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2008年3月31日 (月)

動き出すメタボ市場

今日は、331日、どたばた政治劇が展開した3月も今日で終わり。とりあえず、つなぎ法案が成立されるらしいから、土地の流通税のコストがあがったり、レポ取引にかかる利子に課税されるような状況は回避されるようです。

今朝の日経のゼミナール「動きだすメタボ市場①」です。

4月から特定健康診査・特定保健指導が始まります。

そういえば、先日、特定検診・特定保健指導のパンフレットが送られてきたなあ。年がばれますねえ。

現在の増大する医療費に占める生活習慣病の比率が高いし、この生活習慣病というのは、本人の努力で減らすことも可能なので、国がバックアップして生活習慣病を予防し、医療費を減らしましょうということですね。

無料で検診して、判定 生活習慣の改善の必要性が低い人、中程度の人、高い人に分けて、中程度の人には動機付け支援、高い人は積極的支援を行うようです。

検査内容に腹囲計測があるようですが、女性は90センチ以上か否かがボーダーのようです。

信託大好きおばちゃんは? トップシークレットですぅ♪

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2008年3月28日 (金)

語学教室の授業料保全信託

今朝の日経の金融面に「語学教室の授業料保全」という囲み記事があります。

りそな銀行が4月から語学学校を経営しているインターグループ向けに行うビジネスで、授業料を信託して、たとえ、会社が破綻しても、授業料のうち未受講部分は返してもらえるというものだと思います。

ようするに、生徒から授業料をインターグループが預かると、それをりそな銀行に信託する。生徒が授業を受けた部分だけりそな銀行がインターグループに授業料を支払う。もし未受講の授業料がある状態でインターグループが破綻した場合は、生徒はりそな銀行にある残金から払い戻しを受ける。

たぶん、信託契約では、収益受益者がインターグループで、元本受益者が生徒、ただし、生徒は、会社が破綻するまで受益者としての権利を持っていないとしているような気がします。そうしないと、税務上ややこしいことがおこるから。この辺の課税関係うんぬんは、以前このブログで紹介した社内預金引当信託の国税庁のHPが参考になると思います。

インターグループの仕訳は、

生徒から100お金をもらったときは、 

現金 100     預かり金 100

信託した時点で、         

信託預金 100    現金  100

生徒が授業30を受けた時点で     

預金    30   信託預金  30

預かり金  30    売上   30

この時点で会社が破綻した場合は、 

預かり金  70   信託預金  70

となるのでしょうね。

これはすでにある老人ホームの入居金保全信託の語学学校版です。先にお客さんが前金をまとめて支払うようなビジネスは、それなりにいっぱいあるから、信託銀行さんなどでの事務管理の合理化ができるなら確実に広がるビジネスと思います。

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2008年3月27日 (木)

日立製作所の事業撤退と退職給付信託

今朝の日経新聞の企業総合面に「エルピーダ株 日立、全株売却へ DRAMから完全撤退」という記事があります。

NECと折半で作ったエルピーダとの資本関係を解消し、DRAM事業から完全撤退し、サーバーなどに使用する高性能製品の開発・生産に特化するそうです。

撤退というと株式をどこかに売却すると通常は考えるのですが、日立の場合は、退職給付信託というツールを使うようです。将来の従業員の退職金の原資に充てるためにエルビータ株を信託する。

会計上はこの時点で次のような仕訳に連結上はなるようですね。

 退職給付引当金 42,240M円  投資有価証券   21,200M

               有価証券売却益   21,040M

  単体の設定益が10,240M円ということは、連結子会社でも持っているものを売却するということなのかなあ。

             

  キッコーマンで30億円くらい利益がでるなあって書いたけど、こっちは 200億円くらいですねえ。さすが日立 しかも、この利益に対して、設定時に税金がかからない。

 退職給付信託の面白いところは、株式も名義人は信託銀行になるけど、株式の議決権の指示を誰がするかは決めることができて、この場合は、委託者である日立製作所

退職給付信託って使えますね。 会計上の利益がでる。 税金は繰延べられる。 株式は手元にないけど、議決権は残るから、完全撤退といっても口だけはしっかりだせる。

こんな使い方があったんだということを教えてくれます。

で、日立製作所の3月14日のプレスリリースを読むと かなり強烈なことが書いてあります。

http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/03/f_0314a.pdf

これから、減損損失が追加で350億円、薄型テレビ事業等の事業構造改革関連費用560億円等を計上する予定で、その埋め合わせに有価証券の売却損益が1,000億円ほど生じるようです。退職給付信託設定もその一環なんでしょう。 

日立は、たしか連結納税を行っていると思うのですが、連結納税できない地方税で回収不能な部分の税効果の取り崩しもあるようですし。

なりふりかまわずですね。

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2008年3月26日 (水)

環境ビジネスとフィード・イン・タリフ

ココログのメンテナンスが終わりましたので、ブログ再開

今朝の日経の大機小機は「環境がビジネスになる」

ようするに環境ビジネスにおける日本の技術力は世界的にも競争力がある。情報分野のように少数の天才的なエンジニアの才能に負うようなものでなく、たくさんの普通の人の知恵と工夫に負うようなものだから。でも、残された課題として技術の利用者に適切なインセンティブを与える社会的仕組みが必要だ。

