。

そこで思ったのは、国内法が租税条約の存在を前提として条文を作成するというようなことがあるのだろうか、ということです。

というのも租税条約を締結していない国同士だったらどうなるのかなと。

国内法では、1号PEであれば国内に帰属しない所得(例えば外国本店が有する日本の株式会社の株に係る配当所得等)についても総合課税になりますよね。

この場合についても、所得税額控除をとらないのでしょうか。
(たぶん法令190条の国内に帰属しない5号所得とは、上に書いたとおり外国本店の有する株に係る配当等のことだと勝手におもっています)

たしかに租税条約はそもそもPEに帰属するもののみに対して、源泉地国において事業所得として課税していいよといってますから、租税条約を締結している国同士であれば、本店に帰する配当所得は、源泉のみで総合課税はないと考えられますので、所得税額控除も適用無いのは自然ですけど。

うーん、国際税務ってむずかしいな~。解説書も少ないし。そもそもの考え方が間違ってたら、ごめんなさい。

投稿: tax | 2006年6月13日 (火) 10時54分

TAXさん おはようございます。信託大好きおばちゃんです。調べていただいてありがとうございます。

TAXさんの質問 1号PEが内国法人から受ける5号所得のうち国外事業に係るものは?

条文を読むと『事業を行う一定の場所を通じて国内において行う事業に帰せられるもの以外のものとする』

この解釈を国外事業にといきなりやるのは?です。

私もこの辺の実務を知らないので間違っているかもしれませんが、

国内法ではPEがあれば国内事業の所得はPEに関係しようと関係しまいと日本で税金を納めないといけないですよね
(所法161一、164①一)。
でも租税条約では、この範囲が国内事業所得のうちPEに帰せられる部分というように狭められているのですよ。通常は
そうなると国内事業所得でもPEに帰せられない部分については日本で課税しなくてもいいとなるわけです。

でこれが配当となると日本の株式を有して配当を受け取った場合、PEに帰せられる場合は、PEの所得を構成するということで20%の源泉税をとって確定申告で精算となります。

でもPEに帰せられない場合で租税条約がある場合は、軽減の適用があります。この辺は日米租税条約だったら10条の7あたりの逆読みかな。

でこの配当がPEに関連しないような収入であるような場合は、租税条約の軽減の適用を受けて、それで課税関係が終了する。だから所得税額控除の適用はないと考えるのではないでしょうか。

支払った所得税を損金不算入とするけど、結局受け取った収入も日本で所得を構成しないとなるからあんまり影響はないと思うのですが、

投稿: 信託大好きおばちゃん | 2006年6月13日 (火) 06時26分

こんにちは。

条文上はあくまで令188条の3となってますよね。この点はおっしゃる通り変です。単なるミスなんでしょうか。でもこういう発見ってなんだか面白いですね。

一点確認したいのですが、所得税額控除の対象外である「1号PEが内国法人から受ける5号所得のうち国外事業に係るもの」って具体的にどういうものなのでしょうか。いまいちピンと来ません(そもそもの私の解釈が間違ってるかもしれませんが)。

もしご存知でしたら教えてください。お忙しい所申し訳ありません。

投稿: tax | 2006年6月12日 (月) 10時26分

taxさんコメントありがとう

ところで 法人税基本通達20-4-1の本文も令190になってます?

私は、最新のデータを某税務雑誌のデータベースからとってきたので、

だからおかしい となったわけですが 

投稿: 信託大好きおばちゃん | 2006年6月 9日 (金) 14時16分

条文を辿っていると分からなくなってしまいましたが、、、

法144条によると、外法が源泉徴収を受ける所得の支払を受けるとき、法第68条の所得税額控除の適用を準用するとありますね。

ここで一旦、1号PE~4号PEまで全ての外法を対象としていますが、かっこ書きにより令190条に規定の一定のものを除くとあります。

令190条によると、「1号PEが内国法人から受ける配当等で国内において行う事業に帰せられるもの以外の配当等については所得税額控除の適用はない」ということですよね?

ということは、2号PE~4号PEが内国法人から受ける5号所得について源泉徴収をうけても所得税額控除の適用はないということですか?

あ、僕、間違えてますね。この理解。
正しくは…令190条は、全ての外法について源泉徴収をうけたとしても、法人税課税の対象になるのならば、源泉税の精算は可能。しかし、1号PEが受ける内国法人からの配当等のうち、国内において行う事業に帰せられる配当等以外についてのみ、所得税額控除の適用はないよ、と。

要は、除かれる対象は、1号PEの受ける5号所得のうち国外事業に係る配当等ということですよね。

とすると法基通20-4-1は、1号PEの受ける5号所得のうち国外事業に係る配当等については法第68条の規定の適用は無く、かつ、控除はできないけど、でも損金不算入ですよと。

あ、なんかようやく分かったような気がしました。
ちなみに最新の基本通達逐条解説4訂版によると、令188条の3は平成16年改正で令第190条になったとのことです。

投稿: tax | 2006年6月 9日 (金) 13時36分

愉快になる内容で、楽しませて頂きました。

投稿: 疑問者 | 2006年6月 8日 (木) 21時44分

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