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2006年7月31日 (月)

丸島儀一さんの「キヤノン特許部隊」~クロスライセンス契約と 交渉の極意~

 丸島儀一さんは、キヤノンで特許一筋にお仕事をなさり、専務取締役まで極められた方です。ゼロックスなど海外の巨大企業と丁々発止でやりあい、有利に交渉を進めて、現在のキヤノンの隆盛の基盤を作られた方だと思います。その方が、キヤノンでの特許戦略、ひいては交渉の極意のようなものを書いたのが「キヤノン特許部隊」です。

1.クロスライセンス契約とは

 クロスライセンス契約とは、企業が持っている特許を包括的にまとめて、お互いに供与しあいましょうというものです。

 お互いに供与するライセンスの価値が同じであるならば、ライセンス料の受け払いは0となり、どちらか一方が有利な場合は、差額の受け払いが生ずることになります。

 キヤノンの個別財務諸表を読むと 平成17年12月期の特許権収入が、209億2,400万円あります。これは、クロスライセンス契約を他の企業と結び、キヤノンの方が優位なので、差額として受取ったライセンス料だそうです。

 キヤノンは、特許部門が強い会社といわれていますが、特許部門はこの特許権収入を最大化させようという戦略は持っていません。特許収入を受取るということは、相手方に自分の強みを与えてしまうことになり、自分の事業の強い部分が、なくなってしまうことにもなるからです。特許というのは、誰にもライセンスを与えず、自分たちで独占して利用するのが、一番利益になるようなものなので、

2.クロスライセンスで有利に交渉する極意とは

 自分たちだけで特許を独占するのが、一番の利益になるのですが、今の製品は、一つの特許でできるものはありません。数多くの特許を利用することになるので、当然他者の特許も利用せざるを得なくなるのです。

 そうするとそのような特許を持っている企業に、ライセンスを与えてくださいということになるのですが、もし直接ライセンスをくださいといってしまうと相手に足元を見られてふっかけられてしまいます。そうするとライセンスフィーが上がるので、製品原価が上がり、企業の利益を圧迫するのでよろしくない。

 ですから交渉の極意は、ものすごく欲しいライセンスがあっても決して欲しいといわないということです。相手の持っている特許をすーっともらってくる。あとでわかっても、どうすることもできません。

 それと自分のところの持っている本当に重要な特許、それがあるから製品が売れるんだというようなものは絶対に出さないということです。

 またこの著書では外国の弁護士とのつきあいについても記述しています。優秀な弁護士というのは、相手が何を考えているのかがぱっとわかるような感性を持っているそうです。交渉ごとは、いかに自分に有利な着地点へ到達させるかということですが、そのためには自分の主張だけをしていてもどうにもなりません。そのために必要な能力の一つとして相手のねらいを見抜く能力が必要ということなのでしょう。

 あたりまえのことなのかもしれませんが、ビジネスで勝つためにどうすればいいのかという本質を語っている一冊ではないかと思います。

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2006年7月30日 (日)

株式交換、会社法が変わって、会計が変わって、税務が変わって お返事

疑問者さんのコメントに対するお返事のようなものを書きました。

かなり長文です。

1.株式交換

「株式交換って、完全親会社が上場会社でなければ、成立しなかっただろうと思うのです。

勿論、自分の会社が業績も悪く、譲渡して自分は撤退したい。でも、誰も買ってくれないが、たまたま株式交換だったら買ってやろうというスポンサーが現れた何てこともあるかも知れませんが。」

上場会社を完全親会社とするような株式交換の場合、非上場会社である完全子会社の株主にはメリットが一番ありますね。株式が上場株に化けて、市場で売却してキャピタルゲインをとれるから でも過去の事例では完全親会社には限らず、広く使われていたように思います。上場準備会社でもあったし、グループ会社内の組織再編でも組織再編の中では一番らくなので使われたように思います。

「ところで、これが会社法により(第767条~第771条)、完全親会社以外の資産を完全子会社となる旧株主に交付することができることとなった。キャッシュを必ずしも必要としないのが、株式交換の魅力であり、金銭を交付するケースは少ないと思う。」

完全子会社の株主で、完全親会社の株主になって欲しくない人を追い出すためにはキャッシュはいいと思います(税制は無視ね)。 ただの株式譲渡だと、本人の意思が必要ですが、株式交換の場合で、たとえば略式組織再編(90%以上すでに支配)の場合は、取締役会決議だけで株式交換が承認されます。したがってうるさい株主は、自動的に追い出される。文句があっても完全親会社の株主にはなれません。株式の買取請求をしてうまくいったら、株式交換契約時の価額より高い値段で買い取ってもらえるかもしれませんが

「実際には、上場会社の子会社が孫会社を株式交換子会社とする株式交換で上場会社である親会社株式を交付するのがあり得る形であろうと私は思っている。」

これはありえると思います。税制の整備が必要ですが

「会社法の株式交換親会社以外の資産を交付する部分の規定については、未施行と了解します。」

これは平成19年5月1日施行

2.会計

「上場会社株式の交付であれば、交付する株式の時価があるので、これが取得原価となって、子会社株式を投資その他の資産として計上することになる。非上場であっても、取得原価と株式の価額は等しい。

連結は、株式交換完全子会社の資産の時価評価と簿価の差が連結調整勘定となるだけと思いますが。」

◎完全子会社株式の取得価額=株式の時価か

株式の価額(時価)=取得原価となるとは限りません。

企業結合会計の中にはEUにぼろくそにいわれているプーリング法という方法があります。これは株式の時価がいくらかではなく、子会社の帳簿純資産をもって株式の取得価額とするような方法です。この場合取得原価と株式の価額は等しくない場合があります。

◎連結財務諸表上 子会社の取得価額と子会社の帳簿純資産の差額はすべて連結調整勘定か?

連結財務諸表原則を適当にこぴぺしますと

支配獲得時における連結の手続き

①子会社の資産及び負債の評価

子会社の資産及び負債は公正な評価額により評価することとする。

②投資と資本の消去

親会社の投資と子会社の資本の消去は、子会社の資産及び負債の評価の時点に対応する子会社の資本を用いて計算することとする。

③連結調整勘定

上記の処理を行った結果生ずる投資と資本の消去差額は、連結調整勘定として計上される。

たとえば帳簿純資産額(資本金等)100 土地の含み益60の会社の株式を200で株式交換した場合の個別、連結仕訳は、

個別(親会社)   株式 200  払込資本 200

連結   土地  60  評価替剰余金 60

     評価剰余金 60 株式  200

     資本金等  100

     連結調整勘定 40

つまり連結調整勘定は、資産、負債の評価損益を計上した後、残りの調整に使われるようなものです。結果的に連結財務諸表には、子会社の資産については、連結加入時の時価で計上されることになります。

3.税務

「今までは、(厳密に言うと未施行であるので、平成18年10月1日以前はとなるが。平成18年改正附則第1条\x{2460}四イ、ロ)完全子会社となる法人、完全親会社、完全子会社となる会社の株主のいずれも税に関しては何も発生しなかったと了解します。(反対株主の金銭を対価として受領する場合は除く。」

条件が2つあって、子会社の株主の完全親会社株式の受入価額が交換直前の子会社株式の帳簿価額以下であること

交換により受取る完全親会社株式以外の資産(現金でしょ、通常は)が交付対価の5%以下であること

完全親会社の子会社株式取得価額は、株主が50人未満か、以上かでかわる。 50人未満の場合は、株主の取得価額をベースに算定、50人以上の場合は、子会社の簿価純資産(税務上)で算定、会計上の子会社株式の取得価額と異なる場合があるので、その場合は、資本積立金額(現資本金等の額)を増減して調整する。

「平成18年10月以降については、法法2条x{2460}十二の六に適格株式交換の定義を設け、適格株式交換であれば完全子会社となる会社の株主も税は発生せず(法法61の2\x{2466}及び所法57の4)、完全子会社における資産の評価損益も発生せず(法法62の9)、従来と同様である。」

こちらも完全親会社側では、課税関係は生じませんが、税務上の子会社株式の取得価額と会計上の取得価額に差異が生じることが多いので、その部分の調整は必要になります。

ふー 日曜日の朝から頭を使い疲れちゃいました。これに懲りずまたコメントくださいね♪

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2006年7月29日 (土)

井沢元彦さんの「逆説の日本史」~北条泰時は、偉かった~

1.承久の乱

鎌倉時代に承久の乱というクーデターがあります。これは、鎌倉幕府が派遣した地頭などが、皇族や貴族の荘園にも入り込み、影響力を行使すること等にかちんときた後鳥羽上皇が北条義時は逆賊だ! ひっとらえよ!とお言葉を発したことからはじまります。結局、北条氏側が勝利を収め、後鳥羽上皇は島流しにあってしまいます。過去には天皇を退位させるようなクーデターはいくつかありますが、おそれおおくも武士が上皇を島流しにするということで日本史最大の内乱だったのかもしれません。

この承久の乱で、前線の司令官だったのが北条義時の長男である北条泰時です。彼が、後鳥羽上皇を飛ばした(?)張本人なので、後々の人々は、彼を極悪人と呼んでいたのかというとそうではありません。かなり評価は高いのです。

なぜなら彼は御成敗式目を作った人だからなのです。

2.御成敗式目って

御成敗式目というのは、憲法ではなく、土地法、相続法、訴訟法のようなものです。この当時、まだ太古の昔に作られた律令が存在しているのですが、これは公地公民(土地は国のもの)をうたっていますが、それが現状というか、日本人の心にはまらないのです。でまず悪智恵の働く貴族たちが荘園という税金を納めなくてもいい私有地を広げ、繁栄した。彼らは、上納金を巻き上げるだけで、あとは和歌を謳っていた。むかついたのが汗水たらして開墾した武士たちであり、俺たちにも分け前をよこせとなったわけです。

武士たちが武力にものをいわせて権力を拡大させていく一方で、土地に対する争いは当然増えていきました。そこで北条泰時がその争いを鮮やかに解決させたそうですが、その解決方法の基本書が御成敗式目なのかもしれません。

その解決方法は、日本独特のものでしょう。いわゆる大岡裁きの源流のようなものです。西洋社会ではとんでもないことですが、日本という国は、和を重んじる社会であり、和を重んじるためには、当事者の納得が大事です。当事者が納得するようなことならば、超法規的なことでもOKということでしょう。この考えというのは現代にも通じますね。たとえば民事裁判では、裁判官は和解を勧める。和解というのは当事者の納得のたまものですから、

3.なぜ幕府と朝廷は両立したか。

鎌倉時代以後、幕府が実質的には権限を掌握しますが、天皇を中心とする朝廷も存在し続けます。諸外国では、政権を握った人が、前政権の王族を根絶やしにするのがお約束ですが、日本ではしていません。幕府は、朝廷に圧力をかけますが、決して、自分たちよりも下というような扱いもしません。

これもいわゆるひとつの和の精神が根底にあるのかもしれません。もしいきなり朝廷やそれをとりまく貴族を根絶やしにしようとするならば、ものすごい抵抗と恨みを残すかもしれません。どうせ和歌を謳っているだけの人たちなのです。上手におだてたら利用価値もある。抵抗したくても向こうには武力がないからどうしようもない。あっちはお飾り、こっちは実務をこなして実利をしっかり取ろうということでしょう。賢い生き方です。

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2006年7月28日 (金)

株式交換、会社法が変わって、会計が変わって、税務も変わって、、、、

1.株式交換って何?