で、信託大好きおばちゃんはピーンときて、日経ビジネス2008.2.18の「スクープ 太陽電池の痛恨 シャープ、世界首位陥落」を読み返してみました。

シャープは、太陽電池の分野で世界トップだったのが、2007年にドイツのQセルズに地位を奪われたそうです。

太陽電池を普及させましょうというのは、国策的なところもあり、日本においては、太陽電池を家庭に導入するような場合は初期費用について補助金を支給していたようですが、2005年度で補助金制度が打ち切られて、住宅用太陽電池の新規導入が減ったようです。

他方、ドイツにおいて太陽電池を普及させるために導入したのがフィード・イン・タリフと呼ばれる制度

これは、家庭や事業所が太陽電気で発電した電力については、電力会社が時価よりも高い値段で買い取ってもらえる制度だそうです。

日本の場合は、イニシャルコストの面倒を見てあげる制度ですが、ドイツの場合は、ランニングコストを見てもらえる制度

この買い取り価格は徐々に引き下げられますが、20年間は買取ってもらえるらしい。10年で初期投資が回収でき、その後買い取ってもらえる部分は利益となる。

おいしい話には人は飛びつくということで、多くの人や企業が太陽電池を導入することになったようです。そして、フィード・イン・タリフという制度が世界的なトレンドになっているようです。

いいことだからやれ!といっても誰も動かない。いいことをしたらおいしいぞというとみんな動く。環境ビジネスをみるにつけ、そんな行動原理をどんなビジネスを作るときにも頭にいれないといけないなと確信するのは信託大好きおばちゃんだけでしょうか♪

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2008年3月25日 (火)

バーナンキ議長の卓見

今朝の日経の一目均衡で編集委員の梶原誠氏が「されどバーナンキ」を書いていらっしゃいます。

バーナンキさんはいわずと知れた米国連邦準備理事会(FRB)の議長、日本で言うと日銀の総裁みたいなものです。

彼の見識の凄さと予想される政策に関して書いています。

彼は、2004年に論文で、普通の金融政策が取れない、異常な状況、の場合の代替策として、「売られすぎた資産の購入で市場に相場観を伝える手。中央銀行が買えば価格や利回りが動く」をあげています。

MBS 主に住宅ローンを担保に発行された証券ですが、サブプライム問題のために価値が下落し、このMBSを担保にお金を借りていた人たちは、担保割れから換金売りに追われ、それがますます価値を下げ、負の連鎖状態になっています。

負の連鎖をとめるためには、FRB等がMBSを購入するということが、今の時点でのバーナンキさんのとると予想される最善手であり、実際、大手証券が持つMBSを裏づけに資金繰りを助ける措置をとったようです。

このバーナンキさんの政策を見越して、MBSの購入を行っている大口投資家もいる。いまなら底値でいい物件が買えるので、確実に将来利益を生み出すと読めるからでしょう。

ただ、私としてはバーナンキさんのこの政策よりも、資金の出し手が、欧米からアジアや中東、ロシア他の国に移り、政府系ファンドの躍進まで3年前に予想していた方が凄いなと思います。

このような見識のある人を、その人の見識が必要な時期に、その見識が必要なポジションに据える事ができるアメリカは凄いなあ。というか、アメリカの組織ではトップに凄い権限がありトップダウン的な構造になっているから、スーパーな人じゃないとトップとして勤まらないのかもしれません。

日本の組織の多くは、ボトムアップで、トップというのは、組織の顔というか広告塔的な位置づけであるから、それほどスーパーである必要がないのかもしれませんが。

追加です。

Nikkei Netによりますと、

「住宅金融を支援する2つの米政府機関が住宅ローン担保証券(MBS)の買い取りを急速に増やしている。19日に2000億ドル(約20兆円)、24日には1000億ドル(約10兆円)を超す拡大策を相次いで決めた。合計で30兆円に上る購入枠設定には、MBSの買い手が乏しい市場の流動性不安に対応する狙いがある。政府は米連邦準備理事会(FRB)の異例の資金供給とも連動し、金融安定化に全力を挙げる。」http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080325AT2M2500J25032008.html

*ココログのメンテナンスが、3月25日15:00から3月26日11:00ころまであるようですので、明日の朝の更新はできません

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2008年3月24日 (月)

キッコーマンの退職給付信託設定

今日は324日♪ 来週の月曜日は331日♪ 以前、このブログで租税特別措置法が期末に飛んでしまったらというようなことを軽く書いていたのですが、現実味を帯びてきましたねえ。とりあえず4月になったら土地を売買するな!ということでしょうか。

 さて、キッコーマンが「退職給付信託設定に関するお知らせ」を319日にプレスリリースしました。

「当社は、平成20 3 19 日開催の取締役会において、当社が保有する株式の一部を拠出し、退職給付信託を設定することを決議しましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1. 信託設定日 平成20 3 25 日(予定)

2. 信託設定額 4,200 百万円(予定)

3. 信託設定益 3,000 百万円(予定)

4. 業績への影響

上記の退職給付信託設定に伴い発生する退職給付信託設定益3,000 百万円を特別利益に計上する予定でありますが、固定資産除却損等の特別損失の計上が見込まれるため、通期の連結業績予想についての変更はありません。」

株式市場が低迷している今日この頃、にもかかわらず信託設定益が30億円も計上できるなんて景気のいい話だねと思って、第3四半期の短信を読んだところ、連結貸借対照表にその他有価証券評価差額金(会社が所有している上場株等の税引き後の含み益)が110億2,000万円も計上されているようですので、そんなに気張った取引ではありません。

