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2006年10月10日 (火)

合同会社の現物出資

葉玉さんが、会社法であそぼを引退されて、めでたく東京地検特捜部にいかれたのですが、あの会社法の改正をしきり、なんとか実務におとしこむ道筋をつけたのは偉大なことです。その道筋のツールとして使ったのが、会社法であそぼブログであり、書籍であり、雑誌です。

この書籍の中の「論点解説 新会社法 千問の道標」を参考に合同会社の現物出資について書いてみます。

1.合同会社って

合同会社って、会社法的には持分会社の1つであり、他の持分会社(合同会社や合名会社)では、無限責任社員(会社の債権について、自分の財産を差出してでも責任をとる人や会社)がいるのですが、合同会社には、無限責任社員がいません。みんな有限責任社員。つまり出資者の責任に関しては、株式会社とかわらない。でも株式会社のように法律で会社の組織や利益分配について細かく規定せず、自分たちのルールで自由に作れるところが異なります。

この合同会社、当初は不人気だったのですが、じわじわと設立が進められているようです。

2.労務出資、信用出資は可能か

さて、合同会社を作るとき、出資者がいくばくかの資産(通常は現金)を出資して設立します。出資するのは、会社法57616号により「有限責任社員にあっては、金銭等に限る。」とされています。

これを読む限り、現物出資できるのは金銭その他の資産に限られ、労務出資や信用出資はできないと考えられます。ほんとうに労務出資や信用出資はだめなのでしょうか。

「千問の道標」によると、この条文の意味は、「定款で定めた出資の価額の範囲内で責任を負い、かつ未履行部分に関して直接債権者に対して責任を負う有限責任社員については、その内容決定時に、会社がその評価額を定めることができない財産をその出資の目的とすることはできないものとすることにある。」そうです。

つまり評価額を定めることができる資産じゃないとだめというこだから、労務出資にあてはまる報酬債権や、評価可能な営業権を出資することは可能であると考えられます。

評価可能な営業権はどれをさすのか、売買の対象になるような営業権であり、組織再編時に発生する差額概念的性格の営業権はだめなのか。この辺はよくわかりませんが、

3.合同会社の現物出資と損失責任

次にこの現物出資した資産の価額にまつわる問題です。定款に出資した資産の価額又は評価の標準を書かないといけないのですが、まずこの価額って時価をさすのか? これに関しては、時価ではなく、発起人が財産の価額として合意した価額がベースのようです(千問の道標No26)。そうすると10円の価値しかない資産を100円で出資しても、それを発起人がいいといったなら100円で問題はないのです。でも株式会社の場合は、検査役の調査や、不足額填補責任があるので、90円の含み損についてリカバーする機能が設けられています。

一方合同会社には検査役の調査も、不足額填補責任もないから、100円での出資を信じた債権者が馬鹿をみるということになってしまうのでしょうか♪

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コメント

会社法の世界では、資本なんて意味がないという理論的かつ現実的な点がクローズアップされ、資本維持の原則なんていう砂上の楼閣は見事に崩れ去りました。
それにもかかわらず、資本金の額を見て会社の与信の判断する債権者がいたら、それはその債権者が馬鹿だということでしょうね。
合同会社に分配可能額というシバリがないこととの関連性について触れなくていいんでしょうかね。

投稿: なおと | 2006年10月11日 (水) 23時49分

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