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2006年9月11日 (月)

兄弟会社の損失分担金は寄付金になる

1.       税務通信No2993によると

税務通信No2993において、兄弟会社が損失負担金を間接的に負担した場合の金額は、税務上の費用となるような貸倒の損失とはされず、損金(税務上の費用)とは原則的には認められない寄付金に該当するという判決が東京高裁で下され、最高裁に上告しないので結審したそうです。

2.       事例はどういうものか

判決文まで追いかけずに事例と中身を検討するのは問題であることは承知していますが、とりあえず手元にある資料だけで書きます。

この事例では、A社(日本法人)とB社(外国法人)は、兄弟会社であり、B社は多額の損失を抱えていました。このB社の損失を両社の親会社が負担するのではなく、A社(たぶん業績がよいのでしょう)が負担しようと考えたのですが、兄弟会社が損失分担金を負担した場合、その支出が損金になるかどうかファジー(たぶんだめでしょ)なので、いったんA社の子会社C社の傘下にB社をおくような事業再編を行い、A社がC社に損失分担金を支出したというものです。

このC社への損失分担金についてA社は損金であるとして確定申告をしましたが、これは寄付金だから損金にはなりませんとはねられ、そこが争点となったわけです。

3.       ルールはどうなっているか

たとえば子会社にたいして時価が10億円の土地を3億円で売買したような場合、税務上の取引価格は10億円と考えます。ほんとうだったら10億円もらえる取引なのに3億円しかもらえないのは、差額の7億円は子会社に対して寄付をしたものとして親会社側で7億円の寄付金に対して課税し、子会社側でも7億円の受贈益が計上されます。

しかし特別の場合、たとえば子会社の業績が悪化して、ほっといたら親会社も連鎖倒産しかねないような場合、子会社に対する貸付金の支払を免除することなどにより損切りを行うことがあります。このような場合の損失分担金は損金として認められます。

4.本件に関する判断はどうだったのか

A社はこの税務上の特別なルールに該当すると考えて処理をしたのですが、その理由は、C社はA社の子会社であること。なぜC社を子会社にしたかというと、そのことにより不採算部門を切り捨て、高収益部門を抽出し、B社を含めたC社グループ全体の正当な事業目的のためだからということです。

しかしこれは否定されました。その理由はC社の傘下にB社を配置したのは事業の建て直しを図るためというが、その割には再生計画があいまいである。再生するなら、その後もB社の事業を継続させるはずなのに、短期的に買収、整理、清算しているのは、B社の事業を建て直すことなど露ほども考えていない。

それに特別のルールでは、「今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担」については認めるというけれども、すでに損失額は固まっていたし、B社(C社も)は休業状態だったからこれ以上損失が発生することもない。

損失分担金を損金とさせることによりA社の利益を圧縮させ、節税しようという意図が根底にあるから行ったスキームにちがいない。

だから特別のルールは使えない。C社への損失分担金は、損金とは原則としてならない寄付金として処理するのが正しいということなのでしょう。

損失負担の処理について、ある程度クリアな指標ができたという点では評価される判決だと思います♪

参考 法人税基本通達子会社等を整理する場合の損失負担等)                    

法基通9-4-1

 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9-4-1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至つた等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。〔平10課法2-6改正〕

 (注) 子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下9-4-2において同じ。)。

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