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2006年6月15日 (木)

公益信託の税金のしくみ β版(相続編)

1. 公益信託とは

公益信託とは、教育や慈善目的のために財産に信託を設定するものです。また最終的に残余財産は国等の帰属になるので、委託者は信託をしたら、自由に財産を利用できません。

このような信託は、当初受益者が特定していないので、受益者の特定していない他益信託となります。信託財産の運用益は、税務上委託者に帰属し、運用益に係る税金を委託者は納付しなければなりません。しかし公益を目的とする信託に財産を拠出して、コントロールできないのに運用益に対する税金だけ払うのはおかしいということで、一定の場合は税金を課さないというルールを決めました。

2.公益信託を3つのメンバーにわける

 まず公益信託を3つのメンバーにわけます。それぞれ認定特定公益信託(以下「松信託」という)、特定公益信託(以下「竹信託」という)、公益信託(以下「梅信託」という)(所得税法施行令2172)。

これらの3つの信託のうち松信託が一番、税金の恩典を受け、次が竹信託、最後が梅信託となります。ようするにより公益性が高いものに税金の恩典も与えましょうということです。なお松信託、竹信託に関しては、金銭(現金や預金)でないと信託できません。

3.委託者が死亡した場合

 受益者の特定していない信託財産を拠出した委託者が死亡した場合は、委託者の地位を引き継いだ相続人がこの信託財産も相続したとして相続税の申告をしなければなりません。受益者が特定していない信託の収益が委託者課税であることとの整合性を考えても妥当と思います。

しかし公益を目的とした信託を設定して、委託者は信託の収益を全く受けないににもかかわらず、収益課税されるのはおかしいということで例外的に信託財産の収益に課税しないのと同様に、松信託と竹信託の委託者が死亡した場合は、この財産を相続財産に入れないとしています(所得税基本通達4-1)

4.相続人が相続財産を信託した場合

 それではある人が亡くなって相続により受け取った財産を相続人の意思で公益信託に拠出した場合は、この拠出した相続財産について非課税の規定はないのでしょうか。

相続人が相続税の申告期限(相続があったことを知ってから10ヶ月以内)に相続により取得した財産で現金などを松信託に拠出した場合は、この拠出した現金は相続財産にいれないとしています(租税特別措置法70③)。

金銭と定められているので、たとえば相続により取得した不動産を売却してその代金を拠出した場合は、その不動産について相続税の非課税の規定はありません。

なおこの金銭の拠出が相続税の極端な節税目的で行われたようなものであるとお上が認定した場合は非課税の措置は取り消されます(租税特別措置法70③、相続税法64①)。また信託を設定して2年経過した時点で松信託でなくなっていたような場合も非課税の措置は取り消されます(租税特別措置法70条④)。

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