« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »

2007年6月29日 (金)

無記名の受益証券

昔、無記名の割引債券というのが結構はやっていたような気がします。また、無記名の合同運用金銭信託(貸付信託など)もあったようです。

ただ、信託協会の統計(金銭信託(合同)期限別・委託者別残高推移)を見ていると、2002年に残高が0になってます。

これは、又聞きですが、マネーロンダリングや脱税の温床に無記名の信託が利用されることを防ぐために自主規制がなされたためであり、法律的には、今でも無記名の受益証券は発行できるようです。

信託法が改正になり、受益証券発行信託が可能になると、受益証券発行信託の無記名の受益証券の発行も可能となります。特定受益証券発行信託(受益証券発行信託のうち、信託財産から生ずる利益について、分配時に投資家に課税されるもの)の要件について、別に無記名は駄目よなんてものは見当たらないようだし、特定受益証券発行信託は、信託銀行しか発行できないということはないから、自己信託で無記名の受益証券がいっぱい発行される可能性はあるかもしれませんね♪

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2007年6月28日 (木)

包括信託って?

包括信託っていうのは、信託する財産が、たとえば、土地と建物とか、現金と有価証券というように2以上の資産を信託するようなもの

「信託の種類別残高(平成18年9月末現在)」by信託協会 によると

金銭の信託、金銭以外の信託の合計残高の44・5%も占めているようです。次に多いのが金銭の信託で24.5%なのです。意外な結果ですね。素人から見ると

なぜなのか? 三菱信託銀行信託研究会(編著)「信託の法務と実務4訂版」金融財政事情研究会、665頁に、次のように記載されています。

「類型としては、土地信託の設定の際、土地とともに建築費の一部として金銭を信託するケース、設備信託の設定の際、建物と同時に据え付けられた機械類を信託するケースなどがある。さらに最近では年金信託が金銭と有価証券の包括信託とされる例が多く、残高は急増している。」とのことです。

 これ、例の退職給付信託なんかの影響があるのでしょうね。退職給付信託の設定時に、企業が所有している含み益のある上場有価証券等を信託したようなケースが多かったから、あと、条文から探し出したのだけど、確定給付企業年金で、掛金を株式を信託して支払ったようなケースもあったのかもしれません。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2007年6月27日 (水)

受益者指定権を有する者の定めのある信託

これって、まだ、あんまり話題になっていないけど、そのうち注目されるだろうなと思う信託です。

受益者指定権を有する者の定めのある信託、つまり、次に誰を受益者にするかを、委託者以外の者にすることもできる信託。たとえば大金持ちの人が財産を信託して、とりあえず自分が受益者になった。通常、信託契約などで、自分が死んだら嫁、嫁が死んだら息子というように決めるのは、財産を信託した委託者。 遺言や遺言代用信託で受益者を決めても、その人が受益者にふさわしいかどうかは、財産を委託した人が死んだ後だからわからない場合もある。

受益者指定権のある信託の場合は、委託者でない別の人でもOK だから、上記のようなリスクが回避できる可能性が高い。

指定権のある人って強烈な権力を持ちますね。だって、誰に財産をあげるかを決めることができる。世の権力者といわれている人たちの権力の源泉が人事権であるようにね。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

第89条(受益者指定権等)

 受益者を指定し、又はこれを変更する権利(以下この条において「受益者指定権等」という。)を有する者の定めのある信託においては、受益者指定権等は、受託者に対する意思表示によって行使する。

 2 前項の規定にかかわらず、受益者指定権等は、遺言によって行使することができる。

 3 前項の規定により遺言によって受益者指定権等が行使された場合において、受託者がこれを知らないときは、これにより受益者となったことをもって当該受託者に対抗することができない。

 4 受託者は、受益者を変更する権利が行使されたことにより受益者であった者がその受益権を失ったときは、その者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 5 受益者指定権等は、相続によって承継されない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 6 受益者指定権等を有する者が受託者である場合における第1項の規定の適用については、同項中「受託者」とあるのは、「受益者となるべき者」とする。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007年6月26日 (火)

任意組合の組合員と合名会社の社員の損失負担の差異

任意組合の出資者は、組合で生じた債務に無限責任を負うけど、生じた債務の負担割合に応じる。たとえば、組合員が2人(甲、乙)いて、債務が100生じても、負担割合が甲30%だったら30だけ負担。でも債権者が負担割合を知らなかった場合は 債権者は甲に対して50請求できる。

合名会社の社員は、合名会社で生じた債務に無限責任を負うけど、こっちは、連帯責任。社員が甲、乙の2人で負担割合が30:70でも、債権者は債務が100の場合は甲に対して100請求できる。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年6月25日 (月)

貸株株券の返還請求権担保信託

貸株って、投資家が証券会社に預けている株式を機関投資家などに貸し出すような業務で、株を貸した投資家は貸株料をもらえる。でも、必ず貸した株が返ってくるとは限らない。で、そのリスク回避のために貸株株券の返還請求権担保信託というのがあるのだと思います。

すなわち、証券会社は投資家から預かった株券を機関投資家に貸し出す代わりに、貸株銘柄の時価相当額の代り金(「貸株代り金」)を受け入れて、その代わり金を信託します。この信託は、収益受益者と元本受益者(新信託法によると残余財産受益者かもしれないけど、とりあえず元本受益者)が別人です。 収益受益権者は委託者である証券会社で、元本受益権者は株を貸し出した投資家。収益は証券会社が受取って、おそらく、その収益から投資家に対する貸株料を払うのでしょう。貸し出した株券が返還されない場合は、元本受益権者に貸株の貸し出し時の時価相当額が支払われるのでしょうね。もし、何事もなく機関投資家から株券が返還されたら、想像なんですが、たぶん、その信託は終了して、信託金は、元本受益者でなく、委託者に返り、委託者が機関投資家に返すのではないかと。つまり信託代わり金を受取る人が、2パターンある。何もないときは、委託者(帰属権利者)、何かあったときは、投資家(元本受益者というか残余財産受益者)。

