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2007年8月31日 (金)

アメリカのお金持ちのおばちゃんのペット信託

昨日(平成19830日)の日経ネットを見ていると「米の富豪女性、愛犬に遺産14億円・孫より多額」というタイトルが目に入りました。

アメリカの大金持ちのおばちゃんが莫大な財産を残して亡くなった。おばちゃんには4人の孫がいたが、そのうち2人に関しては毎年墓参りを1回することを条件に5億円渡す。他の2人には渡さない。そして、残りの財産は信託して、基本的には公益のために使うが、愛犬のトラブル(犬のお名前)のためにその信託財産のうち14億円を使えということだそうです。

このおばちゃんが、なぜ、唖然とするような遺言信託をしたのかは知りませんが。

もし、日本でこのような信託を設定したなら課税関係はどうなるのか? 

愛犬トラブルの信託は受益者の定めのない信託になりますよね。遺言信託だから、委託者はいない。残余財産帰属人はたぶん第3者で、通常、この14億円は法人課税信託になるのでしょうね。 おばちゃんが現金を信託したなら、おばちゃんサイドに譲渡損益は生じないけど、信託サイドに法人税課税はされるでしょう。14億円ただでもらったとして40% の税率として5.6億円の税金が当初とられる。もし、不動産を信託したならおばちゃんサイドでも譲渡損益が生じる。信託期間の所得については、法人税課税。トラブルが亡くなって信託が終了したら、法人課税信託サイドで清算所得課税。残余財産帰属人サイドでみなし配当課税かな。

でも、ちゃんとした公益信託の基金にするための信託だったら、おばちゃんサイドで財産の譲渡損益が生じるけど、寄付金控除も可能。ちゃんとした目的のためにその財産を使うのだったら公益信託サイドでも最初の受贈益課税もないし、信託期間に生じた所得に対する法人税もかからない。

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2007年8月30日 (木)

ブランド価値評価モデル

今朝の東京は、昨日同様曇りで、肌涼しい。

またもや、「信託とファイナンス」特別講座の復習の続き。 

早稲田大学教授 広瀬義州氏の「証券化・流動化の展望と課題Ⅱ -知的財産の証券化と価値評価」から、

欧米では、ブランド価値が商品としてすでに売買の対象とされているようです。たとえば、グッチ。あの有名なバッグの店です。創業はイタリアのグッチ家だけど、今は別の人が経営しています。つまり、グッチ家から今の経営者がブランドを買い取って事業をしているということでしょう。

ブランドというのは、企業が長年において事業を行った結果培われた信用みたいなもので、同じような商品でも高い値段で売れる。だって、グッチのバッグと、そこらのバッグって 機能的には変わらないけど値段がぜんぜん違う。でも買う人は買いますよね。デザインがいいとか、質がいいとかというのは当然理由にあると思いますが、やっぱり「グッチ」だから買うというところもあるでしょう。この「グッチ」だから高くても買うというのは「グッチ」にお金を生み出すブランド価値があるからです。不動産にお金を生み出す価値があるから証券化ができるならブランド価値だってできるはずです。

このブランド価値を証券化するためには、不動産や他の資産と同様に企業全体のキャッシュフローからブランドのキャッシュフローを切り出せるかどうかが大事であり、そのためにブランド価値の客観的で適正な評価が大事なのです。

このブランド価値をどう評価するのか。ということで、広瀬教授はブランド価値評価モデルとして算式をお示しになっています。

信託大好きおばちゃんは、勉強大嫌いな高校を卒業しているから数学の難しい式はわからないので一番簡単な式だけ書くと

BV(ブランド価値)PD(プレステージ・ドライバー)/ 割引率 ×LD(ロイヤリティ・ドライバー) × ED(エクスパンション・ドライバー)

プレステージ・ドライバーとは、 価格が高くても値下げをしなくても顧客が製品等を購入することに着目した指標。 グッチは同じバックでも他よりもどれだけ高い値段で売れるかということ。

