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2006年12月20日 (水)

遺言により設定された目的信託

目的信託というのは、信託のうち信託財産から生ずる利益を受け取る者がいないようなものです。現行の税制では、このような受益者のいない信託財産から生ずる利益については、委託者がその利益を受けたものとして課税されます。

遺言信託というのがあります。遺言により被相続人である委託者がその相続財産を受益者にあげるような信託です。この場合の受益者は、相続開始時にすでにいている者でもかまわないし、将来生まれてくる孫というようにまだこの世に存在していない者でもかまいません。

現行の信託法では、遺言信託を設定した委託者が死亡した場合、委託者の地位は委託者の相続人に引き継がれるというようになっているから、将来生まれてくる孫を受益者とするような信託を設定した場合、信託財産については相続人に対して相続税を課し、孫が生まれるまでの間の信託財産の運用益についても相続人たちに所得税を課すことができたのです。

ところが信託法においては、遺言信託の委託者の地位というのは相続人に引き継がれないのです。委託者の地位というのと受益者の地位というのは相反する立場にあるので、相続人である委託者が受益者ともなるような場合、ほかの受益者となる相続人や受遺者とうまくやっていけないリスクがあるからだと思います。

それでは遺言信託で将来生まれてくる孫に全財産をあげるというようなものを設定した場合の課税関係はどうなるのかというと、相続人に財産が引き継げられないので現行税制では相続税やその後の所得税を支払う人がいなくなります。

そこで改正案ではどうするかというとこのような受益者の存在していない信託を遺言で設定したような場合は、設定時(相続時)にこの信託財産を信託と言う名の法人に譲渡したものと考えます。たとえば10億円の相続財産だったら、被相続人が法人に10億円で財産を譲渡したものとみなして所得税課税し、信託法人では10億円の財産をただでもらったとして受贈益課税をします。住民税もあわせると4億円弱の税金かな? 4億円の税金をとられたとして残り6億円の財産を運用して1年の利回りが10%とします。孫が5年後に生まれても信託期間は10年間の場合は、孫が生まれた時点で孫に対して課税関係は生じません。ですから10年間は運用益に対して原則的には毎年法人税が課税されます。そうすると10年後の信託財産は96,000万円となります。(6,000万×(1-40%)×10%=36,000万とまります。6億円+36,000万円=96,000万円です。)そして信託終了時点で、孫に全財産をわたすとなると孫は96,000万円の財産を信託法人から受贈したとして所得税(一時所得)がかかります。

ただしこれは原則。だって法人税の税率って、相続税や贈与税よりは低いからその差を利用してわざと受益者のいない信託を設定するようなこともあると思います。またこのケースで子供がいるのに、将来生まれてくる孫に全財産あげるとなると、本来なら子供が財産を相続するときに相続税がかかり、孫が子供から財産を相続する時にもう一回相続税がかかるのに、ダイレクトに孫にくると一回相続税がうきますよね。

でこのような相続対策で受益者の存在しない信託を設定したような場合は、信託財産でかかる税金を相続税や贈与税のベースで計算します。

また世代飛ばしで遺言信託を使っているとされるなら、信託終了時点で所得税がかかるのではなく、特定された時点(このケースでは孫が生まれた時点)で贈与税がかかるのかな(ちょっと不安)と思います。

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