 株式交換とは、既存の株式会社の株式と交換に別の会社の株式を交換し、その結果、既存の株式会社が別の会社の100%子会社になるようなことです。株式の交換だと、当事者間の契約で可能ですが、株式交換となると、両社で株主総会を開いてOKとなったら、たとえ反対の株主がいても実行されてしまいます。反対の株主は自分の株式を買い取ってくれということしかできません。

2.企業結合会計って

 株式交換は組織再編行為の一種であり、組織再編の会計については企業結合会計や事業分離等会計基準に基づいて行わないといけません。この企業結合会計基準はアメリカからの輸入物ですが、組織再編により新たに会社を手に入れたような場合はパーチェス法といって時価で手に入れた会社の資産、負債を計上しないといけません。なぜこのように時価で計上するのかというと経営者の粉飾を防止するためです。もし2億円の価値のある会社を帳簿価額が1億円だからといって1億円の価値として合併したとします。そして合併後に資産を2億円で売却した場合、譲渡益が1億円発生します。この1億円は経営者の手柄だとされますが、実はそうじゃない。帳簿外の含み益があるものを実現させただけだから。こんな粉飾が起こらないようにするために、合併時に2億円の価値のある会社なら、2億円として計上しましょうとなったわけです。

3.株式交換で株式を取得した場合

 では株式交換で、他の会社を100%子会社にした場合の仕訳はどうなるのでしょう。親会社の仕訳と、子会社の仕訳を考えます。

株式交換時点の帳簿純資産(総資産―総負債)が1億円の会社を2億円の株式を発行して100%子会社にしたとします。

 親会社での仕訳は、 子会社株式 1億円 払込資本 1億円

これは、時価で取得したと考えるからです。

 子会社での仕訳は、株式交換時点ではおこりません。子会社サイドでは、単に自社の株主が変わっただけに過ぎないからです。でもこれでは、粉飾が起こるという懸念があります。もし株式交換後、子会社の資産1億円を2億円で売却した場合、子会社の帳簿では1億円の売却益が生じるからです。

 たしかに個別財務諸表上では売却益が生じます。でも会計上は、問題となりません。なぜなら今の会計では、連結財務諸表が主役となるからです。連結財務諸表では、親会社と子会社の資産、負債、収益、費用を、合算し、二重に計上されているような部分は相殺します。

そして株式交換により会社を取得したような場合は、連結決算上では、子会社株式2億円と子会社の帳簿純資産価額1億円の差額が、のれん等として計上します。株式交換後に、子会社が1億円の資産を2億円で売却しても、子会社の個別財務諸表上は1億円の売却益が計上されるけれども、連結財務諸表では、すでに資産の含み益が計上されているので、売却益が表示されません。だから粉飾は防げるのです。

4. 税務上は子会社で評価益を計上する

 ところで平成18年の税制改正で株式交換の税制に適格組織再編の要件が導入されました。この結果、株式交換についても適格か非適格か判定し、もし非適格な組織再編の場合は、子会社の含み益を株式交換時に計上するというようになりました。株式交換というのは、単に株主が変わるだけなのですが、子会社自体に課税関係がおこるようにしたのです。おそらく子会社の株主に課税関係が生じると設計した場合、上場会社のようにたくさんの株主が子会社にいたら、大変なことになるからだと思います。

そうすると税制上非適格組織再編の場合は、子会社の決算については、会計と税務が異なることになります。この差は申告調整と税効果会計で調整をしていくと思いますが、非常にめんどうなことになりますね♪

会社法と会計と税務の改正が平成18年いっきに起こっています。この辺を理解して、ひとつひとつ自分の頭に格納しなきゃいけない。厳しい時代ですが、専門家としてのビジネスチャンス到来かもしれません。

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2006年7月27日 (木)

稲の独占育成権を担保にお金が借りれるんだって

1.

新聞によると

 最近日経新聞を読むと、知的財産を担保とした融資の話題が、ぽつ、ぽつと載っています。

 平成18年7月24日の日本経済新聞では「担保は稲の独占育成権」平成18年7月27日の同新聞では「銀行融資は今 リスク管理は手探り」というのがあります。

2.

稲の独占育成権

 これは、稲を独占的に使用できる権利を担保にお金を借りたものです。親愛コーポレーションという整体施術を手がけている会社が「夢いっぱい」と言う品種の育成権を取得して、この品種のお米(玄米らしい)を農家に生産委託し、収穫したお米を販売して儲けて、資金を返済するというものだそうです。なんでもこの玄米1万俵分の価値は2億―3億円だそうです。

3.

人物データベース

 平成18年7月27日の方の記事の中で人物データベースを担保とした融資があるようです。これに関して内容は書かれていません。信託大好きおばちゃんのたくましい想像力を駆使して考えてみます。

消費者を大量にかかえる企業、たとえばクレジット販売会社や通販会社の中には、膨大な顧客情報が蓄積されています。この顧客情報には、その人の属性、購入履歴が残されています。

製品を買ってくれるお客さんを探すためには莫大なコストがかかります。このクレジット会社等の顧客情報を有償でも手に入れて、自分の商品を買ってくれそうな人にだけ、宣伝できるようにすれば効率よく商品が売れるはずです。だからこれに付加価値、担保価値があると考えたのかなと思うのです。

4.

めききがいない。

 徐々に知的財産担保融資は広がっているようですが、それでもまだ夜明け前状態です。

 で広まるためのネックは、知的財産のめききが少ないということです。銀行は何十年も不動産担保融資を行ってきたから、この部分に関しては膨大なノウハウがありますが、知的財産に関してはあまりないのでしょう。不動産というのは、利用する人により価値が異なるといっても、おおよそ一つの土地に対する価値のぶれというのは、何十倍にもなることはあまりない。でも知的財産というのは、利用する人により価値がそれこそ何百倍も異なることがあります。知的財産の本質的な価値とそれを利用して利益を得る人が誰なのかというのを見極めるためには、相当その技術等に関する専門的な知識が必要だと思います。

銀行は商社と情報交換したり、専門家と提携してリスク分析をしているそうですが、相当の時間とコストがかかって発展していくのでしょうね。

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2006年7月26日 (水)

お天気デリバと気象保険

1.新聞によると

 昨日(平成18年7月26日)の日本経済新聞によると、天候デリバティブのような金融派生商品の上場規制を緩和して、来夏から上場が可能なるということです。

2.お天気デリバって?

 お天気デリバ(天候デリバ)とは、気温や、降雪量、降雨量が予想していたものと異なった場合は、一定の金額を払いましょうというような、気候の変動リスクをヘッジする金融商品です。

 たとえば「そうめん屋」さん。 冷えたそうめんというのは、夏に食べるものですが、冷夏が続くとそうめんはあまり食べられません。そうするとそうめんの売上は落ちます。でも冷夏かどうかというのは、夏にならないとわからないし、そうめんの原料を仕入れて製造するのは、夏になる前です。原料を仕入れる時点で予想していたほど売上が伸びなかったら、作った商品が在庫として残り、その部分お金が入ってこないので、経営は苦しくなります。そこでお天気デリバを購入し、もし冷夏なら、いくらかでも約束したお金が入ってくると助かりますよね。

3.気象保険

 お天気デリバと似たようなもので気象保険というものがあります。これは異常気象により損失が生じた場合は、保険金を払いましょうというものです。

お天気デリバと気象保険の違いは、お天気デリバというのは、一定の指標に基づき、一定の状況になったら、損失の有無にかかわらずお金が入ってきますが、気象保険の場合は、損失が生じたときに、損失の金額を限度として保険金が支払われます。

4.お天気デリバと気象保険の会計、税務上の違い

お天気デリバと気象保険は、会計、税務上も異なります。

お天気デリバは、金融派生商品だから金融商品会計の影響を受けます。会計上、原則としては期末に時価で計上するのですが、現状では合理的な価額なんて誰もつけられないので、お天気デリバを買った時の値段で計上します。で、期間が終了した時点や、お金が支払われる条件を満たした時点で、この金額は精算します。

税務上も、会計と同じような処理をします。

たとえば 100円でお天気デリバを購入して、何事もなく契約期間が終了した場合と、条件が満たされ1,000円お金が入ってきた場合の会計、税務上の仕訳は次のようになります。

お天気デリバを購入した場合

お天気デリバ(資産) 100 現金 100

何事もなく契約期間が終了した場合

お天気デリバ消滅損(費用)100 お天気デリバ(資産)100

条件が満たされ、1,000円入ってきた場合

お天気デリバ消滅損(費用)100 お天気デリバ(資産)100

現金 1,000         お天気デリバ収入(収入) 1,000

(実際の勘定科目はもっとまじめなものだと思いますが)

次に気象保険の場合は、これは掛捨保険になることが多いと思います。そうすると支払った時点で前払費用になる部分がある場合もありますが、原則的には、支払った時点で会計上も税務上も費用となります。

上記と同じような事例を仕訳にあらわすと次のようになります。

 気象保険料を支払った場合

お天気デリバ(費用)100 現金 100

何事もなく契約期間が終了した場合

仕訳なし

条件が満たされ、1,000円入ってきた場合

現金 1,000         お天気デリバ収入(収入) 1,000

 つまりお天気デリバは、購入した時点で、いったん資産計上しますが、気象保険は費用となります。お天気デリバが上場されると、期末ごとに時価で評価するから、評価損益を原則として計上しなければなりません。ヘッジ会計の適用の検討といっても 有効性の判定(80%から125%)ができるかどうか疑問です。

節税(税金の繰延)ということを考えると、気象保険の方が得なのかもしれませんね♪

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2006年7月25日 (火)

REITとSPCはどう違うの? お返事

ど素人さんからいただいたコメントについて、自分なりにかんたんにまとめてみます。

1.REITとSPCの概念的な違い

REIT(Real Estate Investment Trust)とSPC(special purpose company)は、いずれも投資家からお金を集めてきて、それで不動産を購入し、不動産から生ずる収入(家賃、地代、売却代金)をベースに投資家に利益を分配するために必要な器(ビークル)です。

本質的なものは同じですが、使われ方は微妙に違います。

ど素人さんがイメージするように、会社がSPCを作って、資産をSPCに譲渡して、それからREITが買うというスキームはあまりききません。 会社がSPCに資産を移すか、 会社がREITに資産を移すかいずれかだと思います。資産を転々と移すと当然、流通コストがかかりますから。

概念的な違いといえば、REITは先にお金ありき、SPCは先に資産あり言われます。REITは、投資家からお金を集めてきてそのお金で儲かるような資産を集めてくるようなもの。 SPCは、資産を売却して資金調達をしたいがその資産を今後も利用したいというようなニーズがまずあって、資金の出し手を捜しましょうというようなものです。ただ実際には、REITでも先に資産ありということが多くあります。

2.REITとSPC 誰が投資することを前提にしているか?

REITというのは、大きなお金を広くあつめて投資するためのビークルですから、素人が投資家であるということが前提に作られています。このビークルの投資口(株式のようなもの)を証券取引所に上場させることができます。上場しているから、投資口を投資家は、いつでも売買できます。素人の投資家でも参加して困らないように証券取引法(金融取引法)による規制が厳格になされています。

SPCというのは、少人数のプロ投資家やセミプロ投資家からお金をあつめてくるということが前提に作られています。

会社法施行前は、有限会社をビークルとしてしばしば使われていました。会社法施行後は合同会社を利用するものが多くなると予想されています。投資家はSPCの出資金に直接投資するというよりも、SPCと匿名組合契約を結んで投資するという手法を使うことが多いです。匿名組合契約というのは、お金をだすけど口はださないというパトロン契約のようなものです。プロ投資家やセミプロ投資家向けの投資が多いため、REITに比べると規制は穏やかではないかと思います。

3.REITとSPC 税務上の違い

 REITというのは、特別な法律によって作られたビークルです。特徴としては、条件を満たしたら、支払った配当がビークル側で税務上の費用(損金)になることです。ビークル側で法人税の負担が減少されるから、その分多くのお金を投資家に分配することはできます。また配当について、源泉所得税が差し引かれますが、上場しているREITで平成20年3月末までの配当は、源泉税率が個人投資家の場合10%、法人投資家の場合は7%となります。

 SPCに対して、投資家は匿名組合を通じて出資するのが一般的ですが、この匿名組合分配金は、SPC側では損金となります。なお日本の会社や日本の居住者10人以上と匿名組合契約を結んでいるような場合は、分配金に対して20%の源泉税を差し引かなければならないので、日本の投資家向けの場合は投資家数を10人未満にすることが多いです。また外人投資家の場合は、人数にかかわらず20%の源泉税が必要ですが、その外人の国と日本の間で結んでいる租税条約によっては、源泉税が免税となるような場合もあります。

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2006年7月24日 (月)

リース会計とリース税制 耐用年数は何年になるの?

