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2007年6月15日 (金)

他益信託の疑問  委託者が元本受益権者の場合

やまとさん

 元本って何なのでしょうか。なんかよくわかりません。信託の中に入ってる資産に色はないと思うのですが。

信託大好きおばちゃん

 うーん 委託者が当初出資した資産のことなのかな。でも当初出資した資産は信託期間にどんどん変化することもあるしね。土地を信託して、信託終了期間が終了してその土地を返してもらうというのだったら非常に元本というのがわかりやすいけど、この辺も今後、いろんなケースを検討して理解を深めたいと思っております。

 で、今日も他益信託の自問自答 なんか禅問答みたいだけど、信託法が施行され実務がスタートするまでに絵に描いた餅をいっぱいストックしておくのも大切だと思うのです。

 事例: 委託者Aが資産を信託する(遺言信託ではない)。 収益受益権はBに、元本受益権はAというもの。

ABも個人。 元本は信託期間終了時にAに返還される。Aが信託を変更する権限をもっている場合と持っていない場合にわけて、課税関係を整理せよ。

Aは、元本受益者であるから、信託期間も受託者に対する監視・監督権はあるけど、信託期間に実際に利益を受けないから信託期間においては受益者とはならないと考える。この前提で、2つのケースに分けて検討する。

ケース1 Aが信託を変更する権利を有する場合

Aは委託者であり、信託を変更する権利を現に有し、かつ、信託期間終了時には信託財産の給付を受けることができるから特定委託者に該当する(相法9の2⑤、相令1の12④)。特定委託者は受益者等に含まれる(相法9の2①)。Bは、収益受益権者であるから、信託期間に利益を受け、かつ、受託者に対する監視・監督権を有するから受益者等に該当する(相法9の2①)。

このケースでは、受益者がABの2人いるので、信託設定時に委託者Aから受益者ABに贈与があったものとみなされる(相法9の2①)。ABの受益者がいるので、信託に関する権利の全部をそれぞれの受益者がそれぞれの権利の内容に応じて有する(相令1の12③二)から、Bは収益受益権をAから贈与されたものとして贈与税を申告納付する。元本受益部分は、AAに贈与するということはありえないからこの部分の課税関係は生じない。

信託期間中生ずる所得は、BのものとしてBで所得税を申告納付する。

信託期間終了時にはAに元本がかえってくるが、預けたものが返ってくるだけだから課税関係は生じない。

ケース2 Aが信託を変更する権利を有しない場合

Aは委託者であるが信託を変更する権利を有さないから、信託期間終了時に信託財産の給付を受けることができても特定委託者に該当しない(相法9の2⑤)。また、信託期間中には利益をもらえないから受益者にもならない。したがって、Aは受益者等に該当しない。Bは、収益受益権者であるから、信託期間に利益を受け、かつ、受託者に対する監視・監督権を有するから受益者等に該当する(相法9の2①)。

このケースでは、受益者等がB1人なので、信託設定時に委託者Aから受益者Bに信託財産に関する権利の贈与があったものとみなされる(相法9の2①)。B単独の受益者なので、信託に関する権利の全部をBが有するものとされる(相令1の12③一)から、Bは収益受益権だけでなく元本受益権も含めた権利をAから贈与されたものとして贈与税を申告納付する。

信託期間中生ずる所得は、BのものとしてBで所得税を申告納付する。

信託期間終了時には、Aは初めて受益者となり、BからAは元本部分の贈与を受けた者として贈与税を申告納付する(相法9の2④)。

Aは信託を変更する権利がないばっかりに自分であずけたものが自分にかえってくるのに贈与税を払わないといけないし、Bは自分が手に入れることもできない元本受益権部分に関しても贈与税を払わないといけない。おかしいけど、こうなるのかなああ。

根拠条文

相続税法第9条の2(贈与又は遺贈に因り取得したものとみなす信託に関する権利)

信託(退職年金の支給を目的とする信託その他の信託で政令で定めるものを除く。以下同じ。)の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の受益者等(受益者としての権利を現に有する者及び特定委託者をいう。以下この節において同じ。)となる者があるときは、当該信託の効力が生じた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与(当該委託者の死亡に基因して当該信託の効力が生じた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

4 受益者等の存する信託が終了した場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者があるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた者は、当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)を当該信託の受益者等から贈与(当該受益者等の死亡に基因して当該信託が終了した場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

5 第1項の「特定委託者」とは、信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限として政令で定めるものを除く。)を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)をいう。

相続税法施行令 第1条の12  (受益者等が存しない信託の受託者の住所等)

3 受益者等の有する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における法第一章第三節の規定の適用については、次に定めるところによる。

一 当該信託についての受益者等が一である場合には、当該信託に関する権利の全部を当該受益者等が有するものとする。

二 当該信託についての受益者等が二以上存する場合には、当該信託に関する権利の全部をそれぞれの受益者等がその有する権利の内容に応じて有するものとする。

4 停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者は、法第9条の25項に規定する信託財産の給付を受けることとされている者に該当するものとする。

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コメント

収益以外のものです・・

投稿: みうら | 2007年6月20日 (水) 20時07分

元本の定義もできないのに元本受益者について語れるところがおばちゃんのすごいところだと思います。じゃ、元本受益者って何ですか?元本受益者と残余財産受益者と帰属権利者との違いを教えてください。

投稿: やまと | 2007年6月15日 (金) 23時01分

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