で、課税関係はどうなるのでしょうか。新税制では、受益者というのは、受益者としての権利を現に有するということが大前提。投資家にとって、元本部分の返還を受けるのは、何かトラブルが起こったような時点、つまり停止条件で元本部分を受取ることになるのです。だから、信託設定時に投資家としての権利を現に有しないとされ、投資家は受益者にならない。委託者の方は、信託設定時点で、信託から生ずる利益はもらえることになっている。つまり、信託設定時は受益者は委託者だけになるから、特に課税関係はない。もし、何事もなく信託が終了した場合は、委託者に信託金が返還されるだけだからこの時点も課税関係はない。もし、トラブルが起こって、元本部分の支払いを投資家になされた場合は、この時点で投資家に対し課税関係が生ずる。すなわち、信託金を受取った時点で、投資家が有していた株券を貸し出したときの時価相当額で譲渡したものとして譲渡所得課税が生ずる。となるのではないでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2007年6月22日 (金)

デッドアサンプション信託型スキーム

みうらさん;当社は、社債間限定同順位特約付無担保社債を発行している。

社債権者集会の決議なくしては、会社財産を担保にできない。

が、今回、借り入れをするために、元利金を担保するため、社債権者に満期時に弁済することを目的として、信託する。

社債は、オフバランスとなる。

担保に供しても、社債権者は不利にならない。

よって、決議は不要となる。

この場合、法人課税になるのですか。

信託大好きおばちゃん:

たぶんこれ、デッドアサンプション信託型スキームだと思う。

これは、社債のオフバランス化(貸借対照表の負債の部からなくす)のために行う手法です。

たとえば、仕訳でいうと、 社債を1億円発行し、資金調達する

     社債発行会社の仕訳  現金 1億円  社債 1億円

会社は、国債(投資有価証券)1億円を信託する。この信託は、他益信託である。 委託者は社債発行会社、受託者は信託銀行、受益者は金融機関等 そしてこの受益者は、信託契約とは別に、委託者と債務履行引受契約を結ぶ。これは、委託者に代わって、社債の利子、元本相当分を社債管理会社に支払いましょうというもの。本来なら、社債発行会社が、利子を払い、元本を支払う代わりに、受託者が運用して利子と元本部分を受益者である金融機関に支払い、その金融機関は、社債管理会社に支払い、社債管理会社は、投資家に支払う。信託することにより、たとえ、社債発行会社が倒産しても、社債権者には社債の利子と元本が支払われることになりますよね。

この信託設定時の仕訳はどうなるかというと

社債発行会社(委託者)仕訳   社債 1億円  投資有価証券 1億円

  国債を信託した結果、社債債務を支払う義務が、原則的には、なくなるから。(完璧にはなくならない)

金融機関(受益者)仕訳  信託受益権 1億円 債務履行義務 1億円

これは、受益者が金融機関ということで特定していて、信託財産を受ける時期に停止条件がついていることもないので(信託財産の運用益は信託期間中コンスタントに受け取ると思うので)、受益者がいる信託だから受益者のいない信託として法人課税信託になることはない。また受益者は、信託受益権を他益信託により受取るが、その対価として債務履行義務を負うので、受贈益が生ずることもない。したがって、特に、信託に係る課税リスクはないと思うのですが♪

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2007年6月21日 (木)

信託と株式会社

株式会社って、出資する人と事業を行う人が制度的には異なり、損益の分配を出資する人は受けることはできないけど、利益の分配を受けることができる。

信託は、出資する人と事業を行う人と損益の分配を受ける人は異なる場合もあれば同じ場合もある。

株式会社の場合、出資する人の責任は、出資限度、信託の場合は、出資限度が原則だけど、契約で無限責任にすることもできる。

株式会社の場合、株式会社で生じた債務に対して、事業を行う人たちは、自分の財産をなげだしても支払う責任はない。保証でもしていない限り、会社が債務に対する責任を負う。信託の場合の事業を行う人は、原則として無限責任を負うが、信託財産限度の信託を引き受けることによってリスクを下げることはできる。

株式会社の場合、出資は損益の分配を受けることはできないが、利益の分配を受けることはできる。信託の場合、受益者は損益の分配を受ける。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年6月20日 (水)

退職給付信託 ほんとうに大丈夫かな?

以前、このブログで、退職給付信託の改正後の取り扱いについて書きました。退職給付信託は、企業が資産を信託して将来退職する従業員の退職金に当てるための他益信託。いわゆる受益者が不特定の信託ということで、今の税制では委託者(信託した企業)課税になっています。これが改正で、委託者課税継続か、法人課税かを考えたところ、委託者課税になるためには、委託者が信託の変更権+財産の給付を受ける必要があります。で、退職給付信託というのは、委託者に信託した財産の返還がなされないようなものだから、おそらく法人税課税になるのでは?と思ったわけです。

 で、気になったのが経過措置、 もし既存の退職給付信託にも新しい税制が適用になると、がーんということになるのです。だって、法人課税のうちの受益者のいない信託だから、委託者側で時価課税、受託者側で時価で受贈益課税になるでしょ。

 さらっと条文を読んだら、改正前に効力が生じた信託については、従前の例による(付則34①)があるから、なんだ、従来道理だと軽く思ったわけです。

 ところが、もう一度条文読んだら同条2項に 信託法施行前に効力が生じた信託(旧信託)が信託法施行日以後に法人課税信託に該当することとなった場合には、当該旧信託を第2条の規定による改正後の法人税法第4条の79号に規定する受益者等がその信託財産に属する資産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託として同項を適用するとなってます。