1.新聞によると

平成18年7月21日の朝刊によるとリース税制の見直しが検討に入るようです。これは、平成18 年7 月5 日に企業会計基準委員会が、リース取引に関する会計基準(案)を公表したことに伴っていいます。

米国においては、会計がいくらかわっても税制は改正されませんが、日本のお上は、経済界のニーズに答え、会計と税務の処理が異なることによる事務処理の煩雑化を避けるために、会計にあわせたような税制に改正を行う傾向があります。

会計基準の変更により、所有権移転外ファイナンスリースに関しては、現行の会計基準においては、賃貸処理による会計処理を認めていますが、改正により原則的にはリース資産として計上して、減価償却を行うようになることが予想されます。これにともなって税務上もリース料について減価償却費として損金計上を認めるということだと思います。

2.会計上の耐用年数はどうなるのか 

 リース会計基準(案)によると、所有権移転外ファイナンスリース資産の耐用年数は、リース期間と連動し、残存価額は0として減価償却を行います。

 所有権移転ファイナンスリースに関しては、通常の固定資産の減価償却と同じ耐用年数で減価償却し、税法基準で残存価額を計算するならば、残存価額は取得価額の5%となります。

なおリース料の総額が1件あたり300万円以下の所有権移転外ファイナンスリースに関しては、従来どおり賃貸処理が認められます。

3.現行の税制はどうなっているか

税務上、所有移転外ファイナンスリースに関しては原則として賃借料処理を認めています。

しかし売買と認められるものは、資産を購入したものとみなして、法定耐用年数で減価償却をしなければなりません。たとえばリース期間がリース資産の法定耐用年数の70%を下回る場合や120%を超える場合です。

また金融取引とみなされた場合、たとえば一定のセールアンドリースバックの場合は、税務上は資産の売買はなく、資産を担保にお金を借りていたとみなして、リース料の支払いは、元本の返済と利子の支払いとみなします。

4.税制はどう改正されるのか

さて税制は会計にあわせるということですが、所有権移転外ファイナンスリースの税務上の減価償却も、耐用年数はリース期間に連動し、残存価額は0になるということでしょうか。

たとえば耐用年数が10年の資産でリース期間が5年の所有権移転外ファイナンスリースについても5年間で残存価額0の減価償却を認めるのでしょうか。これを認めると租税回避行為が流行りそうなので現行の70%基準は継続されるのではないかと思います。

またリース資産の残存価額が0で通常の資産の残存価額が取得価額の5%というのは整合しないので、通常の資産の残存価額も0になるのではないかと思います。

なお報道によるとリース料の総額が1件300万円以下のもの、中小企業に関しては、従来どおり賃貸処理をしても税務上は認めるということのようです。上場会社やそのグループ以外の会社では、影響はあまりないということでしょうね。

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2006年7月23日 (日)

村上信夫さんの「帝国ホテル 厨房物語」

昨夜、私は丸の内のとあるビルの地下にあるお鮨屋さんで、お刺身と握りずしをいただきました。

大きなお皿に盛られたお刺身は、一目見ただけで、只者ではないっというような雰囲気を醸し出していました。一つ、一つが吟味されて仕入れされたものっていうのは、素人がみてもすぐにわかります。そして口の中にいれると、味といい、触感といい、いつも口の中に入る魚とは違うおいしさが広がります。

至福の時というのは、この瞬間なのかなと感動しました。

美味しい料理は、人を幸せにするものというのを実感して、昨晩、そして夜明けに読んだのが村上信夫さんの「帝国ホテル 厨房物語 私の履歴書」日経ビジネス人文庫です。

これは、村上信夫さんという帝国ホテルの総理長を何十年もなさった方の半生をご自身で書かれたものです。日経新聞の連載である私の履歴書を膨らまされたようですが、

若い時からフランス料理の世界に入られ、いろんな経験を経て、立身出世されていく過程での、いろんなエピソードが書かれています。

料理の世界も会計や税務の世界も職人さんの世界であり、このような世界は、先輩が懇切丁寧に教えてくれるものではありません。丁稚奉公をして、先輩の仕事をみて、咀嚼して、自分のものにしていかなければなりません。

印象にのこ取ったのは、村上さんが「オテル.ド.ミクニ」のオーナーシェフ三國清三氏、当時洗い場の担当(たぶん一番下っ端のような立場)であった彼を駐スイス大使の専属コックとして推薦したことです。

このとき三國さんはまだ料理を作ったこともなかったそうです。それでもなぜ彼に白羽の矢をたてたかというと著書で次のように書かれています。

彼は、鍋洗い一つとっても要領とセンスが良かった。戦場のような厨房で次々に雑用をこなしながら、下ごしらえをやり、盛り付けを手伝い、味を盗む。ちょっとした雑用でも、シェフの仕事の段取りを見極め、いいタイミングでサポートする。それと、私が認めたのは、塩のふり方だった。厨房では俗に「塩ふり3年」と言うが、彼は素材に合わせて、じつに巧みに塩をふっていた。実際に料理を作らせてみなくても、それで腕前のほどがわかるのだ。

たえず考えながら努力をしている人というのは、同じように努力をしている人からすると、その潜在能力というのがよく見えるということだと思います。

またこの本を読んで料理というのがいかに奥の深いものかということの一端がわかったような気がします。村上さんは料理に対して創意工夫をして腕を磨いていくだけでなく、周辺の様々な分野に関しても深い造詣をお持ちであり、それが料理にいかされているなと思います。

偉くなっても、お年(現在80歳を超えられているのでは?)を重ねても、ふんぞり返らず、絶えず新しい知識を吸収し、研鑽を積み重ねていらっしゃる姿には敬服します。

私も別の世界の職人さんですが、このような努力を生涯続け、新しいものに感動し、自分を変化させていけるようになれたらと思います。

なんか小学生の読書感想文のようになりましたが、

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2006年7月22日 (土)

井沢元彦さんの「逆説の日本史」平安時代と現代日本に通じるもの

1.平安時代って?

歴史で学ぶ平安時代とは、桓武天皇が京都に都を移した時点で始まり、平家が壇ノ浦の合戦で源氏に滅ぼされた時点で終わるものとされています。

お公家さんが幅を利かせていた時代で変化に乏しいせいか、時代劇の舞台にあまりなりません。

この時代は、藤原氏という貴族が権力を持っていた時代ですが、その権力の経済的源泉は、免税である荘園からの作物の収穫であり、政治的源泉は、藤原道長を代表する外祖父政治でした。これは、自分の娘を天皇の嫁にして、男子を産ませ、その男子を次の天皇にさせ、おじいちゃんが、摂政なり関白になって、天皇を補佐する形で政治の実権を握るものです。

ただ藤原氏の台頭は、天皇の権力の低下をもたらすことになり、それを快く思わなかった天皇が、早く引退して上皇となり、天皇の父という権威を背景にして、幼い天皇を補佐する形で政治の実権を握る院政を敷くようになりました。

2.平安時代は軍隊がなかった

 この平安時代の初めにおいては、軍隊は廃止されました。廃止された理由の中で、この当時そして今にも通ずるケガレ思想があったからと主張しています。

ケガレ思想というのは、殺生をするようなことは穢れたことであるという考えだと思います。ケガレたことをしたり、ケガレタ物に触れたりした場合は、お清めをしなければなりません。たとえば今でもお葬式に行って、家に帰ってきたら塩をまきますよね。

で、このようなケガレたことは聖なる人つまり、天皇や貴族階級はすべきではない。ケガレたことの中に殺生が含まれているなら、軍事的なことは偉い人はすべきではない。このようなことは偉くない人にさせておくものだ。だから武士にさせて、管理だけ誰かにまかせておけとなったのでしょう。

で、貴族たちは、軍事には手を出さず、政治からも遠ざかり何をしていたのかというと和歌を謳っていたのです。で和歌を作るのは、言霊思想といって、和歌を作ることにより、自分の霊力が自然界に伝わり、怨霊の祟られることもなくなるというものだと思います。

3. 代にも繋がる危機管理能力の欠如

このように和歌を謳えば、世の中が上手くいくと考えていた当時の貴族たちを現代の日本人は笑えるでしょうか。

井沢さんは否と答えています。

世界中のどの国でも軍隊が不要であると思っている国はありません。なぜなら軍隊の役割は、外敵が襲ってきたときに、国民の生命を守るという重大な役割を果たしているからです。

ところが日本においては、軍隊不要論、自衛隊不要論 自衛隊はただ災害救助さえしていればいいという考えがあります。しかしこれは、平和ぼけというか危機管理能力の欠如といわれてもしかたがないでしょうか。そしてこの平和ぼけの感覚は、平安時代の貴族とあまりかわらないということです。

やがて平安時代の貴族政治は、武士の台頭、鎌倉幕府の成立により終焉を迎えます。確かに平安時代以降も都で天皇も貴族も生きながらえますが、政治の表舞台での主役は、武士たちです。

今の日本の危機管理能力の欠如は、やがて国力の衰退を招くことになるのではないか、時代は繰り返されるものだから。

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2006年7月21日 (金)

債権者は信託財産を取り戻せるか?

1.倒産隔離って

 信託が使われる理由のひとつとして倒産隔離ができるからというのがあります。

委託者が倒産した場合、委託者の債権者は、委託者に残された財産を差し押さえて債権の弁済にあてることができますが、信託された財産までは原則としてかかっていけません。でも同じことは、委託者の有する資産を真正に譲渡したような場合も可能です。

 ただ信託に関しては受託者が倒産した場合も、受託者の債権者が信託財産を差し押さえて債権の弁済にあてることはできませんが、譲渡で譲受人が倒産した場合、譲り受け人の債権者は、譲受けた財産にかかっていくことができるのではないかと考えます。

つまり信託すると委託者や受託者の倒産により信託財産が債権者の手にかかるというリスクが避けられるのですが、このようなメリットを悪用する人も現れます。それを信託法(改正案)ではどのように防御しているのでしょうか。今回は、倒産までは至らないけれども、支払いを免れるために、わざと信託した場合どうなっているのかを考えます。

2.信託法案ではどうなってるか

 委託者が債権者への支払いを免れる目的で信託をしたような場合は、債権者は、受託者に対してその財産の信託を取り消せ!と裁判所に訴えることができます(信託法案11①)。また受益者に対して、財産をもらった行為を取り消せ!と裁判所に訴えることもできますし(信託法案11④)、受益者に対して、もらった財産を委託者に渡せと主張することもできます(信託法案11⑤)。

でもこの信託が他益信託(委託者≠受益者)で、受益者となることを知った時点や、自益信託(委託者=受益者)で、当初の受益者から信託受益権を譲受けた時点で、委託者の悪巧みを知らない場合は、債権者は、財産を取り返し弁済にあてることはできません。

自益信託で、当初の受益者のままである場合は、委託者本人が受益者であるから、当然自分の悪巧みを知っているので、信託自体は否定されて債権者は、信託した財産を弁済にあてることができます。

なお委託者が、支払いを免れるために自益信託を設定し、信託受益権を無償または無償に限りなく近い価格で、他の人に譲渡したような場合は、受益者が委託者の悪巧み知らなくても、信託は取り消され、委託者の債権者は、信託した財産を弁済にあてることができます(信託法案11⑦⑧)。

3.本当に取り返せるのか?

でも実際に上記のように詐害行為の取消を行うのは、債権者にとって相当な覚悟が必要かもしれません。裁判で訴えないといけないから時間もコストもかかるからです。

ただ悪意だ!悪巧みだ!ということを証明するのは誰なのかなと考えると、民法的には、まず委託者の悪巧みを証明するのは、債権者だけれども、受益者の善意を立証するのは、受益者のようです。なぜ受益者が立証責任を負うのかというと債権者が受益者の悪意を証明するのは難しいし、債務者が悪巧みをする場合、受益者がグルのケースが多いからのようですが(注)

注 内田貴 民法Ⅲ 債権総論、担保物権 2003年 P285 

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2006年7月20日 (木)

コミットメントライン契約と印紙税

1.はじめに

 1~2ヶ月前に新聞で、コミットメントラインの借入金の契約書等にはる印紙税について、国税当局と見解が異なり大変だというのがあった記憶があります。

 昨日、国税庁のホームページで、コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱いについてQ&Aが公表されています。

 2.コミットメントライン契約とは

 コミットメントライン契約とは、銀行からお金を借りるときに、期間と枠を決めて、その期間内で、枠内なら、いつでもいくらでも借りることができます。

 これは一つの銀行と相対契約を結ぶ場合もあれば、数行がお金を貸しますが、事務手続きはエージェントとなる銀行が行うような契約を結ぶ場合もあります。

この取引の中で、印紙税が登場するのは、最初の基本契約を結ぶ時点、借入金を申し込む時点、領収書を発行する時点の3点です。

3.基本契約を結ぶ時点

コミットメントライン基本契約においては、(イ)融資極度額、(ロ)借入申込方法、(ハ)借入金の返済方法を定めています。

これらは、消費貸借に関する契約書に該当します。国税庁のHPで相対取引とシンジケート取引の契約書のサンプルが掲載されており、相対取引の方は、契約金額の記載のない消費貸借契約書だから印紙税は1通200円となります。

シンジケートローンの方は、エージェントがからむことから「金融機関の業務を継続して委託するため作成される契約書で、委託される業務の範囲を定めるもの」で、1通の印紙税は4,000円となります。 