ロイヤリティ・ドライバーとは、リピーター等が安定的に存在していることにより、長期間にわたって一定の販売量が確保できることに着目した指標。 グッチは固定客がついていて、新しいバッグが売り出されたら、それをどれだけ買ってくれるかということ。バッグなんて、耐久性があるから毎年買う必要はないんだけどね。

エクスパンション・ドライバーとは、ステータスの高いブランドは認知度が高く、本来の業種または市場にとどまらずに、類似業種、異業種、海外等他の地域へ進出できることに着目した指標。グッチは、日本だけでなくおそらく他のアジアの国々にも進出しているでしょうね。それらの国々の所得水準からしたら目の玉が飛び出るような値段のバッグですが、どこの国にもお金持ちはいて、そんなバッグを買うことにステータスを感じる人はいるから。ようするに、グッチの製品は、今ある市場以外でどれだけ売れるか。今の製品と違う種類の製品でもグッチという名前をつけることによってどれだけ売れるかということ。

こんな指標を使って、算式はいまいちわからないけれどもブランド価値の評価は可能なようです。

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2007年8月29日 (水)

事業の証券化

今朝の東京は、曇りで涼しい。昨夜は、久しぶりに冷房をきって、窓をばーんとあけ、床にマットをしいてごろんと寝ていたら、4時ごろに寒くて目が覚めました。

またまた、早稲田の「信託とファイナンス」特別講座からのネタ。これだけブログに書いていると3万円の元がとれそうですが。

昨日同様、弁護士の井上聡氏のレジュメから。 時間がなかったので井上氏のご説明はほとんどなかったのですが、井上氏の「証券化・流動化に係わるリーガルリスク ―信託法・信託業法改正のポイントを中心に-」レジュメの14頁、15頁に将来債権(事業の流動化)という項目がありまして、

具体例として

     病院事業の証券化(大規模医療法人による地域密着型優良病院事業の証券化)

     売掛債権の証券化(債務者不特定の優良営業店事業の証券化)

というのがあります。

法的にはいろいろ問題点があるのかもしれませんが、井上氏は事業証券化のポイントとして、オリジネーターの事業継続性が非常に大事。たとえ、倒産しても破産せず再生できるような事業をやっている会社がオリジネーターじゃないと困るといわれたような気がします。

資産の証券化の場合だったら、会社の価値でなく、その資産単独の価値がよければいいというものですが、事業の証券化の場合、いくら会社の一部門を信託して倒産隔離しましたよといっても、その事業をやっている会社自体がおかしくなっても信託された事業部門の収益は生み出せるとは限らないですよね。

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2007年8月28日 (火)

回収金保全信託

昨日は早稲田大学の「信託とファイナンス」特別講座の最終回でした。この講座の中で弁護士の井上聡氏が回収金保全信託に関して、最後の方にお話をされていました。

回収金保全信託とは、

流動化スキームでSPCにオリジネーター債権を譲渡したとします。債権自体は、この譲渡が真正売買に該当するならば、委託者が、たとえ将来会社法の適用を受けても、更正担保権になってしまいSPCひいては投資家への支払いが滞るリスクがなくなります。つまり、委託者からの倒産隔離が可能になります。

債権をSPCに譲渡されても、通常、債権の回収業務はオリジネーターが継続して行うことになります。債権の回収口座は債権譲渡前のオリジネーターの口座のままということもあります。

オリジネーターは、債権の回収代金をプールし、定期的にSPCに支払います。でも、もしこの回収代金がSPCに支払われる前にオリジネーターが倒産したらこのお金はどうなるのでしょうか? そんなリスクは、債権を真正売買しても残ります。

これに対応したのが回収金保全信託です。 今のケースでいうと、オリジネーターが回収金を自己信託して、受益者をSPCにする。そのことにより、オリジネーターの倒産により回収金がSPCに支払われないリスクがなくなります。

