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2006年7月31日 (月)

丸島儀一さんの「キヤノン特許部隊」~クロスライセンス契約と 交渉の極意~

 丸島儀一さんは、キヤノンで特許一筋にお仕事をなさり、専務取締役まで極められた方です。ゼロックスなど海外の巨大企業と丁々発止でやりあい、有利に交渉を進めて、現在のキヤノンの隆盛の基盤を作られた方だと思います。その方が、キヤノンでの特許戦略、ひいては交渉の極意のようなものを書いたのが「キヤノン特許部隊」です。

1.クロスライセンス契約とは

 クロスライセンス契約とは、企業が持っている特許を包括的にまとめて、お互いに供与しあいましょうというものです。

 お互いに供与するライセンスの価値が同じであるならば、ライセンス料の受け払いは0となり、どちらか一方が有利な場合は、差額の受け払いが生ずることになります。

 キヤノンの個別財務諸表を読むと 平成17年12月期の特許権収入が、209億2,400万円あります。これは、クロスライセンス契約を他の企業と結び、キヤノンの方が優位なので、差額として受取ったライセンス料だそうです。

 キヤノンは、特許部門が強い会社といわれていますが、特許部門はこの特許権収入を最大化させようという戦略は持っていません。特許収入を受取るということは、相手方に自分の強みを与えてしまうことになり、自分の事業の強い部分が、なくなってしまうことにもなるからです。特許というのは、誰にもライセンスを与えず、自分たちで独占して利用するのが、一番利益になるようなものなので、

2.クロスライセンスで有利に交渉する極意とは

 自分たちだけで特許を独占するのが、一番の利益になるのですが、今の製品は、一つの特許でできるものはありません。数多くの特許を利用することになるので、当然他者の特許も利用せざるを得なくなるのです。

 そうするとそのような特許を持っている企業に、ライセンスを与えてくださいということになるのですが、もし直接ライセンスをくださいといってしまうと相手に足元を見られてふっかけられてしまいます。そうするとライセンスフィーが上がるので、製品原価が上がり、企業の利益を圧迫するのでよろしくない。

 ですから交渉の極意は、ものすごく欲しいライセンスがあっても決して欲しいといわないということです。相手の持っている特許をすーっともらってくる。あとでわかっても、どうすることもできません。

 それと自分のところの持っている本当に重要な特許、それがあるから製品が売れるんだというようなものは絶対に出さないということです。

 またこの著書では外国の弁護士とのつきあいについても記述しています。優秀な弁護士というのは、相手が何を考えているのかがぱっとわかるような感性を持っているそうです。交渉ごとは、いかに自分に有利な着地点へ到達させるかということですが、そのためには自分の主張だけをしていてもどうにもなりません。そのために必要な能力の一つとして相手のねらいを見抜く能力が必要ということなのでしょう。

 あたりまえのことなのかもしれませんが、ビジネスで勝つためにどうすればいいのかという本質を語っている一冊ではないかと思います。

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