 

4.借入を行う場合

国税庁のHPでは借入れの申し込みについて請求書で行う場合と、借入申込書で行う場合の2つのサンプルが掲載されています。

 コミットメントライン契約では、一定の期間内、一定の枠内ならいつでもいくらでも借りられるものです。借りたいと申し込めば自動的にお金を調達することができるので、請求書や借入申込書を銀行側に送った時点で具体的な借入契約は成立します。

ですからこれらの請求書や借入申込書は、借入金額の記載された消費貸借契約書なので、記載金額に応じた印紙税を納めなければなりません。

5.領収書を発行する場合

 お金を借りたいと申し込んで、実際にお金が入金されました。この時点で領収書を発行し、銀行に渡すことになりますが、国税庁のHPでは領収書について2パターン用意しています。

金額だけを記載するような領収書の場合は、売上代金以外の金銭の受取書となるので印紙税は1通200円となります。しかし金額だけでなく借入期間まで書いている場合は、もはや領収書ではなく、借入の契約書であると考えて、記載金額に応じた印紙税を納めなければなりません。

6 ファックスやe-mailで借入申し込みを行った場合

このように印紙税がかなりかかる可能性が生じるので、請求書や領収書をファックスやe-mailで送った場合はどうなるのでしょうか。

印紙税法では、ファクスやe-mailは、印紙税の対象になる文書でないので、送った側においても、受取った側においても印紙税を納める必要はありません。

ですから今後は、印紙税の節約のためにファックスやe-mailを使うことが多くなるのではないでしょうか♪

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2006年7月19日 (水)

JASRACと著作権信託

1.JASRACとは

 JASRACとは、社団法人日本音楽著作権協会「Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers」のことです。JASRACは、著作権の管理を行っているのですが、ここで信託のスキームを使っています。

2.信託のスキーム

 この著作権は、音楽を対象としたものです。作詞家や作曲家が作った曲の著作権は、通常は、彼らが所属する音楽出版社に譲渡されます。通常は、譲渡時点で譲渡代金は支払われません。

 次に音楽出版社は、この曲をJASRACに信託します。JASRACにおいて著作権を管理し、使用料が発生した場合は、ここから必要経費を差し引いて、委託者=受益者である音楽出版社に分配します。そして音楽出版社はこの分配金から必要経費を差し引いて、作詞家、作曲家に利益を分配します。

 この作詞家、作曲家への利益の分配金がいわゆる著作権の譲渡代金となります。ですから譲渡代金は使用料の大小により変動します。

 信託をすることにより、煩雑な使用料の徴収事務や、無断使用等をされた場合の訴訟をやってもらえることがメリットなのだと思います。

3.信託される著作権は

 著作権というのは財産権としての著作権と著作権人格権の2つあります。

 著作権人格権というのは、著作権の改変を認めない権利や、公表するかどうかを決める権利、名前をいれるかどうか、名前は本名かペンネームかを決めることができる権利です。これらは作品を作った本人のみができる権利であるので、信託することはできません。

 ですから信託できる著作権は財産権としての著作権に限られます。

この著作権というのは、CDの製作や楽譜の出版などの複製権、コンサートやカラオケでの演奏権、放送やインターネットで曲を流してもいい公衆送信権、映画やビデオで曲を流してもいい上映権、CDのレンタルをしてもいい貸与権、ビデオレンタルに使用してもいい頒布権などにわかれ、信託するのはこれらの権利のうち全部でも一部でも可能です。

信託期間は3年間ですが、原則自動更新であり、利益の分配は、年間4回あるようです。

信託できる音楽は、原則として、日本で第三者によって公表されたもの、つまりコンサートなら有料で500人以上集めているとか、CDなら大手のメーカーで製作販売されているか、インディーズなら累積1,000枚以上か等規制はありますが、プロの作曲家や作詞家でなくても条件さえ満たせば可能です。

JASRACのHPを見てはじめて知ったのですが、個人が自分で音楽を楽しむためにCD-RやMDに録音する行為も使用料の対象になるようです。ただこれらの使用料は、購入したときの代金の一部に含まれているようですね。

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2006年7月18日 (火)

役員退職金は損金経理が不要になったというけど

1.

平成17年までは、

 役員退職金というのは、原則としては、役員が会社を辞めた時に会社での貢献に報いるために支払われるものです。

 退職金の支給は税務上のメリットがあります。会社側では、支払った費用が異常に高額な場合でなかったら、税務上の費用として認められます。また受取った側は、退職所得として、税金を支払わなければなりませんが、通常の所得よりは非常に税金が軽減されます。

 この役員退職金は、従来は損金経理といって、

会計上 役員退職金XXX 現金 XXX 

という処理をしないと税務上の費用(損金)として認められませんでした。

 上場会社等で役員退職金規定のあるところは、役員が退職する以前に見積額を役員退職慰労引当金として計上しています。この見積り額の積立は 会計上は費用となりましたが、税務上は費用となりません。

そして役員が退職し、株主総会等で役員退職金額が決まり支給した場合は、役員退職慰労引当金を取り崩す処理をしましたが、

役員退職慰労引当金 XXX  役員退職労引当金戻入益 XXX

役員退職金 XXX  現金 XXX

という2つの仕訳をしないと、税務上損金として認められませんでした。

もし会計上

役員退職慰労引当金 XXX 現金 XXX

として、役員退職金の金額が決まり、支払った時点で損金経理していないので、税務上損金を否認されることにより、税金の支払いが高額になるので大変でした。

2 平成18年改正

 平成18年役員退職金が損金となるためには、損金経理の必要がなくなりました。ですから役員退職金が確定して支給した時点で、

会計上 役員退職慰労引当金 XXX 現金 XXX

として、税務上は損金処理することも認められます。

 それでは次の場合はどう考えるのでしょうか。従来の制度では、株主総会の前に退職金を支給しても会計上損金経理をした場合は、税務上も損金となります。また株主総会で役員退職金の支給額が決まっても、資金繰りの都合で支払えず、数年後支払うようなことになった場合は、支給時に税務上損金とすることもありました。さらに退職年金の場合は、支給時に損金処理しなければなりませんでした。

 改正により、損金経理要件がなくなるということは、株主総会で支払額が確定した時点で、会計上の処理の有無を問わず、税務上は費用となることとも考えられます。そうなると上記の事例は、一時金だろうと年金だろうと、支給金額として決まった金額が自動的に税務上は損金となるのでしょうか。それとも年金の場合は支給時まで繰延となるのでしょうか。

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2006年7月17日 (月)

吉野貴晶さんの「サザエさんと株価の関係 行動ファイナンス入門」

1.なぜこの本を買ったのか

土曜日に大阪空港の本屋さんで吉野貴晶さん(クオンツアナリスト)の「サザエさんと株価の関係 行動ファイナンス入門」を買いました。なぜ買ったのか?ぱっとタイトルを見て、面白そうと思ったからです。山田真哉さんの「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の例をとるまでもなく、タイトルが購入の意思決定に非常に重要な影響を与えるのでしょうね。単なる「行動ファイナンス入門」というタイトルだったら買わなかったでしょう。

2.クオンツアナリストとは

クオンツアナリストとは、初めて聞く名前の職業ですが、過去の過去の相場の動きや企業業績の変化、マクロ経済の影響など、膨大なデータを統計的な方法を用いて数量的に分析していくことが仕事のようです。

ようするに膨大な過去のデータを分析して、何に投資すればいいのかということを調べて、それを発表している人なのかもしれません。

ただ先週ブログで書いた野口悠紀雄さんの『金融工学、こんなに面白い』では、過去のデータを分析しても将来の株価の予想は難しいと述べられていましたが、

3.サザエさんの視聴率が上がると

さて、タイトルのサザエさんと株価の関係について、この著書の最初のテーマとして書かれています。

簡単にいうと、サザエさんの視聴率と株価の間には逆相関関係があるようです。サザエさんの平均視聴率と、TOPIX(東証株価指数)を並べて比較したところ、サザエさんの視聴率が上がると、TOPIXの指数は下がる傾向にあるからです。

これだけだったら、無理やりこじつけているのではないかとも思われるかもしれません。でも吉野さんはなぜ逆相関関係があるのかを次のように分析しています。

つまりサザエさんというのは日曜日の夜に放映されるものである。日曜日の夜に放映される番組を見るということは、自宅にいて晩御飯を食べている。休日に自宅にいるということは、休日に外にでてお金を使っていない。お金を使わないと、商品は売れない。商品が売れないと、儲からないから企業の業績は落ちる。企業の業績が落ちると当然株価も下がる。ゆえにサザエさんの視聴率が上がると株価は下がるのである。

なんか「風が吹くと桶屋が儲かる」という諺を地でいっているような本ですが、

4.素人投資家が機関投資家に勝つためには

この本の中で印象的だったのは、あとがきです。インターネットによって投資関連の情報は一般投資家でもかなり手に入れられますが、それでも機関投資家と比べると圧倒的に不利な状況です。

こんな状況で機関投資家と互角に戦うためには、日常的な情報から経済の状況を分析して、それを投資活動に生かすというのがいい方法ではないかということです。

たとえば街でタクシーがつかまりにくくなったら景気がよくなってきた、行き着けのスナックの客が増えたら、生活に余裕が生まれ消費が良くなってきた、というふうに読むのです。そして、こうした読みができる投資家ほど運用が上手いです注。

ほんまかいな?

注 吉野貴晶「サザエさんと株価の関係 行動ファイナンス入門」新潮社 2006年 P204

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2006年7月16日 (日)

米長邦雄さんの「不運のすすめ」

以前にも書いたのですが、信託大好きおばちゃんは、棋士の方の書かれた本を読むのが大好きです。

将棋のルールは全く知らないので、定跡の書かれた本を読んだことはありません。でも人生をどう生きるべきかについて書いた本は、本質をクリアに表現しているので非常にわかりやすく、頭に残ります。

今日は、当初、米長邦雄さんの「不運のすすめ」の読書感想文を書こうと思っていました。でも昨日飛行機の中で読んだ部分が胸に刺さり、機上でぼろぼろ泣いてしまったので、感想文ではなく、ぼろぼろ泣いてしまった部分をご紹介します。

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運のいい時というのは、満開の桜のようなものだ。美しく華やかで、人目を引く。

一方、不運に見舞われ、不遇をかこっている時は、桜の木が土の中に根付こうとしている時期である。

人は満開の花に目を奪われ、色や枝振りを誉めそやしているが、根っこを張っているだけの木には目もくれない。あるいは、「この桜はダメだね」などと言っている。目に見えない土の中のことは無視され、花をつけていなければ敗者として処理されていくのが、今の世の中である。

だが、しっかりと根を張った桜は、やがて芽を出し、驚くほど豊かな花を咲かせる。

不運とは、幸福の根源にほかならないのである。

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        米長邦雄 「不運のすすめ」角川書店 2006年

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2006年7月15日 (土)

井沢元彦さんの「逆説の日本史」~称徳天皇と道鏡は愛人関係だったのか~

1.称徳天皇と道教

 称徳天皇という女帝がいました。この人は東大寺を作った聖武天皇と藤原氏の出身の光明皇后との間に生まれた人です。

 彼女は、最初孝謙天皇として即位しましたが、いったん退位します。そしてクーデター(?)を起こして再度天皇になりました。

 道鏡は、称徳天皇の御世に出世して実権を握った人ですが、自分が天皇になろうとしたけれども、宇佐八幡のお告げでなれないといわれて失脚した人です。

 戦前の教科書では、臣下の身でありながら、天皇になろうなど神をも恐れぬ行為ということで道鏡は、日本3大悪人(あとは平将門、足利尊氏)の一人とされています。そしてとんでもないような道鏡が出世できたのは、称徳天皇と愛人関係があったからといわれています。

ほんとうにそうだったのでしょうか。井沢さんは今回も鋭く自説を展開していらっしゃいます。

2.称徳天皇の業績は

称徳天皇の業績というのは、歴史には残っていません。井沢さんはいくつか業績をあげています。

一つは、クーデターを起こして、再度天皇になり、当時実権を握っていた藤原仲麻呂を追い出したことです。

藤原仲麻呂は後世、称徳天皇のもう一人の愛人といわれていますが、実は違うとしています。彼は、称徳天皇の母である光明皇后に取り立てられ出世したのですが、無謀にも当時朝鮮に出兵し、勢力拡大を図ろうとしたのです。

しかしもし朝鮮に出兵したら、中国が黙っていないので、必ず日本まで攻めてきたでしょう。そうしたら日本は中国の統治領の一つになってしまったのです。それを食い止めたのですから結果的に優れた政治判断をしたのではないかと考えます。