退職給付信託って

退職給付信託って、退職給付会計が導入されたときに、莫大な会計基準変更時差異(新基準と旧基準の退職給付引当金の差額みたいなもの)を埋めることなどを目的として開発された信託商品です。従業員の退職一時金や年金にあてるために設定された他益信託で、原則的に会社は、信託財産を戻すことができないこと等から、設定時に、次のような仕訳をすることが認められています。

退職給付引当金 ×××  有価証券 ×××

           信託設定益  ×××

なぜキッコーマンが信託を設定したかというと固定資産除却損と信託設定益をぶつけて業績をよく見せたいという思いがあるのかもしれません。

ちなみに、税制上の取り扱いですが、このブログでも昨年の6月から7月ころうんうんとうなったのですが、委託者である企業は税法でいうみなし受益者に該当することから、信託財産の拠出のときに生じた譲渡益は、税務上は認識せず、信託財産から生ずる所得はその企業で認識することになるものと考えられます。

みなし受益者になる要件として、信託を変更する権利と停止条件付きでもいいから財産の給付を受ける権利があることが必要です。おそらく信託を変更する権利は委託者にあると思います。また、企業は、原則として、信託財産を返還することができませんが、たとえば、年金資産>退職給付債務となった場合の超過額等は返還することが可能となるので、財産の給付を受ける権利もあると考えられる。だから退職給付信託の委託者はみなし受益者となるのではないかと。

いちおう、「お上の言の葉」をまとめた平成19年度税制改正の解説P294に「一定の条件に該当する場合に委託者に元本又は残余財産が給付されることとなる信託(退職給付信託など)が現在存在しますが、このように停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者も、ここでいう「信託財産の給付を受けることとされている者」に該当することとなります。」と書いてありますしね♪

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2008年3月21日 (金)

関西経済特集で思ったこと

 今日は、日本証券業協会が証券化商品の開示に関して自主規制するようだということを書こうかなとも思ったのですが、関西経済特集があったので、こっちに関して、若干、思ったことを書きます。

関西の再生には、金融センターをどかんと持ってくるということよりも先端の製造業の集約地とするような方向がいいのでしょうねえ。なんといっても事業は人、物、金 +情報の4つがうまく重なるところでやらないとうまくいかない。

先端の製造業の場合、キーとなるのは研究開発の人材。関西には、研究開発の拠点がいくつもあって、そこに人材が集まっている。情報というのは人が持っているものであり、その人と直接会って話さないとほんとうのところはつかめない。

松下が姫路にパネル工場を作られるようですが、なぜ姫路かというと 「主力のプラズマ工場がある尼崎に近く、技術者の交流や部材メーカーが集積しているという点」だからだそうです。

インターネットの発展によって、ある程度までの情報はどこにいても入手できるけど、それをビジネスに落とし込んで利益を得るための情報としては不十分ですからねえ。

それでは、金融業や、金融業と近い信託ビジネスの場合はどうか。これは、圧倒的に東京になるのでしょう。事業に必要な人+情報がほとんど東京に集中しています。一人だけ凄く優れた人が別の地域に現れて、ここでビジネスをはじめます!と宣言してもどうしようもない。なぜなら、一人で完結するようなビジネスではなく多様なタイプのプレーヤーがプロジェクトごとに集まって仕事をするようなものだから、東京以外の場所で事業を始めても情報も人も集まらないから伸び悩んでしまう。

 非製造業は東京 製造業は関西や中部(自動車産業など)という方向になっていくのかなあ。

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2008年3月19日 (水)

笑えない日銀人事騒動

今日319日、現日銀総裁の期限が切れる日、明日からしばらく(いつまで続くか)は、社長のいない会社状態の日本銀行となります。

一般庶民は、この騒動をテレビドラマの一シーンのように眺め、あほだ馬鹿だといいながら楽しんでいるところもあると思います。影響力を考えると笑い事ではないのですが、どうすることもできない。

ただ、この日銀人事騒動は、別世界の話とも思えません。組織だったら、多かれ少なかれ、いずこも派閥争はあると思うのです。

派閥争いの争点には、組織の発展のために必要なものもあると思うのですが、多くは、どーでもいいこと。そのどーでもいいことをめぐって、群れをなして争い、無駄な時間とコストをかけてしまう。

傍から見てると、非常にばかばかしく映り、そんな時間とコストを本来の仕事にかたむけたらどれだけこの組織もよくなるのにと思うのですが、当事者は、うすうすわかっているけど、どうすることもできない。

こういうときは、解決能力のある意思決定者が強引にわっと決める方がいいのかもしれないのですけど、そういうタイプの意思決定者を日本の組織は好まないですからねえ。

自分の組織は大きいから、派閥争いを繰り広げても絶対につぶれることはないだろう、明日も10年後も組織は存在し、みんな食べていけるだろうと心の底で思ってる。

そんなことを思っている人ばっかりの組織に未来はないと思うのですが。

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2008年3月18日 (火)

武富士の仕組み金融取引清算完了

昨日(317日)武富士が「特別損失の計上および業績予想の修正に関するお知らせ」をプレスリリースしました。

このブログでも以前に書いたのですが、武富士は、社債をオフバランス化(社債を貸借対照表の負債の部から減らして、見栄えのいい財務諸表にしよう!)のために、メリルリンチ日本証券の提案を受けた仕組債を購入し、信託しました。