このオリジネーターが回収金を信託する業務を継続して行った場合、信託業法の規制の対象になるかということですが、登録の適用除外になります。

次の問題として、通常、債権の回収金というのはオリジネーターの口座に入りますが、回収金だけでなく、他の入金もあるかもしれません。この場合、どの部分を具体的に信託するのでしょうか。これに関して、井上氏は、預金を丸ごと信託して、そのうち回収金部分の受益者をSPCに、それ以外をオリジネーター本人とするというようにできるのではないかとおっしゃられたような気がします。

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2007年8月27日 (月)

日本版預託証券

先週の金曜日の早稲田大学の「信託とファイナンス特別講座」で、「信託法関連法の概要と信託ビジネス」を住友信託銀行の小足一寿氏がお話されましたが、お作りになられたレジュメ(20頁)の「信託ビジネスの展望と可能性」の中で受益証券発行信託の展望の一つとしてJDR(日本版預託証券)というものがありました。

預託証券って何? 

預託証券って英語の略称DRDepositary Receipt)であり、アメリカの預託証券であるADRが有名です。たしか、ソニーの盛田さんがアメリカに行かれたときに、この預託証券の発行の手続き等で奮闘したというようなことを、昔、どこかで読んだことがあります。

ある国の会社が別の国で資金調達するために、株式をその別の国で上場しようとしても、国ごとに制度も異なり、上場が難しいという場合もあります。また、投資家の方では、魅力のある外国の会社に投資したくとも、配当が外国通貨で支払われたりすると、換金に困ってしまうということもあります。

こんな外国の会社のニーズにこたえるために、その国の金融機関が、外国の会社の株式見合いの証券を発行して、資金調達をしようというものです。

ここで、問題となるのが、その受益証券発行信託が特定受益証券発行信託になるかどうかということ。特定受益証券発行信託は、税法上の用語であり、一定の要件を満たした受益証券発行信託については、その利益が投資家の分配される時点で課税しましょうというものです。

この要件の一つとして利益留保割合が2.5% 以下というのがあって、これは元本総額に占める未分配利益の割合です。この計算は、会計をベースにしています。

受益証券発行信託に組み込まれる外国株式は、日本で上場されていなくても外国では上場されている場合もあるはずです。

信託の受託者の会計の方法として、信託計算規則があります。この信託計算規則は、会社法計算規則と異なって、期末に有する市場性のある資産については時価で評価しないといけないという規定がありません。

で、もう一つ、ASBJの「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」によると、受益者が多数となる信託は企業会計の基準に準ずることになります。たぶん、JDRは、日本で上場することも考えるので、この信託の受託者の会計は企業会計の基準に準じないとまずいのでしょう。

そうすると、JDRの中身である外国の上場会社の株式って、時価で計上しないといけないのではないでしょうか。会計って、日本で上場している株だけ時価計上ということはないはずです。そして、この場合の含み損益は未分配利益に入るかどうかという問題点があります。もし、未分配利益を構成するとして、含み益が大きくなると、特定受益証券発行信託の要件からはずれてしまうこともあるはずです。そうしたら法人課税信託。リスクが怖くて誰も使いませんね。

その他有価証券評価差額金は、利益剰余金を構成していないから、おそらくそんなことにはならないと思いますが♪

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2007年8月24日 (金)

受益者と信託財産の間で取引をする場合 税務上の仕訳 その1

受益者Aが100%受益権を所有している場合

受益者が商品を2,000円掛仕入れした。

受益者A仕訳  仕入 2,000 買掛金 2,000

この商品を信託財産に3,000円で売却した。

税務上 仕訳なし

受益者の会計では、自分が自分に取引する場合は内部消去するとなってます。(信託の会計処理に関する実務上の取扱いQ5あたり)税務上も自分が自分に売って、買うことはありえないから仕訳はないと考えます。ただし、受託者の会計上は3,000円で仕入たと考えるのではないでしょうか。

