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2006年8月17日 (木)

株式交換、移転税制の改正とM&A実務

1.商事法務No1774 

 商事法務という旬刊誌があります。たまたま会社法の本を執筆することになったために、畑違いの分野の勉強をする必要にせまられて、とったのですが、結構読み応えのある記事が多いので愛用しています。

この商事法務のNo1774のスクランブルというコラムで「株式交換、移転税制の改正とM&A実務」が述べられていますが、1ページの中に面白い情報がつまっています。

2.株式交換、移転税制の改正

以前もこのコラムで書いたのですが、株式交換、移転税制が今年の10月1日から改正されます。

株式交換っていうのは、既存の会社の100%子会社に他の会社をするために既存の会社の株式などを交付すること

株式移転は、新たしい会社の100%子会社に他の会社をするために新たしい会社の株式などを交付することです。

  持株会社などを作るときなどに役に立つ手法ですね。

今の税制では、対価の5%を超えるような現金交付をしない限り、株式交換時点で課税関係はまず生じません。

でも改正により他の組織再編と同様に適格組織再編という概念が導入されるので、企業グループ内の株式交換、移転か、共同事業要件に該当しないと株式交換、移転時点で、株主が変更になっただけの完全子会社(持株会社等にぶら下がる会社)において含み益課税が行われてしまいます。これがM&A実務で大きな影響があると書かれています。

3.M&Aの実務でどこに影響があるのか

この税制改正がどのような場面で影響があるかというと商事法務の記事では、

「従前のMBO等に際してのゴーイングプライベート案件では、買収者によるTOBの後に少数株主を締め出すために産活法の認定を受けてTOBのビークル(SPC)と対象会社との間で現金株式交換を行うのが、一般的であったが、その場合は、従来と異なって常に対象会社の資産の含み損益について時価評価課税がされることになるため、対象が医者の資産に多額の含み益が存する場合にはかかる手法による少数株主の締め出しが困難になる」

 TOBで買収会社の株式をSPCがたとえば70%購入し、買収会社等で株式交換の決議を承認させ、対価として現金を支払うというものかなあ。今の税制の場合、現金を受取って株式を譲渡した人だけ税金がかかる。でも改正になると買収会社自体も課税されるから誰もやらない

「産活法の認定を得ることなく株式移転+対象会社株式譲渡+持株会社清算方式によるゴーイングプライベートを行う場合も上記と同様の結果となる」

 上場会社を株式移転して非上場会社の100%子会社にして、その非上場会社自体を清算し、非上場の持株会社の株主に完全子会社の株を分配するということかな? こっちも適格の概念が入ると、子会社で含み益課税が起こる可能性があるから誰も使わないということかな?

というわけで、このコラムは「今後、これらの新たな課税上の問題を解決、軽減するために、M&Aに携わる実務家としてはその真の創造性が問われることとなるであろう。」ってな感じで締めくくっています。きっと組織再編の匠のような人が現れて、新しい手法が編み出すのでしょうね♪

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