« 役員退職慰労金制度の廃止と役員退職給与の未払金計上 | トップページ | お返事 他益信託の疑問 »

2007年6月 4日 (月)

他益信託の疑問

他益信託というのがあります。これは、委託者≠受益者のような信託。 

 委託者がA(個人)で受益者がB(個人)のような場合、 信託の契約をした時点でAからBに信託財産の贈与があったものとすると思います(相続税法9の2①)。

 信託財産を信託設定時に評価して、評価額をベースに税金を計算するのでしょう。

 で、わからないのが受益者がB(個人)とC(個人)の2人いて、 Bは信託期間に生じた収益を受け取る。Cは信託期間終了後、残った信託財産を受け取る。Cは信託期間中は一切信託財産を受け取らない。

 上記相続税法9の2①がそのまま適用だったらBとCが信託設定時に課税されることになると思うけど、相続税法9の2④の条文は次のようになっているのです。

受益者等の存する信託が終了した場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者があるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた者は、当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)を当該信託の受益者等から贈与(当該受益者等の死亡に基因して当該信託が終了した場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

Cは、残余財産の給付を受けるべき者には該当すると思います。この場合、原則としては、財産をもらうべき時に、残余財産を受益者等から贈与により取得したものとみなされます。

ただし、自分が受益者として有していた権利がある場合はその部分は課税対象から除かれるとされています。

Cが財産をもらうまでは受益者でないとすると、CはBから財産を贈与によりもらったと考えられます。一方、Cが受益者であり、すでに元本に相当する権利があったとみなされと、財産を受取った時点では課税関係が生じません。 Aが信託を設定した時点で、Cに課税関係が生じることになると考えられます。

Cがすでに受益者であるかどうかというのがポイントになりますが、信託の税法では受益者とは受益者としての権利を現に有する者として定義づけられています。

「現に有する」というのは、信託を設定し、信託期間に生ずる利益を享受し、その期間に受託者に対する監督権等があると考えると、Cは、信託期間には利益(元本も利益と考えると)を受け取らないから、受益者には該当しないことになります。

そうなると、信託終了時点でBからCへの信託財産の贈与となる。何が問題かというと、BからCに元本受益権を贈与したということは、Bは信託期間元本受益権を持っていたものとされる。そうすると、信託を設定した時点で、Bは収益受益権だけでなく元本受益権部分もあわせてAから贈与を受けたものとして贈与税が課税される。Bは元本受益権をもらわないのにその分の贈与税が課税されるということになってしまいかねないのです。この考えが正しいのなら、誰もあほらしくて、収益受益権者と元本受益権者を別々の者に設定するような他益信託はやらなくなると思うのです。

 信託大好きおばちゃんの勘違いだったら非常にうれしいのですが♪

|

« 役員退職慰労金制度の廃止と役員退職給与の未払金計上 | トップページ | お返事 他益信託の疑問 »

コメント

すいません間違えました。
9条の6によることになりそうです。

(政令への委任)
第9条の6 受益者等の有する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における第9条の2第1項の規定の適用、・・・その他この節の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

投稿: hzkn | 2007年6月 4日 (月) 23時09分

第9条の2①には,信託の効力が生じた場合において、当該信託の受益者等となる者は,「当該信託に関する権利」を当該信託の委託者から贈与により取得したものとみなす,とあります。ここでいう「当該信託に関する権利」には残余請求権は含まれないのではないでしょうか。

おばちゃま様の文に例えれば「信託の契約をした時点でAからBに信託財産の贈与があったものとする」のではなく,「AからBに収益受益権の贈与があったものとする」のではないでしょうか。

この条文は受益権者が対価を負担せずに権利を取得した場合に課税する,というものですから,受益権者が私法上取得していない残余請求権についてまで,税法上贈与があったものとみなす趣旨ではないと思います。

投稿: hzkn | 2007年6月 4日 (月) 21時16分

おばちゃんの勘違いだとすると、Cは信託が終了するまで何ももらえないのに、設定時にその分の贈与税が課税されるということになってしまいかねないのです。この考えが正しいのなら、誰もあほらしくて、収益受益権者と元本受益権者を別々の者に設定するような他益信託はやらなくなると思うのです。・・・やらないこともないか。

投稿: やまと | 2007年6月 4日 (月) 20時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/143467/15309996

この記事へのトラックバック一覧です: 他益信託の疑問:

« 役員退職慰労金制度の廃止と役員退職給与の未払金計上 | トップページ | お返事 他益信託の疑問 »