信託財産の商品のうち50%を4,000円で掛売りした。すごいぼったくりですが

受益者Aの仕訳  売掛金 4,000円 売上 4,000円

残りの商品は期末に売れ残った。掛取引は期末にすべて決済されていない。

受益者Aの税務上の貸借対照表    受益者Aの税務上の損益計算書

売掛金 4,000   買掛金 2,000  売上   4,000

商品  1,000           売上原価  1,000

                                                売上総利益 3,000

それでは受託者の会計ではどうなるのか

信託財産は3,000円で購入した商品の半分を4,000円で売却して、期末に在庫として1,500円残っている。売買取引はすべて掛で期末に決済されていない。

信託財産の貸借対照表       信託財産の損益計算書

売掛金 4,000 買掛金 3,000   売上   4,000

商品  1,500          売上原価  1,500

                                        売上総利益 2,500

信託の計算書ってお上に提出することが義務付けられていますから、こっちもやっとかないといけない。


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2007年8月23日 (木)

全株取得条項付種類株式の対価として1株未満の株を割り当てられた株主の課税上の取扱

みうらさん:日産ディーゼルの全員端数で現金というのもなんか税金と関係あるんですか

信託大好きおばちゃん:税金と関係あります。

最近はやりの手法ですが、 日産ディーゼル工業(株)(以下「日産ディーゼル」)社の公表資料に基づいて書きます。

       日産ディーゼル社は、ボルボグループの傘下に入るための手法として、次のようなことをしました。

     ボルボ社の100 子会社エヌエー社が日産ディーゼル社にTOBをかけて、日産ディーゼル社は、エヌエー社の子会社となった。

     日産ディーゼル社は、株主総会を開き、現在発行している普通株式を全株取得条項付種類株式に変更する定款変更を行った。

     定款変更後、総会で決議して全株取得条項付種類株式を会社が取得し、その対価として普通株式を株主に割り当てるが、エヌエー社以外は、1株未満の端数になる。

     1株未満の端数に関して、裁判所の許可を得て日産ディーゼル社が買い取り、代金は株主に支払われる。

ここから、税金の話になるのですが、全株取得条項付種類株式の対価として、発行法人の株式のみもらえる場合で、取得された株式と交付を受けた株式の額が同じくらいだったら、この時点での課税は繰り延べましょうとなっています。もし、現金が交付された場合だったら、株主サイドにおいて、みなし配当課税+譲渡損益課税が生じることになります。

ところで、本件の場合は、エヌエー社以外の株主は、全株取得条項付種類株式の対価として、新株式の割り当ては受けますが、実際に交付は受けていません。そして、最終的には、株主は株式ではなく現金を受け取ります。このような場合課税の繰り延べはどうなるのでしょうか?

そこで、法人税基本通達が登場します。

2-3-1       取得条項付株式の取得等に際し1株未満の株式の代金を株主等に交付した場合の取扱い法第61条の211項第2号《有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入》に規定する取得条項付株式に係る取得事由の発生によりその取得条項付株式を有する株主等に金銭が交付される場合において、その金銭が、その取得の対価として交付すべき当該取得をする法人の株式(出資を含む。以下2-3-1において同じ。)に1株未満の端数が生じたためにその1株未満の株式の合計数に相当する数の株式を譲渡し、又は買い取った代金として交付されたものであるときは、当該株主等に対してその1株未満の株式に相当する株式を交付したこととなることに留意する。

つまり、1株未満の端数を割り当てられた株主が全株取得条項付種類株式を譲渡した時点で、みなし配当課税+譲渡損益課税とはならず課税は繰り延べられます。そして、金銭を受け取る時点で株主に譲渡損益課税が生じることになります。