法律的には、社債は減らないけど、信託した財産が信用力の高いものの場合は、社債を払ったも同然だから、会計上、例外的に社債の減少処理を認めていたものです。

会計上OKとなる信用力の高い資産とは、「元利金が保全される高い信用格付けの金融資産(例えば、償還日がおおむね同一の国債又は優良格付けの公社債)を拠出することである」(金融商品会計に関する実務指針46項)

本日の日経を読むと、「トリプルA格の債券と同債券を担保資産としたCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)指数に連動する、高レバレッジの派生商品で構成した仕組債」だったそうです。

クレジット・デフォルト・スワップは、信用力をヘッジする保険のようなもので、何もないときは、保険料のようなものをCDS債を持っている人が受け取るけど、もし、保険料を支払っている人や会社が破産した場合は、仕組債を清算して保険金のようなものを払わないといけないようなものなのかなあ。間違っていたら教えてください。

でもこの価値が最初はトリプルAで 昨年12月末に元本の8割程度で、2月の評価額が1割を下回ったそうです。

この仕組債の清算のスタートが33日にプレスリースされ、17日には完了のアナウンスです。29,691百万円の特別損失を計上 昨年、300億円つっこんで 296億円回収不能。

デリバティブ商品の信用格付けって何だろうと思ってしまいますねえ。

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2008年3月17日 (月)

優れもの「よくわかる国際税務入門」

 今日は、確定申告のdue date♪ 本日は、トッププロの人が書いてるイケてる本を紹介します。それは三木義一 前田謙二著 「よくわかる国際税務入門」です。

 

国際税務というのは、大企業だけの特殊な税務ではありません。中小企業だって海外に進出しているし、取引だってあります。経済取引には必ず税金の問題がついてまわります。この税金の取り扱いというのは、結構難しいし、頻繁に取り扱ったり、かなり勉強しないと的確な判断がサクサク出せません。

この本は、その難しい国際税務の基本を非常にわかりやすく説明しています。しかも、単に税法の説明だけでなく、実務上の問題点、それも、類書には書かれていない、かゆいところに手が届くような論点や、今、現在、国際税務で問題となっていることなどを的をついて書いていらっしゃいます。これは、並のプロではできない技です。

この本は入門書ということで、国際税務の問題が出たときの解決の方程式というのが中核であり、次のようなものです。

       日本の課税関係を各税法で検討

       租税条約等の課税関係の検討

       ①と②から、日本での課税関係を決定

       相手国での課税関係も同様に検討する

書くと、これだけですが、実践となるとなかなか手ごわい。地雷がいっぱいあって、その地雷の読み解き方が書かれています。

特に租税条約と国内法の基本的な関係に関して、「総合主義と帰属主義」、「使用地主義と債務者主義」という2項目で、丁寧に説明されればされるほど、信託大好きおばちゃんは凄みを感じました。

というわけで、学生さんにも、プロにも使え、たぶん、長く版を重ねられるだろうと思わせる一冊です。

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2008年3月14日 (金)

竹中さんの日銀人事批判

円高、ドル安で大変なことになってますね。もうすぐ3月末です。このままつっこむと、何年か前のように、多額の株式評価損が特別損失に計上されるような決算ががんがん公表されるかもしれません。

今日は、たまたま日経ネットPLUS(要登録)で、竹中平蔵さんが日銀人事をめぐる、政府与党、野党、マスコミの対応に関して批判しているので、そのサマリーを

ようするに、日銀総裁にもとめる資質(マクロ経済がわかり、金融の専門家であり、英語で他の国の金融関係者と議論ができるなどなど)が何か、新たな日銀総裁にどのような成果を求めているのかという新総裁選出の本質に関して、誰も論じていない。的外れなことをぐちゃぐちゃと議論しているだけということです。与党も野党もマスコミも。

だから、外国人は非常に不信感を感じるらしい。そして、それが日本株売り→株安などにつながるということなんでしょう。

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2008年3月13日 (木)

工業化研究費は税額控除の対象となるか

ときどき、試験研究費(税務上のネーミング)研究開発費(会計上のネーミング)の話題を書いてます。

今朝の日経新聞を読んでいたらEUの研究開発が日本やアメリカと比べて遅れているからなんとかしないといけないみたいなことが書いてありましたが、企業にとって、未来の飯の種のためにお金を使うことは非常に大事です。

さて、税務上の試験研究費に関しての優遇策はいろいろありますが、特別控除は税金のディスカウントですから非常にメリットがあります。

この試験研究費の範囲に関していろいろ論点がありますが、試験研究費というのを研究段階において、3つにわけます。基礎研究、応用研究 そして、工業化研究 工業化研究というのは、会社で製品を製造するぞと決め手から、製品が完成し、製造に入るまでの間の研究のようなものではないかなあと思います。この辺の定義は難しいので、ほんとうは違うのかもしれませんが。

この工業化研究費に関しては、特別控除の対象になる試験研究費になるかどうかという議論があります。会計上はどうであれ、税務上、工業化試験研究費は製造原価に算入せよというおたっしがあります(法人税基本通達5-1-4(3))。これは、期間費用にせずに、製造原価にいれてね。つまり、期末に仕掛品や、製品などに含まれている試験研究費はこれらの資産に配賦してねということであり、決して、試験研究費の特別控除にあてはまらないということではありません。いいかえると、試験研究費を使った製品が売れて、売上原価となったときに税額控除を使ってねということです。

でも、試験研究費の把握というのは、発生時にはわかるけど、期末にどの研究費がどれくらい資産に含まれているかなんて細かく集計できません。そこで、簡便的には、法人税基本通達5-3-5で使っている原価差額の簡便調整方法を利用するといいのではないかと考えられているようです。

