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2006年7月 9日 (日)

野口悠紀雄さんの『金融工学、こんなに面白い』~株式で大儲けできるのか~

1.でも金融工学は難しい

 野口悠紀雄さんの『金融工学、こんなに面白い』というのは、現在の金融商品のしくみの基礎に関してわかりやすい言葉で表現したものです。

 とはいっても数学的素養の少ない信託大好きおばちゃんはブラックショールズの方程式の説明で「まず、株価の動きをブラウン運動として記述する。確立過程論を用いて、オプション価格が満たすべき条件を見出す。この過程で、『伊藤のレンマ』を用いる。得られた編微分方程式を変換すると、物理学で研究されてきた熱伝導方程式と同じものが得られる。これが、『ブラック=ショールズの微分方程式』である。これを解けば、オプションのプレミアムが得られることになる(注)。」となっているのを読んで、頭が痛くなり思考がとまってしまいましたが、

 で今回書くのは、金融工学の中身の方ではなく、株式で大儲けできるかという数学的素養が必要でない方のお話です。

2.効率的な市場は3つある

 なぜ株式で大儲けできるかというと、人が手に入れない情報を入手して、将来の株価の上昇を読み、株式に投資をすることができるからです。このように情報を入手して、人より大儲けできるような市場のことを非効率な市場といいます。効率的な市場というのは、そのような情報がすでに株価に織り込まれているので、大儲けができないのです。

効率的な市場というのは3つに分かれます。過去の株価に関して効率的な市場、公開されているすべての情報に関して効率的な市場、未公開情報も含めて効率的な市場です。

3.過去の株価に関して効率的な市場

これは、過去の株価をいくら分析しても、将来の株式の上昇は読めないような市場のことです。

現実の株式市場で株価はランダムウォークな動きをしているので、これはあたっています。ですから罫線分析やチャート分析はあまりあたらない。でも人はやっぱり罫線分析をしてしまう。なぜならランダムな動きというのを信じないので、そのような動きをしても何か法則があるに違いないという錯覚に陥りやすいからだそうです。

4.公開されているすべての情報に関して効率的な市場

これは公開されている情報 たとえば決算短信や有価証券報告書の情報を投資家が手に入れて分析しても、それにより大儲けはできないということです。なぜならこれらの情報は、すぐに市場に広まるので株価に織り込まれてしまうからです。

5.未公開情報も含めて効率的な市場

この未公開情報というのは2つにわかれます。ひとつは証券アナリストのようなプロがもたらす有料の情報であり、もうひとつはインサイダー情報です。

このアナリストのような人がもたらす情報が有用かどうかで野口さんは、投資信託のパフォーマンスが、市場全体のパフォーマンスの平均を下回るという事実から、あまり有用ではないとされています。

つまりプロであっても株で大儲けはできない。

それではインサイダー情報はどうでしょうか。たとえば企業が大合併するような情報を事前にキャッチして株式を買い、情報が公開されるやいなや売却するようなことですが、これは確実に儲かります。しかし、インサイダー取引については、村上ファンドの例をとるまでもなく証券取引法違反ということで、手が後ろに回るリスクがあります。

つまりこのことから考えると効率的な株式市場においては、株式で大儲けができないという結論になるわけです。でも大儲けしている人たちがいっぱいいる。なぜだろう???

注  野口悠紀雄『金融工学、こんなに面白い』文藝春秋 P161

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