 これはどういうことかというと、旧信託が法人課税信託に該当することになった場合は、新信託法の適用で法人税課税を適用しますよということだと思うのです。

 で、退職給付信託というのは、現行では委託者課税だけど、新税制では法人課税信託に該当する形態であるとすると、新法適用日に自動的に法人課税信託になってしまう。ということは、2項の適用になるのでは?ということです。

 やっぱりあぶないかと思って、もう一度調べてみたら、「退職給付信託資産の事業主への返還は禁止されていますが、実務指針にはなお書きがあるのです。なお、退職給付信託は、退職一時金及び退職年金制度における退職給付債務の積立不足額を積み立てるために設定するものであり、資産の信託への拠出時に、退職給付信託財産及び年金資産の合計額が対応する退職給付債務を超える場合には、当該退職給付信託財産は本報告における年金資産として認められないことに留意する。」

「なお書き」によると、積立超過となった場合はその限りではないと解されます。したがって、実際の信託契約でも、年金資産が退職給付債務を超過するなどの一定の基準を満たした場合に限り、事業主に積立金を返還できる規定を設けていることが多いようです。

参考 あずさ監査法人のHP

つまり、一定の要件に該当する場合は積立金を返還できる。これは委託者課税の要件である「当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者」にあてはめられるのでは、ちょっと厳しいけど。それだったら従来どおりでOK

 いずれにしても言いたいことは、既存の退職給付信託がいきなり法人課税信託に該当するから課税だ!という事態は避けて欲しいのです。だって、日本中の多くの会社(ほとんど上場会社等会計監査対象会社と思いますが)に影響があるでしょ。

 この件に関しては、早く、オフィシャルに回答出して欲しいと思うのです♪

| | コメント (5) | トラックバック (5)

2007年6月19日 (火)

信託と持分会社

持分会社って、出資をする人と事業を行う人と損益の分配を受ける人が一致している法人のこと。出資をする人と事業を行う人と利益の分配を受ける人が一致している契約は組合というけどね。どうちがうかというと、法人格があるのが会社、ないのが組合

株式会社は、出資をする人と事業を行う人は、制度上は別のものとされている。株式会社の場合、会社で生じた利益は、ダイレクトに株主のものにならず、配当の決議をされた部分が株主に分配される。つまり、会社で生じた利益はいったん会社にたまる。一方、持分会社は、法律上は、会社にたまらずダイレクトに出資者に配分されることになる。でも、法人であるから、持分会社で生じた利益に関しては法人段階で法人税課税がなされる。

信託というのは、財産を信託をした人と資産の管理処分をする人とその財産から生ずる利益を受ける人が異なる場合もあれば、一致する場合もある。信託から生ずる利益は受託者のものではなく受益者のものとなっている。だから、信託から生ずる利益は、原則的には受益者の段階で課税されることになるけど、一定の信託に関しては受託者に法人税課税されることになる。

第674条(組合員の損益分配の割合)

 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。

 2 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。

会社法 第622条(社員の損益分配の割合)

 損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める。

 2 利益又は損失の一方についてのみ分配の割合についての定めを定款で定めたときは、その割合は、利益及び損失の分配に共通であるものと推定する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年6月18日 (月)

元本受益者とは、

やまとさん:元本受益者って何ですか?元本受益者と残余財産受益者と帰属権利者との違いを教えてください。

 

恐縮します。やまとさん♪ やまとさんの方から教えていただきたいことが、実は、信託おばちゃんにはいっぱいあるのですが(笑)

残余財産受益者、帰属権利者は信託法で定められていますね。

残余財産受益者:  

信託行為において残余財産の給付を内容とする受益債権に係る受益者

信託期間が終了して清算中で、残った財産をもらえる受益者

信託期間中から、受託者に対する監視・監督権がある。

帰属権利者:    

信託行為において残余財産の帰属すべき者

信託期間が終了して清算中で、残った財産をもらえる受益者

信託期間中は、受託者に対する監視・監督権はない。なぜなら受益者でないから。

清算中では、受益者とみなされる。

元本受益者:

これって、どこにも明確な定義づけはないのですが、委託者が信託した財産またはその代替物の返還を受ける権利を有する受益者だと思うのです。

山田熙・中森真紀子「信託の税務」ぎょうせい、95頁によると、信託終了時に原則として受益者(特別な場合は委託者)が受託者から残存財産の返還を受ける権利とありますが、

これって、残余財産受益者のことですよね。

でも、元本の意味を素直に考えると、元本の返還は、何も終了時に限らないと思うのです。

たとえば、追加型の株式投資信託で、投資家が10,000円投資しました。配当を5,000円もらい、配当後の基準価格が8,000円でした。これって普通配当金3,000円 特別配当金2,000円となり、3,000円部分は配当で2,000円部分は元本の払い戻しみたいなものですよね。普通配当金をもらえる権利と特別配当金ももらえる権利を分割して考えると、普通配当金は収益受益権対応部分、特別配当金は元本受益権対応部分と考えられます。これは、信託期間中に行われています。ただ、株式投資信託の受益権がこのように分割されることはないと思いますが。

信託は契約である限り、このような信託期間中の元本の返還は可能であり、それは必ず信託した資産でなければならないことはない。信託期間中にどんどん資産の形態が変化することもあるので、そんな元本の返還権利をもつのが元本受益者であるとおばちゃんは素直に考えるのです。   

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年6月15日 (金)