またこの当時藤原氏の勢力が大きくなってきたのですが、それを食い止めようと道鏡として法律を作ったのです。

藤原氏の勢力の源は荘園制度によります。荘園とは別荘の庭ということですが、この特徴は、荘園については年貢をおさめなくていい。つまり税金を納めなくていい特権があったのです。この荘園をどんどん増やすことにより藤原氏は財力をベースに権力を手に入れましたが、逆に国家は税金をとる土地が減ってきたので貧窮していったのです。

そこで称徳天皇と道鏡はこれ以上私有地を増やさないという法律を作りました。これは非常に画期的なものですが時代に埋もれてあまり評価されていません。

3.なぜ称徳天皇や道鏡は悪く言われるのか

 結構すぐれた業績を彼らは残しているのですが、なぜこれほど悪く言われるのでしょうか。

 その理由の一つとして、儒教の思想にねざした男尊女卑の考え方が根強くあるからです。女性に政治をさせると何をしでかすかわからないという、先入観であり嫉妬がベースにあるのではないかと考えます。これは今でもあり、たとえば松田聖子のスキャンダルは、彼女が女性だから余計に言われるのであり、もし男性だったらあそこまで言われることはなかったのではないでしょうか。

 また理由の一つとして、彼らが藤原氏に対する抵抗勢力であったからです。藤原氏は称徳天皇の時代でも相当の権力を持っていましたが、それ以降益々、繁栄していきます、藤原氏は、政府の高官の地位を独占しますから、当然歴史を編纂するような場合も、どのように書くかについて決定権を有しています。

 自分たちの行動の正当化のためだったら歴史も歪曲して書き残すことなど簡単だったのではないでしょうか。だから自分たちにとっては都合が悪かった称徳天皇と道鏡について悪く書き、それを読んだ後世の人々は、彼らを極悪人だ、愛人関係にあったというようになったのでしょう。

 いくら正しいことをやろうとしても、力がないとだめということでしょうか♪

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2006年7月14日 (金)

グローバル.ソブリン.オープンはなぜ株式投信なの?

1.新聞によると

平成18年7月13日の日本経済新聞朝刊の金融欄で「投資用語見直し議論活発 投資家にわかりやすく」という記事があります。

これは、投資信託を多くの人に買ってもらうためには、投資信託を理解してもらわないといけない。でも現状の投資信託関連用語が難しすぎるのでこれを見直しましょうという動きについて書いてます。

この記事の中で国際投信投資顧問が運用する国内最大の投信「グローバル.ソブリン.オープン」について紹介しています。

2.グローバル.ソブリン.オープン

 グローバル.ソブリン.オープンとは、読んでもさっぱり意味がわからないのですが、次のようなことを意味します。

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グローバルとは、世界中の主要先進国のうち、米国、ドイツ、フランスなど信用力の高い国を主要投資対象とします。

ソブリンとは、政府・政府機関・国際機関が発行する債券(=ソブリン債券)に投資を行います。

オープンとは、「開かれている」という意味。販売会社の営業日なら、原則取得・換金のお申込みが可能です。

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 この投資信託は、債券に投資を行うものだから公社債投資信託に該当するものと思われそうですが、商品分類は追加型株式投資信託となっています。なぜなのでしょうか。日経新聞の記事と グローバル.ソブリン.オープンのHPのQ&Aから類推ですが、実際には債券しか投資しなくても約款上は株式も投資対象に含めているから株式投資信託になるのだと思います。

3.なぜ株式投資信託にしたのか? 理由その1

 それではなぜ株式投資信託にしたのでしょうか。HPのQ&Aによると次のような理由によります。

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 当ファンドが設定された1997年当時、追加型公社債投資信託は、当初元本(10,000円)以外の基準価額では制度上追加設定ができませんでした。当ファンドのように、日々変動する基準価額をもって追加設定を行うファンドは、たとえ主要投資対象が債券のみであっても、追加型株式投資信託(バランス型)として取扱われる必要がありました。

したがって、当ファンドは主として債券に投資するファンドですが、形式上は追加型株式投資信託として設定されました。

◇その後ルール改正により、追加型公社債投資信託についても、決算日の翌日に限り、基準価額が当初元本を下回る水準での追加設定が可能となりました。

 しかし、追加型公社債投資信託では、分配対象収益額の範囲が「決算日時点で当初元本(10,000円)を上回る全ての部分」と定められています。つまり、基準価額が10,000円を下回っている場合には収益分配が出来ないと定められているため、収益分配政策が大きく制約されています。

 したがって、当ファンドのように、外国債券のクーポン収入に加え、為替差益や債券価格の値上がり益を追求し、その投資成果を定期的に収益分配金としてお支払いすることを目指すファンドは、制度上の観点から、追加型株式投資信託に区分されることになります。

つまり基準価格(時価)が1万円を下回るような場合でも収益の分配ができるようにするためというのが理由です。

4.なぜ株式投資信託にしたのか? 理由その2

なぜ株式投資信託にしたのかという理由としてもうひとつ税金の問題があります。

 公社債投資信託とした場合は、収益の分配金に対して20%の税金が源泉徴収されます。個人の場合は、これで課税関係は終了します。

 でも公募株式投資信託(50人以上の一般投資家に販売するようなもの)で平成20年3月末までに受取る収益の分配については、たとえ投資先が外国の株式であろうとも10%の税金が源泉徴収され、個人の場合は、これで課税関係は終了します。

 この10%の差額が投資家にとっては重要だから株式投資信託として組成させたのかもしれません。

 新聞によると投信協会は、今の源泉税の優遇策の延長を求めていくそうですが、増税圧力が政府にはあるのでどうなるか不透明です。

特に外国株式や実質的には外国債券に投資しているようなものにまで優遇税制が継続されるとは思えないのですが♪

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2006年7月13日 (木)

休眠特許は宝の山

1.

新聞によると

平成18年7月12日の日本経済新聞 近畿経済欄によると、大企業の休眠特許を買い取ってビジネスとしている人がいます。

森久エンジニアリングの森一生氏は、大企業は小さすぎて参入しない市場で、中小企業の身軽さを生かして成功した体験があります。彼は三菱電機の基本特許を基に実用化した「バイオカイト」というそよ風でも飛ぶ凧を累計で2万個販売したようです。

ですから今も三菱電機の先端技術総合研究所を頻繁に訪れビジネスチャンスを探していらっしゃいます。

2.

休眠特許とは

休眠特許とは、未使用の特許のことです。

特許は、特許庁に出願し、審査されて、登録ということになります。特許として出願、登録されたものが必ず利用されているとは限りません。

未使用特許数は特許庁の調査によると2004年で約48%あります。

つまり特許として認められたもののうち半分は休眠状態にあります。それでは、これらは本当に利用価値がないものなのでしょうか。

3.

特許権は人により価値が違う。

特許権というのは、新しい技術の発明などをした人に対して、一定期間、独占的に利用する権利を与えるものです。他の人が利用する場合は、利用料をとることができますし、他の人が無断で利用した場合は、損害賠償請求ができるものです。

この特許を利用して製品を作り、販売して大きな利益を得るようなものだったら当然価値は高くなります。

でも登録された特許が本当に大きな利益が得られるかどうかは、開発した人は事業家でないのでわからない場合があります。利用価値がないと思うから、これらの特許は休眠してしまうのでしょう。

この利用価値がわかるのは、それらの技術の実用化、事業化ができる人であり、その人が必ず特許を作った人と同じ会社にいるとは限りません。

森一生さんは、その価値を見出そうと頻繁に研究所を訪問し、研究者の話から宝を発見できましたが、このようなことは誰でもできるものではありません。

4. 未使用の特許っていくらぐらいで買えるの

さてこの未使用の特許というのはだいたい1件いくらぐらいで買えるものなのでしょうか。未使用の特許というのは、特許の持ち主にとっては、利益を生めないようなものです。ですから特許をとるのにかかった費用が回収できればいいと考えるかもしれません。

山本大輔、森智世「入門 知的財産価値評価」東洋経済P93~94によると、1特許あたりの平均取引価格は1,000万円であり、取引されている特許数は約1.7万件だから、市場規模は1,700億円とされています。もっと活性化すると1兆円市場も夢ではありません。

未使用の特許情報をディスクローズして、取引できるような環境を作るのは知財立国をめざす日本にとっては不可欠なものでしょうね。

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2006年7月11日 (火)

ココログのエントリーが48時間ストップします。

 こんにちわ 信託大好きおばちゃん お知らせです。

このブログの大家さんであるココログが本日の14:00から48時間の超ロングメンテナンスに入ります。

したがいまして信託大好きおばちゃんは、明日はとりあえずお休み、 あさってはメンテナンスが終了したら、エントリーを復活させようと考えています。

それでは!

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日本で利益参加型社債は発行できるか ~DebtとEquityの境界線と課税~

1.利益参加型参加型社債は日本で発行できるか

利益参加型社債というのは、会社の利益に応じて支払われる利子が異なる社債のことです。この利子については確定した利子プラス利益が出たときは追加で利子を支払うタイプのものがスタンダードですが、利子の最低保証がなく、利益が出た場合は支払うようなものや、確定利率にたとえば売上高に一定の指数を乗じた利子をプラスするものもあります(注1)。

 この利益参加型社債が日本で発行されるかどうかについては肯定説と否定説があります。争点のひとつとして会社法676条で募集社債の利率を定めなければならないとされているのは、否定説によると利率が確定していることを定めているのだから利益参加型社債を認めないととられますが、肯定説によると通常社債が確定利付であることを予想したからであり、利息とともに剰余金を分配することを妨げるものではないとされています(注2)。

 ただ日本では利益参加型社債が発行されたという事例をほとんど聞きません(注3)。なぜ日本では、発行されないかというと、利益参加型社債が会社法(旧商法)で発行できるかどうか明らかでないこと、そして支払われる利息が利子所得なのか配当所得なのかが明確でないことに起因します。

2.利子所得と配当所得で税務上の取り扱いはどう違うのか

それでは、利子所得と配当所得で課税上の取り扱いがどのように違うのでしょうか。

①支払側

支払側では、利子の場合は、支払われた利子は、税金の計算上費用(損金)となります。しかし配当に関しては、損金となりません。なぜ利子は損金となるかというと、事業で利益を得るためにはお金が必要であり、利息は、お金を調達するために必要な費用、つまり利益を得るために必要な費用だからと考えます。一方配当というのは、事業で利益を得るために必要な費用というよりも、結果的に利益が出た場合に、利益の一部を分配するものであると考えるから費用とならないと考えます。

②受取側

 受取側では、利子か配当かで、また受取者が法人が個人かで差がでます。

  (1)利子の場合

 利子の受取者が法人の場合は、源泉税が20%差し引かれますが、利子収入は他の所得と同じように法人税が課税され、源泉税は精算されます。

受取者が個人の場合は、源泉税が20%差し引かれその段階で課税関係は終了します。

(2)配当の場合

配当の受取者が法人である場合は、受取配当の益金不算入という制度があります。これは受取った配当の全部または一部が税金の計算上収入(益金)とならないものです。もし法人段階で受取配当に課税すると、配当支払い法人で法人税が課せられ、受取法人でも同じ配当に法人税が課されるので合理的ではないからです。

受取人が個人の場合は、配当所得として、原則として他の所得と合算され、超過累進税率により課税されますが、配当控除により税金の一部が減額されます。これも、支払い法人の段階で課税された所得に対して個人段階でも課税されるのは合理的でないという考えに基づいています。

なお個人が受取る上場会社の株式の配当に関しては、所有割合が5%未満ならば平成20年3月末までは、配当所得に10%の源泉税を納めるだけで課税関係は終了できます。

3.会社法の施行とハイブリッドな種類株式の登場

社債と株式の違いのメルクマールとして次のようなものがあります。

経営参加の有無、剰余金の配当であるか、利息の支払いであるか、残余財産分配における優劣、償還性の有無(注4)

つまり経営に参加できるのが株式であり、そうでないのが社債である。剰余金の配当をするのが株式であり利息の支払いをするのが社債である。残余財産の分配で株式より優先されるのが社債であり、償還期限があるのが社債であり、ないのが株式であるということです。

しかし会社法の施行により多様な種類株式の発行が可能となりました。議決権の全くない株式も発行できるし、劣後債も発行できるし、取得条項付株式のように償還が予定される株式も発行できます。