試験研究費 × 期末の製品、半製品、仕掛品の合計額     

        売上原価+期末の製品、半製品、仕掛品の合計額

そして、毎年、洗替えするから、在庫数量があまり変動しない企業の場合は、結果的に、発生した試験研究費がほぼ、発生事業年度に税額控除の対象となるということでしょうか♪

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2008年3月12日 (水)

ブルドックソースの新株予約権消却 税務上の取り扱い(たぶん結論)

商事法務No1826で 弁護士の岩倉正和氏、佐々木秀氏が「ブルドックソースによる敵対的買収に対する対抗措置 〔下その3(完)〕」をお書きになられています。

この中でブルドックソースが、スティール(敵対的買収者?)に発行した新株予約権に関しては、新株を付与せず、その代わりに現金を渡したブルドックソースの会計上の処理と税務上の処理に関して論じていらっしゃいます。

ようするに、会計上も税務上も費用処理を行ったのですが、税務上の処理に関して「税務当局とも協議の結果、ブルドックソースは、会計上の処理と同様に損金(税務上の費用処理、損金が認められるとその分利益が減るから税金が減るという効果がある。)処理として取り扱った。」と論じていらっしゃいます。

やっぱり、お上も損金処理OKという判断だったのですね。

ブルドックソースにおいては新株を取得する権利を、時価で会社が買い取り、自己新株予約権としたあとに消却をしました。この消却損が損金になるかどうかに関しては、専門家の間ではいろいろ議論がありました。

まず、損金となるかどうかという議論です。 たとえば、自己株式を取得して、消却しても、税務上は損金とはなりません。自己株式の取得は、資本金等の減額と考えられるからです。資本金等の増減取引というのは、税法の世界では、損がたったり、益がたったりしません。自分の手元に持っているお金を、別の場所に預けたり、戻したりしているようなものだから。

自己株式と自己新株予約権はどうちがうのか、株になっているか、これから株に化けるかもしれない権利かの違いがあるかもしれないけど、同じタイプのものではないか。だったら、新株予約権を会社が買い取る行為の取り扱いは自己株式と同じにすべきではないかという考えです。

次に新株予約権の消却損が損金になるとして、これは、消却をして初めて損となるものなのか、新株予約権の購入の対価を支払った時点で、消却の有無にかかわらず損金となるかという議論です。

自己新株予約権というのは、資産みたいなものだという考えに立つと、自己株新株予約権の取得は資産の取得であるからその時点では損金とならず、消却の時点で初めて損となるという考えです。

また新株予約権というのは、税法上はあくまでも負債であるので、負債の支払いをした時点で、ダイレクトに損金となる考えもあります。

さて、自己新株予約権の消却損の損金が可能というのがはっきりしたのですが、これは、どんなケースでもOKとなるのでしょうか。あくまでも上場会社の特殊なケースでしょうか。

信託大好きおばちゃんは、自己株式との平仄を考えて、平成20年の改正で盛り込まれるのかなとも思っていましたが、なかったですねえ。

そのうち、改正されるような気もしますが。

P.S それにしても、この新株予約権の消却損の損金性に関しては、専門家の間でかなりシビアに論議されていたのですが、なぜか、税務の専門雑誌には、ほとんど論じられていなかったような気がします。税務の専門雑誌が、税務の先端の話を掲載しないのは、なんだかなあって思うのは信託大好きおばちゃんだけでしょうか♪

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2008年3月11日 (火)

またまた、注記拡充 金融商品会計

昨日(310日)ASBJが改正企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」及び

企業会計基準適用指針第19号「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」を公表されました。

会計ががんがん改正され、施行されるので、麻痺してしまいそうですが、

この改正は、今まで、金融商品周りの注記は、有価証券とか、デリバティブとか、リースもそうなるのかな? まあ、そんな感じで局地的に行われていたのですが、これを金融商品ということで、もっと大きく網を広げましょうということです。

注記する項目は、大きくわけると、2つあります。

ひとつは、その金融商品にどんなリスクがあって、それをどのように会社はコントロールしていますかということ。いままで、デリバティブ周りに関しては注記されていましたけど、この範囲を拡大させましょうということ。

もうひとつは、時価の情報をそれぞれの金融商品ごとに書いてね。時価はいくら? どういう方法で時価を計算したの?というようなこと。サブプライム問題なんかがベースにあるのではないかなっと思います。そして、時価を注記しないのは、時価を把握することが極めて困難と認められるケースに限定され、その理由なんかも説明しないといけない。

で、雲をつかむような話では仕事はできないので、適用指針で開示例があらわされています。

時価情報なんか、有価証券やデリバティブだけでなく、現金預金、受取手形、売掛金、支払手形、買掛金 短期借入金、長期借入金ごとに一覧表を作り、それぞれについて、注記が付されています。

この適用は、平成22 3 31 日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表からだから、一般的には、次の次の事業年度からでしょうかね♪

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2008年3月10日 (月)

先行者は、なぜ、負けたのか?