じゃ、このような事例の場合はいつもみなし配当課税がなく、課税が繰り延べられるのでしょうか。

それに関して、前通達に続きがあります。

ただし、その交付された金銭が、その取得の状況その他の事由を総合的に勘案して実質的に当該株主等に対して支払う当該取得条項付株式の取得の対価であると認められるときは、当該取得の対価として金銭が交付されたものとして取り扱う。

          同項第3号又は第5号に規定する全部取得条項付種類株式又は取得条項付新株予約権に係る株式に1株未満の端数が生じた場合についても、同様とする。

            というわけで、状況しだいでは、課税の繰り延べがなされないケースもあるとされています。じゃ、それはどういう場合なのでしょうか。この日産ディーゼル社の事案に関してはどうなるのでしょうか。この事案はいたってノーマルで、別に誰かの税金逃れのためにやったというようなものではないようにも思えるのですが♪

            

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2007年8月22日 (水)

信託受益権販売業 と 第2種金融商品取引業 お返事

今日も朝から暑いですねえ。記事を書こうとすると、汗がぼたぼた落ちてきました。

みうらさん:信託受益権売買は、登録不要で自由になるということですか・・

      信託業法の登録規定が削られ、保証金規則も廃止され、取り戻せるとの規定もできました・・

信託大好きおばちゃん:

信託法の規制の対象である信託受益権って 金商法上は、受益証券発行信託の受益証券が有価証券で、それ以外の信託受益権も「みなし有価証券」とされますよね。信託受益権がみーんな金融商品取引法にコントロールされる世界に入ってきたわけです。

そして、信託受益権販売業者は、原則的には、第2種金融商品取引業者として金融商品取引法のコントロールを受けることになります。こっちは、登録制。

すでに2006.2.10現在 登録会社が412社あってそのうちの38092%が宅建業者だそうです(石橋博 早稲田大学ビジネス情報アカデミー「信託とファイナンス特別講座」「不動産投資と信託」のレジュメP26を参考にしています。)。

なお、従来から信託受益権販売業の登録を受けている業者の方には以下の経過措置があるようですね。

信託業法上の信託受益権販売業の登録者は金商法や信託法の施行日にフェードアウトされるから、上記のようになっていると思うのですが♪

◎金融機関でない販売業者に関する経過措置

現行の信託業法に基づいて登録を受けている信託受益権販売業者で、銀行・協同組織金融機関その他政令で定める金融機関でない者は、施行日において、金商法上の第二種金融商品取引業の登録を受けたものとみなされる(附則200 1 項)。

◎金融機関である販売業者に関する経過措置

現行の信託業法に基づいて登録を受けている信託受益権販売業者で、銀行・協同組織金融機関その他政令で定める金融機関である者は、施行日において、金商法上の登録金融機関としての登録を受けたものとみなされる(附則201 1 項)。

       

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2007年8月21日 (火)

J-REITのリスク要因に関する実証的研究

 昨日、早稲田大学の「信託とファイナンスの特別講座」に出かけました。前半が「債権流動化と信託」、後半が「不動産投資と信託」でした。

この不動産投資と信託の講義の中で 株式会社住信基礎研究所が財産法人トラスト60の委託研究を受けて平成20073月に公表した J-REITのリスク要因に関する実証的研究」報告書 に関して、今朝、はらはらと読んでみましたので、ご紹介します。

ようするにJ-REITのリスクを分析すると、市場ファクター(株式、債券、不動産)の影響度合いは3割程度であり、J-REIT独自リスク(スペシフィックリスク)は7割を占める。

市場ファクターのうち、不動産の影響度合いであるが、調査対象期間である200110月から200410日までは不動産とJRISKは負の相関関係だった。この時期は、不動産価格が下落し、空室率が上昇し、家賃が減少している。しかし、不動産価格の下落が不動産の投資に対する高配当が期待できた等の理由によりJ-REITの株価は上昇した。

