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2006年12月12日 (火)

三角合併で何が問題なの?

昨日 経団連の御手洗さんが「来年五月解禁の三角合併に関して「国内で(日本企業が)ペーパーカンパニーと合併する場合は課税繰り延べは許されていない。外国企業にだけ例外的に認めるのは税の体系を壊すもので、筋が通らない」と述べ、自民党税制調査会が検討している課税繰り延べの乱用防止策を評価する考えを示した。」(日本経済新聞12/12 朝刊)とされています。外国からの圧力(たぶん)もあり、どーなるかは流動的ですが、このペーパーカンパニーと合併する場合は課税繰り延べが許せないとは何?

三角合併とは

このブログでは、何度も何度も書いていることなのですが、また書きます。合併とは2つ以上の会社がひとつになります。通常合併消滅会社の株主には、合併時に自分の持っている株式が紙切れになってしまうので、かわりに合併存続会社の株式をもらいます。

三角合併とは、合併存続会社の株式のかわりに、合併存続会社の親会社の株式をもらうような合併です。これが会社法の施行で可能になりました。この三角合併の利用方法のひとつとして、外国の会社が日本の会社を買収したい場合、お金をだして、日本の会社の株を買うと大変だから、その外国の会社が日本にペーパーカンパニーを作って、そこを合併存続会社として、ターゲットの日本の会社を吸収合併し、対価として外国の親会社の株を合併消滅会社の株主に支払います。そうするとキャッシュアウトがないからいいでしょ。

で、この三角合併がワークするかどうかは、会社法だけでなく税法が重要な要因になるのです。合併時に合併消滅会社の株主や、合併消滅会社でがばっと税金がかかるとたまらないでしょ。

税法上、合併はどういう制度になっているのか。

日本の税制で合併はどういうふうになっているかというと、原則的には合併時に合併消滅会社の資産、負債を時価で合併存続会社に譲渡して、合併存続会社はその対価として自分のとこの株式を時価で合併消滅会社に交付し、それを時価で株主に支払いますよというふうになってます。だから含み益のある会社を合併消滅会社にしたような場合は、合併消滅会社で税金がかかり、株主も合併時に合併消滅会社の株式を時価で譲渡したとして課税されます。

ただし一定の場合は、合併時の課税を繰り延べます。これはおおまかにわけると2つのくくりになります。ひとつは企業グループ内の合併の場合、もうひとつが共同再編のような合併の場合であり、それぞれ合併時の課税の繰り延べをするための要件というのがあります。

三角合併というのは、赤の他人のような会社が、ある会社を買収したいともくろんで実行することに使うことが多いと思うので、合併時の課税の繰り延べを行いたいなら共同再編の要件を満たす必要があります。

事業関連性とは誰と誰の間で必要なの?

共同再編の要件にはいろいろあるのですが、そのひとつとして事業関連性というのがあります。条文を引用すると、

法人税法施行令4条の2③

一 合併に係る被合併法人の被合併事業(当該被合併法人の当該合併前に営む主要な事業のうちのいずれかの事業をいう。以下この項において同じ。)と当該合併に係る合併法人の合併事業(当該合併法人の当該合併前に営む事業のうちのいずれかの事業をいい、当該合併が新設合併である場合にあつては、他の被合併法人の被合併事業をいう。次号及び第4号において同じ。)とが相互に関連するものであること。

この事業関連性が合併存続会社と合併消滅会社の間であることです。合併存続会社がペーパーカンパニーで合併消滅会社がなんか事業をやっているような場合は、この要件を満たさないのです。で、外国の会社が日本の会社を買収するために、日本に会社を作る場合は、コストもかかるから通常は、ペーパーカンパニーになるはずです。でもこれってだめ。

で、外国の方はたぶん 合併存続会社がペーパーでもその親会社と合併消滅会社に事業関連性がある場合は、課税の繰り延べを認めよと主張しているのでしょう。

ただね。三角合併というのは、分解すると、株式交換をして、その後に合併するのと同じなのです。合併消滅会社が合併存続会社の親会社と株式交換すると、合併存続会社の親会社の株主に合併消滅会社の株主はなり、合併消滅会社自体は、親会社の100%子会社になるのです。そして合併存続会社と合併消滅会社を合併させる。

この場合の税制の要件がどうなっているかは、株式交換が課税の繰り延べにあてはまっているか、合併が課税の繰り延べにあてはまっているか2段階で検討します。

株式交換時点では、資本関係もなにもない2社だからこの株式交換が共同再編にあてはまるかどうか考えないといけない。そしてこの場合の事業関連性は、株式交換の当事者である合併存続会社の親会社と合併消滅会社なんですよね。この2社でみると事業関連性がある場合もあるはずです。だから三角合併では課税の繰り延べ要件を満たさないような買収でも、株式交換と合併という2つの組織再編を組み合わせると、課税の繰り延べが可能な事例もあると思います。

ただ外国会社の株式と日本の会社の株式を直接株式交換できるように会社法は作られてないので、外資が日本の企業を買収する場合は、2段階の組織再編は無理なのかもしれませんが♪

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