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2006年8月31日 (木)

純資産の部と株主資本等変動計算書

1、会社法になって

会社法になって、決算書の表示の仕方の改正が行なわれています。一番、大きい改正は貸借対照表の純資産の部(旧資本の部)かなと思います。

純資産の部というネーミングに変って、この部分は、資産と負債の差額について内容を分析して、大きく分けて3つのカテゴリーにわけます。株主資本と評価,換算差額と新株予約権です。

2、株主資本

 株主資本とは会社の財産(資産-負債)のうち、株主に帰属する部分のことです。この部分は6つのカテゴリーにわけます。すなわち資本金、新株式申込証拠金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式に自己株式申込金。このうちよくみるのが資本金、資本剰余金、利益剰余金に自己株式。

資本剰余金の中身は2つのカテゴリーにわかれていて、資本準備金とその他資本剰余金。利益剰余金の中身も2つのカテゴリーにわかれていて、利益準備金とその他利益剰余金にわかれてます。

商法時代と異なるポイントとしては、その他利益剰余金の中が積立金と繰越利益剰余金となることです。繰越利益剰余金って、いわゆる当期未処分利益ですが、

3.評価、換算差額等

これは、資産と負債の差額のうち株主資本に帰属しないもの ゴミ箱勘定みたいなものといったら失礼ですが、メンバーとしてはその他有価証券評価差額金(旧 株式等評価差額金 これで財規と一致)繰延ヘッジ損益(ヘッジのためにデリバをつかったけど、特例処理が使えなかったような場合、両建てBSにあがるもの、ただし税効果部分は別掲表示のはず)それと土地評価差額金(バブルが崩壊した後、一時期、土地の含み益の計上を認めていた。この評価差額として計上していたやつを減損した場合の会計処理がえぐかったなあ)。

3.新株予約権

そんでもってしんがりが新株予約権 新株予約権ってストックオプションのように「ただ」だけじゃないからね。ブラックショールズのように文系には理解のできない算式でお値段をつけて発行した場合は、ここに表示されます。 宝くじの発行残高みたいなもの

4.株主資本等変動計算書

 これは純資産の部の株主資本の1事業年度の変動をあらわしたもの。通常は当期純利益プラス剰余金の配当あたりが変動項目じゃないのかな。エクセルで様式を作っといたら、簡単にできますね。後注意が必要なのは、注記を忘れないでおくこと。特に剰余金の配当、これは申告につながるから、

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2006年8月30日 (水)

ビジネスモデル特許

1.ビジネスモデル特許

ビジネスモデル特許という言葉をときどき耳にします。これって何かというとビジネスの方法や仕組みに新しい特徴があり、その特徴をIT(情報技術)等の技術を利用して解決した発明に対する特許

(上原勉、川井隆、中山寛二 はじめての知的所有権 改訂第三版 法学書院 P72)だそうです。

つまりビジネスモデル特許というのは、新しいビジネス上のしくみとそれを可能にするIT技術の2つから成り立っているようなもの。

ビジネスモデルを考え出して、それで大儲けをしたからといって、それだけを切り出して特許として申請することはできません。IT関連 たとえばデータ処理に関する卓越した技術を作り出してもそれだけでビジネスモデル特許とはいいません。両方必要なのです。

2.どういうものがビジネス特許というか

 上記で引用した「はじめての知的所有権」においていくつかのビジネスモデル特許が紹介されていますが、そのうちの1つをこちらでも紹介します。

逆オークション特許!

オークションというのは、1人の売り手が商品をだしてきて、複数の買い手がいくらで買うかをせりにかけていき、一番高い値段をつけた人が買うことができるというやつですよね。

逆オークションというのは、1人の買い手に対して、複数の売り手が商品をだしてきて、いくらで売るかをせりにかけて、一番低い値段をつけた人が売ることができるというようなものです。

このしくみだけだったらたんなるビジネスモデルなのですが、これにIT技術をかますのです。

つまり買い手がある商品を1万円で買いたいという意思をサーバーに送信すると、その商品を売っている業者にも情報がいき、いくらで売れるかということをサーバーへ送信してもらいます。 A社が11,000円 B社が1500円 C社が1万円という回答のような場合、買い手には一番安い値段を提示した1万円で売れますという回答を連絡するというようなものです。

このポイントは、誰がいくらでなら売れるかという情報(一歩間違えると値崩れや、信用不安を起こすかもしれない)を購入者や競合他社に知られずに商品を売れるというところです。ホテルや航空券の予約においてよく使われているものですが、これが米国特許第5794207号「逆オークション特許」だそうです。

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2006年8月29日 (火)

事前確定届出給与と出向

1.事前確定届出給与って何?

事前確定届出給与って、平成18年の改正で可能になったもので、簡単にいうと事前にいつ、いくら払うということを決めたような賞与で、決めたとおりに1円の狂いもなく支払った場合は、損金(税務上の費用)として認めてあげましょうというものです。

以前の税法では、役員に対する賞与は、利益の分配のようなものだから配当と同じように損金になりませんでした。ただ取締役工場長というような肩書きの人に支払った賞与のうち、従業員としての働きに見合う部分については、損金として認められていました。

2.出向した場合

別会社に従業員を出向させるということはしばしばあります。この場合その従業員の働きに対する給与の払い方ですが、従業員に対して出向先法人が直接支払うこともあれば、出向先法人が従業員の給与見合いを出向分担金として出向元法人へ支払い、出向元法人が従業員に給料を支払う場合もあります。

もし従業員が出向して、出向先法人で常務取締役になった場合はどうなるのか。出向先法人が直接、常務取締役に賞与を支払った場合は、原則的には、損金とならない。常務取締役に直接支払わず、出向負担金として出向元法人に賞与を支払った場合も、その部分は損金にならないと思うのです。

3.出向して常務取締役となった人に対して支給する賞与が事前に確定している場合はどうなるのか。

それでは、出向して常務取締役になった人に対して支給する賞与が事前に確定している場合はどうなのでしょうか。

これも要件を満たしている場合は、賞与部分は損金となると思います。

出向先法人が直接支払う場合は、普通の会社と同じパターンで問題はないと思います。

では、出向負担金を出向先法人が出向元法人に支払うような場合で、その賞与に対して事前確定給与の適用を受けようとする場合はどうなるのか。

届出に支給日とか書いてあるけど、このケースの場合は、出向元法人に負担金を支払った日なのでしょうね。

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2006年8月28日 (月)

社債発行差金がなくなってしまった。

1.昔、簿記を勉強していたころ

むかし、むかし、信託大好きおばちゃんが、まだういういしくて可愛かったころ、社債の仕訳のパターンを一生懸命勉強した記憶があります。

100万円の社債を90万円で期首に発行した。期間は5年間

発行時の仕訳は 現金 90万円   / 社債 100万円

       社債発行差金 10万円/

1年目の期末の仕訳は

      社債発行差金償却 2万円 社債発行差金 2万円

以下略

2.負債の計上額の改正

このように、社債を割引発行した場合の仕訳は、額面で社債を計上し、払込額との差額を社債発行差金として計上、これを償還までの期間に応じて均等償却していたと思います。なぜこのように総額で計上していたかというと、旧商法では、社債は社債金額で貸借対照表に計上しないといけないというルールがあったからです。

でも会社法では、払込金額が債務額と異なる場合は、時価または適正な価額で計上することが認められることが可能になりました。

つまり上記の場合は、

 現金 90万円/社債 90万円 というような仕訳が可能になったことか。

3.払込額と債務額の差額の処理

では100万円と90万円の差額の処理はどうなるかというと、社債を購入した場合に計上するような方法、償却原価法で差額を毎期計上していくことになるようです。

この償却原価法には2つ方法があって 原則が複雑系の利息法、例外が定額法です。

利息法帳簿価額に実効利子率(将来キャッシュフローの現在価値が取得価額に一致するような割引率)を掛けた金額を各期の利息配分額とし、それとクーポン利子額(利札部分の利息)の差額を帳簿価額に加減する(経営財務No2783)。

なかなかイメージしにくいな。一回仕訳をきればいいのだけど、今、大阪空港で急いで書いているので仕訳が作れないのだ。

4.社債発行費はどうなる?

これも経営財務NO2783によると 原則は支出時に営業外費用として処理、例外として償還期間までの期間にわたり、利息法(継続適用を条件として定額法)で償却をしなければならない そうです。

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2006年8月27日 (日)

格差社会を促している国 シンガポール

1.日経ビジネスによると

日経ビジネス2006.8.21で、シンガポールの移民、金融政策について特集をしています。

シンガポールという国は、日本同様、資源のない国で、外国からの資本の流入がないとしぼんでしまいます。

ですから外国からの資金の流入をしやすいようにするためにさまざまな特典をあたえる一方で、低賃金の労働者の流入をシビアに抑制している政策を打ち立てています。

2.金持優遇政策

外国からお金を集めるためにどんな政策をとっているか。なぜ村上ファンドの村上さんはシンガポールに居住地を変更したのか?

 日経ビジネスによると

2003年に、100万シンガポールドル以上の資金を国内企業に投資するか、加えてベンチャーキャピタルや財団などに投資して計150万シンガポールドルに達するか、さらに住居を購入することで合計投資額が200万シンガポールに達した個人は永住権を得られる制度を設けた。

しかも2004年から居住、日居住にかかわらず、国外からの所得は免税、富める者が楽に活動できる環境を整えたのだ。』

 すばらしい。たぶん投資ファンドの稼ぎはシンガポールでは全然架からないようになっていたのでしょうね。

ちなみに村上さんは、プライベートプールやフィットネスジムを揃えシンガポールの夜景と海を一望できる高級タワーマンションで、118,400万円のおうちを購入されたそうです。

3.貧乏人にシビアな政策

 大金持をシンガポールにひきつけるためには、シンガポールの治安がよくなくてはなりません。シンガポールの治安をよくするためにどうするのか?