20011月から20072月までの期間は、不動産とJ-RIETは正の相関関係であると考えられる。この時期、不動産価格が反転し、空室率が下落し、家賃が上昇している。不動産価格が上昇したことによりJREITの資産価値が増え、また家賃の上昇から高配当が期待できるので、こちらの場合もJ-REITの株価が上昇した。

J-REITのリターンについて不動産の動向は重要な影響を与えるから、実物不動産市場の分析と予測はますます重要である。

J-REIT独自リスク(スペシフィックリスク)は、資産規模、東京都心5区投資比率、機関投資家比率と負の相関、予想配当利回りと正の相関がみられた。

すなわち、資産規模が大きくなるほど、分散投資が進められ、個別不動産ごとのリスク(たとえばテナント退去)の全体にあたえる影響が小さくなるのでリスクは低なり、リターンは安定する。

一極集中によって東京都心五区の不動産需要が旺盛であるし、データーも完備されているので投資のミスマッチが起こりにくいので、他の地方都市と比較するとリスクが低くなり、収益が安定する。

機関投資家は、長期保有を目的としている傾向が強く、情報収集分析能力も優れているので、機関投資家が投資しているものは、リスクが低く、安定した収益が見込まれるものが多い。

予想配当利回りであるが、リスクの多い商品へ投資するためには、安定した商品よりも高い利回りが要求されるということ。だからリスクが高まれば、配当利回りも上昇する。

 ということかなあ。

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2007年8月20日 (月)

土地信託と小規模宅地等の減額

昨夜からNHKで以前放映していた「ハゲタカ」の再放映が始まりました。バブル崩壊後のバルクセール等をめぐる物語であり主人公は外資ファンドの日本社長鷲津です。この鷲津がクールでだけど心に熱いものを秘めて実にカッコイイ。

今週は毎晩あるようです。私は実は早稲田の「信託とファイナンスの特別講座」を受講しているのですが、この授業が終わるのが夜の945分。急いで帰っても30分弱かかるので、月曜日と金曜日のドラマは途中からしか見れない! しゃーないなぁ。

さてと、いつのまにか、信託関係の所得税や相続税や措置法通達がでていました。相続税の通達って日付見ていたら525日ってなっていて公表されたのが723日。いったい2ヶ月も何をしていたのでしょう? 

この措置法通達の69412は信託に関する権利というものであり、相続や遺贈により信託受益権を取得した場合で、その信託受益権の中身に小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例の対象となる建物の敷地の用に供している宅地等がある場合で、被相続人や被相続人の生計を一にしていた親族の事業の用や居住の用に供しているものがある場合は、小規模宅地等の特例の対象を受けることができますよというものです。

小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例とは、被相続人や被相続人等と財布が一緒の親族が土地の上に建物を建てて、そこで住んでいたり、事業をやっていたり、建物を貸しているような場合は、土地の面積のうち一定部分について80%とか50%とか減額しますよという特例です。信託受益権という形で相続人が取得した場合も、生の土地を取得した場合と同様にこの特例の適用を受けることができるというものです。

で、2つほど疑問が生じました。

まず、1つ目。信託っていうのは、受益者じゃなくて受託者が事業を行うものですね。そんな理屈があるから、所得税の世界では、受託者が事業所得を生ずるような事業を営んでも、受益者である個人は事業所得として処理せず、原則としては雑所得だとしています。これは、事業所得だったら損失を他の所得と通算できるので、事業所得を利用した節税策を回避するというネライがあると思いますが。

ここで受託者が事業所得を生ずべき事業を営んでた場合、パススルーして、被相続人が事業をしていたとみて、相続税の世界では、土地に関して80%減額とか可能になるのでしょうか。