他益信託の疑問  委託者が元本受益権者の場合

やまとさん

 元本って何なのでしょうか。なんかよくわかりません。信託の中に入ってる資産に色はないと思うのですが。

信託大好きおばちゃん

 うーん 委託者が当初出資した資産のことなのかな。でも当初出資した資産は信託期間にどんどん変化することもあるしね。土地を信託して、信託終了期間が終了してその土地を返してもらうというのだったら非常に元本というのがわかりやすいけど、この辺も今後、いろんなケースを検討して理解を深めたいと思っております。

 で、今日も他益信託の自問自答 なんか禅問答みたいだけど、信託法が施行され実務がスタートするまでに絵に描いた餅をいっぱいストックしておくのも大切だと思うのです。

 事例: 委託者Aが資産を信託する(遺言信託ではない)。 収益受益権はBに、元本受益権はAというもの。

ABも個人。 元本は信託期間終了時にAに返還される。Aが信託を変更する権限をもっている場合と持っていない場合にわけて、課税関係を整理せよ。

Aは、元本受益者であるから、信託期間も受託者に対する監視・監督権はあるけど、信託期間に実際に利益を受けないから信託期間においては受益者とはならないと考える。この前提で、2つのケースに分けて検討する。

ケース1 Aが信託を変更する権利を有する場合

Aは委託者であり、信託を変更する権利を現に有し、かつ、信託期間終了時には信託財産の給付を受けることができるから特定委託者に該当する(相法9の2⑤、相令1の12④)。特定委託者は受益者等に含まれる(相法9の2①)。Bは、収益受益権者であるから、信託期間に利益を受け、かつ、受託者に対する監視・監督権を有するから受益者等に該当する(相法9の2①)。

このケースでは、受益者がABの2人いるので、信託設定時に委託者Aから受益者ABに贈与があったものとみなされる(相法9の2①)。ABの受益者がいるので、信託に関する権利の全部をそれぞれの受益者がそれぞれの権利の内容に応じて有する(相令1の12③二)から、Bは収益受益権をAから贈与されたものとして贈与税を申告納付する。元本受益部分は、AAに贈与するということはありえないからこの部分の課税関係は生じない。

信託期間中生ずる所得は、BのものとしてBで所得税を申告納付する。

信託期間終了時にはAに元本がかえってくるが、預けたものが返ってくるだけだから課税関係は生じない。

ケース2 Aが信託を変更する権利を有しない場合

Aは委託者であるが信託を変更する権利を有さないから、信託期間終了時に信託財産の給付を受けることができても特定委託者に該当しない(相法9の2⑤)。また、信託期間中には利益をもらえないから受益者にもならない。したがって、Aは受益者等に該当しない。Bは、収益受益権者であるから、信託期間に利益を受け、かつ、受託者に対する監視・監督権を有するから受益者等に該当する(相法9の2①)。

このケースでは、受益者等がB1人なので、信託設定時に委託者Aから受益者Bに信託財産に関する権利の贈与があったものとみなされる(相法9の2①)。B単独の受益者なので、信託に関する権利の全部をBが有するものとされる(相令1の12③一)から、Bは収益受益権だけでなく元本受益権も含めた権利をAから贈与されたものとして贈与税を申告納付する。

信託期間中生ずる所得は、BのものとしてBで所得税を申告納付する。

信託期間終了時には、Aは初めて受益者となり、BからAは元本部分の贈与を受けた者として贈与税を申告納付する(相法9の2④)。

Aは信託を変更する権利がないばっかりに自分であずけたものが自分にかえってくるのに贈与税を払わないといけないし、Bは自分が手に入れることもできない元本受益権部分に関しても贈与税を払わないといけない。おかしいけど、こうなるのかなああ。

根拠条文

相続税法第9条の2(贈与又は遺贈に因り取得したものとみなす信託に関する権利)

信託(退職年金の支給を目的とする信託その他の信託で政令で定めるものを除く。以下同じ。)の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の受益者等(受益者としての権利を現に有する者及び特定委託者をいう。以下この節において同じ。)となる者があるときは、当該信託の効力が生じた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与(当該委託者の死亡に基因して当該信託の効力が生じた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

4 受益者等の存する信託が終了した場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者があるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた者は、当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)を当該信託の受益者等から贈与(当該受益者等の死亡に基因して当該信託が終了した場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

5 第1項の「特定委託者」とは、信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限として政令で定めるものを除く。)を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)をいう。

相続税法施行令 第1条の12  (受益者等が存しない信託の受託者の住所等)

3 受益者等の有する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における法第一章第三節の規定の適用については、次に定めるところによる。

一 当該信託についての受益者等が一である場合には、当該信託に関する権利の全部を当該受益者等が有するものとする。

二 当該信託についての受益者等が二以上存する場合には、当該信託に関する権利の全部をそれぞれの受益者等がその有する権利の内容に応じて有するものとする。

4 停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者は、法第9条の25項に規定する信託財産の給付を受けることとされている者に該当するものとする。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年6月14日 (木)

民法上の組合と信託

組合(民法上の組合)というのは、複数の者が出資して、一緒に事業を行い、利益を受けリスクも負う契約 出資する者と事業を行う者と利益を受けリスクを負担する者はほぼ一致する。

これと信託を比較すると

 複数の者が出資して    信託は単数の者が出資することが可能

 一緒に事業を行って    事業を行うのは、受託者

出資する者と事業を行う者と利益を受けリスクを負担する者はほぼ一致 信託の場合は一致する場合もあれば、一致しない場合もある。 委託者と受託者が一致するのは自己信託、委託者と受益者が一致するのは自益信託 受託者と受益者が一致することも認められるが、受託者が受益権の全部を1年以上所有している場合は、信託は終了する。信託とは、あくまでも受益者のために受託者が資産を管理処分するものだから。

