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2007年8月27日 (月)

日本版預託証券

先週の金曜日の早稲田大学の「信託とファイナンス特別講座」で、「信託法関連法の概要と信託ビジネス」を住友信託銀行の小足一寿氏がお話されましたが、お作りになられたレジュメ(20頁)の「信託ビジネスの展望と可能性」の中で受益証券発行信託の展望の一つとしてJDR(日本版預託証券)というものがありました。

預託証券って何? 

預託証券って英語の略称DRDepositary Receipt)であり、アメリカの預託証券であるADRが有名です。たしか、ソニーの盛田さんがアメリカに行かれたときに、この預託証券の発行の手続き等で奮闘したというようなことを、昔、どこかで読んだことがあります。

ある国の会社が別の国で資金調達するために、株式をその別の国で上場しようとしても、国ごとに制度も異なり、上場が難しいという場合もあります。また、投資家の方では、魅力のある外国の会社に投資したくとも、配当が外国通貨で支払われたりすると、換金に困ってしまうということもあります。

こんな外国の会社のニーズにこたえるために、その国の金融機関が、外国の会社の株式見合いの証券を発行して、資金調達をしようというものです。

ここで、問題となるのが、その受益証券発行信託が特定受益証券発行信託になるかどうかということ。特定受益証券発行信託は、税法上の用語であり、一定の要件を満たした受益証券発行信託については、その利益が投資家の分配される時点で課税しましょうというものです。

この要件の一つとして利益留保割合が2.5% 以下というのがあって、これは元本総額に占める未分配利益の割合です。この計算は、会計をベースにしています。

受益証券発行信託に組み込まれる外国株式は、日本で上場されていなくても外国では上場されている場合もあるはずです。

信託の受託者の会計の方法として、信託計算規則があります。この信託計算規則は、会社法計算規則と異なって、期末に有する市場性のある資産については時価で評価しないといけないという規定がありません。

で、もう一つ、ASBJの「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」によると、受益者が多数となる信託は企業会計の基準に準ずることになります。たぶん、JDRは、日本で上場することも考えるので、この信託の受託者の会計は企業会計の基準に準じないとまずいのでしょう。

そうすると、JDRの中身である外国の上場会社の株式って、時価で計上しないといけないのではないでしょうか。会計って、日本で上場している株だけ時価計上ということはないはずです。そして、この場合の含み損益は未分配利益に入るかどうかという問題点があります。もし、未分配利益を構成するとして、含み益が大きくなると、特定受益証券発行信託の要件からはずれてしまうこともあるはずです。そうしたら法人課税信託。リスクが怖くて誰も使いませんね。

その他有価証券評価差額金は、利益剰余金を構成していないから、おそらくそんなことにはならないと思いますが♪

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コメント

税務通信8.20号
生前一括贈与にかかる贈与税の猶予税額
1.息子が死亡した時・・・・父に一時所得
2.父が死亡した時・・・・息子に一時所得とすべきではないので法改正を
父死亡にかかる相続税の猶予税額
3.30年営農した時・・・・息子に一時所得
4.息子も死亡した時・・・孫に一時所得・・・・
5.孫に一括贈与した時・・・息子に一時所得

不動産取得税の建築猶予とかも同様でしょうか。

間接保有証券法案はどうなっているのでしょうね

投稿: みうら | 2007年8月27日 (月) 18時07分

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