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2006年6月 2日 (金)

コンテンツ開発段階で信託できるか

1. コンテンツ開発段階で信託できるか

アニメ番組や映画を製作する過程では、資金需要が発生します。しかもこの段階では、資金が果たして回収できるか、つまり完成したコンテンツがヒットするかどうかは、非常に不透明です。

投資家としても興味はあるけれども、リスクが読めないので、財布の紐を緩めにくいのです。ですから製作委員会方式といわれるようにコンテンツビジネスにかかわる企業が集まって出資するというのがよく行われました。

この製作段階で信託を利用したスキームが作れるかということですが、この段階ではあくまでも仕掛品であり、著作権としての権利が生まれていません。当事者間では、将来完成する信託財産を信託することは有効と解されますが、第三者に対して、こんなお金を生む権利が信託されていますよとは言えません。なぜなら著作権の信託を第三者に主張するのには登録が必要であり、著作権が成立していない段階では、著作権の信託譲渡登録を文化庁が受理しないと思われるからです。

2.実際の事例ではどのようなものがあるか

信託が絡んだ事例として、ジャパンデジタルコンテンツ信託株式会社(JDC)が組成した開発型ファイナンススキーム「シネマ信託 TM~蟲師」があります。

このスキームでは、映画の著作権信託は完成していないとできないので、最初の段階では金融機関の借入を利用しています。

これは、映画の制作に関しては、製作委員会方式を採用しています。この委員の1人である映画制作会社の小椋事務所が制作資金を東京三菱UFJ銀行から調達します。完成した著作権の一部に信託権を設定し、小椋事務所は信託受益権を受取ります。そしてこの受益権の一部を投資家に販売し、販売代金を借入金の返済に充てるというものです。

2.本当に製作段階で信託を用いたスキームは使えないのか。

それでは、本当に製作段階で信託を用いたスキームは使えないのでしょうか。松田政行「コンテンツ.ファイナンス」日刊工業新聞社において、面白いアイディアが提案されています。

それは、映画の制作、完成の2段階にわけて信託を設定する方法です。まず映画の製作段階で、映画の著作権は存在していませんが、映画製作の元になる原作の小説や漫画や脚本など、映画とは別に著作権として存在するので、これらに対して信託を設定し、信託受益権を受取り、その信託受益権を販売します。

この信託受益権だけでは製作資金は賄えないので、ノンリコースローン等も入れて資金調達をし、完成時点で映画の著作権を信託して、投資家に販売し、製作者等は投下資本を回収します。

一次信託受益権を購入した人は、二次段階よりもリスクが高いので、次の信託受益権を優先的に購入できる権利をあげるというような特典を与えたりします。

さてこのような手法を使った信託が行われるようになるでしょうか。

参考文献: 松田政行 コンテンツファイナンス 日刊工業社

JDCプレスリリース「JDC信託、東京三菱銀行と開発型ファイナンススキームを組成」平成171028

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