リスクの負担は、民法上の組合の場合は、組合員が組合債務に関して無限に責任を負う。

信託の場合は、受託者の負担と受益者の負担にわかれる。 受託者の負担は、原則的には無限責任であるが、限定責任信託の場合は、信託財産限度で負担する。受益者の負担は、原則は、有限責任であるが、信託契約等で定めがある場合は、無限責任となる場合もある。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2007年6月13日 (水)

特定受益証券発行信託が発行できる法人

 新信託法では受益権を紙に乗っけて流通性をパワーアップさせた受益証券発行信託が使えるようになります。で、税法上では原則は信託財産から生ずる利益について、受益者が法人税の申告納税をしないといけないけど、一定の要件を満たす場合は、分配時に受益者に対して課税するとなってます。このような信託を特定受益証券発行信託といいます。

 信託段階で税金がかからないから利回りが上昇するので結構トクなんですね。で、この特定受益証券発行信託が発行できる法人とは、

○ 別に信託銀行でも信託会社でなくてもいい。 資本金5,000万円以上あったら。株式会社という前提もない。合同会社でもOK。自己信託でも使えるね。

       信託の帳簿を、ルールどおりつけることが見込まれる。信託の会計ってファジー。 信託計算規則を参考に作れということでしょう。

       逆粉飾・粉飾の類をやってないこと 

       受託者が有価証券報告書提出会社 又は 会社法のルールに基づいた計算書類、事業報告、付属明細書を作り、見せろ!と言われた場合は、いつでも見せる状況にあること。

別に有価証券報告書提出会社でなければならないとはなってませんよね。 会社法の計算書類といっても、監査が必要という文言はないですよね。つまり、会計監査の入ってない資本金5,000万円の会社でもOKということ?

       清算中の会社でないこと。 もうすぐ消滅する会社が信託発行して資金調達というのもね。

特定受益証券発行信託は、法人の要件だけをみると、結構使えるかもしれません♪

14条の4  特定受益証券発行信託

法第2条第29号ハ(1)(定義)に規定する政令で定める要件は、同号ハ(1)の承認を受けようとする法人が次に掲げる要件に該当することとする。

一 次に掲げるいずれかの法人に該当すること。

イ 信託会社(信託業法(平成16年法律第154号)第2条第4項(定義)に規定する管理型信託会社を除く。)

ロ 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)の規定により同法第1条第1項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関

ハ 資本金の額又は出資金の額が5000万円以上である法人(その設立日以後1年を経過していないものを除く。)

二 その引受けを行う信託に係る信託法(平成18年法律第108号)第37条第1項(帳簿等の作成等、報告及び保存の義務)に規定する書類若しくは電磁的記録又は同法第222条第2項(帳簿等の作成等、報告及び保存の義務等の特例)に規定する会計帳簿及び同法第37条第2項又は同法第222条第4項に規定する書類又は電磁的記録の作成及び保存が確実に行われると見込まれること。

三 その帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装して記載又は記録をした事実がないこと。

四 その業務及び経理の状況につき金融商品取引法第24条第1項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書に記載する方法その他の財務省令で定める方法により開示し、又は会社法第435条第2項(計算書類等の作成及び保存)に規定する計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書その他これらに類する書類について閲覧の請求があつた場合には、正当な理由がある場合を除き、これらを閲覧させること。

五 清算中でないこと。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年6月12日 (火)

受益者のいない信託 退職給付信託はどうなる

受益者のいないような信託の信託財産から生ずる利益に関しては、法人税課税となりました。

受益者というのは、受益者としての権利を現に存するものに限るとされているから、受益者がいない場合だけでなく、受益者が不特定の場合も法人税課税の対象になる。

この受益者のいない信託で、気になるものの一つが退職給付信託。退職給付にかかる会計基準が適用されたときあたりに大ヒットしたものです。会計上は債務も資産もオフバランスになるけど、税務上は受益者が不特定の信託だから委託者課税というやつ。

もし、これを改正後の税法にあてはめたらどうなるのだろうか。

原則は法人税課税信託になるけど、委託者課税になるような場合もある。それは、委託者に変更権があって、財産の給付があるような場合。

『退職給付会計における「退職給付に充てるために積み立てる資産について」「信託」を用いる場合の基本的考え方 平成11325日 日本公認会計士協会』によると 退職給付信託に該当するためには 信託財産の委託者への返還が禁止されているものであることとされているから、この文言だけを素直に読むと財産の給付を委託者が信託財産から受けることはありえないから、委託者は受益者等にはあてはまらない。したがって、法人課税信託に該当するとなるような気もします。

すでにある退職給付信託は、従来どおりの取扱いでOKと思いますが♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年6月11日 (月)

お返事5  他益信託の疑問

土曜日、信託法の学会が明治学院大学でありました。会場が自宅から徒歩5分くらいのだったので、朝、ちょこっと、出かけて話を聞いて、家に戻って昼ごはんを食べて、クリーニング屋さんとスーパーに出かけ、シエスタして、また350分ころに戻りました。

みうらさん:相続税法9条の24項を素直に読む・・

元金型の場合は、信託の時に、Cに課税される。

 例 ビルを信託。家賃をB女に生存中支払う。死亡したらCにビルを渡す。

残余財産型の場合は、清算時にCに課税される。

 例 ビルを信託。月20万円をB女に生存中支払う。死亡したらCにビルを渡して、収益から支弁できなかった金額を受け取る。

定期金として評価でしょうね。

信託大好きおばちゃん: みうらさんのコメント読んで、ついでに、信託法学会の松永さんの信託税制のお話を伺って、はっと気づきました。

収益受益権と元本受益権に分離された場合、おばちゃんは、ずっと、元本受益権が信託期間終了時に受益者に返還されるケースを念頭において、あーだこーだと書いてました。しかし、そうとは限らない。