 そのために未熟練外国労働者への厳しい管理政策を行なっています。つまり『就労条件は、職種などで厳しく決められている。起業は禁じられ、住む場所も限定される。しかもこうした外国人労働者がシンガポール国籍や永住権を持つ住民と結婚することは禁止されている。 例えばメードとして働く外国人女性は、もともと永住権保持者を含むシンガポール人と結婚していたか事前に許可を受けた者でなければ出産が禁じられ、妊娠すれば帰国させられる』

 この文章を読んで、強烈と思わない日本人は、あまりいないような気がします。絶対に日本ではできない。でもこのくらい徹底しないとお金の出し手にとって魅力ある国はつくれない。

日本では、最近、格差社会といわれ、これをどうするかについて、阿部さんが総裁選の前哨戦で主張されているように、否定的な考えがあります。一方シンガポールは、国が主導して格差社会を作ろうとしている。日本人には、ついていけない面もありますが、参考になる話題だと思います。

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2006年8月26日 (土)

土曜日の雑談 8/26

 信託大好きおばちゃんを始めて、1年近くなります。この間に前の職場をやめて、4ヶ月ほど、蟄居謹慎生活を送っていました。

が、先月末に突然、天の声がかかり、わーっと新しい職場が決まり、今週の月曜日から東京で働いていました。今日は大阪に戻っていますが、

今までずーっと大阪で働いており、東京へは、出張やら勉強会やら編集会議やらで、チョコチョコ出かけておりましたが、東京で定住して働くことは私の人生にはないと思っていました。それがある日突然皇居を眺めながら働く人生に切り替わってしまったのです。

プロフィールにも書いているのですが、税理士という資格をもっています。普通、税理士といったら、中小企業の帳簿をつけて、決算して、申告して、税務調査があったら立ち会ってというのが主たる仕事なのですが、私はこのスタンダードからは、かなり離れているけど全然畑違いではない仕事をここ数年はやっていました。

前職をやめたとき、次は独立して、スタンダードな税理士をめざすという方向性も当然考えられたのですが、それだけは、人生の失敗に繋がるからやめとこう、しばらくふらふらしていた方が、いい方向に転ずるだろうと思っていました。

で、縁あっての現職ですが、やっぱりスタンダード税理士とは全然違う色合いの仕事です。では全然畑違いかというと、これまたそうでもない。日本の首都のそのまた中心じゃないとできないような不思議な仕事です。税金をこなす側でずっといたのですが、今度は作る側に近いのかもしれません。信託のまわりの税務をこつこつ書いていたのですが、これは、関連があるので今までの積み重ねが役に立ちます。

やっぱりこうありたいと願って毎日努力していたら、運命も思っている方に動くのかもしれません。

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2006年8月25日 (金)

現金がいっぱいある会社

1.新聞によると

今朝(平成18年8月25日)の日経新聞の一面に冥王星降格っという記事が載ってます。学生のころ、惑星の順番というのを 水、金、地、火、木、土、天、海、冥と呪文のようにとなえて覚えた記憶があります。このメンバーのしんがりにいてる冥王星が惑星から矮惑星に降格処分だそうです。他の惑星より小さいから。惑星かどうかなんて、どーでもいいことのように思えるのですが、どーでもよくない人たちがいるのでしょう。

で、冥王星の話を展開したくとも、信託大好きおばちゃんに知識のストックがさっぱりないので、一面の別の話題 「上場企業 負債依存度30%下回る」という記事の方を書きます。

直近の上場会社の決算によると、バブル期の後の負の遺産の整理も終わり、財務体質が改善している企業が多いようです。なんでも実質無借金の会社が3社に1社だそうです。これはすごいことでしょう。

2.手元資金超過額ランキング

今日の日経(平成18年8月25日)には、手元資金超過ランキングというのがあります。手元資金超過額とは現金預金+短期有価証券-有利子負債額、つまり借金を全部かえしてもいくらお金が残るかを表したものです。ベストテンと金額は

1. 武田薬品工業   18,510億円

2. 松下電器産業   11,312

3. キヤノン      9,729

4. 任天堂       8,763

5. 日本たばこ産業 6,830

6. アステラス製薬 6,224

7. 第一三共    4,815

8. ファナック   4,715

9. 村田製作所   4,304

10.   信越化学工業  3,568

(日本経済新聞 平成18年825日 朝刊第一面より)

という感じで、製薬会社がベストテンに3社も入っています。薬品会社は膨大な試験研究費がでていくのですが、それを凌駕するような儲けがあるのでしょう。

意外だったのが、天下のトヨタがないことですね。おそらくトヨタも無借金経営状態と思いますが、資金を寝かさず、事業に回しているからでしょう。

3.武田薬品のキャッシュフロー計算書をみてみると

武田薬品の平成18年3月期の連結キャッシュフロー計算書をみていると 営業活動によるCF(キャッシュフロー)373,575M円、投資活動によるCF6,566M円、財務活動によるCF△89,290,CFの増加額361,911M円 期末現金有高1,626,235M円 つまり期末に現金が1兆6,263億円もあります。

製薬会社って現金とノウハウのかたまりだから、資金にものをいわせて購入できたら、まず損がでることはないのでしょう。それに資金をださなくても三角合併が可能になると、株主さえ納得すれば、外国の会社でも株券を発行するだけでゲットできます。

6月末に移転価格で500億円ほど追徴されたというネタをこのブログで書きましたが、期末の残高の3%程度の支出なんですね。あるところにはたっぷりお金はあるということでしょう。

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2006年8月24日 (木)

リース会計と償却資産税

1.リース会計が改正されると

何度かこのブログで書いていますけど、リース会計が改正されたら系ネタです。

リース会計が改正されると、ファイナンスリースに該当するような資産で、リース料が300万円を超えるようなものについては、借り手側で資産と負債の両建てで計上しないといけません。

で、そうなるとリース資産について借り手と貸し手でどのように計上するのでしょうか。

2.借り手側の処理

借り手側では資産として計上するのですが、リース料の総額からリース期間に対応した利息部分を差引いた金額をリース資産として計上するものもあれば、利息部分を切り出さず、リース料全部をリース資産として計上するパターンもあります。

で、リース期間に対応して、減価償却を行っていきます。

3.貸し手側の処理

それでは貸して側ではどうなるのでしょうか。貸して側では、リース料の総額をリース投資資産と計上するものもあれば、購入原価部分をリース投資資産として計上するものもあります。で、リース料を回収するごとにリース投資資産を減額させていきます。

4.償却資産税って何

 ところで償却資産税という税金があります。これは固定資産税(土地とか建物を1月1日に所有している人にかかる税金)の償却資産(機械装置、工具備品、構築物等)版だから、1月1日にこれらの資産を持っている人は、申告して税金を納付しなければなりません。

で、従来のファイナンスリースに関しては、資産に計上しているのは、リース会社だから、リース会社で償却資産の申告等の事務作業を行ってその分の料金に入っていたと思います。借り手の方もリースにすると申告する手間が省けたのでメリットがあったのです。

5.リース会計が改正されたら誰が償却資産税の申告をするの?

リース会計が改正されたら、実質的には、資産を借り手が購入したとみなして会計処理はなされます。

借り手側と貸して側の両方でリース資産が計上されるけど、減価償却を行うのは借り手で、貸し手で計上されているリース資産というのはようするに売掛金のようなものです。

さて、このような状態で、どっちが償却資産税の申告をするのでしょうか。

 借り手の方は、償却資産税の申告もしないといけないとなると手間がかかって大変だからリースなんてやめちゃえとなるかもしれません。

首の皮一枚で所有権があるリース会社なのでしょうか。でもリース会社は手間が増えるし、その分利益を上乗せできるかどうかわからないし、大変ですよね

 なんかリース会計って、国際基準にあわせるという錦の御旗で改正されると思いますが、実利で考えると当事者間ではメリットがないし、リース以外の方法で資産を手に入れることはできるから、そっちに移行していくのでしょうね。

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2006年8月23日 (水)

特定組合員に一回なると抜けられない

1.平成17年の改正で

平成17年の改正で、組合で生じた損失について、組合員の所得と通算できる部分について規制が入りました。

以前、組合を利用した節税商品が流行っていたのですが、これを封じ込めるためです。

どういうものかというと、任意組合を作って、航空機を購入します。組合員のうち一人がしきるけど、あとはお金をだすだけ、で、出資金だけでなく借入金でも購入資金を賄う。そして航空機の減価償却費と借入金の利息と賃貸収入を組合員にパススルーさせる。通常は赤字で、組合員の他の所得と通算させる。そうすると赤字分だけ税金が減る。そんでもってリース期間の最後に航空機を売却するけど、個人の場合は、航空機を5年以上所有していた場合は、所得の2分の1部分が課税ベースに乗っかってくるのでtax benefitがあるというやつでした。

で、改正により特定組合員と非特定組合員にわけ、特定組合員が個人の場合は、任意組合を使って航空機のリースをするような結果生じた損失は他の所得と通算もできないとしました。また特定組合員が法人の場合は、出資した金額に組合所得を増減させた部分を限度として損失の計上を認め、超える部分は、利益が出た時点や、出資持分を譲渡した時点まで損失を繰延ることにしました。

2.特定組合員かどうか

 特定組合員というのは、簡単にいうと金は出すけど、汗はかかない組合員のことです。任意組合は、組合員全員が組合員の事業に参加して、組合で生じるリスクに関しては無限連帯責任を負うことになります。が組合事業の参加といっても、汗をかかなくても帳簿を見る権利や、汗をかく組合員を頸にする権利がある場合は、事業に参加してることに民法上はなるそうです。でもそれを利用して、節税策が考案されたので、特定組合員という概念をもうけて、こういう組合員は損失を規制するとしたのだと思います。

3.特定組合員でないのはどんな場合か

 それではどんな組合員が特定組合員からはずれるのでしょうか。これはすべての重要業務の執行の決定に関与し、かつ、その重要業務のうちすべての重要執行部分を自ら執行していることであり、これが組合員になってから継続して行われていることが必要になるのです。

つまりずーっと仕切り続けないといけない。当初は、特定組合員であったけど、途中で出世して?特定組合員からはずれてもダメ! 当初、非特定組合員で、途中で特定組合員からはずれ、また復活というのもだめらしい。

国際税務の2006.8月号を読むと、途中で重要業務等に一回だけ不参加で特定組合員になったような場合もだめというようなことが書いています。これ怖いなあ。。。

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2006年8月22日 (火)

