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2007年1月 5日 (金)

目的信託の使い方

新年あけましておめでとうございます。しばらくパソコンやネットのつながらない世界で生息していました。本年もよろしくお願いします。

2007年の1回目のブログは、信託小僧さんへのお返事

信託小僧さん:「チャリタブルトラストや中間法人がやっているような機能を信託に持たせるということでしょう。」とありますが、どういうことをいうのでしょうか?

信託大好きおばちゃん: チャリタブルトラストや中間法人っていうのは、資産を証券化して、お金を調達しましょうというスキームを作る時に用いるビークルです。

このスキームでは、会社(オリジネーター)が持っている資産の価値に着目して、その部分だけ別の会社(SPC)に移転して、その資産の価値のみを裏づけとして証券を投資家に発行して資金を調達します。このSPCは本質的にはオリジネーターの会社と関係の深い会社なのですが、それではまずいのです。なぜならもしオリジネーターの会社が倒産したような場合、たとえば管財人は債権者のためにオリジネーターの会社の資産の整理をして換金処分し、債権の弁済にあてなければならないのですが、その際にSPCの資産もオリジネーターの資産の範囲に含まれるとされると、債権の弁済のために召し上げられてしまうからです。そうするとSPCの資産価値を信じてお金を出した投資家は損するでしょ。だからそうならないようにSPCとオリジネーターの会社の関係を断ち切る必要があるのです。そのためにチャリタブルトラストや中間法人を使うのです。チャリタブルトラストというのは直訳すると慈善信託であり、信託されたお金を世のため人のために使いましょうというもので、誰が利益を受けるかわからないかわからないものです。中間法人というのは、出資者と経営者が分断されているような法人で、出資者は金を出すけど、経営には口をだせない。このようなチャリタブルトラストや中間法人が、オリジネーターのかわりにSPCへ出資することにより、オリジネーターとSPCの資本関係等のつながりがないという形をつくって、オリジネーターの倒産から波及するリスクを減らします。

で、目的信託といわれるものはチャリタブルトラストや中間法人の代用として使えます。これって受益者の存在しない信託です。誰も信託財産から生ずる利益を受けないような信託をオリジネーターが作るということは、チャリタブルトラストや中間法人と同じで、オリジネーターと資本関係のないビークルを作ることだから、この目的信託がSPCを所有しても、そのSPCはオリジネーターと資本関係のないビークルとなるので、SPCがオリジネーターの資産を取得した後に、オリジネーターが倒産しても、倒産の波及効果がSPCにある資産まで飛んでくることはないというものです。

あとは目的信託がビークルで使えるかどうかは、チャリタブルトラストや中間法人と比較してコストパフォーマンス等がいいかと思うのですが♪

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コメント

明けましておめでとうございます。
お忙しい中、ご丁寧にご回答頂きありがとうございました。

しかし、この様な仕組みをよく考えたものだと感心致します。
誰が考えるのでしょうかね。不動産会社?証券会社?会計事務所?

年末・年始は「信託大好きおばちゃんのブログ」にはまってしまい、
ほぼ全て読破しました。
今後も楽しみにしております。
ありがとうございました。

投稿: 信託小僧 | 2007年1月 6日 (土) 14時17分

あけましておめでとうございます。きっとご多忙の中、ブログを記されているのだろうと思います。私は不動産に関してはプロですが、貴女のblogには正直脱帽します。とても参考にもなります。TB1本送らせていただくのに合わせてコメントさせていただきました。今後とも宜しくお願い致します。

投稿: fredy | 2007年1月 6日 (土) 02時18分

こんにちは。いつも楽しく読ませて頂いています。

ケイマンチャリトラSPCが倒産隔離に使う際には、
「信託宣言+目的信託」をしていましたが、
改正信託法では、目的信託が可能な場合から、
明示的に自己信託が除かれていますよね。

ですのでまるっきりケイマン慈善信託みたいなことはできないと
いわれているところではありますが、中間法人みたいな
役員の交通事故リスクとかが乗っかっている仕組みよりも、属人的な
要素が排除されたケイマンチャリトラみたいなやり方を目的信託使ってなんとかならないかとあれこれ考えてみると結構楽しいですね。


本当は信託法改正後は、信託だけをビークルにしてSPC作らない方法が一番安上がりで簡単じゃないのかなあと思っているんですが、あまりそういった論調が聞こえてこないのは何故なのかまだ理解不足の昨今です。

投稿: nippo | 2007年1月 6日 (土) 01時55分

あけましておめでとうございます。
いつも楽しく拝見させて頂いてます。

チャリタブルトラストって、昔はよく使ってましたが、今となっては懐かしい響きですね。
中間法人が使われはじめた時も、ちょっとでも大丈夫と分かるとチャリタブルトラストからの切替が早かったですね・・。
目的信託も使い勝手がいいと、そうなるかも知れません。
日本はケイマンとかに比べて弁護士の質が高いので、日本サイドだけで完結する仕組みがWelcomeです。
※ケイマン弁護士は、ケイマンにいませんけど。

倒産隔離もコストとの関係が一番大きいので、中間法人よりも大幅に低くなるということはなさそうな気がします。

極論すると、「この人、信じられますか?」の世界なので、いくら目的信託を使ったとしても、オリジネータに近い人が管理・運営してると、嫌ですよね。
会計事務所とか使うと、トータルのコストはほとんど変わらないような気が・・・。

ただ、自称オタクとしては、どこかで使ってみたいところではありますが。。

本年も宜しくお願い申し上げます。

投稿: shotanajp | 2007年1月 5日 (金) 20時07分

はじめまして。
すごく専門的で深い内容のブログを書かれているなと以前から感心しておりました。
たまに出てくる ♪ マークも良いですね。
あまりに良い内容なので、私のブログでこのブログを紹介させていただきました。
本来ならば先に許可を頂いてから載せるべきなのでしょうが、お許しください。

ためになる記事がいっぱいで感心しております。
今後も頑張ってください。
ファンより

投稿: 江上法斗 | 2007年1月 5日 (金) 13時48分

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