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2006年9月 6日 (水)

委託者が固定資産税を滞納している不動産を信託した場合

Q ある不動産について、信託を原因とする所有権移転登記がなされた後、当該不動産に対して、委託者(元所有者)が先に滞納していた固定資産税(平成18年1月1日現在所有している不動産に対するもの)に係る滞納処分を執行する(課税庁が当該不動産を差し押さえる)ことは可能なのでしょうか。

A.滞納処分を理由として課税が不動産を差し押さえるのは難しいと考えます。

解説: 固定資産税というのは、1月1日に不動産を所有している人が納付しなければならない税金です。もしこの不動産を5月1日に売却した場合でも、その年の固定資産税を全部支払わなければならないのは、買主ではなく、1月1日に所有していた売主の方になります。

固定資産を売買した場合、よく固定資産税を期間按分して、買主所有している期間に対応する固定資産税部分も譲渡代金に上乗せして支払うこともありますが、これはあくまでも取引の当事者間の決め事であり、このことにより固定資産税の納税義務の継承とはなりません。

もし所有権者が変わらない状態で固定資産税が滞納状態になっている場合、課税庁はその固定資産税の支払いにあてるために不動産を差し押さえることはできます。もしその不動産を売却して、売却代金に化けた場合、その売却代金を差し押さえることもできます。

でも売主の手元から離れて、買主(滞納を知らない)の手元にある不動産それ自体に差し押さえをできるかというとそれは難しいです。だって買主にとって別に払う必要のない債務が実はあったから差し押さえますよなんて突然いわれたらびっくりしますよね。それなら先にそのような状態であることを教えて欲しい。そうじゃないなら怖くて不動産なんて買えないです。

上記の事例は不動産を売却した場合ですが、信託をした場合はどうなるのでしょうか。信託をした場合も同様だと思います。経済的な実態は、自益信託(委託者=受益者)なら信託の前後で変わりませんが、法形式上は、所有者が委託者から受託者にかわるので、不動産を売却した場合と同様に、受託者に対して委託者の固定資産税の滞納部分を払えとはいえないのではないでしょうか。

いちおう能見善久「現代信託法」有斐閣 P37によると、信託法の条文からは明確ではないが、信託設定当時の債権者は、信託財産にはかかっていけないのが原則である。委託者の債権者からすれば、信託設定によって債務者(委託者)の責任財産が減少する。しかし、これは信託に限ったことではなく、債務者の財産が他人に譲渡されれば当然に生じることである。したがってそれが委託者の債権者を害する目的でなされた場合は別として(信託法12条の詐害信託)、信託の設定によって委託者から特定の財産が流出すること自体には問題がない。

詐害信託の場合や、固定資産税の差し押さえの仮登記をすでにした場合でもない限り、受託者の手元にある不動産を差し押さえるのは難しいのでしょうね。

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コメント

信託受益権を差し押さえるしかないでしょうね。

投稿: みうら | 2006年9月 6日 (水) 19時44分

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