他益信託って何?
他益信託っていうのは、 委託者≠受益者でないような信託です。たとえば大金持ちのお父さんが不動産を信託します。で受託者である信託銀行または信託会社で不動産を管理、運用してもらい、賃料を稼いでもらいます。この賃料を財源に毎年配当を払うのですが、配当の支払い先を子供にすることができますし、信託期間終了後に信託した不動産の返還される先もその子供にすることができます。
財産を信託するのはお父さん、信託から利益を受けるのは子供 だから他益信託といいます。また毎年配当を受ける人と、信託終了後に信託財産を受け取る人が同一人物でなければならないとは限りません。たとえば毎年配当を受けるのは奥さんで、信託財産をもらうのは子供ということもできます。
それから配当の仕方だって、信託を設定したらすぐ毎年支払うというルールにせずに、たとえば子供が20歳になったらとか、子供が就職したらというような条件をつけて財産をわたすこともできますし、信託設定時には、存在していない人、たとえば子供が将来結婚して、孫ができたらその孫に財産をあげるよというような信託も設定することができます。
他益信託というのは、信託法ではフレキシブルな設計ができるけど、税制がからむと結構ややこしいですね。
というのも基本的に他益信託が設定されると、受益者はただで委託者の財産や財産から生ずる利益を受けることになるから、受益者側で贈与税課税 遺言信託だったら相続税課税が生じますね。
上記の子供が20歳になったら財産をもらえる信託の場合、子供が20歳になったとき、孫ができたら孫が受益者になれるという信託の場合は、孫が誕生した時点で、それぞれ子供や孫に贈与税や相続税がかかります。贈与税や相続税は、所得税に比べると税率高いですよね。まあただで財産もらえるから高くて当然という理屈もありますけど、
また贈与税や相続税を支払うのはやぶさかではないけど、計算の基礎になる財産の価値はいくらで計算するのというのもひとつの問題点ですね。とくに毎年の配当をもらう人と、最後に財産をもらう人が違う場合、この場合は配当をもらう権利と最後に財産をもらう権利を別に計算しないといけません。今のところ信託した財産の価額から配当をもらう権利を引いて最後に財産をもらう権利を計算しますが。ただこの配当をもらう権利っというのはあくまでも予測に基づくものなので、何を基準にしても事実と大幅に異なる場合があります。DCFを取り入れたようなものだから。
他益信託をみてたらわかるのですが、信託っていうのは、自分の財産を信託銀行にあずけているだけだから自分で持っているのと変わらないという理屈が根っこになるのですが、実際に受益者が信託によって手に入れるのは、将来利益を受ける権利であり将来財産をもらえる権利なんですね。で、資産自体は受託者の名義になってるけど、受託者は単にあずかっているだけ、
じゃ本当の財産はどこにいっちゃったのか、というと仮想空間信託財産みたいになっちゃって、地上から浮き上がった存在になってる。こんな感じだからよけいわかりにくいのかもしれません♪
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コメント
いつも楽しく読ませていただいています。
信託そのものは限りなく柔軟なものですが、税制の関係上
制約が生ずる場合がありそうですね。
ところで、信託法上何世代後まで、もしくは今生きている者の孫まで受益者とできる、といった受益者に関する制限はあるのでしょうか?信託の母国であるイギリスなどでは永久信託などもあるようですが、日本でも信託が普及すれば、曾孫や玄孫を受益者として相続税を逃れようとする動きが出てくるのでしょうか?
投稿: hzkn | 2006年11月 7日 (火) 10時50分
いつも楽しく読ませていただいています。
信託そのものは限りなく柔軟なものですが、税制の関係上
制約が生ずる場合がありそうですね。
ところで、信託法上何世代後まで、もしくは今生きている者の孫まで受益者とできる、といった受益者に関する制限はあるのでしょうか?信託の母国であるイギリスなどでは永久信託などもあるようですが、日本でも信託が普及すれば、曾孫や玄孫を受益者として相続税を逃れようとする動きが出てくるのでしょうか?
投稿: hzkn | 2006年11月 7日 (火) 10時49分