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2007年11月12日 (月)

税法で食うために簿記は必要か?

今朝は、日経が休みで、ネタもぱっと思い浮かばないので、最近、磯崎さんのブログで話題になっている、弁護士の新領域?から、この磯崎さんの記事の前の記事で、「法と経済学を司法試験科目に」に大賛成!ということをお書きになられ、その記事に対するコメントを広げたのが上記弁護士の新領域です。

 ようするに、企業法務をなさる弁護士さんは、経済学や会計学も学んだ方がいいのではないかということです。

 で、私的には、弁護士の方も企業法務(特に法人税法周り)を生業になさるなら、最低、経済学や会計学というより簿記を学んだ方がいいのではないかとコメントさせていただきました。

 簿記というのは、信託大好きおばちゃんのブログにはしょっちゅう登場するものですが、人類が作った優れたツールだと思います。借方 貸方という言葉があるのですが、経済取引を2つの面から表現したものです。

たとえば、お金を100万円借りたという取引があるなら。自分の手元に100万円現金が入ってくるという面と、いつかは100万円(+利息)を返済しないといけない義務が生じたという面がある。そして、それを仕訳という形で表現したら

 現金 100万円  借入金 100万円  となります。

 仕訳というのは、その取引が、どんなものかというのを、一行+アルファの言葉(勘定科目)と数字で的確に表すものです。ルールとして、ひとつの取引について借方(左側)このケースだと 現金100万円  貸方(右側)借入金100万円なのですが、この借方の数値と貸方の数値は必ず一致します。仕訳の行数が数行にわたることもありますが、この場合もトータルの借方、貸方の金額は一致します。

そして、勘定科目が同じものの数値を集めてきて、勘定科目ごとの数値を集計し、勘定科目ごとの数値をまとめて決算書というものができてきます。

 では、簿記は法人税法周りを学ぶ際に必要かということですが、確かに法人税法というのは、法律であり会計ではありません。でも、法人税の金額を計算するための仕組みの根底には簿記というか仕訳が存在してると思うのです。

 法人税法の申告書というのがあります。これはいっぱい別表がついているものですが、基本になるのは別表4や別表5といわれるものです。

 この2つの別表の位置づけは、 ある取引について、税務上の取り扱いと会計上の取り扱いが異なる場合の調整部分をまとめたものです。

 たとえば、減価償却を会計上100万円しました。でも税務上認められる減価償却は、60万円ですよという場合があります。仕訳で表現すると次のとおり。

 会計上   減価償却費  100万円  減価償却累計額 100万円

 税務上   減価償却費  60万円  減価償却累計額 60万円

そうすると、法人税法を計算するためには、減価償却費を60万円に変更しなければなりません。そのためには次の仕訳の調整を入れる必要があります。

       減価償却累計額 40万円   減価償却費 40万円

つまり、減価償却費40万円分税務上の費用を減らす。これを法人税申告書の別表4(税務上の損益計算書みたいなもの)でやる。そして、減価償却累計額を40万円減らす。でもこれは、永遠に減価償却できないようなものではなく、今回は減価償却できないけど、将来的には減価償却できるものだから、この分は会計上は資産の目減りだけど、税務上は資産として残っていると考えて、別表5(1)(税務上の貸借対照表みたいなもの)に、税務上の利益の増加という形でもっていくわけです。

仕訳がわかっていたら、会計上の仕訳と税務上の仕訳を作って、差異の調整を考えて申告書を作ればいいのですが、仕訳がわかっていなかったら結構大変なんですよね。別に、申告書を作れといわないのですが、申告書の構造というかその根底にある仕訳が理解できないと、それをベースにした仕事をこなすのが難しい場合もあるのではないでしょうか

決算書である貸借対照表と損益計算書のいいところは、計算間違いを発見できる検算機能があるところですが、この申告書も計算間違いを発見できる検算機能があります。

ある方が、日本の法人税法の申告書のいいところは、複式簿記の考え方に基づいているところであり、アメリカよりも進んでいる。なぜなら、アメリカの申告書では、複式簿記の考えに基づかず、単式簿記?の考えに基づいているからとおっしゃられたことがあります。単式簿記なら、検算が難しい。合併だ分社だなんてやっていたら、わけわからなくなりますよね。でも、日本の場合、組織再編をしようと、資本を増減しようと、それなりにきちんと整理、表現できる。

ということで、法人税法を生業とされるなら、簿記の原理を理解するなんて物凄いことを考えず、感覚というかイメージで仕訳が浮かぶようにされた方がいいと思うのです♪

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コメント

ひまてん様え
簿記は始めとっつきにくい科目です。私も始めなぜ普通中学校(旧制)行かなかったのか後悔いたしました。2年生から始まる「簿記」の恐怖です、ただし2年後半より俄然たのしい授業になりました。その秘訣は折々に申し上げます。ある大学の産業教育学部で「会計学」の判りやすい授業で評判をとった経験があります。

投稿: masat | 2007年11月12日 (月) 11時14分

おはようございます。信託大好きおばちゃんの簿記講座まことに親切でよく判ります。
実は、私旧制商業学校、旧制高等商業学校、旧制大学経済学部卒、商社12年決算課長代理を最後に公認会計士開業、監査法人代表社員を10年余まえ退職。簿記とそろばん(今は電卓)ときどきオトンいや法律で、ご飯を頂くことができました。
今から思えば旧制商業学校は当時の軍国主義教育の時代又不況の時代でしたが、歴史の先生は京都帝国大学卒、商業通論、東京商科大学。英語は大阪外国大學等々。でした。
今日はこれまで、残念私の歳がわかりますね?

投稿: masat | 2007年11月12日 (月) 10時44分

企業法務の分野では、しょっちゅう、財務との連携が必要になってきます。
契約一つ案文作るときでも、税務面での配慮が必要になることがままあります。
そして、株式実務においても、B/S、P/L云々なんてしょっちゅう。

ところが、私は、簿記のボの字もわかりません。
数字アレルギーなのです。

そうも言っていられないので、この冬は、集中的に、簿記、会計学を学ぼうと目論んでいます。

いろいろご教示ください。

投稿: ひまてん | 2007年11月12日 (月) 10時32分

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