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2006年9月 8日 (金)

事業信託はどうして法人税の対象なの?

1.事業信託って何?

昨日の日本経済新聞の記事によると事業信託について法人税課税が検討されているようです。

事業信託というのは、企業等の事業の全部又は一部を信託するものです。なぜ事業信託が信託法の改正により可能になるといわれているかというと、現行の信託法では資産を信託することはできるけど、負債を信託することはできないけど、改正により負債も信託することが可能になるからといわれています。

2.現行の税制では信託はどうなっているのか。

しかし現行の信託法においても負債の信託を除けば事業信託は可能であり、現行税制では、信託の税制は受益者が決まっている場合は、受益者に信託の損益はパススルー,受益者が決まっていない場合やいない場合は委託者に信託の損益はパススルーされます。

なぜパススルーされるかというと、信託で稼いだ利益は誰の者かというと形式的には受託者に帰属しますが、実質的には受益者に帰属するものだからです。受託者は信託の運用益の管理人のような役割を果たし、役務提供の結果、利益があがってもその利益を受取るのではなく、管理手数料のような信託報酬を受取る存在に過ぎません。

パススルーされる事業体として他には、組合(任意組合やLLPなど)があります。これは組合という集団で利益を稼ぎ出しますが、組合自体は法主体となれないし、各組合員が努力した結果稼いだ利益だからダイレクトに受益者に帰属すると考えます。

つまり信託も組合も、その事業体で稼いだ利益は誰のものかという観点から考えて、事業体をパススルーして、受益者や組合員に課税されています。

3.なぜ事業信託は法人税課税をしようとしているのか

なぜ事業信託は、法人税課税が検討されているかというと、記事からの推測ですが、事業信託というのは、結局、子会社に事業の一部を譲渡するのと同じようなものであるにもかかわらず、子会社に営業譲渡した場合は、法人税課税、事業信託の場合は、パススルー課税であるというように税制が異なると、必ずそれを利用して租税回避が行われるリスクがあるからだと思います。

アメリカにおいても事業信託が法人税課税をされているのは、昔事業信託を利用した租税回避行為が行われたことが起因となり、それが延々と続いているからだと思います。あまり詳しい理屈はよくわかりませんが

4.それではどうすればいいのか

ただ事業信託と他の信託の境界線を設けるのは非常に難しい問題があります。借入金をセットで信託したものが事業信託なのか?これは違うと思います。事業をやるなら事業信託というなら土地信託は事業信託になってしまうし、知財信託も事業信託の一種といわれるとそうなりかねません。

たしかにパススルー課税をすることにより、受益者が日本の居住者や日本の法人なら事業信託で生じた損失をパススルーさせて利益を圧縮させることを考えるし、受益者が外国の居住者や外国法人なら事業信託で生じた利益をパススルーさせるが、その分の税金を払わず逃げちゃうということを考えるでしょう。

でもそれは事業信託を法人税課税することにより防止できるものではないと思うのです。それなら事業信託の定義をぎりぎり交わすようなスキームを作ればいいのですから。

いいたいのは、事業信託について、わけのわからない定義づけをして法人税課税をしても、その制度がねらう目的は達成されません。だから事業信託も他の信託税制と同様にパススルーさせて、租税回避防止は、別の規定で体系的に抑えるという感じですれば合理的ではないかということなのです。

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