たとえば、Aが委託者でBが収益受益権者 Cが元本受益者で、元本受益者に対して、信託期間中において段階的に元本の一部をCに給付するような場合はどうなるのか。

税法では、受益者の範囲は受益者としての権利を現に有するものとされているけど、この場合、Cは信託期間中において受益者として財産の給付も受けるし、信託期間中も監視・監督権を持っているから受益者グループに入ってくるでしょう。そうなると、信託設定時に課税されることになる。そして課税方法は、信託設定時の信託財産の価額を収益受益権者BCがシェアすると考えられる。信託の一生と元本受益者の課税関係について、現時点での独断と偏見に満ちた整理をしてみると

 信託設定   信託期間    信託終了  清算期間  清算結了

元本受益者 信託期間中に財産給付

委託者から信託設定時に贈与税?

元本受益者 結了時点財産給付

受益者から給付時に贈与税?

 

   

元本受益者が財産をいつもらうかによって、全く課税関係が異なってしまうことになるのですが、これでいいのでしょうか。

もし、元本受益者が元本部分を信託期間中と清算結了時点でもらう場合は、両時点で課税するということになるのでしょうか。

異なる課税関係になる境界線がどこになるのでしょうか。なんかよくわかりません。

参考条文

相続税法 第9条の2  贈与又は遺贈に因り取得したものとみなす信託に関する権利

信託(退職年金の支給を目的とする信託その他の信託で政令で定めるものを除く。以下同じ。)の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の受益者等(受益者としての権利を現に有する者及び特定委託者をいう。以下この節において同じ。)となる者があるときは、当該信託の効力が生じた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与(当該委託者の死亡に基因して当該信託の効力が生じた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

4 受益者等の存する信託が終了した場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者があるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた者は、当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)を当該信託の受益者等から贈与(当該受益者等の死亡に基因して当該信託が終了した場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

相続税法施行令第1条の12  受益者等が存しない信託の受託者の住所等

3 受益者等の有する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における法第一章第三節の規定の適用については、次に定めるところによる。

一 当該信託についての受益者等が一である場合には、当該信託に関する権利の全部を当該受益者等が有するものとする。

二 当該信託についての受益者等が二以上存する場合には、当該信託に関する権利の全部をそれぞれの受益者等がその有する権利の内容に応じて有するものとする。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2007年6月 8日 (金)

お返事4 他益信託の疑問

Aは信託を設定して、収益受益権をB、元本受益権をCとした。改正税法を読むと、Cは元本を受け取ることになった時点で、Bからの贈与とされる。なぜなら、Cは、信託期間が終了して、清算の段階にならないと財産がもらえないから。でも、そうなるとBは、元本受益権を持っていないのに、持っていると税法上はみなされることになる。そうするとAが信託を設定した時点で、Bは収益受益権だけでなく元本受益権も含めてもらったものとして税金を払わないといけない。

Krpwさん:

現行の財産評価基本通達202は修正ということでしょうか。

財産評価基本通達(信託受益権の評価)

202  信託の利益を受ける権利の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(平11課評2-12外・平12課評24外改正) 1  元本と収益との受益者が同一人である場合においては、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額によって評価する。

2   元本と収益との受益者が元本及び収益の一部を受ける場合においては、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額にその受益割合を乗じて計算した価額によって評価する。

3  元本の受益者と収益の受益者とが異なる場合においては、次に掲げる価額によって評価する。   元本を受益する場合は、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額から、ロにより評価した収益受益者に帰属する信託の利益を受ける権利の価額を控除した価額

  収益を受益する場合は、課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額ごとに課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる基準年利率による複利現価率を乗じて計算した金額の合計額

信託大好きおばちゃん;

 そう、信託大好きおばちゃんも改正条文を読んだ時に気になったのが評価の問題ですよね。

 この通達は、旧信託税制をベースに作られています。つまり、収益受益権者と元本受益権者が別々の場合は、信託を設定した時点で、委託者から各々の贈与者に贈与があったものとして贈与税(相続税)を計算します。その計算方法は、信託財産全体の価値から収益受益権の価値を差し引いて元本受益権の価値を算定する。

改正税法を前提に財産評価基本通達を想像すると、信託設定時点の信託財産の価額が収益受益権者の権利の価額となる。残余財産分配時の信託財産の価額が残余財算の権利の価額となる。

でも、収益受益権者は信託財産の価値のうち、残余財産部分はもらえないんだよね。残余財産部分に関して思いっきりディスカウントする評価方法を作りだすか、一旦、信託財産全部に対する税金を支払い、元本受益権者に財産が移動した時点で、元本受益権部分に対応する税金部分を還付してもらうかどっちかにしてもらわないと 憲法が認める財産権の侵害になるのではないでしょうか♪

憲法

29条 財産権は、これを侵してはならない

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2007年6月 7日 (木)

お返事3 他益信託の疑問

Aは信託を設定して、収益受益権をB、元本受益権をCとした。改正税法を読むと、Cは元本を受け取ることになった時点で、Bからの贈与とされる。なぜなら、Cは、信託期間が終了して、清算の段階にならないと財産がもらえないから。でも、そうなるとBは、元本受益権を持っていないのに、持っていると税法上はみなされることになる。そうするとAが信託を設定した時点で、Bは収益受益権だけでなく元本受益権も含めてもらったものとして税金を払わないといけない。

Shinkouさん:

 「信託法制と信託税制の改革」(税研133(2007.5)1頁)

 この記事の中で、岡正晶弁護士が、おばちゃんと同様の心配(BCの受益者連続型信託の場合、Bに全額贈与課税されて、その後、Cにまた贈与課税されること)しておられます。そのことに関して、岡弁護士が

「このような疑問を財務省の方に申し上げましたところ、そういう議論もしたが、しかし、先ほどのような子供(Cの立場です)はいつ自分に帰属するかわからない財産について、信託契約設定のときに相続税がかかるのでは担税力がないと怒るでしょう。従ってこの時点で相続税をかける仕組みにはしませんでしたとのことでした。」と発言しています。

 このことからみても、おばちゃんの考え方が正しそうですね。

Krpwさん:

なんとなくですが、設例の場合、信託終了時にAからCへの贈与となれば、一番納得感が出る気がします。そういう信託設定はできないのでしょうか???

