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2006年7月 5日 (水)

日本政策投資銀行の知的財産融資

1.         日本政策投資銀行

日本政策投資銀行(DBJ)という政府系の金融機関があります。

この銀行は、日本開発銀行を母体として設立されたような銀行であることから産業界への長期資金の供給を目的としています。

DBJが知的財産をからめた融資をいくつか行っています。それは、知的財産権担保融資、知的財産有効活用支援事業融資です。

2.         知的財産権担保融資

知的財産権担保融資とは、知的財産権を担保として、企業に融資するものです。

ベンチャー企業は、信用力や物的担保力(不動産)がないため、一般の金融機関から資金を調達して、事業を拡大することが難しいとされています。

そこでDBJは、ベンチャー企業の有する知的財産権を担保として資金を貸し付けることを行っています。

この場合の担保となる知的財産権とは、成立済特許権、出願中の特許(原則として出願公開前は、担保の対象になりません)プログラム著作権(コンピュータープログラム)、コンテンツにかかる著作権 その他の知的財産権となっています。

ようするに権利として認められているものを担保として融資を行います。ですから未完成の著作物のようなものを担保とする融資は行えません。これは知財信託の信託財産に未完成の著作物がなれないのと同じです。

資金が最も必要なのは、特許権や著作権が完成するまでの過程においてですが、DBJは、権利を取得する前の段階の企業に対する融資としては、新株予約権付融資を提供しています。これは、新株予約権を無償でDBJに割当ることを条件に融資を行うものです。この新株予約権を第三者に売却することによりDBJは投下資本の一部を回収します。

なお担保となる知的財産権の評価については、当該知的財産権等をベースとした「事業」の予想キャッシュフローの現在価値に基づいています。すでに250件以上の実績があるということなので、DBJにはこの評価方法に関してノウハウが蓄積されていると思います。信託大好きおばちゃんとしては、現在価値に割り戻す場合の割引率がいくらくらいなのかが非常に興味があります。ベンチャー企業でリスクがあるので、かなり高い数値になると思いますが、

3.         知的財産有効活用支援事業融資

知的財産有効活用支援事業融資とは、知的財産を流動化する場合に行う融資のことです。知的財産権担保融資は、知的財産権を作り出した会社に行いますが、こちらは、知的財産権を譲り受けたSPCに対して行います。

 すなわち知的財産を取得した企業がSPCに知的財産権を売却します。SPCはこの知的財産権の購入代金をDBJの融資と投資家からの出資で賄います。DBJや投資家に対する収益の分配は、知的財産権の使用料から賄います。

DBJは政府系の金融機関であるからこそできるものかもしれませんが、このような資金調達が広まることを期待しています。広まるためには、知的財産の評価の確立が必要であり、この辺のノウハウを是非、開示していただきたいのですが、

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