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2006年6月 7日 (水)

村上ファンドが 阪神電鉄株式を譲渡したら リニューアル

昨日、村上ファンド関連の投資顧問会社の関与会計事務所に家宅捜査が入りました。このミッションは何が目的?もちろんファンドの顧客であるアラブの石油王の譲渡益調べでしょう。なぜってこれを見つければ日本でがばっと税金をとれるはずだから

昨日と一昨日 村上ファンドネタを書いたのですが、他のブログでわかりにくいというご批判を頂いたので(笑)わかりやすさをもっとーに再チャレンジします。どうかな? とっても不安

2.村上ファンドって

ファンドというのは、たくさんの投資家からお金をあつめてきて儲かるもの(例えば株式)に投資して、その儲けを投資家に分配するものです。投資家が望むのは、1円でも多くの利益を還元して欲しいということです。1円でも多い利益をあげるためには、1円でもファンドの利益に対する税金を減らしたいということです。

そのためには投資家から集めたお金をどのような箱(事業体)にいれるのかがまず大事です。箱によって、箱の中で生じた利益に対する課税関係がかわるからです。

村上ファンドは投資事業組合という箱を使っています。これは、箱の中によって生じた利益に対する課税は、箱の段階で課税せず、箱に出資した人の段階だけで課税します。これをパススルー課税とします。

3 日本人が投資事業組合に出資した場合はどうなるか

日本人がパススルー課税である投資事業組合に出資した場合は たとえば日本の会社の株式を2億円で購入し、3億円で売却した場合は、差額の1億円に対して税金がかかります。もし株式が非上場株式なら2,000万円(1億円X20%)です。もし株式が上場株式なら 1,000万円(1億円X10%)です。これらの税金を投資事業組合に出資した日本人は、日本で払わないといけません。

4 国際税務のシステム

まず外人とか外国法人がからむ場合の税金のシステムをお話します。日本は数十カ国の国と租税条約といって両国間をまたぐ取引で発生した利益に対して、どっちの国がいくらの税金を払うとか、両国で一つの利益に課税されたらどうするか、もめた場合はどうするかということを決める条約を結んでいます。

外人がからむ場合の税金をどうするかは、日本の税法(国内法)でも決めていますが、租税条約とバッティングする場合は、租税条約のルールが優先されます。

また国際税務の基礎知識として、外人が日本で商売をするときに、日本に拠点(PE permanent establishment)を設けて行っているか、設けずに行っているかで、日本で稼いだ利益に対する課税の方法がかわります。もし日本にPEを設けていない場合は、原則的には日本で税金がかかりません。

5 外人が日本の会社の株式を譲渡した場合の税金のルール

国内法で、PEのない外人が日本の株式を譲渡した場合の譲渡益に対しては、原則的には、日本で課税されません。ですから外人が2億円で買った日本の会社の株式を3億円で譲渡しても、譲渡益1億円については日本で課税されません。

でも大量の株式を外人が購入して、そのうちの一部または全部を譲渡した場合は、例外として日本で譲渡益に対して課税されます。

どんなルールかというと譲渡以前の3年間にその会社の株式を25%以上保有していて、そのうちの5%以上を売却した場合です。

もし組合が株式を保有している場合は、組合が25%以上所有していて、そのうち5%の株式を売却したら、たとえ出資者が1%の株式しか所有していなくても、株式の譲渡益に対する税金を日本で納めないといけません。

でもこのルールはすべての外人の株式の譲渡にもあてはまらないのです。その外人の住んでいる国と日本の間の租税条約が別の規定を設けていたらその規定に沿って課税されるからです。

そこで村上ファンドの出資者がビルゲイツ(アメリカ人)の場合とアラブの石油王(租税条約のない国の人)の場合にわけてお話します。

6.ビルゲイツが、村上ファンドの出資者だったら

もしビルゲイツ(アメリカ人)が村上ファンドに2億円出資して、村上ファンドがその2億円で日本の株式を購入し、3億円で売却した場合の課税関係はどうなるのでしょうか。

ビルゲイツが1億円株式の譲渡益を獲得したと考えますが、ビルゲイツは、日本で1円も納税しません。なぜなら日米租税条約で、たとえ大量に保有している日本株式をアメリカ人が譲渡しても譲渡益に対して日本で課税しないと決めているからです。

7 アラブの石油王が村上ファンドの出資者だったら

もしアラブの石油王(租税条約のない国)が村上ファンドに2億円出資して、村上ファンドがその2億円で日本の株式を購入し、3億円で売却した場合の課税関係はどうなるのでしょうか。

 アラブの石油王が1億円株式の譲渡益を獲得したと考えますが、原則的には、日本で税金がかかりません。でも、上記のように村上ファンドが25% 以上株式を所有していて、5%の株式を譲渡した場合は、譲渡益1億円に対して、アラブの石油は1,500万円の税金を払わなければいけません。

アラブの石油王が、このような譲渡益に対して日本で税金を払っていたかどうかはわかりません。だからお上が会計事務所にやってきて、村上ファンドの顧客はいったい誰で、いくら儲けたのかを調べにきたのではないかと思うのです。

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コメント

別のブログに信託大好きおばちゃんのブログのことを書かせていただきました。
税のことについて多くの人に考えて貰いたっかったのですね。
しかし、証券の譲渡課税は複雑ですね。私も所令291や法令187なんて読んだことがありませんでした。所法161、法法138で国内源泉所得とされているが、所法164、法法141で非居住者、外国法人は特別な場合を除いて非課税になっているなんて、ブログを読んで勉強させていただきました。(もし私の理解が間違いであれば、ご指摘下さい。)
一方で思うことは、多くの国で、利益配当については源泉税が課され非居住者はそれで最終(本国における外国税額控除は別として)となっているが、投資のキャピタルゲインについては、どうなのだろかと。過去は補足が困難であったことがあるが、IT時代、グローバル化の時代、また税収不足の時代にどのようになっていくのだろうかと思ってしまいます。日本単独の問題ではなく、資金が世界を自由に駆けめぐる以上は世界的な問題なのだろうと思えるのですが。

投稿: 疑問者 | 2006年6月 7日 (水) 15時46分

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