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2007年3月 8日 (木)

事業証券化 (ボーダフォンと頌子&肇さんのスキーム)

昨日の日経金融新聞に「事業証券化広がる、将来の収入担保に資金調達、ルール整備これから。」というのが掲載されてました。

記事によると

「調達金額は約一兆四千五百億円。携帯電話事業が生み出す将来の現金収入を担保に資金を借り入れたことで、ソフトバンク本体の格付けより高い格付けが取得でき、有利な条件で資金を確保することができた」。

このスキームの内容は プレスリリースによると

1

SBMによる総額1.45兆円*1の借入

2

BBMによるブリッジ・ファシリティ契約(総額1.28兆円)に基づく借入金(1兆1,738億円)の返済

3

BBMが既に発行している第一種優先株式の条件変更

4

BBMが新たに発行する第二種優先株式(拒否権付種類株式)の条件決定

5

モバイルテック、BBM、SBMおよびSBMの子会社(全4社)の保有資産等に関する担保権の設定

6

SBMの発行済普通社債総額1,000億円に関する信託型デット・アサンプションの実施

7

BBMの劣後ローン1,000億円に関するSBMによる825億円の免責的債務引受の実施

SBM ソフトバンクモバイル BBM (BBモバイル) 

 この1.45兆円の借入金の返済原資は、SBMの携帯電話事業による将来のキャッシュ・フローのみであり、携帯事業がうまく運営できなくなると返済ができなくなり困ってしまいます。そこでSBMの親会社であるBBMに拒否権付種類株式を金融機関に発行し、役員1名の選解任権を持たせます。この株主総会での拒否権があるのは、追加借入、新規事業の開始、WBSの仕組みの導入に際して行った定款上の手当てに関する定款変更、新株、新株予約権その他株式(株式に転換できる証券を含む。)を取得できる権利の発行、解散申立、倒産申立です。

そうすることにより親会社の恣意的な行動を排除させ、携帯事業の安定を図るというもののようですね。

 で、この場合担保権を設定しているのですが、それはプレスリリースによると「SBMが保有する原則として全ての資産(不動産、動産、債権、子会社株式等)ならびにBBMが保有するSBMの株式およびモバイルテックが保有するBBMの株式」だそうです。

ここまで読んではたと思い出しました。そう頌子&肇さんの考えたスキームです。少しアレンジ

1. 事業信託を行った後に信託債を発行するか信託債権の借り入れをシンジケーションローンで行う。

2. 信託債又は信託債権を担保するため、信託財産に属する全ての資産に第一順位の担保権を設定する。

3. 信託債の発行手取金又はローンの手取金で当初発行した信託受益権の大部分を償還してしまい、委託者(=当初受益者)であるオリジネーターに支払う。残った受益権を機関投資家に売る。

4. 信託債又は信託債権を投資家に売る。

事業に属する資産全体に担保権の設定をすれば、取引債権者が事業に属する資産を差し押さえて、事業の継続が不可能になるリスクを回避できます。また、受託者の固有債務に属すべき債務が信託債務と扱われるような場合も同様です。このようにして、事業から生じるキャッシュフローを確保し、信託債や信託債権を有する投資家や金融債権者に優先して弁済できます。

 安定的なCFの維持のためにボーダフォンの方は拒否権付株式の発行を行ったのですが、この事業信託でもそれに近いスキームを入れなきゃまずいのでしょうね。 どういれるのかな♪

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コメント

続きざまでコメントしています。

・事業信託した場合の、小口債権の第三者対抗要件は大丈夫なのでしょうか?
・オリジネーター側の労働債権が優先されたり、再生計画に認定された場合の重要財産認定とか大丈夫なんでしょうか?
・オリジネータが法的にデフォルトした場合に、信託勘定は法的にデフォルトできるんでしょうか?
というのが、若干気になります。

投稿: shotanajp | 2007年3月 8日 (木) 22時41分

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