 つまり社債とほとんどかわらないような株式の発行が可能になったのです。

利益参加型社債と同じような種類株式の発行は可能です。そして利子も配当も資本コストという点では変わりません。にもかかわらず税制上は異なる取り扱いがなされるというのは不合理で、当然この不合理な点をついて租税回避スキームも考えられるわけです。

4.利益参加型社債の利子は利子所得か配当所得か。

利益参加型社債の利子は、現状では、原則的には利子所得になると考えます。あくまでも発行しているのは社債であり、社債の利子は利子所得とされているからです(所得税法23条)。利益参加型社債の利子の利率の変動性に問題があるのならば、公定歩合により変動する利子も問題でしょう。

でも次のような事例でも利益参加型社債の利子を利子所得とできるのでしょうか。

たとえば会社で税引前利益の全部を社債の利子とすると利益参加型社債を個人に発行し、税引前利益が1億円だったとします。

利益参加型社債を発行した場合

会社側は 利益が0だから 法人税は0 個人側は、2,000万円の税金(1億円×20%)となり、合計2,000万円の税金です。

もし配当を支払った場合(実効税率 法人40% 個人 50%の場合、配当控除は5%とする)

会社側は 4,000万円 (1億円×40%)

個人側は 2,700万円(6,000×50%- 6,000万円×5%)

こちらは合計6,700万円の税金です。

このように税金に差がでるので、特に経営のコントロールしやすい同族会社では利益参加型社債を発行したいというニーズがあると思います。ただこのような極端な事例の場合は、同族会社行為計算の否認を使って、取引を否定するのではないかと思います。

同族会社行為計算の否認というのは、あくまでも事実認定に基づいて行うものであるから、頻繁に使えるものではありませんし、使うべきものでもありません。課税関係がはっきりせず、もしかしたら否認されるかもしれないというリスクがあるならば社債の発行は控えられます。これは経済的には望ましい状況とは思えません。

アメリカでは、1990年ごろ、debtとequityの課税関係に関する見直す動き(支払利息の損金不算入)があるようです(注5)。

日本においても今後、種類株式の増加や利益参加型社債の発行が行われ、debtとequityの差のない金融商品が広まるのは予想されます。これは資金の出し手のニーズに応えるためであり、資金の出し手が、躊躇するような課税関係であるならば、資金も出せないから、経済も活性化されません。経済の活性化のためには利子や配当の本質を見極めた合理的な課税関係を速やかに構築することが必要ではないかと考えます。

注1 渡辺裕泰 『ファイナンス課税』有斐閣 P172~P173

注2              藤井俊雄 『利益参加社債の適法性』ジュリスト増刊 『商法の争点1』P196 

注3              渡辺裕泰 『ファイナンス課税』有斐閣P174~p175によると、昭和34年 関東電気工事が利益参加型社債を発行を計画したようですが、税務上の取り扱いが明らかでなく、受託銀行による理解が得られないので発行を断念したそうです。また2004年10月に、ある持株会社が利益参加型社債を国内で初めて発行したようですが、私募債なので未確認だそうです。

注4              日本銀行金融研究所『デッドとエクイティに関する法原理についての研究会報告書』(金融研究20巻3号1ページ、2001)

注5              渡辺裕泰 『ファイナンス課税』有斐閣P175

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2006年7月10日 (月)

組合に土地を現物出資したら

1.組合を作るのに現金以外の出資は可能か?

民法上の組合や有限責任事業組合(LLP)を作るために、通常組合員となる者は、現金を出資します。民法上の組合を出資する場合は、労務出資つまり組合の事業のために体と頭を出すからお金は出さないというのもありえます。

それでは、金銭以外の資産を出資した場合はどうなるのでしょうか。

これは、民法上の組合でもLLPでも可能です。含み損益のある土地を現物出資した場合の会計上と税務上の取り扱いを考えます。

2.会計上の処理は3つ考えられる。

 たとえばX社とY社が50%ずつ出資してLLPを作ります。Aは1億円の時価の土地(簿価3,000万円)、Bは1億円の現金を出資します。会計上のAとLLPのとりうる仕訳は3通りあります。

全部譲渡方式

これは、X社が所有している土地を全部LLPに譲渡したものとして計上します。そのことによりLLPの貸借対照表には土地も現金も1億円ずつ計上されます。LLPの出資比率は50%ずつなので、出資比率に応じて資産が計上されることになります。

X社の仕訳

出資金 1億円   土地 3,000万円

       土地売却益 7,000万円

LLPの仕訳

土地  1億円   出資金 2億円

現金  1億円

部分譲渡方式

これは、X社の出資した土地のうち50%は、LLPに出資したものだけれども自分の持分となるので、自分に出資するとは考えられないので譲渡益は計上しません。残りの50%部分については、共同出資したY社の持分となるので、Yに譲渡 つまりLLPに出資したものとして譲渡益を計上します。このことによりLLPの貸借対照表に計上される土地と現金の比率は50%ずつにはならないのでアンバランスな形で計上されることになります。

X社の仕訳

出資金 1,500万円  土地 1,500万円 X社の持分となる

出資金 5,000万円  土地 1,500万円  Y社の持分となる

         土地売却益3,500万円

LLPの仕訳

 土地  6,500万円  出資金 1億6,500万円

 現金  1億円

繰延利益方式

これは、全部譲渡方式と部分譲渡方式の欠点をカバーするような方式です。X社の土地の含み益のうちY社の持分となる部分についてのみ譲渡益を認識すると、資産の計上がアンバランスになります。でもX社の土地を全部譲渡すると計上すると、X社の持分相当額は自分に譲渡したのに譲渡益を認識することになります。

そこで、X社の譲渡益のうち自分に配賦される部分については、将来土地がLLPから売却されるような時まで、繰延るというものです。

X社の仕訳

 出資金 1億円   土地 3,000万円

         土地売却益3,500万円

         繰延利益 3,500万円

 LLPの仕訳

 土地   6,500万円    出資金  2億円

 繰延利益 3,500万円

 現金     1億円

3.税務上は部分譲渡方式

それでは税務上はどのようになるのでしょうか。税務上は、現物出資した土地の含み益のうち、他者に配賦される部分についてのみ譲渡益として認識されることになります。

したがって税務上は、部分譲渡方式の考え方です。会計上繰延利益方式でも譲渡益としての認識は部分譲渡益と同じですが、会計上全部譲渡方式の場合は、譲渡益が会計上と税務上で異なります。

ですから会計上全部譲渡方式の場合は法人税の申告書上で調整をすることになります。

上記の事例ですと 別表4は次のようになります。

土地譲渡益  3,500万円 減算留保

別表5(1)の期末利益積立金額は次のようになります。

土地譲渡益  △3,500万円

この部分は、土地が譲渡されたような時点で調整されます。

4.税務上適格現物出資の適用は可能か

民法上の組合やLLPを作る時点で行う現物出資に関して、適格組織再編の現物出資の要件に当てはまりそうなケースでは、譲渡益を繰り延べることができるのではないかと思われるかもしれません。しかしこれは適用できません。あくまでも適格現物出資は、別の会社に現物出資するものですが、組合は会社のような人格がなく、他の組合員の所有持分となるからです。

5.含み損のある資産の現物出資は可能か

 今までは含み益のある資産について書きましたが、それでは含み損のある資産を現物出資することは可能でしょうか。

たとえばX社とY社が50%ずつ出資するLLPをつくり X社は土地1億円(簿価2億円)Y社は1億円の現金を出資したとします。

X社の税務上の仕訳は次のようになります。

 出資金     1億円  土地 1億円

 出資金  5,000万円 土地 1億円

 譲渡損  5,000万円

これは原則的には問題ありません。でも現物出資してLLPをつくり、すぐLLPを解散し、土地をX社に戻すことができます

X社のLLP解散時の仕訳は

 土地   1億円   出資金 1億円

 土地   5,000万円 出資金 5,000万円

というようになります。つまり譲渡損をだすことによる節税というスキームができてしまいます。

 これは、お上もかなり神経質になっているので注意しないと否認されるリスクが高いと思います。

参考文献 五枚橋實 『組合事業の所得計算について 平成17年度税制改正を踏まえて』租税研究 2006.5

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2006年7月 9日 (日)

野口悠紀雄さんの『金融工学、こんなに面白い』~株式で大儲けできるのか~

1.でも金融工学は難しい

 野口悠紀雄さんの『金融工学、こんなに面白い』というのは、現在の金融商品のしくみの基礎に関してわかりやすい言葉で表現したものです。

 とはいっても数学的素養の少ない信託大好きおばちゃんはブラックショールズの方程式の説明で「まず、株価の動きをブラウン運動として記述する。確立過程論を用いて、オプション価格が満たすべき条件を見出す。この過程で、『伊藤のレンマ』を用いる。得られた編微分方程式を変換すると、物理学で研究されてきた熱伝導方程式と同じものが得られる。これが、『ブラック=ショールズの微分方程式』である。これを解けば、オプションのプレミアムが得られることになる(注)。」となっているのを読んで、頭が痛くなり思考がとまってしまいましたが、

 で今回書くのは、金融工学の中身の方ではなく、株式で大儲けできるかという数学的素養が必要でない方のお話です。

2.効率的な市場は3つある

 なぜ株式で大儲けできるかというと、人が手に入れない情報を入手して、将来の株価の上昇を読み、株式に投資をすることができるからです。このように情報を入手して、人より大儲けできるような市場のことを非効率な市場といいます。効率的な市場というのは、そのような情報がすでに株価に織り込まれているので、大儲けができないのです。

効率的な市場というのは3つに分かれます。過去の株価に関して効率的な市場、公開されているすべての情報に関して効率的な市場、未公開情報も含めて効率的な市場です。

3.過去の株価に関して効率的な市場

これは、過去の株価をいくら分析しても、将来の株式の上昇は読めないような市場のことです。

現実の株式市場で株価はランダムウォークな動きをしているので、これはあたっています。ですから罫線分析やチャート分析はあまりあたらない。でも人はやっぱり罫線分析をしてしまう。なぜならランダムな動きというのを信じないので、そのような動きをしても何か法則があるに違いないという錯覚に陥りやすいからだそうです。

4.公開されているすべての情報に関して効率的な市場

これは公開されている情報 たとえば決算短信や有価証券報告書の情報を投資家が手に入れて分析しても、それにより大儲けはできないということです。なぜならこれらの情報は、すぐに市場に広まるので株価に織り込まれてしまうからです。

5.未公開情報も含めて効率的な市場

この未公開情報というのは2つにわかれます。ひとつは証券アナリストのようなプロがもたらす有料の情報であり、もうひとつはインサイダー情報です。

このアナリストのような人がもたらす情報が有用かどうかで野口さんは、投資信託のパフォーマンスが、市場全体のパフォーマンスの平均を下回るという事実から、あまり有用ではないとされています。

つまりプロであっても株で大儲けはできない。

それではインサイダー情報はどうでしょうか。たとえば企業が大合併するような情報を事前にキャッチして株式を買い、情報が公開されるやいなや売却するようなことですが、これは確実に儲かります。しかし、インサイダー取引については、村上ファンドの例をとるまでもなく証券取引法違反ということで、手が後ろに回るリスクがあります。

つまりこのことから考えると効率的な株式市場においては、株式で大儲けができないという結論になるわけです。でも大儲けしている人たちがいっぱいいる。なぜだろう???

注  野口悠紀雄『金融工学、こんなに面白い』文藝春秋 P161

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2006年7月 8日 (土)

井沢元彦さんの『逆説の日本史』 ~聖徳太子の最期は、どうだったのか?~

1.               聖徳太子は、偉い人?

聖徳太子という歴史上の人物がいます。昔の1万円札に載っていた人、17条の憲法を作った人、小野妹子を遣隋使として中国に送った人、何人もの人の話を同時に聞いて、中身を理解できた人、、、ようするにとっても偉い人として、日本史に残った人というのが私たちの聖徳太子に対して抱くイメージだろうと思います。

でもほんとうにりっぱな人だったのでしょうか。それではどのような原因で、この世を去ったのでしょうか。これに対して、井沢さんは、あいもかわらず意表をつくような考察をしていらっしゃいます。

2.               聖徳太子という名前はどうしてつけられたのか?

