« 沢井製薬の澤井社長の話 | トップページ | 10%源泉分理解税の廃止 »

2006年11月20日 (月)

デリバティブの否認

少し前の話ですが、平成18111日、新日本石油株式会社は、ヘッジ取引に対する更正通知を受け、追徴税額は284億円にもなるが、不服なので争っていく旨、プレスリリースを行いました。

ヘッジ取引というのは、為替リスクや金利リスクにより当初予想していたよりも損失が生じることを避けるために(一般的には、支払金額や入金金額を固定させることによって、これらの変動リスクを避けることだと思いますが)、行う取引をいいます。

通常デリバティブを使った商品を購入した場合は、そのデリバティブ商品について、毎期時価で評価して、評価損益を計上しなければなりません。これは会計上も税務上も同じです。

ただデリバティブ商品を購入するのは、投機目的であるよりも、このように将来の損失をヘッジするためというケースが多々あります。このような場合、毎期デリバティブの評価損益を計上することは、目的から考えると合理的ではないので、評価損益を繰り延べるような処理をしています。

ただヘッジ取引のうちでも、デリバティブ商品と元の取引の関係がより密接にリンクしているような場合は、特例処理というのを使えます。これはたとえば借り入れ金利にスワップをかませた場合、単に支払った利息を費用にすればよく、評価損益をいったんはじきだして繰り延べるというものではありません。

新日本石油の場合は、石油の購入代金は、石油の販売価格は固定しているけれども、仕入れ金額が変動するのでその変動リスクを避けるためにデリバティブをいれてます。

どのような金融商品かというと、 原油を変動価格で受け取るという契約と、原油を固定価格で支払うという契約から成り立っています。現実の取引は原油を変動価格で支払うから、変動リスクが受け取りと支払いで相殺されて、実質的には固定価格での支払いだけという形になります。

で、ヘッジ取引かどうかというのは、宣言すればそれでいいのかというとそういうものではなく、毎期、ヘッジがきいているか有効性を確認します。

新日本の場合は、スワップ取引の金額と実需取引の金額を比較して その比率が80%が125%におさまっているかどうかを判定し、原油コスト上昇による損失は、スワップによる石油受け取りによる利益によりカバーされ、この範囲内に収まるからヘッジがきいてると会社側は判断して処理をしたのですが、国税側は、有効性がないから時価で評価せよとしています。なぜ有効性がきいていないのかどうかはまだ今の段階の情報ではよくわかりません。

デリバティブ取引に関しては、ここ数年、時価評価損がでるような取引ばかりだったのであまり否認事例がでてこなかったのですが、今後は時価評価益が出てくるケースが多くあるので、否認事例がかなりでてくる可能性もあるかもしれません。

|

« 沢井製薬の澤井社長の話 | トップページ | 10%源泉分理解税の廃止 »

コメント

信託大好きおばちゃん
はじめまして。
いつも興味深いブログ、楽しみに読んでいます。
今回の記事について質問です。
TMKでは、レンダー向けの社債(借入)金利の上昇リスクをヘッジするために、キャップを購入するケースがよくあります。
このキャップの時価評価益は、税務は金融商品会計に準じて処理を行うと、税理士さんがいっていました。
金融商品会計では、キャップの想定元本のうち、社債(借入)残高が80%以上であれば、このキャップは純粋にヘッジ目的(投資目的ではなく)で保有しているとして、評価損益の繰延処理(ヘッジ会計)が認められるとしているようです。
今後は、このようなものもNTAに認められない可能性があるのでしょうか?(税務では、ここらへんについて明確な規定がなかったと思います。)
どうかよろしくお願いします。

投稿: 水上 | 2006年11月20日 (月) 09時38分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/143467/12753643

この記事へのトラックバック一覧です: デリバティブの否認:

» 投機の円安実需の円高 [PC初心者安心ショップ]
足跡残していきます。 [続きを読む]

受信: 2006年11月21日 (火) 08時56分

« 沢井製薬の澤井社長の話 | トップページ | 10%源泉分理解税の廃止 »