商事法務No1826で 弁護士の岩倉正和氏、佐々木秀氏が「ブルドックソースによる敵対的買収に対する対抗措置 〔下その3(完)〕」をお書きになられています。
この中でブルドックソースが、スティール(敵対的買収者?)に発行した新株予約権に関しては、新株を付与せず、その代わりに現金を渡したブルドックソースの会計上の処理と税務上の処理に関して論じていらっしゃいます。
ようするに、会計上も税務上も費用処理を行ったのですが、税務上の処理に関して「税務当局とも協議の結果、ブルドックソースは、会計上の処理と同様に損金(税務上の費用処理、損金が認められるとその分利益が減るから税金が減るという効果がある。)処理として取り扱った。」と論じていらっしゃいます。
やっぱり、お上も損金処理OKという判断だったのですね。
ブルドックソースにおいては新株を取得する権利を、時価で会社が買い取り、自己新株予約権としたあとに消却をしました。この消却損が損金になるかどうかに関しては、専門家の間ではいろいろ議論がありました。
まず、損金となるかどうかという議論です。 たとえば、自己株式を取得して、消却しても、税務上は損金とはなりません。自己株式の取得は、資本金等の減額と考えられるからです。資本金等の増減取引というのは、税法の世界では、損がたったり、益がたったりしません。自分の手元に持っているお金を、別の場所に預けたり、戻したりしているようなものだから。
自己株式と自己新株予約権はどうちがうのか、株になっているか、これから株に化けるかもしれない権利かの違いがあるかもしれないけど、同じタイプのものではないか。だったら、新株予約権を会社が買い取る行為の取り扱いは自己株式と同じにすべきではないかという考えです。
次に新株予約権の消却損が損金になるとして、これは、消却をして初めて損となるものなのか、新株予約権の購入の対価を支払った時点で、消却の有無にかかわらず損金となるかという議論です。
自己新株予約権というのは、資産みたいなものだという考えに立つと、自己株新株予約権の取得は資産の取得であるからその時点では損金とならず、消却の時点で初めて損となるという考えです。
また新株予約権というのは、税法上はあくまでも負債であるので、負債の支払いをした時点で、ダイレクトに損金となる考えもあります。
さて、自己新株予約権の消却損の損金が可能というのがはっきりしたのですが、これは、どんなケースでもOKとなるのでしょうか。あくまでも上場会社の特殊なケースでしょうか。
信託大好きおばちゃんは、自己株式との平仄を考えて、平成20年の改正で盛り込まれるのかなとも思っていましたが、なかったですねえ。
そのうち、改正されるような気もしますが。
P.S それにしても、この新株予約権の消却損の損金性に関しては、専門家の間でかなりシビアに論議されていたのですが、なぜか、税務の専門雑誌には、ほとんど論じられていなかったような気がします。税務の専門雑誌が、税務の先端の話を掲載しないのは、なんだかなあって思うのは信託大好きおばちゃんだけでしょうか♪