金剛組の営業譲渡

1.新聞によると

 今朝(平成18年8月22日)の朝刊を読むと、金剛組の広告が大きく載っています。「私たち『金剛組』は、1400年あまりの歴史と伝統を未来へと引継いでまいります。」

 金剛組という会社の事業が高松建設という一部上場会社に営業譲渡され、今後も継続して事業を行っていくということです。

2.創立年月日がものすごい

 創立年月日なんと西暦576年、大化の改新よりも後か前か、井沢元彦さんの逆説の日本史でも登場した聖徳太子が大活躍したころからずっとお寺などの建築を専門にした日本最古にして最長のゼネコンではないでしょうか。

3.なぜこんなに長く継続できたのか

 この金剛組というのは、お寺の建築のように、莫大な需要はないけれども、日本という美しい国が存続する限り、絶対に需要がなくならない分野で、独自のノウハウを徒弟制度により継続しているから圧倒的な強みをもつ会社だと思います。

 たとえば非常に優秀なIT技術者がいた場合、その人はヘッドハンティングの対象とされ、すごい条件で他の会社へ移ってしまうことがしばしばあります。

 でも宮大工さんの業界は、優れた技術者がいても、その人を引き抜いて新たに事業を展開しようとする会社が、大昔はあったのかもしれませんが、今はありえないでしょう。だから会社は続き、ノウハウも継承されていく。

この会社の専属の宮大工さんが110数名いらっしゃるそうですが、彼らこそこの会社の資産価値そのものです。宮大工さん8人の写真を拝見すると、お年をめされた方もいらっしゃいますが、壮年期の棟梁もいらっしゃって、脈々と次世代に技術が伝承されてるなと思います。

 旧金剛組は、バブル期の過大な借入金があだとなり破産しましたが、技術力が落ちてだめになったわけでは全くないし、需要は絶対にある分野なので、きちんと経営すれば絶対に残っていくと思います。

 優れた人を定着させ、継承させるような仕組みが確立し、需要がしっかりあって、他の競争者がやってこないような超過収益力をほぼ永遠に得られるようなマーケット。それが宮大工さんの世界。

このような世界って、きっと他にもあると思います。そういう会社は、本業をしっかり守りながら、世の中の変化に自分自身を見失わずに対応すれば、たとえ小さな会社でも、しっかりと利益をとりながら継続していくのでしょうね♪

 

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2006年8月21日 (月)

コナカとフタタの統合 税務、会計はどうなるのだろう?

1.新聞によると

平成18820日の日本経済新聞によると、紳士服チェーンのコナカとフタタは、平成181215日で、コナカがフタタを完全子会社(100%子会社)とすることが決まったようです。それぞれ平成181115日に臨時株主総会を開いて、株式交換の承認決議を行うようです。

さてこの株式交換を税務、会計上はどうなるでしょうか。

2.税務上は適格株式交換か?

株式交換の税制に関しては、平成18101日で改正されます。改正後は、株式交換が適格要件に該当している場合は、完全子会社も完全子会社の株主も株式交換時の課税は繰り延べられます。しかし非適格株式交換の場合は、完全子会社において資産の時価課税がなされ、株式交換により完全親会社の株式以外の資産(たとえば現金)の交付を受ける場合には、完全子会社株主において原則的に譲渡益課税がなされます。

では、このコナカ、フタタはどうなるのでしょうか。

コナカは現在フタタの株式を20.2%所有しているので、コナカ、フタタの株式交換は、グループ内組織再編にはあてはまりません。このような場合は、共同組織再編の要件を満たさなければなりません。新聞の報道だけをたよりに要件を満たしているか検討すると、

(1)    完全子会社、完全親会社で営む事業について相互に関連があるか。

どちらも紳士服チェーンだし、フタタの二田社長が①3年半にわたる資本、業務提携で信頼関係が構築されている②社内システムなどを共通化しており統合が円滑に進む③企業文化の親和性が高いから「即座にシナジー効果が実現できる」といってるからOKでしょ。

(2)    完全親会社と完全子会社の事業規模の割合が概ね5倍をこえないこと又は完全子会社の常務以上の役員が株式交換によりやめないこと

 売上規模で比較すると(単位M円)(日経平成18819日)

  コナカ  50,492

  フタタ  11,204

 ま ぎりぎり5倍のわくにおさまります。ゆえにOK

(3)    完全子会社の従業員の80%以上が株式交換後も引き続き従事することが見込まれる

 特にリストラ目的とかは書かれていないけど、非適格がおそろしいから要件は満たされているのでしょう。

(4)    完全子会社事業(紳士服チェーン)が株式交換後も引き続き行なうことが認められる

 統合して子会社の紳士服チェーンを含めると業界3位になるとか書いているから、子会社の紳士服チェーンは継続させるでしょう。

(5)    完全子会社の株主交換直前の株主が完全親会社の株式を継続して保有するか。ただし完全子会社の株主数が50人を超える場合はこの要件はいらない。

大証2部に上場しているから50人以上株主はいるでしょう。したがったてこの規定は無視

結論としては、適格株式交換はOKとなるのでしょうね。

3.会計では、

 そんでもって会計はどうなるのか。フタタは、持分法適用会社であり、株式交換により100%子会社化してしまいます。だからパーチェスなんでしょう。

 そうなると個別財務諸表上の処理は、フタタ(完全子会社)は、株主が変るだけだから特になし、コナカは、株式交換により、フタタ株式を時価で取得したものとして処理する。この時価は、原則は、合意されて公表された日前の合理的な期間における株価を基礎にするが、あまり大きな差が出ない場合は、株式交付日の時価でもOK

でもって連結財務諸表上は、フタタの資産を時価純資産で受け入れることになるけど、日経の820日の記事によるとフタタ株式の時価<フタタ社の純資産額(たぶん簿価)らしいので、負ののれん(のれんが貸方に計上されるかもしれないと書いてます。

実際はどうなるのかは、今後の開示資料で明らかになると思いますが♪

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2006年8月20日 (日)

井沢元彦さんの「逆説の日本史」~世阿弥と足利義満の関係は~

1.世阿弥って誰

 世阿弥は、室町時代を代表する能楽師であり、脚本家、演出家、作曲家であり演劇理論家である天才的人物です。

 彼は、あのお面をつけて、絢爛豪華な衣装をまとい、能楽堂で、スローモーなテンポでパフォーマンスを行う能という芸術を完成させた人です。

 彼が芸術を完成させたのは、足利義満という当時のスーパー権力者がパトロンとしてついていたことに起因しています。

 足利義満は、彼のために当時関白という位人身極めた二条良基を家庭教師としてつけ、和歌、連歌、史書など当時最高の教養を施しました。

その結果、彼は単なるアーティストとしてではなく、優れた理論書「風姿花伝」を創りました。風姿花伝の中身は知らなくても「初心忘るるべからず」や、「秘すれば花」という言葉を知っていらっしゃる方は多いと思います。

2.なぜ能では、お面をつけるのか

 さて能では、般若とかのお面をつけてパフォーマンスをすることがありますが、このお面をつけるのは演技者全員ではありません。例えば演ずるのが女性の場合や、亡霊の場合はお面をつけることになります。

 なぜ亡霊を演ずる場合はお面をつけるのでしょうか。これは亡霊を迫真の演技で演ずれば、演ずるほど、亡霊の恨みが演技者にのりうつり、祟りがおこる可能性が高くなるといわたからです。そこで上演の間だけ、怨霊が乗り移るようなシステムを作ろうということで、お面をかぶって演技をし、その間は思う存分亡霊の恨みを爆発させるが、演技が終わり、お面をとると亡霊も演技者から離れてるというふうにしたのです。

3.なぜ世阿弥なのか

 世阿弥というのは、本名ではないようです。若いころは鬼夜叉と呼ばれていました。阿弥というのは、阿弥陀仏の略ですが、別に世阿弥が僧侶であったわけでもありません。

 これは当時、死人を取り扱うような職業の人はケガレといわれ、下にみられていたのですが、僧侶だけは別格扱いされていました。そこで河原乞食といわれるような芸人で、亡霊の役も演じる彼に対して世阿弥と呼ぶことにより僧侶に準じた扱いを受けるようにしたようです。

4.世阿弥と足利義満の関係は、

 さて世阿弥と足利義満の関係ですが、井沢さんは単なるパトロンと役者の関係ではなく、ホモ関係にあったとほぼ断定していらっしゃいます。当時、そして戦国時代にはホモ関係というのは、結構あったようです。そしてホモの相手方の男性というのは、通常、美少年だそうです。そして世阿弥は、絶世の美少年だった。。。

 ホモだという色眼鏡で当時、世阿弥を見た人は多かったと思いますが、時がたっても色あせることのない彼の才能は、そんな世間の下世話な噂を完全に凌駕してますね。

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2006年8月19日 (土)

中国語検定とわたし

1.やっと中検3級に合格

 私は、プロフィールにも書いていますが、2年半ほど中国語の勉強をしています。先生についてもらって会話や文法、中文解釈に中文作文などを学んでいます。

勉強をしてもあまり身が入らないのはよくないと思って、昨年の夏ごろから中国語検定試験の勉強を始めました。去年の11月に4級に合格し、今年の6月に奇跡的(笑)に3級に合格しました。

レベルとしては4級が中国語の基礎をマスター平易な中国語を聞き,話すことができること。(学習時間120~200時間。一般大学の第二外国語における第一年度履修程度。)

3級は自力で応用力を養いうる能力の保証(一般的事項のマスター)

基本的な文章を読み,書くことができること。簡単な日常会話ができること。(学習時間200~300時間。一般大学の第二外国語における第二年度履修程度。)

参考

 3級レベルというと英検3級レベルかもしれませんね。そう考えると簡単と思われるかもしれませんが、結構大変です。特にヒアリングはなれないと難しいかもしれません。

2. 日本人の中国語学習 普通のビジネスマン向け

 日本の会社が多く中国に進出しています。そのため中国語を使う必要に迫られている人は多いし、勉強している人も多いかもしれませんが、なかなか上達するのは難しいようです。

その原因は中国語独特の4声という発音の仕方が身につかず、また日本語にはない子音の発音に嫌気がさして、初心者の段階でギブアップするからだと思います。

 この段階を超えるのに半年から1年くらいかかるのかもしれません。私も覚えが悪かったのでそのくらいかかりました。

 ただそこを乗り越えてきて基本的な単語を覚えて使えるようになると面白くなってきます。

 私の先生の感想ですが、ビジネスの現場で最低の仕事のやりとりができるレベルが3級だそうです。

 中検3級が英検3級のレベルとイコールと考えるとそうなのかな?と疑問をもたれるかもしれません。TOEICで700点や800点ないとビジネスで通用しないともいわれるところから比較すると?です。

 ここで繰り返しますとあくまで3級は最低のラインということであり、契約交渉など高度な専門的用語を駆使する場合は、通訳を使うか英語でやりとりをすることになると思います。

 そして今中国ビジネスをやっていらっしゃる方の中国語のレベルで3級に満たない方もけっこういらっしゃるそうです。

 でもそれだったらビジネスどころか中国での日常生活にも差し支えあるのではないでしょうか。

 別に中国語検定の宣伝ではありませんが、基本のマスターするためには、検定合格というのはモチベーションが高まるので有効だなと思います。

検定合格後、ビジネス中国語の教科書を読むと、わりとしっくり頭に入ってくるので、中国語が身についてきたなと実感できます。

これから中国ビジネスにかかわられる方にはお勧めのツールだと思います♪

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2006年8月18日 (金)

会社法の改正と配当

1.会社法の改正

 会社法が改正されて、定時株主総会で配当の支払い等を決めるための利益処分案というものがなくなりました。

 期中においても臨時株主総会を開いて配当を何度も行うことが可能になったからです。

 これは、会社法においては利益処分と決算の確定が、切り離されたということです。それがどのような影響を及ぼすのでしょうか。

2.株主資本等変動計算書と注記

 利益処分案はなくなりましたが、会社法では株主資本等変動計算書を作らなければなりません。これは前期末の資本金や利益剰余金、その他有価証券評価差額金などの残高からスタートし、期中の増減をして期末の残高を導き出すようなものです。

 この株主資本等変動計算書にはいくつかの注記が必要です。その注記の一つとして、次のようなものがあります。

会社計算規則136

◆3 当該事業年度中に行った剰余金の配当に関する事項

◆4 当該事業年度の末日後に行う剰余金の配当(当該事業年度に係る定時株主総会の終結後に法第454条【剰余金の配当に関する事項の決定】第1項各号に掲げる事項を定めるものを除く。)に関する事項

ただしこれは329日付けで合体されたそうです。その条文が今手元にないのでなんともいえませんが、

これは平成193月期の株主資本等変動計算書には、平成193月期中に配当したもの(平成183月期の利益に対応した分)だけでなく、平成19年の5月か6月の株主総会を経て配当するもの(平成193月期の利益に対応した分)も注記をしてねということです。そしてこの注記は法人税の申告をする際も非常に大事になってきます。

3.法人税の申告書で配当が影響してくるところ

 法人税の申告で配当が影響するのは、メインの別表4(税務上の損益計算書のようなもの)、そこからつながる別表5(1)(税務上の貸借対照表のようなもの)と同族会社の留保金課税のところです。

改正前は、別表4に支払う配当の金額を書くのですが、これはその期の株主総会で決まったものを繰り上げて入れます。

ところが改正により、その期に実際に支払った配当の金額を別表4の支払う配当の金額としていれることになります。会社法の改正を踏まえて法人税において配当の流出時期を効力発生日(株主総会の日)としたからです。ですから平成193月期の利益に対する配当を申告書に記載するのは、平成203月期となります。

次に同族会社の留保金課税の方ですが、こちらの方は従来どおり、繰り上げて計算をすることになります。配当を支払えば、会社の内部に留保する利益が減少するので留保金課税も少なくなります。いきなり繰り上げ禁止となると税額が増えるし、改正を理解していない人が間違えるリスクもあるので配慮したのでしょう。

そしてこのような税務上の配当の取り扱いの違いをわかるためにも株主資本等変動計算書の注記が重要になのです。

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2006年8月17日 (木)

株式交換、移転税制の改正とM&A実務

1.商事法務No1774 

 商事法務という旬刊誌があります。たまたま会社法の本を執筆することになったために、畑違いの分野の勉強をする必要にせまられて、とったのですが、結構読み応えのある記事が多いので愛用しています。

この商事法務のNo1774のスクランブルというコラムで「株式交換、移転税制の改正とM&A実務」が述べられていますが、1ページの中に面白い情報がつまっています。

2.株式交換、移転税制の改正

以前もこのコラムで書いたのですが、株式交換、移転税制が今年の10月1日から改正されます。

株式交換っていうのは、既存の会社の100%子会社に他の会社をするために既存の会社の株式などを交付すること

株式移転は、新たしい会社の100%子会社に他の会社をするために新たしい会社の株式などを交付することです。

  持株会社などを作るときなどに役に立つ手法ですね。

今の税制では、対価の5%を超えるような現金交付をしない限り、株式交換時点で課税関係はまず生じません。

でも改正により他の組織再編と同様に適格組織再編という概念が導入されるので、企業グループ内の株式交換、移転か、共同事業要件に該当しないと株式交換、移転時点で、株主が変更になっただけの完全子会社(持株会社等にぶら下がる会社)において含み益課税が行われてしまいます。これがM&A実務で大きな影響があると書かれています。

3.M&Aの実務でどこに影響があるのか

この税制改正がどのような場面で影響があるかというと商事法務の記事では、

「従前のMBO等に際してのゴーイングプライベート案件では、買収者によるTOBの後に少数株主を締め出すために産活法の認定を受けてTOBのビークル(SPC)と対象会社との間で現金株式交換を行うのが、一般的であったが、その場合は、従来と異なって常に対象会社の資産の含み損益について時価評価課税がされることになるため、対象が医者の資産に多額の含み益が存する場合にはかかる手法による少数株主の締め出しが困難になる」

 TOBで買収会社の株式をSPCがたとえば70%購入し、買収会社等で株式交換の決議を承認させ、対価として現金を支払うというものかなあ。今の税制の場合、現金を受取って株式を譲渡した人だけ税金がかかる。でも改正になると買収会社自体も課税されるから誰もやらない

「産活法の認定を得ることなく株式移転+対象会社株式譲渡+持株会社清算方式によるゴーイングプライベートを行う場合も上記と同様の結果となる」

 上場会社を株式移転して非上場会社の100%子会社にして、その非上場会社自体を清算し、非上場の持株会社の株主に完全子会社の株を分配するということかな? こっちも適格の概念が入ると、子会社で含み益課税が起こる可能性があるから誰も使わないということかな?

というわけで、このコラムは「今後、これらの新たな課税上の問題を解決、軽減するために、M&Aに携わる実務家としてはその真の創造性が問われることとなるであろう。」ってな感じで締めくくっています。きっと組織再編の匠のような人が現れて、新しい手法が編み出すのでしょうね♪

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2006年8月16日 (水)

REITの利回りを高めるためには

1.REITアナリストのお仕事は

 昨日(平成18年8月15日)の夕刊に「拝啓個人マネー様『貯蓄から投資』の担い手たちか不動産を商品に㊦REIT分析者」という記事が載っています。

 ここではUBS証券の沖野登史彦シニアアナリストの仕事振りが書かれています。彼はREITのアナリストの第一人者でありREITに組み込まれた不動産について評価ができる人だそうです。

 REITをなぜ投資家が購入するかというと、利回りがよく、市場で売却して換金できるところです。その利益の源泉は不動産の賃料収入であり、将来の売却収入であるので、より多くの賃料収入を継続して受取れるようなものか、将来高額な値段で売れるかが重要なポイントになります。そのため物件の形状、テナントの稼動状況、隣地に様子などを確認するため、毎週全国を飛び回っているそうです。

 たとえば彼は物件を見にいくときは、自家用車で行くそうです。運転が上手くないドライバーでも入りやすいかチェックするためだそうです。「駐車場に入るのに2回右折が必要なところはマイナス」など、つかいやすいかどうかも物件の収益性を評価するポイントだからだそうです。

2.借入金のレバレッジド効果

REITでは、不動産を購入する場合、購入資金の全額を出資によらず一部分を借入金で行うことがしばしばあります。これは借入金を一部いれることにより、投資利回がよくなる効果があるからです。

例を使って説明します。

100億円の不動産を取得します。これを全額出資で賄うとすると

発行済出資総数は(100億円÷5万円=200,000口となります。

この不動産の純賃貸料が8億円で減価償却費が3億円とすると当期純利益が5億円(8億円―3億円)となり、全額配当にまわします。

そうすると利回りは 5億円/200,000=2,500 2,500÷50,0000=5%となります。

次に100億円の不動産を取得します。このうち半分の50億円を借入で賄うとすると、発行済み出資総数は(100億円―50億円)/5万円=100,000口となります。

この不動産の純賃貸料が8億円で減価償却費が3億円で、借入利息が1億円とすると当期純利益は4億円(8億円―3億円―1億円)となり、全額配当にまわします。

そうすると利回りは 4億円/100,000=4,000 4,000÷50,000=8%となります。

このように借入金を入れたほうが利回りの高い魅力的な投資商品となります。しかし借入金の比率が高いと、将来の金利上昇により利回りが下がるリスクがあるので、REITの計画上の借入比率は50%前後ですが、実務上は、総資産に対して40%前後の比率を一つのめどとしているようです(注)。

注 佐藤一雄 不動産証券化の実践完全版 ダイヤモンド社2006年 P270 

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2006年8月15日 (火)

金取法と信託

1 商事法務NO1772

 商事法務No1772  2006.7.15号において、前金融庁総務企画局市場課課長補佐小島宗一郎氏他が「金融商品取引法制の解説(2)金融商品取引法の目的、定義規定」を書いていらっしゃいます。

何のための金融取引法か

◎国民経済の健全な発展に資すること

◎投資家の保護に資すること

直接的には

◎有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にすること

◎有価証券の流通を円滑にすること

◎資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図ること

目的を実現するための方法は

◎企業内容等の開示の制度を整備すること

◎金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定めること

◎金融商品取引所の適切な運営を確保すること等

そしてこの原稿の中で信託受益権について説明しています。

2.一般の信託受益権はみなし有価証券 

 金取法の中身をあまり検討していない段階でブログを書くので、表面的な記述になるのですが、

 一般の信託受益権(受益証券発行信託の受益証券以外)についても金取法上の有価証券とみなされます。この根拠は①金銭の出資、金銭等の償還の可能性を持ち、②資産や指標に関連して、③より他界リターンを期待してリスクをとるものといった基準に合致するものであるから。

そうすると金取法の規制の対象になるのですが、信託に関連したプレーヤーの取り扱いについては次のとおりです。

◎信託会社の行う信託の引き受け

すでに信託業法において「委託者及び受益者の保護」の規制の対象になるから、重ねて金取法の規制対象にしない。ただし投資性の強いものは、信託業法において金取法の規制を準用する。

◎信託契約代理業者

原則的には、有価証券の発行者のために当該有価証券の申し込みの勧誘等を行う行為となり、有価証券の募集、私募の取り扱いと位置づけられるので、金取法の対象で第2種金融商品取引業としての登録が必要。

この第2種金融商品取引業って何だろう?

