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2006年8月 1日 (火)

訴訟信託って何?

8月になりました。大阪は朝はどんよりと雲に覆われています。このエントリーがなんと300回目です。昨年の10月以来ですが、いつも読んでいただいてありがとうございます。信託大好きおばちゃんは、秘境探検(あー行きた~い)にでも行かない限り、毎日これからも続けます。

訴訟信託って何?

訴訟信託というのは、訴訟を目的とするような信託です。たとえば弁護士を受託者として、委託者が弁護士費用を信託するので、委託者の気に入らない奴のアラを探して受託者に訴えてもらいます。そして裁判で勝って、損害賠償金を巻き上げたら、ここから弁護士報酬を信託報酬?として差し引いて、残りは受益者=委託者に分配するというような、なんかあほみたいな信託です。

現行の信託法では11条で「訴訟行為ヲ為サシムルコトヲ主タル目的トシテ之ヲ為スコトヲ得ズ」として、このような信託を設定することを禁止しています。

またいまだに改正案では10条で「信託は、訴訟行為をさせることを主たる目的としてすることができない。」と規定されています。

 現行信託法でこのあほみたいな信託についてなぜ規定していたかというと、大正時代に信託会社がブームだったのですが、その当時、素人相手に詐欺まがいの行為をするような信託会社が多数存在して大問題になったことがあるからあえて作ったようです(注)。

不動産管理信託のメリットは?

 訴訟信託というのは、だめだということですが、受託者が委託者(受益者)の代わりに訴訟の当事者になって信託財産を守ることができます。

 不動産管理信託というのがあります。これは、不動産の所有者の人が不動産を信託してもらい、受託者が管理業務などを行います。もし店子が家賃を支払わなかった場合は、受託者が直接店子に払えと法律の力を借りて命令することができます。

 これが不動産管理信託のメリットと言われています。店子が家賃を支払わなかったり、悪い奴に不法占拠されたりしたような場合は、たとえ管理人に業務を委託しても、彼らを当事者として訴訟を起こすようなことはできません。不動産の所有者が矢面に立たないといけないのです。お年を召された方や、体調のよくない方等、訴訟の矢面に立ちたくないような場合は、結局泣き寝入りをしてしまうことになります。この泣き寝入りをしなくてすむ、かわりに悪い奴と戦ってもらえるという点で不動産管理信託はいいのです。

知財信託のデメリットは?

 不動産管理信託では、受託者が訴訟にたつメリットを書きましたが、知財信託でも当然、受託者が知的財産の侵害にかかわる裁判の当事者になれます。でもこちらの方は、訴えて巻き上げられる損害賠償金の範囲が、真の知的財産の所有者よりも受託者の方が狭められるという問題点があり、それが知財信託の発展を妨げる要因の一つにもなっています。

訴訟という側面から切っても、信託って結構深い面白さがでてくるかもしれません。

注 四宮和夫「信託法」(新版)平成14年 P142145

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