本日の日経の「核心」は、コラムニスト西岡幸一氏の「市場一番乗り」のまぼろしです。

東芝が次世代DVDプレーヤーの覇権競争で負けちゃったのですが、実は、東芝が次世代DVDプレーヤーの最初の販売者だった。

また、パイオニアもプラズマテレビのパネル製造から撤退をした。

通常、最初に新製品を市場に投入した企業は、先行者利得を得られるといわれます。立ち上がりの市場でシェアを獲得し、大きな利益を得ると考えられています。

でも、東芝やパイオニアの例はそのセオリーと異なる結果となっています。なぜ、そうなったのか。ようするに、先行者であるだけでは、市場の勝者であり続けられない。資本力のある2番手が、低減した開発コストと、大々的な販売活動であっという間にシェアを奪ってしまう可能性があるからです。

ですから、先行者が勝ち組であり続けるためには、先行者であることで終わりでなく、先行者利益をベースにどれだけ成長戦略を描けるか、そして、その戦略を実行できるかです。でも、デジタル製品では、市場の動きが激しすぎて、先の先が読めない。だから、先行者利益がいかせないようです。

でも、シャープは勝ち続けています。これに関して、シャープの歴代社長の経営手腕に負うところが多いようですが、どうも、シャープの経営方針がぶれていないところにその理由があるようです。この経営方針とは、液晶最重視のようです。

経営者にはいろんなタイプの優れた方がいらっしゃいますが、このような市場変化の著しい業界の経営者に求められる資質は、5年後、10年後を的確に読みぬき、利益の源泉を探し、育て、大きく成長させるためのグランドデザインが描け、継続して、それを実行できる人なんでしょうね。言うのは簡単なのですけど、

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2008年3月 7日 (金)

武富士の実質的ディフィーザンス解消

既に、いろんなブログで紹介されている武富士の実質的ディフィーザンス解消です。これで、最大300億円くらい損がでるらしい。300億円(利率4%)武富士は社債を平成14年に発行したけど、これを昨年524日にオフバランスしたいために、おそらく、デッドアサンプション信託型を使ったようです。この効果は、年間10億円~12億円の利息の削減だそうです。

どういうスキームかというと、委託者(武富士) 受託者(どっかの信託銀行) 受益者(どっかの金融機関)という他益信託を設定します。で、信託した商品が、どうも国債のようなものではなく、仕組み債だったみたいですね。たぶん、当初は格付けが非常に高かった。でもこれ仕組んだのって昨年5月でしょ。もうサブプライム問題が火を噴き始めていたんじゃないかな。

で、このスキームのメリットというは、この他益信託とセットで、受益者が委託者のもっている社債を支払う義務をかわりに引き受けますよということだと思います。

メリットは、社債のオフバランス化 なぜ、できるかというと

金融商品会計に関する実務指針の46項で、 信託を含む第三者への支払い(信託への支払いは、実質的ディフィーザンスと呼ばれる)は、法的免責でなければ、債務者にとって債権者からの第一次的債務の免責ではなく、金融負債の消滅に該当しない。デッド・アサンプションは実質的ディフィーザンスの一種であるが、経過措置として一定の要件を満たしたものについて当分の間社債の消滅の認識を認めている。

デッドアサンプションに係る原債務の消滅の認識要件は、取消不能で、かつ社債の元利金の支払いに充てることを目的とした他益信託等を設定し、当該元利金が保全される高い信用格付けの金融資産(例えば、償還日がおおむね同一の国債または優良格付けの公社債)を拠出することである。

この優良格付けの公社債として仕組み債を使い、会計上も特に問題はなかったので、この時点で武富士は次のような仕訳をしていたのだと思います。

   社債 300億円 / 有価証券 300億円

ところが、この社債というのは、法的に償還されたのではなく、社債の償還原資相当分を信託したにすぎなかったのです。もし有価証券が五体満足に300億円の価値をキープしていたら何の問題もなく、それをベースに社債の弁済に使ってくれるから償還したものと同じだけだったのです。そして、この価値が五体満足では実はなかった。ばばで、今の価値だったら 0円かもしれない!となってしまった。

どうなるのか。経済的には、償還したものと同様と思って社債をオフバランス化したけど、実は、償還財源が消えてしまった。でも社債というのは存在し続けており、この返済を武富士はしないといけないから 社債を計上しないといけない。そして、泡と消えた償還財源分を損として計上しましょうということなのでしょうね。

ということで、おそらく今期末には、  

○○損(どういうネーミングにするんだろうね)300億円 / 社債300億円 というような仕訳を前提にした決算書を拝見することができるのでしょうね。

じゃ、税務上はどうなるのでしょうか?

この最初の仕訳は、税務上も会計と同様に 社債300億円 / 有価証券 300億円としていたと思いますが、厳密に考えると次のような仕訳だったのではないでしょうか。

社債支払請求権 300億円 / 有価証券 300億円

つまり、社債の支払いを実質的に信託の受益者である金融機関にお願いしているので、社債の支払いをちゃんとしてねという権利が発生しているのであって、社債自体は消滅していない。だから、貸借対照表上、ほんとうは次のようになっていた。

 資産             負債

社債支払請求権 200億円    社債  200億円

で、この社債支払い請求権が焦げ付いた。これは、有価証券ではなく債権でしょうね。金融機関自体は五体満足だと思うから、信託財産から払えなくても金融機関から払えということは可能と素人は考えるのですが、たぶん、契約で、信託財産オンリーの支払い義務で、この財産がなくなったら、支払いは免除されるというようになっているのでしょうね。

債権が存在している状態で貸倒引当金の設定は微妙で、本当に債権として回収不能になった時点(仕組み取引の清算結了時点)で損金確定となるのでしょうか。このあたりの正確な判断は、通りすがりの信託大好きおばちゃんにはわかりません。とりあえず、会計と税務の損失の計上時期がずれる可能性は高いだろうなと思いますが♪

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2008年3月 6日 (木)

日銀の人事も大事だけど日切れ法案になったらどうする?