◎信託受益権販売業者

有価証券の売買またはその代理もしくは媒介と位置づけられるので、金取法の対象となる第2種金融商品取企業社としての登録が必要。

3.受益証券発行信託の受益証券

これは信託法の改正により実現するもので、受益権を有価証券としましょうというやつ。現行では特別法で作られたもの以外の信託受益権は債権。で、私法上の有価証券として発行することができるとされているからみなし有価証券でなく有価証券。

50人以上の投資家を募集するような場合は、有価証券届出書を提出し、半永久的に金取監査を受けないといけないような規制の対象になるのでしょう。

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2006年8月14日 (月)

コクヨのグループ内知的財産管理信託

1.プレスリリースによると

平成18年8月8日のプレスリリースによると「コクヨ株式会社は、8月8日から、グループ企業が有する知的財産の管理及び活用する信託業を開始します。」

この信託は、グループ企業が有する約4,000件の知的財産を集中管理することによって効率的に知的財産を活用し、競争力を高めましょうということを目的としていると思います。

この信託のスキームはプレスリリースによると次のとおりです。

(1)      対象グループ企業が有する知的財産をコクヨ株式会社に信託譲渡

(2)      コクヨ株式会社がグループ企業の指図をもって知的財産の管理、維持、対外的交渉等を行う。

(3)      交渉の結果、第三者からライセンス料を得た場合は受益者であるグループ企業に還元する

2.グループ内信託のメリットは、

 ここで注目したいのは、このコクヨの信託は、グループ内信託であることです。信託を業としてできるのは、大きく分けて4つのグループのメンバーです。信託兼営金融機関(信託銀行)、信託会社(これは信託会社と管理型信託会社に分かれる)、TLO(大学がその有する知的財産を民間に移転して収益を得るための受け皿)、そしてグループ内信託です。

 グループ内信託が、他の信託と異なるのは、金融庁に届け出ることにより信託業を営むことができる点。つまり他の方法で信託業を営むより簡単に設立することができます。

また他の信託業の場合は、兼業に関して規制が厳しいですが、グループ内信託は規制がないです。だから文房具のコクヨさんが直接信託業を営めるわけです。

それから受託者責任も信託法に基づくものに限定されるので、他の信託業務を営む団体よりは、細かいことをお上にがたがた言われることはないのではないかと

ただメリットがある限りは、そのメリットの悪用を避けるための縛りというのがあって、委託者、受託者、受益者は同一グループに属することを要求されています。ですから信託受益権をグループ外の会社等に売却することはできません。

3.問題点は?

グループ内管理の信託の場合は、信託をした時点で売却益を計上する必要はありません。また第三者に信託受益権を売却することもないので、難解な知的財産の評価で悩むことも、課税リスクを懸念する必要もありません。管理業務は受託者が行い、入ってきたロイヤリティから管理手数料を除いた残りが受益者であるグループ会社に分配されます。ロイヤリティの支払先が、第三者の場合は、支払い金額について特に課税上のリスクはないですが、グループ企業間の場合は、今後金額の妥当性で課税上のリスクが生じる可能性はあります。

 また受託者は、知的財産の侵害があった場合、当事者として訴えることはできますが、訴えるときに求める損害賠償の範囲が、直接知的財産を所有している場合よりも狭まる問題点があります。このことは何度もブログで書きましたが、知財信託が広がるためのキーポイントだと思います♪

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2006年8月13日 (日)

井沢元彦さんの「逆説の日本史」天皇家を乗っ取ろうとした足利義満

1.足利義満というのは

 足利義満というと室町幕府の3代将軍で、あの金閣寺を建立した人として有名です。現在の金閣寺は地続きになっていますが、当時の金閣寺は、池の中にあり、そこにいくためには船に乗るか空中廊下を使うしかなく、非常に幻想的だったのだそうです。

あんなきんきらきんの建物を建てるくらいですから、足利義満という人物は、権力志向のつよいオヤジであるのは想像できます。

そして彼の最大の野心というのは、畏れ多くも自分の息子を天皇にさせて、天皇家を乗っ取ろうとしたと井沢さんは考えていらっしゃいます。

2.足利義満と他の権力者の違うところは

藤原道長も平清盛も権力を持った時点で天皇になろうとはしませんでした。天皇の権威の本質は、血統です。これだけはどんな権力者でも直接手に入れることはできません。そこで彼らは、自分の娘を天皇の后に差し出し、生まれた男の子が天皇になったときに、外祖父として権力を握ろうとしました。

しかし足利義満の場合は、天皇の血統に対するコンプレックスというのがなぜかありませんでした。

彼はどんどん朝廷の有している権力を取り上げていきました。そして天皇の后たちにも手を出したらしい。そのうちの一人は天皇にぼこぼこにされてしまったようですが、

3.金閣寺は

 金閣寺の話に戻りますが、金閣寺は3階建てです。

1階は、寝殿造り 2階は、武家作り、3階は、禅宗仏殿造りで屋根のてっぺんに鳳凰がいます。

これは何を意味するのでしょうか。寝殿造りというのは天皇や貴族のいるところ 2階は武士のいるところ、3階は禅僧のいるところで、この当時足利義満は出家して禅宗の僧になっています。つまり身分の序列の1番が、足利義満で、2番が武士で、3番が天皇や貴族であるということをあらわしているのだそうです。

そして鳳凰というのは、「聖天子が現れると世に出るという、想像上のめでたい鳥」であり、この聖天子というのは、実際の天皇ではなく、足利義満のことだそうです。

4.突然の死

 さて栄華をきわめた足利義満は、栄華の集大成として自分の息子を皇太子に準じた方法で元服させます。これは将来の息子の天皇化をにらんでだと思います。

しかし「ある人物にとって最大のチャンスは同時に最大のピンチ」なのです。なぜならある人物が成功すると、ある人物と敵対する人は、危機に直面するから命がけで抵抗するからです。

息子が元服したのが4月25日で、足利義満が発病したのが4月28日、そして5月6日に他界しています。

おそらく暗殺されたのでしょう。天皇制を守りたい勢力から、そう彼をして、天皇制には勝てなかったのです。

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2006年8月12日 (土)

サムスンの地域専門家制度

1.日経ビジネスによると

 日経ビジネス2006年8月7日、14日号に、「韓国サムスン熱狂と絆の人力経営」という記事が載っています。

 サムスンは韓国を代表する世界的な企業ですが、この企業は人材のグローバル化を促すために地域専門家という教育制度を設けています。

2.地域専門家とは、

 地域専門家とは、30台前後のサムスンの社員で一番できる人を選抜して、海外に送り出すシステムです。

海外に従業員を留学させる制度というのは、すでにいろんな会社で行われていますが、サムスンの制度は、従業員を留学させるのではなく遊学させるところに特徴があります。

期間は1年間であり、最初の3ヶ月は語学の習得に当てられますが、残りの9ヶ月は、何をしてもいい。ただし現地のサムスンの事務所に立ち寄ることも許されないし、事務所が手を差し伸べることも基本的にはない。

ようするに9ヶ月間、一人の人間として異国に行き、異文化に触れ、一人でいろんな困難と出会いながら生き抜き、その経験を自分の血や肉としなさいということなのでしょう。

その中でいろんな人との出会いもありますが、相手は彼がサムスンの社員という色眼鏡をつけずにみてつきあうので、真の人脈を作り上げることができます。そしてその人脈が、次に海外でビジネスを行うときに非常な力となるのです。

3.地域専門家を作るメリットは

 地域専門家は、各部門で一番仕事をできる人が選抜されます。一番できる人が1年間も職場から離れると、仕事が回らなくなるから普通は手放したがりません。でももしNo1を手放さないことがわかったらその上司は評価が下がるそうです。そこまでしてなぜサムスンは、地域専門家を養成するのでしょうか。

 それは、サムスンの売上の約85%、利益の約90%は海外に依存しているそうです。日本のメーカーの場合は、国内市場が大きいのですが、サムソンはほとんど海外で稼ぐので、企業のグローバル化、人材のグローバル化は、企業の生き残りと成長のためには不可欠なのでしょう。

 日本でもグローバルな人材の育成というのはずっと行われていますが、サムスン的な育成まで行っているところは皆無だと思います。大変ですけど、使えるシステムと思うのですが♪

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2006年8月11日 (金)

DESと擬似DES

1.DESって何?