聖徳太子というのは、亡くなってからつけられた称号のようなものです。昭和時代の天皇は、崩御されてから昭和天皇といわれるようなものです。聖徳太子の生前の名前は、厩戸皇子(うまやどのみこ)です。

聖徳なんて、とっても高潔そうなネーミングなのは、厩戸皇子が生前りっぱな業績をあげたから、それを称えるためと現代の人なら考えるかもしれません。

でも井沢さんはそうではないと考えています。不幸な生涯を終えた人は、この世に対する恨みを残しているから、その後、たたりをおこしかねない。たたりをおこされたら困るので、りっぱな称号をつけ、恨みを抑えようとしたから立派な称号をつけているというのです。

徳というのは、中国でも王に求められる気質の最たるものですが、この徳という文字を称号に入れた天皇が古代には6人もいて、いずれも不幸な人生を終えているのが、その根拠のひとつです。

このことから聖徳太子は、実は不幸な生涯だったのではないかと推定しています。

3.               聖徳太子のお墓はどうなっているのか?

聖徳太子のお墓というのは、実は、法隆寺ではなく、大阪府南河内郡の太子町にある叡福寺にあります。

このお墓には、聖徳太子が一人だけ眠っているのではなく、彼お母さんと奥さん、それも第3夫人と共に眠っています。

このお墓で不思議なことがあります。まずお母さんのお墓は、石造りの立派なものですが、聖徳太子や第三夫人のお墓というのは、あまり立派なものではありません。

また、通常、第1夫人がお墓では一緒に眠ることになっているのですが、なぜか第3夫人となっています。生前に第1夫人が大嫌いで、顔も見ていないような状況でも、高貴な人のお墓に眠るのは第1夫人というのがルールだからです。

古代の貴人は亡くなってから、お墓に埋葬されるまで、お墓を造ったりするので長期間かかります。短い期間で埋葬されるのは、異常な死亡であったことが多く、聖徳太子もお墓に埋葬されるまでの期間が短かったそうです。

つまり聖徳太子は異常な死を遂げたのではないでしょうか。

4.               玉虫厨子のなぞ

聖徳太子というと、法隆寺が結びつきます。この法隆寺は聖徳太子とゆかりのあるお寺ですが、この法隆寺に玉虫厨子というものがあります。

厨子というのは、仏像や舎利(高貴な人の遺骨)を安置する物ですが、何万匹もの玉虫の羽で覆われた厨子ですので、当時は実に美しいものだったと推察します。

この厨子の左右面に『施身聞偈』『捨身飼虎』という絵が載っています。これらの絵が意味するのは、身を捨てて他の命のためにつくすことであり、これは外面的には、自殺を意味しています。

つまり、聖徳太子の最期は自殺いや第三夫人と共に死んでいるところから心中だったのではないでしょうか?

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2006年7月 7日 (金)

REITの源泉税は複雑系

1.REITって何?

REITというのは、投資法人という投資信託及び投資法人に関する法律により作られた会社に投資家からかき集めたお金を入れて、不動産に投資して、儲けを投資家に還元しましょうというものです。上場してREITの株式を市場で売買できるものもあれば、上場していないものもあります。

REITから配当を受け取った場合は、源泉税を差し引かれます。この源泉税率がケースによって異なります。

2.上場しているREITの場合

REITというのは、通常クローズドエンド法人といわれます。クローズドエンド型投資法人というのは、投資したお金を回収するために、会社が払い戻しをしない法人です。お金を回収するためには売却するしかありません。

このREITのうち上場しているものの源泉税は、投資家が個人か法人かでわかれます。

①個人投資家の場合

個人投資家の場合で出資比率が5%未満の場合は、平成20年3月31日までに受取る配当については10%(所得税7%、住民税3%)になります。平成20年4月1日以降に受取る配当については20%(所得税15%、住民税5%)になります。

このような個人の投資家の場合は、10%源泉税を差し引かれるだけで課税関係を終わらせ、確定申告をしないことができます。他の所得とあわせて実効税率が10%を超えるような人の場合は、確定申告しない方が得です。

なお5%以上所有しているような個人については20%(所得税)となり、確定申告をして精算しなければなりません。

②法人投資家の場合

法人投資家の場合は、平成20年3月31日までに受取る配当については7%(所得税)、平成20年4月1日以降に受取る配当については15%(所得税)となります。

3.上場していないREIT

上場していないREITつまり、非上場のクローズドエンド型投資法人に関しては、投資家が個人でも法人でも、源泉税は20%(所得税)となります。

4.オープンエンドで、公募しているような投資法人

REITは、クローズドエンド型投資法人といわれますが、投資法人でオープンエンド型というものもあります。こちらは投資ししたお金を解約して投資法人から払い戻しを受けることにより回収できます。

この投資法人で50人以上に買ってねと募集して、発行されたような投資口(株式のようなもの)の源泉税も投資家が個人と法人で異なります。

個人投資家の場合

個人投資家の場合は、平成20年3月31日までに受取る配当については、10%(所得税7%、地方税3%)であり、平成20年4月1日以降に受取る配当については20%(所得税15%、地方税5%)となります。

法人投資家の場合

法人投資家の場合は、平成20年3月31日までに受取る配当については7%(所得税)であり、平成20年4月1日以降に受け取る配当については15%(所得税)となります。

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2006年7月 6日 (木)

イレギュラーな土地信託の場合の課税関係は?

1.         土地信託

土地信託というのがあります。土地を信託財産としているようなものですが、税法でいう土地信託というのはいくつかの条件を満たしているような土地信託です。現在取引されている土地信託は、税法上の条件を満たしているものばかりと思います。

土地信託に該当する場合は、その信託受益権を持っている人があたかも土地を持っている人とみなして課税するというルールです。

それでは土地信託の条件を満たしていないような土地の信託を行った場合の課税関係はどうなるのでしょうか。

2. 収益受益権と元本受益権

土地信託の条件の中で、元本受益権と収益受益権が分割されていないというのがあります。

元本受益権というのは、信託期間が満了したときに、元本を受け取る権利があることです。信託期間中の地代収入は1円ももらえません。収益受益権は、信託期間中の地代収入はすべてもらえる権利があります。

今回はこの元本受益権と収益受益権が分割されている信託を設定した場合の課税関係を考えます。

3.信託した土地を売却した場合の収入はどのように配賦されるのか

信託期間中に土地を売却した場合の売却収入はどうなるのでしょうか。

信託法の考え方によると、信託期間中の収入はたとえ土地売却による収入であっても収益受益権者が受け取ることになります。

でも税法的には、収入は元本受益権者と収益受益権者が受け取ると考えます。

たとえば土地の所有者Aが土地を信託し、元本受益者をBに、設定した場合、Bは設定時に取得した元本受益権について贈与税を納めないといけません

そうすると税法的には、Bは、信託設定時に土地信託の元本受益権すなわち土地を取得したと考えるから、その土地を売却した場合の売却収入のうち元本受益部分は、Bが土地を譲渡した部分と考えて譲渡所得を計算するのが合理的です。

もしAが収益受益権を持っているならば、売却収入のうち元本受益部分を差し引いた残りが収益受益部分として課税することになるのではないでしょうか。

信託法の考え方と税法の考え方が異なるので奇異ですが、このような元本受益権と収益受益権が分割したような信託をするのは、家族や同族間しか行われないと思います。

4.元本受益権の所得の計算

 土地の信託の元本受益権の譲渡は、土地の譲渡と同じと考えられます。土地を譲渡した場合は、譲渡収入から取得費と譲渡費用を差し引いて所得を計算します。元本受益権者が個人の場合は、分離課税され、所有期間によって税率が異なります。 BはAから元本受益権を贈与により取得しているから、Aの土地の取得費と取得時期を引き継ぎます。

ですからたとえばAが10年前に1億円で購入した土地を信託して、その土地を2億円譲渡した場合でBの元本受益権に対応する部分が1億5,000万円であるならば、 譲渡所得は5,000万円(1億5千万円-1億円)となります。税金は   5,000万円X20%=1,000万円

(15%は所得税 5%は住民税)

5.収益受益権の所得の計算

それでは収益受益権を譲渡した場合の所得はどうなるのでしょうか。収益受益権というのは、土地や建物のような資産ではなく、金銭債権と考えます。金銭債権の譲渡による所得は、譲渡所得と考えません。なぜなら金銭債権を譲渡したことによる所得はキャピタルゲインではなく、利子相当分だから、譲渡所得として課税するのは合理的ではないと考えるからです。

したがって収益受益権の譲渡所得は雑所得と考えます。それでは、雑所得の計算上の控除する取得費相当額はいくらになるのでしょうか。この収益受益権は、信託を設定することにより自動的に発生したものだから取得費相当額は0と考えます。

ですから上記の事例で 収益受益部分が5,000万円(2億円―1億5,000万円)ならば、この部分については他の所得と合算して超過累進税率で課税されるので、長期譲渡所得よりはるかに高い税金をAは納めることになります。

参考文献 山田煕、中森真紀子 『信託の税務 相続税対策としての戦略的活用本』 ぎょうせい

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2006年7月 5日 (水)

日本政策投資銀行の知的財産融資

1.         日本政策投資銀行

日本政策投資銀行(DBJ)という政府系の金融機関があります。

この銀行は、日本開発銀行を母体として設立されたような銀行であることから産業界への長期資金の供給を目的としています。

DBJが知的財産をからめた融資をいくつか行っています。それは、知的財産権担保融資、知的財産有効活用支援事業融資です。

2.         知的財産権担保融資

知的財産権担保融資とは、知的財産権を担保として、企業に融資するものです。

ベンチャー企業は、信用力や物的担保力(不動産)がないため、一般の金融機関から資金を調達して、事業を拡大することが難しいとされています。

そこでDBJは、ベンチャー企業の有する知的財産権を担保として資金を貸し付けることを行っています。

この場合の担保となる知的財産権とは、成立済特許権、出願中の特許(原則として出願公開前は、担保の対象になりません)プログラム著作権(コンピュータープログラム)、コンテンツにかかる著作権 その他の知的財産権となっています。

ようするに権利として認められているものを担保として融資を行います。ですから未完成の著作物のようなものを担保とする融資は行えません。これは知財信託の信託財産に未完成の著作物がなれないのと同じです。

資金が最も必要なのは、特許権や著作権が完成するまでの過程においてですが、DBJは、権利を取得する前の段階の企業に対する融資としては、新株予約権付融資を提供しています。これは、新株予約権を無償でDBJに割当ることを条件に融資を行うものです。この新株予約権を第三者に売却することによりDBJは投下資本の一部を回収します。

なお担保となる知的財産権の評価については、当該知的財産権等をベースとした「事業」の予想キャッシュフローの現在価値に基づいています。すでに250件以上の実績があるということなので、DBJにはこの評価方法に関してノウハウが蓄積されていると思います。信託大好きおばちゃんとしては、現在価値に割り戻す場合の割引率がいくらくらいなのかが非常に興味があります。ベンチャー企業でリスクがあるので、かなり高い数値になると思いますが、

3.         知的財産有効活用支援事業融資

知的財産有効活用支援事業融資とは、知的財産を流動化する場合に行う融資のことです。知的財産権担保融資は、知的財産権を作り出した会社に行いますが、こちらは、知的財産権を譲り受けたSPCに対して行います。

 すなわち知的財産を取得した企業がSPCに知的財産権を売却します。SPCはこの知的財産権の購入代金をDBJの融資と投資家からの出資で賄います。DBJや投資家に対する収益の分配は、知的財産権の使用料から賄います。

DBJは政府系の金融機関であるからこそできるものかもしれませんが、このような資金調達が広まることを期待しています。広まるためには、知的財産の評価の確立が必要であり、この辺のノウハウを是非、開示していただきたいのですが、

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2006年7月 4日 (火)

日英租税条約と信託

1.      租税条約って何

信託大好きおばちゃんのブログでは、しばしば租税条約という言葉が登場します。これは、2国間で課税上の問題がおこったときに、どのように解決するのかを決めている条約です。

もちろんそれぞれの国においても課税上の問題がおこったときの解決方法は国内法でも規定されています。もし租税条約と国内法がバッティングした場合は、租税条約の規定を原則として優先させます。

2.      新しい日英租税条約

日本とイギリスの間でも租税条約は締結されています。そして新しい租税条約が平成18年2月2日に署名されました。ただいつから発効されるかは、未確認です。信託法と同様に国会を通っていないのかもしれません。

この日英租税条約で、配当や利子、使用料をイギリスの会社が日本人や日本の会社に支払った場合や日本の会社がイギリス人やイギリスの会社に支払った場合に徴収する源泉税率について決めています。

配当        新条約    現行条約

議決権割合50% 以上保有       0%     10%

議決権割合10%以上50%未満     5%    10%か15%

議決権割合10%未満          10%     15%

受取人が年金基金             0%

利子

受取人が年金基金や金融機関、政府   0%     10%               

その他                     10%     10%

使用料                    0%     10%

3.      信託の場合の租税条約の取り扱い

日米租税条約では、信託財産についての租税条約の取り扱いについてほとんど書いていないのでどうしたらいいの?というところが多いのですが、日英租税条約では、それなりに書いています。

