信託会社は 適格機関投資家じゃないんですね
1.信託協会の平成18年規制改革要望
平成18年6月28日、社団法人 信託協会が『平成18年度規制改革要望』を提出しています。
いつになく長文で頭がいたくなったのですが、その中であれっと思う要望が書かれていました。
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信託会社の適格機関投資家化について
証券取引法及び証券取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令において、信託会社は、適格機関投資家として規定されていない。
・流動化取引において、特定社債等のプロ私募による発行が行われているが、プロ私募に適用される転売制限の結果、適格機関投資家でない信託会社は、プロ私募により発行された特定社債等を受託できない。
・よって、信託業法第3条の免許を受けた信託会社のうち、信託財産に含まれる有価証券が一定額以上であるなど、一定の要件を満たす信託会社について適格機関投資家とすることを要望するもの。
2. 適格機関投資家って
適格機関投資家というのは、プロの投資家みたいなものです。証券取引法(もうすぐ金融商品取引法 略して金取)は、情報を知らない投資家が金融商品を買って損をしないため、つまり投資家保護のためのルールですが、適格機関投資家というのはプロだから、投資家保護がそんなに必要がない。
通常50以上の人に新たに株式を発行して引き受けてもらうような場合は、有価証券届出書を提出し、その後半永久的に有価証券報告書を提出し続け、会計士の監査を受け続けないといけないのです。でも適格機関投資家だけが株式を引き受ける場合だったら、100人の適格機関投資家だってこの制限にはかかりません。
3.適格機関投資家って誰がなれるの
これは内閣府令4条で定めているのですが、たとえば証券会社、投資信託委託業者、銀行、保険会社、農協もあるし、届出を出せばベンチャーキャピタルも、一般の事業会社もなれるみたいです。それからなんと投資事業有限責任組合も適格機関投資家なのですね。
信託銀行っていうのは、銀行だし、信託業法で免許を取得するのではなく兼営法による免許を取得しているから適格機関投資家なのでしょう。きっと
4. 適格機関投資家になった場合のメリットは
適格機関投資家になった場合のメリットというと、TMK(特定目的会社)の社債を引き受けると、TMKが支払う配当が損金(税務上の費用になる)になることです。配当が損金になるとTMKの所得がその分減るから、税金によるキャッシュアウトが減り、投資家の受け取る利益が増えます。
配当が損金となるための要件として、適格機関投資家がTMKの社債を引き受けた場合というのがあります。TMKに関して、同族会社に該当するとこれまた配当が損金とならないのですが、適格機関投資家に社債を引き受けてもらったような場合は、同族会社の要件が不要になります。
要望は通るでしょうか♪
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