 DES(Debt Equity Swap)とは、借入金を資本金に振り替えることです。形としては、借入金の債権者が、その債権をその債務者の会社に現物出資して、その対価として株式を受取ります。

 バブル崩壊後、借入金の返済に窮した多くの会社が、返済を免れるためにDESを行いました。

また相続税対策としても行われたところもあります。これは貸付金だったら、会社がとりあえずぴんぴんしているうちは、相続発生時の財産の評価は額面金額をベースに算定されますが、株式に化けると、会社の純資産等をベースに評価されるので、債務超過の会社の場合は、評価額が0になったりするからです。

 業績の悪い会社がDESを行った場合、債権者側では、債権の譲渡損が計上されるのに、会社側では債務免除でもなんでもないので課税関係が生じないのは合理的でないとされていました。

2.平成18年の改正

 平成18年の改正で DESによる債務の資本化がなされた場合、DESした債権の時価と帳簿価額の差額に対して、会社側で債務消滅益を計上されることが明文化されました。

 ただ債務消滅益が計上されるような会社の場合は、通常赤字で欠損金がありますのでこの部分と相殺することはできます。

 またDESが会社更生法等の適用により行われた場合には、欠損金の繰越控除の適用期限をすぎた欠損金も利用することができるので、まず消滅益について税金がかかることはありません。

3.擬似DES

 擬似DESというのは、たとえば社長からの借入金があるような場合、社長が第三者割当などによってお金を出資して、その出資したお金で借入金を返済するようなものです。結果的にはDESと同じようなものですが、こちらは一回、お金が会社の中を通過していきます。

 擬似DESをした社長側では、貸付金を現物出資したわけではなく、返済されただけなので、譲渡損は生じません。

また会社側でも、自分のところのお金で、借入金を返済した結果、借入金がなくなったので債務消滅益が計上されません。

. 債権の時価はいくらか

DESの場合は、債権の時価がいくらかなのかがポイントになります。第三者から債権を購入して、それを現物出資した場合は、その購入価額が時価となると思いますが、ずっと所有し続けている債権の場合はどのように算定すればいいのでしょうか。

債権というのは、評価損を計上できないものだから、通常の場合は額面でOKでしょう。貸倒損失などが生じた場合は、回収可能性が不能であるということが明確だから、不能な部分を差し引いた残りが時価となると思うのです。それでは貸倒引当金の個別引当金繰り入れが認められるような状態になった場合は、どうすればいいのでしょうか。この場合に引当額を額面から控除して時価と算定するのでしょうか。いやそれはおかしい。どうなるかわからないから。うーーん困りました。答え出ない。。。。

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2006年8月10日 (木)

投資信託のコストは?

1.日経ビジネスによると

日経ビジネスの2006.7.31号で「投資信託のコスト 長期投資なら信託報酬の安いものを」という記事があります。最近投資信託がまたブームになっているそうですが、そのコスト構造についてわかりやすく書いています。

2.コストは3種類ある

 投資信託を購入、保有、売却の過程でかかるコストは、それぞれ販売手数料、信託報酬、信託財産留保額といわれています。

販売手数料

これは、買った時にかかる手数料で、基準価格×料率で決まります。料率は1%から3.5%の範囲内が多いですが、公社債投資信託の場合は無手数料も多くあります。また株式投資信託でも販売手数料が0のものもあります。

でもこのように販売手数料0の投資信託というのは、他で利益を確保しないと採算があわないので、信託報酬を通常のものよりも高い料率で設定したりしています。

 信託報酬

これは、投資信託を保有している限り、日々着々とかかるコストです。資産の残高に料率を乗じて算定します。ただ期末にどかんと計算して差し引くのではなく、年率を日割りで計算して、資産残高から毎日差し引くものです。

信託報酬の料率が高いと、長期保有の場合は、よりコストが大きくなるので、長期保有を考えている場合は、販売手数料率の高くても信託報酬が低い方がコストは小さくなります。

 信託財産留保額

これは、投資信託を解約したときにかかる費用です。ただし必ずかかかるとは限りません。

以前ブログで紹介したグローバルソブリンの毎月決算型の場合は、販売手数料が3% 信託報酬(最大負担額)運用会社0.6%、販売会社0.5%、受託会社0.07%であり、信託財産留保額は0.25%となっています。

結構、とられているのですね。投資信託というのは、プロが運用しているから素人の運用よりも高利回りが予想されそうに思われますが、実際には、市場全体のパフォーマンスを下回るそうですし、これらのコストを加味するとあまり利回りのいいお買い物とは思えないのですが♪

*参考情報 社団法人投資信託協会 HP

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2006年8月 9日 (水)

昔、すごい節税対策があった

1.平成11719日 財産評価基本通達改正前

昔、昔 といっても10年も昔のことではないのですが、当時の財産評価基本通達によると、信託受益権の受益者を元本受益者と収益受益者にわけ、別の人にした場合、相続税や贈与税の節税ができました。

なぜなら、この当時の信託受益権の評価をする際の現在価値の割引率(基準年利率)が8%と、実勢利率を大幅に上回っていたことと、受益権が2つに分かれた場合の評価方法が、それぞれの価値を現在価値に割り戻した結果、元本受益権の価額+収益受益権の価額<信託受益権の総額となったからです。

例をあげて説明します。たとえば5億円の土地の元本受益権を子供に、収益受益権を奥さんにするような信託期間30年の信託を設定します。奥さんは毎年1,000万円の賃料収入を収受します。信託設定時に、子供や奥さんに対する贈与税が生じます(相法4①)。

このときの評価額は、

子供 5億円x0.099(8%の複利現価率)49,500,000  --

1,000万円X11.2588%の複利年金現価率)=112,580,000-

①+②=162,080,000円となります。

もし今、奥さんなり子供にこの土地を贈与すると5億円の評価に対して贈与税が計算されるのですが、信託を設定し、元本受益者と収益受益者が異なるならば なんと評価額が337,920,000円も減らすことができたのです。

2.平成12年6月13日 財産評価基本通達改正前

 これは、おかしいということで平成11719日に改正したのですが、このケースでは、計算式は変わらず、ただ基準年利率が8%から4.5%に低下しました。

改訂後の評価額は次のようになります。

子供 5億円x0.267(4.5%の複利現価率)133,500,000 --

1,000万円X16.2894.5%の複利年金現価率)=162,890,000-

①+②=296,390,000円となります。

8%のときよりは評価額は高くなっていますが、それでも土地をそのまま贈与するよりは203,610,000円も評価額が圧縮されます。

3.平成12年6月13日 財産評価基本通達改正以後

このように平成11年の改正は、信託受益権を使った節税策を抜本的には解決できませんでした。

そこで平成12613日の改正で信託受益権の評価の算式を変えてしまいました。すなわち下記のようになったのです。

元本受益権の価額=信託財産の相続税評価額-収益受益権の価額

そして、基準年利率も世の中の金利に接近していき、平成18年8月現在では、30年の信託期間を設定した場合は、2.0%となります。

その結果、評価額は次のようになります。

1,000万円X22.396現価率)=223,960,000

子 500,000,000-223,960,000=276,040,000-------------

①+②=500,000,000

この結果、以前使われていたような劇的な節税対策は封じ込められたのでした。

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2006年8月 8日 (火)

連結配当規制会社って何?

1.連結計算書類って何?

 会社法では、有価証券報告書(ユーホー)を提出している大会社(資本金が5億円以上または負債が200億円以上)は、連結計算書類を作らないといけません。また会計監査人を設置している会社は、ユーホーを提出している大会社でなくても連結計算書類って作れます。

 この連結計算書類のメンバーは、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書並びに連結注記表です。ちなみに連結財務諸表は、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結剰余金計算書並びに連結キャッシュフロー計算書です。

 注記表って、個別財務諸表でもあって、何かものすごい様式の表かと思われるかもしれませんが、注記がひとまとめに書いてあるやつで特に様式はないと思います。

 連結キャッシュフロー計算書が、連結財務諸表のメンバーなのに連結計算書類のメンバーでないのは、連結計算書類は招集通知にくっつけて出す奴で、連結キャッシュフロー計算書は有価証券報告書に入れてる奴で、提出する時期が計算書類の方が早いので手間をはぶいたとのことだそうです。でも連結キャッシュフローなんて連結財務諸表を作っている過程でできてしまうし、大体短信でもくっつけているから、提出時期が理由で計算書類にいれなかったのは、?です。

2.連結配当規制会社って何?

 連結配当規制会社って、連結計算書類を提出している会社だったらなれるんです。どういう会社かというと、連結親会社が、株主に配当できる金額が、親会社の分配可能限度額と連結ベースでの分配可能限度額のいずれかひくい金額を限度とすることができるような会社のことです。

なぜ連結ベースの分配可能限度額が入っているかというと、連結グループで企業の損益や財務状態を見た方が、ほんとうの企業のちからを判断できるという時代のニーズに答えているから。

なぜ親会社の分配可能限度額と連結ベースの分配限度額のいずれか低いほうチョイスなのか? 連結ベースの分配限度額が、親会社ベースよりも大きいからといって、連結ベースで配当を払うと、親会社の債権者の債権の担保となる会社財産が株主に吸い取られて、債権の回収が滞ることになる可能性があるから。

 この連結配当規制会社には、注記表で連結配当適用会社宣言!でもしといたらOKです。

株主にとって、自分にもらえるはずの利益を制限するような規定ってメリットがないから誰もやらないと思われるかもしれません。でも葉玉さんや郡家さんたちは、メリットを作っています。

たとえば連結配当規制会社の場合は、子会社が親会社の株式を持つのは、自己株式を持つのと同じで資本の空洞化を招くから禁止だ!となっているのですが、連結配当規制会社の場合はOKなんですね。

またグループ内で組織再編を行う場合で、たとえば債務超過会社を合併だ、分割だとする場合は、たとえ取締役会決議だけでOKの要件を満たしても、株主に迷惑がかかるから株主総会で説明しないといけないけど、連結配当規制会社の場合は、株主総会での説明はいりません。

なぜなら連結配当規制会社の場合は、以前からワケありの子会社があるときは、このキズをしっかり配当限度額で加味しているので、組織再編でお荷物を取り込んでも、その影響が出ないからです。

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2006年8月 7日 (月)

TMKが減損会計適用したら、

1.TMKのメリットは?

 TMK(特定目的会社)のメリットは、配当を行った場合に、一定の要件を満たしたら、支払った配当が税務上の費用(損金)となるところです。そうすることによりTMKでの利益に対する税金のキャッシュアウトが減少するから、投資家の手に入る配当の利回りが向上します。

でも配当が損金となるための要件というのは、結構きびしいものがあります。その要件の一つとして、配当の支払額が配当可能所得の金額の100分の90を超えていないというのがあります。この配当可能所得というのは、税務上の利益つまり課税所得なのですが、この要件を満たすのが意外と難しいのです。

2.税務調査で否認されたら

 たとえば税引前利益が 1億円だったので、配当を9,000万円支払いました。しかしその後税務調査が入って費用が否認されて、課税所得が1億2千万円になりました。そうすると配当は1億2千万円の90%である1億8,000万円支払わなければならないのに、9,000万円しか支払っていないので、90%の要件を満たさない。したがって配当は否認されてしまうということになってしまうのです。

3.減損会計を適用したら

それではTMKが所有している不動産に対して減損会計を適用した場合はどうなるのでしょうか。

たとえば次のような例です。

経常利益   10億円

減損損失    9億円

   税引前利益   1億円

 TMKのようなビークルでは、会社内部に留保利益をためることはあまりありません。過年度の留保利益がないなら配当ができるのは1億円が限度となります。

 ところで減損損失というのは、会計上は費用となるのですが、税務上は一時の損金とならず、減価償却超過額のようなものとされています。ですから減損したのが建物なら、減損後、減価償却という方法により徐々に損金として処理されますし、土地なら売却でもしない限り税務上は損金となりません。

 つまりこのケースでいうと税務上の配当可能所得は1億円でなく10億円となります。そうなると9億円配当しないといけないのに1億円しか配当ができない。だからこのような減損損失を計上してしまうと配当が損金にならなくなってしまうのです。

 TMKって会計監査人の監査を受けなければならないから、減損会計に該当するような場合は、減損しないと意見が出せないし、減損したら配当が損金にならないから投資家が暴れるだろうし、大変な問題が内在しているなあと思うのです。

4.投資法人の場合は

 さてJ-REITの母体となる投資法人はどうなのでしょうか。こちらの方は、一定の限度がありますが、配当として利益部分だけでなくそれを超える部分を支払うことができるのです。このことにより減損損失を計上した途端に配当が損金とならないリスクは、かなり下がることになります。

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2006年8月 6日 (日)

古美術鑑定家の中島誠之助さん 商売の極意は?

今日の日経新聞の家計欄にマイバランスというコーナーがあって、そこで古美術鑑定家の中島誠之助さんが古美術の商売の極意を語っています。

つまり 高く買って高く売ること

「いいものは必ず高い。同業者が50万円と評価した品を私は100万円で競り落とした。するとたとえば200万円でも買う人はいるものですよ、名品は。中島は高く引き取ってくれると次第に評判になりえりすぐりの品ばかりが持ち込まれるようになりました。安く仕入れえもうけようなんて根性だと結局、損をするんです。」

通常、ビジネスというのは利益の極大化だから、いかにに安く仕入れて、高く売るかというのが基本ですよね。平成18年3月期の企業の利益がよかった理由も、煎じ詰めるとコストを下げたから、コストの下げかたとしてはアウトソーシングにして人件費を抑制したことが大きかったともいわれています。でもこのようにしないといけないのは、常にライバルがいるような商品の場合ですよね。ライバルがいる限り、品質で競争し、価格で競争する。品質では勝負がつかないなら、必然的に値引き合戦になる。だから企業は利益を確保、拡大させるためには、コストを切り詰めるしかない。

でも古美術というのは、いずれも一品物で、競争者がいないのです。需要者も非常に少ないかもしれまいが、必ず欲しい人が世の中にいて、その人は、自分の希望にかなうものならば、金に糸目はつけない。だから、高い値段で買ってきても、買い手がつくのでしょう。

 以前このブログでも紹介した「ハイコンセプトの時代」で、これからは、知的サービスも、コンピューターや発展途上国に仕事を奪われるので、これらに奪われないような仕事をやっていかないといけない。そしてそのような仕事ができる一握りの人が高額報酬を受けると、

この一握りの人が提供できる付加価値というのは、ある意味古美術と同じようなものかもしれません。

ただ高い値段で買って、高い値段で売るビジネスを成功させるためには、高い値段の品物が、その値段以上の価値を生み出すということを見抜く目が必要なのです。これは簡単に身につくものではありません。

「金を稼ぐのは好きだけど蓄えるほどの執着心はないからすぐに使ってしまいます。旅行をしたり本を買ったり芸術を鑑賞したり、自分への投資です。子供たちにも旅行代や書籍はケチらずに払ってあげてきた。体験や知識、心など、金で買えないものが一番得難いんですよ」

うーん。これですね。自分への投資。 信託大好きおばちゃんの人生を突き動かす原動力もこれです。目先の金より、得難い体験。シルクロードなど過去の文明の発展した国は、異文化との交流があり、それまでの文化と融合して、よりすぐれた文化ができるといわれていますが、それは事実ではないか。それをこれから身をもって体験してみたい。だってたった一度の人生だから、と思う今日この頃です。

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2006年8月 5日 (土)

井沢元彦さんの「逆説の日本史」~後醍醐天皇は、なぜ改革に大失敗したか?~

後醍醐天皇って何をした人だっけ?

 後醍醐天皇といえば、鎌倉幕府に反旗を翻し、隠岐に島流しにあったりしながらも復帰し、建武の親政を行いましたが、結局うまくいかず、結果的に足利尊氏が作った室町幕府に権力を奪われてしまった人です。

時代の変わり目には、強烈な個性の人間、たとえば織田信長や豊臣秀吉などが現れ、独占的排他的権力を握って大改革を行っています。後醍醐天皇も同じようなことをしようとしたのですが、織田信長や豊臣秀吉は、それなりに業績を残し、現代においてもそれなりに評価されています。

彼らと比較して後醍醐天皇はどうでしょうか。なるほど戦前教育の世界では建武の親政は非常に高く評価されたともいますが、現代ではあまり評価されていないような気がします。なぜなのでしょうか。

2.人には実力主義を押し付け、自分は世襲を望んだから?

井沢さんの文章から信託大好きおばちゃんが結論付けたのは、後醍醐天皇は、人には実力主義を押し付け、自分は世襲を望んだからだと思います。

彼は政権を握ると、何事も天皇が最終決定権を持つというように決めました。このように天皇が最終決定権をすべて持つというように決めたのは、きわめて異例です。

たとえば明治から第2次世界大戦までは、天皇が非常に権力を持っているように思われますが、実際は天皇の下の機関がすべて決め、責任をとり、天皇はそれを認証するというシステムだったのです。いわゆる「よきにはからえ」だったのです。だってそうしないと、何かトラブルがあったときに畏れ多くも天皇が責任をとらないといけなくなるから。

 で、この何でもかんでも最終決定天皇システムはすぐに破綻しました。しょーもない揉め事も自分で解決しないといけなくなって大混乱したから、ほーり投げたのでしょう。

 なんでもかんでも最終決定権は自分はうまくいかなかったけど、彼は自分が権力を握るためには、自分の意思にそって動く官僚組織が必要だなと思いました。

日本は貴族や武士も世襲で既得権を握っているのが悪い。でも中国では科挙という制度で実力主義で官僚を登用し、世襲させずうまくいっている。だからこのような制度を作ろう。そうだ試験制度を作ろう。儒教は難しそうだったら和歌でも蹴鞠でもテストすればいいじゃないかと思ったかもしれません。実際に科挙をやったかどうかはわかりませんが、後醍醐天皇は実力主義で官位を与えようとしました。

 でもうまくいきませんでした。人間っていうのは既得権益を守るのに必死な生き物です。だからそれを奪おうとする勢力には徹底的に抵抗するわけです。でも奪うことにより、他の多くの人々の望むような世の中を作り出せるなら支持もあったのですが、新しいグランドデザインが人々の望むようなものではなかったのでしょう。

また後醍醐天皇は人には実力主義を要求しましたが、自分は世襲を望んでいたと思います。中国で科挙制度が認められたのは、皇帝にも実力主義を要求し、だめなら退場となったからです。

 そして最後に日本という国は、なんじゃかんじゃいってもいまだに血統主義、世襲を重んじる世界なんです。だから天皇制度も続いているし、いろんな職業だってある程度の権益のあるようなものだったら代々継がせているでしょう。

 結局後醍醐天皇は、古い時代を終わらせることはできたが、新しい時代を創り出す器ではなかった。だから退場したのでしょうね♪

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2006年8月 4日 (金)

江川由紀雄さんの「実践証券化入門」~証券化は、リスクの加工ができるから優れもの~

1.証券化って何?

 証券化とか、資産の流動化という言葉が、ビジネス界において定着してから、10年くらいはたっています。ただ証券化とは何かという問いかけに対して、本質をとらまえた答えをだせる人はいません。江川さんは、証券化の揺籃期から業務に携われ、今では日経人気アナリスト調査、証券化アナリスト部門でトップを取り続けていらっしゃいます。彼が書いた「実践証券化入門」は、簡潔に本質をとらまえた優れものだと思い、時々じっくりと読んでいます。

 ここで証券化とは、キャッシュフローを生み出す資産を用いて、倒産隔離やリスクを加工したうえで、社債などの有価証券に代表されるような流動性のある投資商品に仕上げる過程のことと表現されています。

 ようするに資産単独でみると、換金性に乏しく、投下資本が回収できないリスクもある程度あるものを、誰でも手軽に買えて、投資したお金がほぼ確実にもどってくるような商品に変える過程なのかなあ。

2.リスクの加工って?