今朝の日経の一面は、 日経主幹の岡部直明氏の「日銀人事、もてあそぶ愚」です。

なんか、自民党と民主党の政治の駆け引きの道具状態の日銀総裁人事です。

でも、もっと大変な問題があるのが日切れ法案の行方です。税法でいうと、租税特別措置法といって、政策により、一定の期間の税の取り扱いについて定めている法律があります。一般的な税法のルールよりも納税者有利になる取り扱いの方が逆の取り扱いよりも多く含まれています。

この法律は、適用期限というのが決められていて、平成20331日までで終わってしまうのが多い。通常、それまでに国会を通過して、次の法律が平成2041日から施行されるから問題はないのだけど、今般、国会の空転により、日切れ法案は、本当に切れてしまって、次の法律が決まり施行されるまで空白地帯ができてしまう。

どうなるのだろう。 もし、ほんとうにそんなことが起こったら、ただでも円高株安でぼろぼろなのに、4月以降それが加速されてしまう。またもや外国での資金調達にジャパンプレミアムがつけられてしまうのではないか。政情不安を理由として。

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2008年3月 5日 (水)

POWLってなんだろう?

今朝の日経新聞の金融面を読んでいると 金商法改正案を閣議決定という記事がわりと大きく載っており、そのちょっと左に「米ビザ株 日本でも公募」 という記事があります。

クレジットカードのVISA社が米国で過去最大のIPO(新規株式公開)をするようですが、その株を日本でも公募するようです。ただし、日本では、上場せずに公募するようです。このような国内非上場公募のことをPOWLPublic Offering without Listing)というようです。

東京証券取引所では、外国部(現在はないようです。みうらさんのご指摘)というのがあって、外国株でも国内で上場できるのですが、どうも手続きとかが大変なようです。一方 POWLというのは、上場よりはシンプルな手続きだそうです。

記事によると 2006年の韓国のロッテ・ショッピング・カンパニー・リミテッドの約900億円の公募が過去最大だったということなので、EDINETで有価証券報告書を探してみましたぁ。

日本の会社だと、最初に企業の情報として企業の概況があって5期分の主要な経営指標の推移が載っています。

一方、外国の会社の場合は、本国における法制等の概要というのがあって、会社制度の概要、外国為替管理制度、課税上の取り扱い、法律意見と続きます。

課税上の取り扱いというのは、韓国の株を所有することになるから、所有者に課される配当やキャピタルゲインに関する韓国の税制の取り扱いや、韓国の相続税や贈与税、租税条約、有価証券取引税に関して記載されていますね。

財務諸表は、韓国基準で作られていますが、韓国基準と日本基準の会計基準が異なる場合は、その点について記載されています。へーっと思ったのを2つほどご紹介しますと

有形固定資産の会計処理

「資産の陳腐化、物理的な損傷および市場価値の急激な下落等の原因によって当該資産の回収可能価額が帳簿価額に達せず、その未達額が顕著な場合には、これを帳簿価額より直接控除して回収可能価額に調整し、その差額は減損処理をし、当期損失として計上する。その後、減損処理をした資産の回収可能価額が回復した場合には、当該資産の減損前の帳簿価額の減価償却後の残高を限度に、減損損失戻入の科目で期間利益として計上する。」

戻入可能なんですね。日本では、固定資産の減損については、戻入できないはずですが、

退職給付会計

「韓国の労働法は、1年以上勤めた職員が退職する場合、勤務年数と退職前に支払われた賃金によって決定される金額を退職金として支払うことを規定している。これに伴い韓国の企業会計基準では、各会社の退職金支払規定(労働法は労働法によって計算された金額以上に退職金が計算される場合、同規定を認める。)に従い、貸借対照表日に全役職員が一度に退職する場合に支払うべき退職金見積額を負債として計上することが求められている。従業員の受給権を保障する従業員退職保険に加入した預け金は退職給付引当金から控除する形で表示しなければならず、従来の国民年金法規定により従業員が退職する場合に支払うべき退職金の一部を国民年金管理公団に納付した金額がある場合、同金額は国民年金転換金の科目で退職給付引当金から控除して表示しなければならない」

これ、日本の退職給付会計の簡便法に近いのかなぁ。

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2008年3月 4日 (火)

とにかく勝ち馬に乗らないと♪

 なんだか、円高 株安の同時進行で大変なことになっています。円高になると、輸出企業は、入ってくるお金が少なくなるから業績が悪くなるけど、輸入品の値段も普通だったら安くなるはず。ところが、原油高等の影響もあって、輸入品の値段も上昇傾向、そうなると、収入が減って、費用が増えるから当然利益が減るので、全体的に会社の業績は悪くなることが予想される。だから将来の会社の収益を期待してつけられる株価も下がる。なんか いやーな負の連鎖ですね。

今朝の日経の経済教室は 河野勝早稲田大学教授と荒井紀一郎日本学術振興会特別研究賞をもらった人の書かれた「新世代DVD規格競争の背景 なだれ現象が行動を左右」です。

新世代DVDの規格競争で、東芝の押す「HDDVD」が、ソニーの押す「ブルーレイ」に負けちゃったのですが、これは、消費者のこだわりよりも勝ち馬に乗らないと!という心理が大きな影響をあたえているという行動があったからだそうです。