信託大好きおばちゃん:

収益受益権と残余財産受益権を委託者以外の別々の人が受け取った場合は、やはり、収益受益権だけをもらった人がババを掴むというような税法の作り方が正しいような気がします。

信託終了時にAからCへの贈与というのが、信託法と同じなのでいいのでしょうが、これを認めると、へんな租税回避と課税の繰り延べが横行しかねないというリスクがあるからこんな税法にしたのでしょう。

これは受益者連続でも同様の問題が生じます。 大金持ちが、財産を信託し、生前は自分が受益者で、自分が死んだら後妻に終身の収益受益権を、後妻が死んだら、先妻の子に収益受益権と元本分配権をという信託を設定した場合を考えます。大金持ちが死んだ時、後妻は、収益受益権しかもらわないのに、元本受益権ももらったものとし相続税を計算する。後妻が死んだ時に、先妻の子は、信託受益権を後妻からもらったものとして相続税を計算する。この場合、後妻と先妻の子の間に養子関係でもない限り、相続税の2割加算の対象になるはず。

相続税法第18

相続税額の加算相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその100分の20に相当する金額を加算した金額とする。

2 前項の一親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となつている場合を含まないものとする。ただし、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつている場合は、この限りでない。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2007年6月 6日 (水)

お返事-2 他益信託の疑問

Aは信託を設定して、収益受益権をB、元本受益権をCとした。改正税法を読むと、Cは元本を受け取ることになった時点で、Bからの贈与とされる。なぜなら、Cは、信託期間が終了して、清算の段階にならないと財産がもらえないから。でも、そうなるとBは、元本受益権を持っていないのに、持っていると税法上はみなされることになる。そうするとAが信託を設定した時点で、Bは収益受益権だけでなく元本受益権も含めてもらったものとして税金を払わないといけない。

Hzknさん;

信託時に残余財産を信託終了時に受け取れると定めてあれば,その者は残余権を「現に有する」ことになると思います(信託時に残余権者を定めておけば,その者は信託設定時から残余請求権を有するものの,信託終了までその権利を行使できない)。なので,1条の1232号が適用され,「当該信託に関する権利の全部をそれぞれの受益者等が『その有する権利の内容に応じて有する』」ことになることにはならないでしょうか。その場合収益受益権者は収益受益権に応じて,残余権者は残余権に応じて贈与されたことになると思うのですが。

信託大好きおばちゃん:

信託設定時に残余財産を信託終了時に受け取ると定めれば、その者は残存権を「現に有する」ことになるから残存権を有する受益者とみなすというお考えだと思います。が、税法が予定している現に有するには、残存権はないように つまり停止条件付で資産を受け取る場合は、停止条件が成就するまでは受益権が無いものつまり受益者でないものにあてはまるような気がするのです。

なぜ、そう思ったのか。深く考えたのではなく、単に条文の字面を追いかけただけなので、勘違いかもしれませんが、

改正で 受益者には、いわゆる受益者とみなし受益者が含まれるとされています。

受益者とは、受益者としての権利を現に有するものに限る。

みなし受益者とは、信託の変更をする権限を現に有し、かつ、当該信託財産の給付を受けることとされるものとされており(所法13②、法法12②)。こっちについては、停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者は、法12条第2項に規定する信託財産の給付を受けることとされる者に該当する者とするとされています(所令52③、法令15③)。

みなし受益者は、相続税法(9条の2⑤)から、委託者を前提としています。おそらく受益者の定めのない信託等を前提としており、たとえば、委託者が財産を信託し、残余財産の帰属者も委託者のような場合は、委託者を受益者とみなして、委託者課税しますよということだと思います。

みなし受益者の場合は、停止条件付で財産をもらう場合も含まれるとありますが、受益者の場合は現に権利を有するとあり、停止条件で財産をもらう場合までは含まれない、停止条件成就時に始めて受益者になる。だから、元本受益者や残余財産帰属権利者は、停止条件成就前は受益者にならない。

こう考えないと、受益者等の存しない信託が法人課税信託になるという論理が破綻しますしね♪

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年6月 5日 (火)

お返事 他益信託の疑問

Aは信託を設定して、収益受益権をB、元本受益権をCとした。改正税法を読むと、Cは元本を受け取ることになった時点で、Bからの贈与とされる。なぜなら、Cは、信託期間が終了して、清算の段階にならないと財産がもらえないから。でも、そうなるとBは、元本受益権を持っていないのに、持っていると税法上はみなされることになる。そうするとAが信託を設定した時点で、Bは収益受益権だけでなく元本受益権も含めてもらったものとして税金を払わないといけない。

やまとさん:

おばちゃんの勘違いだとすると、Cは信託が終了するまで何ももらえないのに、設定時にその分の贈与税が課税されるということになってしまいかねないのです。この考えが正しいのなら、誰もあほらしくて、収益受益権者と元本受益権者を別々の者に設定するような他益信託はやらなくなると思うのです。・・・やらないこともないか。