 江川さんは、証券化が優れている点として、リスクの加工が施されることといってます。リスクの加工というのは、リスクのある資産でも証券化する過程で工夫をすることにより、限りなくリスクがないような資産にかえる技と思います。この技は分散効果と優先劣後構造の2つで成り立っています。

3.分散効果

 たとえば2%の確率で貸倒になるような1億円の債権を9,000万円で買いますか? 9,800万円の回収が期待値としてある債権を9,000万円で買うのだから非常に魅力的ですが、このような商品を買うのは、ハイリスクハイリターンを好む人に限られるそうです。2%の確率で0になる可能性があるからです。

 それでは2%の確率で貸し倒れになるような債権を1,000個集めてきて1億円の金融商品を作った場合はどうなるのでしょうか。全部の債権が貸倒になる確率は2%の1,000乗だから、99%以上の確率で、この債権の回収率は97%から99%になります。そのような金融商品を9,500万円で買いませんかというと買う人が殺到すると思うかもしれません。しかしこれでもだめみたいです。

多くの投資家は額面金額の100%回収できるような金融商品を求めるようです。そのようなわがままな投資家のニーズに答えるために設計したのが優先劣後構造です。

4.優先劣後構造とは

 優先劣後構造とは、金融商品の基になる資産について生じた損失を誰が負担するのかという順番を決めることです。

 たとえば。債権を1,000集めて組成した1億円の金融商品優先部分と劣後部分にわけます。優先部分の額面を9,500万円と、劣後部分は500万円とし、回収の期待値は9,800万円とします。利子は無視します。

そして金融商品の裏づけである資産の生み出したキャッシュはまず優先部分の返済にあてるという設計をします。そうするとこの案件では優先部分は、ほぼ100%の確率で投下資本が回収できます。ただしそれ以上の回収があっても優先部分の債権者は分配金を享受できません。

また劣後部分については、800万円のリターンが期待できる商品を500万円だして出資するようなものです。でも資金の回収の順番は劣後するので、もしかしたら500万円も回収できないかもしれません。でも運がよかったら800万円、いや1,000万円の回収も夢ではありません。

 このようにリスクをとる順番を決めることにより、投下資本が100%回収して欲しい投資家にはローリスクローリターンの金融商品を、一攫千金系の投資家にはハイリスクハイリターンの金融商品を提供できるようになります。だから証券化は発展したのでしょうね。

 

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2006年8月 3日 (木)

特許権の相続税評価額は高すぎる!

1.特許権の相続税評価額の算式は?

 相続税評価額とは、ある人が亡くなって、その人の残した財産に対して、相続税がいくらかかるか計算をするときや、ある人が別の人に財産を贈与したときにいくら贈与税がかかるかを計算するときの基になる財産の評価額のことです。

これは、財産評価通達で、ルールが決められています。

140  特許権の価額は、145≪権利者が自ら特許発明を実施している場合の特許権及び実施権の評価≫の定めにより評価するものを除き、その権利に基づき将来受ける補償金の額の基準年利率による複利現価の額の合計額によって評価する。(平11課評2-12外改正) 

(特許権の評価の算式)

141  前項の「複利現価の額の合計額」は、次の算式によって計算した金額とする。(平11課評2-12外改正)

1 第1年目の補償金年額×1年後の基準年利率による複利現価率=A

第2年目の補償金年額×2年後の基準年利率による複利現価率=B 

第n年目の補償金年額×n年後の基準年利率による複利現価率=N 

2  A+B+…………+N=特許権の価額

 上の算式中の「第1年目」及び「1年後」とは、それぞれ、課税時期の翌日から1年を経過する日まで及びその1年を経過した日の翌日をいう。 

------------------------------------------------------------ここでいう基準年利率ですが、平成18年6月では、短期(1~2年)0.75% 中期(3~6年)1.5% 長期(7年以上)2%となります。

これたとえば年間1,000万円のロイヤリティを5年間受取れるような特許権だと評価額は、1,000万円×4.783=4,783万円となります。

2.実際の取引による割引率は?

 最近、DCF(ディスカウントキャッシュフロー法)による評価というのが定着しつつあります。これは将来入ってくることが予想される現金収入を現在価値に割引いて評価する方法です。

 この算式の重要な要素は、将来入っている収入と割引率の合理性です。収入の予想が大きいほど、割引率が小さいほど評価額が高くなります。

 さて知的財産の評価で実際に使われる割引率はいくらくらいなのでしょうか。鈴木公明「知財評価の基本と仕組みがよ~くわかる本」秀和システム2004年 P107では、日本政策投資銀行の知的財産権担保融資の場合、期間は3~5年間 割引率は一般に10%~20%に設定されるということです。

もし上記と同じ年間1,000万円のロイヤリティを5年間受取れる場合

割引率が10%なら 1,000万円×3.791=3,791万円

割引率が20%なら 1,000万円×2.991=2,991万円

というように相続税評価額より低い価額になります。

担保価値だから時価よりも低い評価になるのは当然ですが、相続税評価額というのも時価よりも低い価値で評価するはずです。偶然に生じた不幸に起因して、納税義務が生じるようなものだから、なのに高い。

これは割引率に相当する基準年利率が国債の利率等をベースにして決められているからです。でも国債の利率っていうのは、リスクが全くない状態なのです。

特許権って、訴えられて負けたら、価値が0になる可能性もあるし、支払ってくれる会社がつぶれるリスクもあります。それなのにリスクフリーレートで評価しないといけないってルールおかしいと思うのですが♪

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2006年8月 2日 (水)

企業の税負担率が40%割るのは?

1.新聞によると

ちょっと前になるのですが平成18年7月29日の日本経済新聞に「企業の税負担率40%割る アジアなど低税率国で利益拡大」という記事があります。ようするに2005年度の企業の決算をみると、法人税等税金費用を税引前利益で割った数値、つまり実際の税金負担率が連結ベースで39.3%となり、40%をきったということが話題になっています。特に税負担率の低い主な企業として10社ほどあげていますが、HOYAはなんと22.3%となっています。つまり100円の利益に対して法人税等を22.3円しか支払っていないとなっています。いったいどうしてなんでしょうか。何か問題はないのでしょうか。

2.HOYAの有価証券報告書を読むと

 HOYAの有価証券報告書を読むと、個別財務諸表ベースでは、平成18年3月期の実際の法人税等負担率が39.1%であるのに対して、連結ベースでは22.3%となっています。

個別財務諸表と連結財務諸表の法定実効税率と実際税率の差異分析をサマライズすると

              個別       連結

法定実効税率         40.4%     40.4%

 海外連結子会社の税率差異         △ 18.2%

 その他           △ 1.3%            0.1%

  税効果会計適用後の法人税等  39.1%           22.3%

 負担率

海外の連結子会社の所得に対して、支払った税金が少ないということがわかります。

で、どの辺の国で支払った税金が少ないのかというのを所在地別セグメント情報で分析すると

     日本  北米 欧州 アジア 計  消去  連結

営業利益 38,484  1,086 6,548 48,114 94,234 6,861  101,095

(単位百万円)

アジアでの営業利益が多いということから、アジアの国々で支払った税金が少ないということが推測されます。

関係会社の状況を読むと、アジア各地に子会社がちらばっており、これらはほとんど生産拠点等となっているようです。

アジア諸国での法定実効税率は日本より低いところが多いですが、特に産業の発展、雇用促進を促すような工場を作った場合は、法人税の免除や軽減などの優遇措置を受けることができるので、その辺が税率の軽減に大きな影響を与えているのではないかと考えます。

3.怖いのが移転価格税制

 いやー税金負担が減って、利益が増えてほくほくと思っている企業の方もいらっしゃるかもしれませんが、おっとすっとこどっこい、ものすごい請求書を携えたお上(国税庁等)がふっとんでくることが予想されます。

 今年の6月末、株主総会が終わったころに打ち上げ花火のごとく移転価格税制による追徴課税が大企業に対してなされました。連結ベースでの法人税負担率が低いのは、低税率国に所得を移転して、日本での課税を不当に回避しているにちがいない。特にアジア諸国の子会社等に対して、技術役務等知的財産の無償供与があることが多いから、そこらへんを重点的についてくるかもしれませんね♪

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2006年8月 1日 (火)

訴訟信託って何?

8月になりました。大阪は朝はどんよりと雲に覆われています。このエントリーがなんと300回目です。昨年の10月以来ですが、いつも読んでいただいてありがとうございます。信託大好きおばちゃんは、秘境探検(あー行きた~い)にでも行かない限り、毎日これからも続けます。

訴訟信託って何?

訴訟信託というのは、訴訟を目的とするような信託です。たとえば弁護士を受託者として、委託者が弁護士費用を信託するので、委託者の気に入らない奴のアラを探して受託者に訴えてもらいます。そして裁判で勝って、損害賠償金を巻き上げたら、ここから弁護士報酬を信託報酬?として差し引いて、残りは受益者=委託者に分配するというような、なんかあほみたいな信託です。

現行の信託法では11条で「訴訟行為ヲ為サシムルコトヲ主タル目的トシテ之ヲ為スコトヲ得ズ」として、このような信託を設定することを禁止しています。

またいまだに改正案では10条で「信託は、訴訟行為をさせることを主たる目的としてすることができない。」と規定されています。

 現行信託法でこのあほみたいな信託についてなぜ規定していたかというと、大正時代に信託会社がブームだったのですが、その当時、素人相手に詐欺まがいの行為をするような信託会社が多数存在して大問題になったことがあるからあえて作ったようです(注)。

不動産管理信託のメリットは?

 訴訟信託というのは、だめだということですが、受託者が委託者(受益者)の代わりに訴訟の当事者になって信託財産を守ることができます。

 不動産管理信託というのがあります。これは、不動産の所有者の人が不動産を信託してもらい、受託者が管理業務などを行います。もし店子が家賃を支払わなかった場合は、受託者が直接店子に払えと法律の力を借りて命令することができます。

 これが不動産管理信託のメリットと言われています。店子が家賃を支払わなかったり、悪い奴に不法占拠されたりしたような場合は、たとえ管理人に業務を委託しても、彼らを当事者として訴訟を起こすようなことはできません。不動産の所有者が矢面に立たないといけないのです。お年を召された方や、体調のよくない方等、訴訟の矢面に立ちたくないような場合は、結局泣き寝入りをしてしまうことになります。この泣き寝入りをしなくてすむ、かわりに悪い奴と戦ってもらえるという点で不動産管理信託はいいのです。

知財信託のデメリットは?

 不動産管理信託では、受託者が訴訟にたつメリットを書きましたが、知財信託でも当然、受託者が知的財産の侵害にかかわる裁判の当事者になれます。でもこちらの方は、訴えて巻き上げられる損害賠償金の範囲が、真の知的財産の所有者よりも受託者の方が狭められるという問題点があり、それが知財信託の発展を妨げる要因の一つにもなっています。

訴訟という側面から切っても、信託って結構深い面白さがでてくるかもしれません。

注 四宮和夫「信託法」(新版)平成14年 P142145

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