そのような消費者の行動を「なだれ現象」ともいい、それを実験を通じて証明しています。「HD-DVD」の方がいいと思っている人は、他の人がどっちを選ぶかという情報がない場合は、「HD-DVD」を選びますが、他の人がいっぱい「ブルーレイ」を選んでるよという情報が与えられると、自分のこだわりを捨てて「ブルーレイ」を選ぶようです。

DVDはなんのためにあるの?というと、自分の見たいソフトを見るためのツールであり、自分の見たいソフトがそのDVDで見れなくなる可能性が高いと判断できるなら、たとえ品質がよくてもそっちは選ばないですからね。当然といえば当然のことですが。

 

 この論文では、このようななだれ現象が政治の世界で、少数者の切捨てにつながるのでそれを保護する制度を作るべき、社会の多様性を維持することを目指さないと締めくくっています。アメリカの選挙をみても、最近のオバマ氏支持は、なだれ現象、勝ち馬に乗れそのものですしね。

 勝ち馬がわかってから乗るのはかんたんですが、わかってから乗ってもご利益は少ない。勝ち馬になるのが一番いいかもしれないが、失敗するリスクが常につきまとってしんどい。誰よりも早く勝ち馬を見抜き、相手にされないうちにひたひたと近づく人が最大の利益を得るのでしょうか♪

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2008年3月 3日 (月)

社内預金引当信託の社内預金者の課税関係について

社内預金引当信託における社内預金者の課税関係に関して、社団法人信託協会が国税庁に照会を行い、その回答が国税庁のHPに載っています。

社内預金というのは、会社が従業員の給料から天引している預金ですが、通常、利子の一部を補給しているので、一般的な預金よりも利回りが高くなります。

使用者側からみると、この預金を自分の会社で預かって管理をすることもできるのですが、この場合の利子には、下限があるようです(下限利率は年0.5%(5厘)(平成19101日現在))。

でも、使用者である会社が自らの名義で預金を預かっているような場合で、その会社が倒産してしまったときは、せっかくの社内預金もパーになってしまうリスクがあります。これは、まずいでしょということで、この社内預金を保護するために、社内預金相当額について行う信託があります。この信託のことを社内預金引当信託というようです。

この社内預金引当信託(国税のHPで照会されているもの)では、会社が、社内預金の元金額の全部または一部に相当する有価証券を信託します。有価証券だから株式もあるわけで、この場合の議決権の行使は委託者が指図するようです。

また、受益者には2タイプあります。ひとつは、収益受益者です。配当や利息などをもらう権利があり、委託者である会社がなります。もうひとつは、元本受益者です。有価証券の売却代金や償還金、増資割当新株式などをもらう権利があり、社内預金をした従業員が元本受益者となります。ただし、元本受益者は、会社が倒産するような事情が生じるまでは受益権を有さないことになります。

ここで問題になるのが、新信託法をベースにした信託税制での課税関係はどうなるか?とくに、元本受益者について、設定時や会社が倒産等して信託財産を受け取った場合の課税関係がどうなるかです。

信託税制の改正で、信託については、タイプごとに課税関係がかわりますが、この社内預金信託というのは、受益者等課税信託に該当し、信託財産から生ずる所得については、発生時に受益者等に課税されます。

まず、問題となるのが、信託を設定した時点で、元本受益者は、税制上の受益者等に該当するかということです。もし、該当するならば、設定時点で、元本部分について、委託者から利益を受けたとして課税関係が生ずることが考えられます。

しかし、結論として、設定時点で、元本受益者は、税法でいう受益者等には該当しません。

税法でいう受益者等には、受益者とみなし受益者の2タイプあります。

受益者とは、信託設定時点の受益者としての権利を現に有する者ですが、この元本受益者は、会社が倒産等するまで受益権を有しないから、信託設定時には受益権を有しないことになるので受益者にはなりません。

次に、みなし受益者に該当するかどうかですが、みなし受益者に該当するためには、その者に信託を変更する権利+財産の給付を受ける権利がある必要があります。元本受益者は、条件付で財産の給付を受ける権利がありますが、信託の変更をする権利はありません。信託設定時に受益権もないし、特別の規定もないからです。

したがって、元本受益者は、信託設定時に受益者にもみなし受益者にもならないことから受益者等に該当しないので課税関係は生じないということになります。

つまり、会社が倒産するまでは、収益受益者である会社だけが受益者となり、信託財産を会社が所有し、収益も費用も会社に帰属するものとして税金の計算をすることになります。

さて、会社が倒産して、信託財産の給付を従業員が受けた場合、従業員に税金はかかるのでしょうか。これも、結論から言うと税金はかかりません。

従業員は、会社に対して、社内預金を預けたのだからその分のお金を返してくださいという権利を持っています。会社が倒産すると、会社自体から社内預金を返してもらうことは、通常は、できませんよね。社内預金引当信託は、会社の倒産から隔離されているので、会社の倒産にかかわらず、信託財産はキープされています。ですから、従業員は信託財産から預金相当額の支払いうけることになります。つまりこの信託財産からの支払いは、新たな利益の発生ではなく、従業員が持っている社内預金請求権の弁済として支払われるものです。従業員の立場で、仕訳で表現すると、現金×××/社内預金請求権×××となります。ですから、従業員に課税関係は生じません。

この、国税庁のHPには、社内預金引当信託契約書の雛形も掲載されており、これは新信託法ベースのものであり、税法の問題もクリアされているので非常に使える資料ですね♪

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