日本で組成した信託がイギリスの株式に投資したような場合で、イギリスの会社の議決権の50%以上を所有しているから、配当の源泉税を免除する場合は、受益者の50%以上が条約適格者である日本の居住者や日本法人である必要があります(新条約22②(g))。

源泉税率が5%や10%の適用を受けようとする場合は、受益者が日本人や日本法人だったら、信託財産が条約適格にあてはまらないような場合でも彼らに配賦される所得について条約の適用が受けられるのではないかと考えます(新条約22①)。でも投資信託で受益者が頻繁に変わるような場合はどうしているのでしょうか。受託者が租税条約の特典を請求できるとなっていますが(日本側交換公文③)。

4.      年金信託の場合の租税条約の取り扱い

租税条約では、配当や利子を受け取るのが年金基金の場合は、源泉税は免税としています。この年金基金にあてはまるのは、信託がらみで考えると、厚生年金基金、適格退職年金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金のような企業年金であり、これらの年金の財源にあてるためにイギリスの金融商品に投資して、収益の分配を受けた場合には、収益の分配(利子や配当)に対する源泉税は免税となると考えます。

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2006年7月 3日 (月)

リース会計が改正されたら

1.新聞によると

平成18年6月29日の日本経済新聞朝刊によると企業会計基準委員会は、リース会計基準の見直しの原案をまとめたようです。

これによると、現在の会計では、リース料を支払ったときに費用処理していたファイナンスリースも基本的には、資産と負債に計上して、毎期減価償却や支払利息という形で費用計上してくださいということになります。

国際会計基準や米国会計基準と日本の会計基準が乖離している部分のひとつがこのリース会計でしたが、これを近づけることだと思います。ただ航空業界など、現行会計のメリットを享受しているところは影響が大きいし、リース業界も当然大きな影響を受けるので、改正までは時間がかかるかもしれません。

2.リースとレンタルってどう違うの?

リースと似たようなものでレンタルというものがあります。どちらも賃貸料を払って資産を利用するという点では同じです。でもレンタルは不特定多数の人向けに短期間利用してもらうというようなものですが、リースは特別の人のために長期間利用してもらうようなものです。

3.ファイナンスリースとオペレーティングリースって

今回の改正の対象になるのはファイナンスリースといわれるもので、リース取引のほとんどを占めているものです。これは、中途解約ができなくて、リース料で資産の購入代金やら利用期間の金利やら、その他もろもろの諸経費がすべてカバーされているようなものです。ようするに実態としては賃借人が資産を借金して買ったようなものだけど、会計上は、払った賃料を費用処理すればいいですよ。その結果、資産と負債が帳簿に載ってこないので、バランスシートがスリム化されますよというようなメリットのあるものですl

一方オペレーティングリースというのはレンタルも含まれると思いますが、中途解約ができ、リース料で諸費用が全部カバーされるというようなものではありません。

4.現行の会計では、

現行の会計によるとファイナンスリースの賃借人は、支払った賃借料を処理していますが、上場会社等では、リース物件の取得価額、減価償却累計額、未経過リース料相当額、支払リース料や、減価償却費相当額、利息相当額の計算方法の注記が必要になっています。

また商法の時代は、リース契約により使用する重要な固定資産は注記しなければならない(商法計算書類規則18条の2)となっていましたが、会社法になり、注記する内容が期末のリース資産の取得原価、減価償却累計額、未経過リース料相当額 そのほかリース物件にかかる重要な事項となります(会社法計算規則139条)

リース会計が改正されると、これらの注記事項で書かれた内容をバランスシートに計上しましょうということになるのではないでしょうか。そして毎期支払ったリース料は、減価償却費と支払利息として費用処理しましょうということでしょう。

5.現行の税制では

それでは税制はどうなっているでしょうか。税制も会計と同じような考えで賃借料処理を認めていますが、たとえばその資産の耐用年数が10年未満の場合でリース期間が70%を下回るような取引などは、その資産を購入したものとして計算してくださいということになっています。 つまりリース期間よりも長い期間で税務上は費用となっていきます。

6.消費税が問題だ

リース会計が改正され、リース税制が今のままだとどのような問題がおこるのでしょうか。

信託大好きおばちゃんは、法人税よりも消費税の方で問題があると考えています。

税務上も会計上も資産処理となると、リース資産を計上した時点で、資産の購入のために支払った消費税を、消費税の計算上、控除することができると考えます。

でも税務上は賃貸処理、会計上は資産処理となると、会計上は毎期減価償却と支払利息計上を計上するけれども、消費税は、毎期支払った賃借料について発生すると考えるので、毎期支払ったリース料について発生した消費税を控除していくことになるのかなと思っています。

ところでリース料のうち金利や保険料部分が明確に契約において区分されている場合、金利等の部分の消費税は差し引けないとされています。今注記で利息相当額がいくらと書いていますが、これは契約で書かれたものではなく、リース会社からの資料に基づき、会社が一方的に計算しているから特に問題視はされていないのかもしれません。

会計上利息部分と減価償却部分を区別して計上した場合の利息部分の消費税は、なんて細かい改正はして欲しくないですね♪

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2006年7月 2日 (日)

井沢元彦さんの逆説の日本史 ~卑弥呼は天照大神だった~

1.卑弥呼って誰?

先週に続いて井沢元彦さんの『逆説の日本史』です。今日は1.古代黎明編の中の卑弥呼編からです。

卑弥呼というのは、古代日本の国のひとつである邪馬台国の女王として君臨した人といわれています。彼女は、神霊につかえた巫女であり、神の言葉の代弁ができるということで、人々から敬われ、女王としての地位を築いたのだと思います。

神秘的な卑弥呼は、紀元248年に死亡したといわれています。死因はなんだったのでしょうか。通説は、自然死のようですが、松本清張さんは、殺害説を唱えています。井沢元彦さんも殺害説を採用しています。

2.なぜ、誰に卑弥呼は殺害されたの?

卑弥呼は邪馬台国の女王という地位を築いた人ですが、それではなぜ、誰に殺害されたのでしょうか。

井沢元彦さんは、卑弥呼の霊力が衰えたので、これでは国を安定して統治することができないということで、不安に思った民衆に殺されたのではないかとおっしゃっています。

この当時の日本では、太陽信仰というのがあったと井沢さんは推測しています。そして卑弥呼は太陽信仰の化身であるから、自分を信じることが、民衆の、そして国の繁栄につながるというように説得して、女王としてのポジションを得たのではないでしょうか。卑弥呼というのは『日巫女』つまり太陽神に使える巫女さんということなのかもしれません。

ところが卑弥呼が死亡したといわれる248年に、皆既日食が起こったのです。日食とは月が地球と太陽の間を通ることによって、太陽が昼間に隠れて、真っ暗になる現象です。

この当時天災が起こった場合は、王の統治能力に問題があったからということで殺された王もいます。

ということは、皆既日食が起こったのは、卑弥呼の霊力が劣ったからである。王の霊力が衰えると、国力も衰える。これでは国が滅びてみんなが困るから、王には死んでもらおう、そして新しい王を即位させ、国が栄えるようにしようと考えて、殺されたのではないでしょうか。ちなみに卑弥呼の死後、壱与という少女が、後をついで女王になったといわれています。

3.卑弥呼と天照大神との関係

さて卑弥呼は、天災の責任をとって?殺されたのですが、彼女は殺されたことにより伝説の人として永遠に日本人の記憶に残ったと井沢さんは主張しています。それは卑弥呼伝説ではなく、天照大神の神話としてです。

天照大神というのは大和朝廷つまり今の天皇のご先祖様の、ご先祖様のような存在です。

この天照大神の岩戸隠れという話があります。あるとき天照大神の弟たちの仲たがいに天照大神は切れて、天の岩屋に隠れてしまいました。天照大神というのは太陽神のようなものなので、岩屋に入ってしまうと世の中は真っ暗になります。そうするとみんな困るので、人々は岩やの前に集まり音楽を奏でたりして岩屋からでてもらうように努めました。そして大神が岩屋から姿を現し、再び世の中は明るくなりましたというお話です。

この天照大神が岩屋に入って、再びでるというのは、248年の皆既日食をモチーフにしたのではないかと井沢さんは言われています。つまり岩屋に入った天照大神は、卑弥呼であり、再び現れたのは、リニューアルされた女王である壱与ではなかったかと。

ということは、卑弥呼は天皇制の原点であり、邪馬台国は、大和朝廷の源流ではないかということです。

なかなか面白いですね。 井沢さんの逆説の日本史から目が離せません。

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2006年7月 1日 (土)

谷川浩司さんの『集中力』変化の早い時代でおばちゃんが勝つためには~

1.なぜ棋士の本を読むか

信託大好きおばちゃんは、人生をどう生きるべきか、どのような意思決定をすべきかで悩んだとき、棋士の羽生善治さんや谷川浩司さんの書かれた本を熟読します。

 棋士の方の書かれた本といっても、信託大好きおばちゃんは、全く将棋のルールを知らないので定跡が書かれたような本ではありません。

どうすれば勝てるか、どう生きるべきかという、普遍性と永遠性のある問題について書かれたものです。

将棋は単なるゲームというとそれまでですが、非常に高度な思考力を問われるものであり、ビジネスの現場での判断に相通ずるところがあります。また論理を飛躍せずに丁寧に追っているので、内容もさることながら、書き方が非常に勉強になります。

今日ここに書くのは谷川浩司さんの『集中力』の内容のうち 信託大好きおばちゃんのような中年の負け組みでも、変化の早い時代で勝つために何をすればいいかということです。

彼は中高年が変化の早い時代に勝ち残るためには2つの方法があります。ひとつは最先端の手法を学ぶ、もうひとつは自分の戦法を続けて勝つことといっています。

2.最先端の手法を学ぶこと

 将棋の世界だけでなく、ビジネスの世界、税務の世界に限定しても最近は非常に変化が早いです。 会計が変わり、会社法が制定され、税法も世の中の動きに対応してここ4,5年、猛烈に改正されています。

毎日、毎日、吐きそうになりながら、文献を読み、インターネットで情報を入手し、専門家同士で議論をしても、全然追いついていません。

若い人と比べて、記憶力や体力が日々衰えているのは事実であり、若い人の何倍もの時間をかけて努力をしているはずなのに、効果はそれほどです。

しかしだからといって最先端の手法を勉強しないと取り残されています。将棋の世界では50歳を超えた米長さんが名人をとられましたが、その前の数年、自分の子供のような世代の棋士に教えを請うたそうです。プライドもかなぐり捨てですね。

彼のこの一皮剥けて(プライドを捨てて)新しいものに飛び込んだ姿勢と、長年にわたる経験が名人位になったのでしょう。

やはり信託大好きおばちゃんは現在の努力をやめたら負けですね。

3.自分の戦法を続けること

 これは中高年だからできるものでしょう。なんといっても何十年という経験とその経験に基づいた知恵やノウハウがあります。すごく頭のいい若手が現れたといっても、長年の経験に裏打ちされた分野では勝てません。得意な分野を確立し、他の追随を許さない第一人者というか権威になることです。

日本という国は権威に非常に弱いところがあるので、ひとたび権威になれば、あとは自分の生きている間、自分をひっぱたく奴はあらわれない。

でも彼は、ここで、経験はプラスにもなるがマイナスにもなるといっています。自分が偉くなってしまうと、新しい考え方をもった人が現れたとき、その人の考えがどうなのかということを、本質まで踏み込んで思索して、その結果としてだめという判断をせずに、ぱっと判断をして、つまり先入観というか思い込みでだめとか判断して、新しい発想を受け入れないことです。

新しい才能の目が摘まれるという問題もありますが、長い目でみると、そんな狭量な権威者がいつの間にか裸の王様状態になり、慇懃に退場させられてしまいます。

谷川さんは『30年以上にわたるキャリアを育んだ閃きを大切にしている。目先の新しさに負けず、先入観にしばられずに閃きを恐れず繰り出せる思考力を養うことが勝ち抜くポイントと考えているのである。』 とおっしゃってます。

信託大好きおばちゃんも新しい知識を自分のものにしようという努力をそれでも毎日毎日続けながら、自分独自の分野を確立し、若い人に教えてもらう姿勢を続けなければと思います。できるかな、でもできないと負けなんでしょうね♪

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