事業用宅地の80% の適用されるものの中に被相続人が営んでいた事業を親族が引き継ぎ、かつ、その土地も取得するというものがあります。

これ信託にあてはめると、被相続人は土地と建物を信託し、受託者が事業行うという受益権を持っていた。相続発生後、親族が受益権を引き継いだ。受益権を引き継ぐということは、事業も引き継ぐということだから80%減額OKとなるのでしょうか。親族は受益権は引き継いでも事業は引き継いだものとは考えず、80% 減額の対象にはならないけど、被相続人が事業を営んでいたものを引き継いだから50% の対象にはしてあげるというのでしょうか。それとも、受託者が事業をしていたものであり被相続人が事業をしていたものではないから小規模減額の対象にそもそもならないとなるのでしょうか。

2つ目は、信託受益権を収益受益権と元本受益権に分割した場合、収益受益権については土地が信託財産を構成しないから小規模宅地の減額の対象になるとは思えないのですが、元本受益権(信託期間終了時に土地や建物をもらえる権利)を有する相続人に関しても小規模宅地の減額が使えるのでしょうか。土地や建物を将来もらえる権利だけであり、事業から生ずる利益や居住することによる利益を受けないことから、小規模宅地の減額の対象になるのかどうかはわかりません。

この辺の取り扱いを、ぜひ、公表していただきたいと思うのです。たぶん、実務でわからなくなり、もめるところだと思います。

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2007年8月17日 (金)

特定受益証券発行信託を自己信託した場合の課税関係は?

昨日、NHKのテレビで京都の五山の送り火をぼーっと眺めてました。昔、鴨川で五山の送り火をみたことがあります。京都の夏の終わりを告げるイベントですね♪ 大文字、妙法、船形、左大文字に鳥居が煌々と夜の闇に浮かび上がります。特に好きな文字は妙法の「妙」流麗な字です。この文字を見つめていると、いろんな過去の出来事が走馬灯のように駆け巡り、切なくなってしまう。

またまた、特定受益証券発行信託の話。今日は、特定目的信託を作るときに、委託者が財産を受託者に信託しますが、その時点で譲渡損益を計上するのかどうかということです。

受益者等課税信託といわれる一般的な信託で財産を信託した場合、委託者=受益者=1人なら譲渡損益は生じない。 複数の委託者、受益者がいるような場合は、他の受益者の持分に相当する部分については譲渡があったものとして譲渡損益を認識するのが原則です。

では、特定受益証券発行信託のように、信託財産から生ずる所得に関して、受益者に分配されるまでは課税されないような信託の場合はどうなるのでしょうか。

これに関して、平成19年改正前までは条文があって、相手持分がどうのこうのではなく譲渡損益全額に関して課税されるということが明らかにされていました。

ところが、平成19年の改正でこの条文が削除されたのです。じゃ、どうなるんだろうとこのブログでも吼えていたのですが、お上の回答は次のとおり

従来の規定と異なり、集団投資信託の信託財産に属する資産および負債並びに当該信託財産に帰せられる収益および費用は、受託者の所得計算上のみその受託者である法人の資産および負債並びに収益および費用でないものとされるので、他の者の所得計算上は私法上の権利関係と同様に受託者である法人に帰属するものとされます。したがって、集団投資信託に金銭以外の資産を信託した委託者は、従来どおりその資産の譲渡損益が計上されることになります。

(平成19年改正税法のてびき 305頁)。

なるほど、つまり、委託者と受託者は、私法上は別の存在であり、委託者が受託者に資産を譲渡することにより資産の所有権も委託者から受託者に移るから、この時点で、委託者側では譲渡があったものと認識するので、当然に譲渡損益も計上されるべきである。そんなもん、いちいち、条文で書く必要がないでしょということなのでしょ。

わかりました。じゃ、自己信託の場合はどうなる? 信託をしたことにより信託財産は委託者・受託者にとって特別なものになるけど、自分が自分に譲渡するなんてありえないですよね。委託者は受託者にとって他の者ではない。そうすると、信託時点で、譲渡損益を認識する必要はないともとれるのですが♪ 

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2007年8月16日 (木)

信託計算規則と特定受益証券発行信託

今朝、未明、東京では地震がありました。揺れで目が覚め、冷房を切って2