Hzknさん:

おばちゃま様の文に例えれば「信託の契約をした時点でAからBに信託財産の贈与があったものとする」のではなく,「AからBに収益受益権の贈与があったものとする」のではないでしょうか。

この条文は受益権者が対価を負担せずに権利を取得した場合に課税する,というものですから,受益権者が私法上取得していない残余請求権についてまで,税法上贈与があったものとみなす趣旨ではないと思います。

すいません間違えました。

9条の6によることになりそうです。

(政令への委任)

第9条の6 受益者等の有する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における第9条の2第1項の規定の適用、・・・その他この節の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

Hzknさんご指摘の政令とは

1条の12

3 受益者等の有する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における法第一章第三節の規定の適用については、次に定めるところによる。

一 当該信託についての受益者等が一である場合には、当該信託に関する権利の全部を当該受益者等が有するものとする。

二 当該信託についての受益者等が二以上存する場合には、当該信託に関する権利の全部をそれぞれの受益者等がその有する権利の内容に応じて有するものとする。

条文を読むとやっぱりおばちゃんの読みが正しいような気がするよね。 残余財産をもらえる人からするとやさしい条文だけど、収益受益権だけもらう人からみると悲惨な条文になる。

収益だけもらう人はその分に対応する税金を払い、残余財産をもらう人は、もらう時に税金を払うというのが納税者サイドからすると理想的。でも、お上サイドからみると、へんな租税回避の温床になりかねないからこんな設計になったのでしょうね。

でも、ちょっと、ひどすぎる。 収益受益権をもらう人が元本受益権の分の税金を払うけど、元本が分配されて元本受益者が税金を払った時点で、過払いの税金を還付してもらうというシステムを作るのが合理的ではないでしょうか♪

| | コメント (1) | トラックバック (2)

2007年6月 4日 (月)

他益信託の疑問

他益信託というのがあります。これは、委託者≠受益者のような信託。 

 委託者がA(個人)で受益者がB(個人)のような場合、 信託の契約をした時点でAからBに信託財産の贈与があったものとすると思います(相続税法9の2①)。

 信託財産を信託設定時に評価して、評価額をベースに税金を計算するのでしょう。

 で、わからないのが受益者がB(個人)とC(個人)の2人いて、 Bは信託期間に生じた収益を受け取る。Cは信託期間終了後、残った信託財産を受け取る。Cは信託期間中は一切信託財産を受け取らない。

 上記相続税法9の2①がそのまま適用だったらBとCが信託設定時に課税されることになると思うけど、相続税法9の2④の条文は次のようになっているのです。

受益者等の存する信託が終了した場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者があるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた者は、当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)を当該信託の受益者等から贈与(当該受益者等の死亡に基因して当該信託が終了した場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

Cは、残余財産の給付を受けるべき者には該当すると思います。この場合、原則としては、財産をもらうべき時に、残余財産を受益者等から贈与により取得したものとみなされます。

ただし、自分が受益者として有していた権利がある場合はその部分は課税対象から除かれるとされています。

Cが財産をもらうまでは受益者でないとすると、CはBから財産を贈与によりもらったと考えられます。一方、Cが受益者であり、すでに元本に相当する権利があったとみなされと、財産を受取った時点では課税関係が生じません。 Aが信託を設定した時点で、Cに課税関係が生じることになると考えられます。

Cがすでに受益者であるかどうかというのがポイントになりますが、信託の税法では受益者とは受益者としての権利を現に有する者として定義づけられています。

「現に有する」というのは、信託を設定し、信託期間に生ずる利益を享受し、その期間に受託者に対する監督権等があると考えると、Cは、信託期間には利益(元本も利益と考えると)を受け取らないから、受益者には該当しないことになります。

そうなると、信託終了時点でBからCへの信託財産の贈与となる。何が問題かというと、BからCに元本受益権を贈与したということは、Bは信託期間元本受益権を持っていたものとされる。そうすると、信託を設定した時点で、Bは収益受益権だけでなく元本受益権部分もあわせてAから贈与を受けたものとして贈与税が課税される。Bは元本受益権をもらわないのにその分の贈与税が課税されるということになってしまいかねないのです。この考えが正しいのなら、誰もあほらしくて、収益受益権者と元本受益権者を別々の者に設定するような他益信託はやらなくなると思うのです。

 信託大好きおばちゃんの勘違いだったら非常にうれしいのですが♪

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2007年6月 1日 (金)

役員退職慰労金制度の廃止と役員退職給与の未払金計上

今日も税務通信N02968の話題。監査の入っている企業においては、役員退職金規定を定めているような場合は、毎期、役員退職慰労引当金を計上し、税務上は否認してます。

 昨今、この役員退職慰労金制度を廃止して、役員慰労引当金を取り崩し、役員に支給する。ただし支給するのは、その役員がやめるとき。

会計上の仕訳は   制度廃止時  役員慰労引当金 ××× 長期未払金 ×××

          支給時    長期未払金   ××× 現金

税務上、役員退職給与を支払った日の属する事業年度に損金算入する場合は、損金経理が必要である。支給時に損金算入するためには、

                 長期未払金 ×××  取崩益 ×××

                 役員退職金 ×××  現金  ×××

という2重仕訳が必要だろうか。でもこんなの会計上認めてもれないし、

で、税務通信の記事によると、このような仕訳は必要ないようです。役員退職慰労金の廃止の決議をしたときは、各人の債務が確定したとしても、役員が退職するまで退職金が支払われないとすると、会社と役員の債務が確定していない。債務が確定するのは、あくまでも支給する時点。

ということは、役員退職慰労金の取崩しの株主総会の決議のあった時点では損金とはならないということなのかな♪

| | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »