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2006年6月26日 (月)

酷似した解説書は著作権侵害にあたらない

1.平成183月15日の判決

 平成18315日 知的財産高等裁判所第4部は、法律の解説書の著作権侵害差止めについて、著作権侵害に基づく損害賠償請求は認められないが、一般の不法行為に基づく損害賠償請求権は認められるという判決を下しました(平成17年(ネ)100951010710108

2.解説書の内容をコピーしても著作権侵害には当たらない

この判決は法律の解説書ですが、信託大好きおばちゃんも縁があって法律や税務の解説書の一部を書いたことはあります。

解説書というのは、あの一読して、3回は頭が痛くなるような法律を自分の頭でくるっとかきまぜて、理解して、ほかの人にもわかってもらえるようにしたものです。いまや解説書は、決まってルールを実務に落とし込むためには必要不可欠なツールです。

このほかの人にもわかってもらえるような表現をするというのは、著者の創造性に依拠するものだから、私は著作権で保護するべきものではないかと考えています。

でも判決の要旨によると『格別な創意工夫を凝らしてするものでない限り、平易か、単純化等の工夫を図るほど、その成果物として得られる表現は平凡なものとなってしまい、著作権法によって保護される個性的な表現から遠ざかってしまう』、だから、酷似したような文献が出版されても著作権法による侵害は認められないとされています。

これはとってもむかつきますね。だって物事を複雑にわかりにくく表現することより、わかりやすく平凡に表現することの方が、はるかに難しく、創造性を要求されるからです。

3.解説書のコピーは一般の不法行為にはあてはまる

このように内容が酷似したような解説書が出版されても著作権に基づく損害賠償はできませんが、一般の不法行為による損害賠償請求はできるとされました。

酷似した書籍の出版は、元の書籍の出版から短期間の間になされています。このように短期間の間に出版ができたのは、元の書籍の文章や構成に依拠したようなものだからです。この依拠というのは、通常、他人が同じ主題で原稿を作るなら、当然別の表現になるだろうと思われるような部分までも酷似していることです。

短期間に同じような読者層をターゲットにするような書籍で明らかにコピーしたようなものを出版した結果、元の書籍の売上が競争により減少します。これは酷似した書籍の執筆者や出版社が、元の書籍の執筆者や出版社を妨害したことによる利益の減少であり、その分酷似した書籍の執筆者等は不当に利益を受けているから、この利益に相当する部分は、元の書籍の執筆者等に損害賠償を支払いなさいと命じています。

この判決は現在、上告提起中ということですが、私自身はやはり著作権が認められないということが納得できません。たまたま短期間の出版だから一般の不法行為成立というならば、もし数年後に酷似した解説書を出版しても、著作権の侵害にもならないし一般の不法行為にもあたらないということになりかねないからです。解説書って、季節商品みたいなものではないと思うのですが♪

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