キッコーマンの退職給付信託設定
今日は3月24日♪ 来週の月曜日は3月31日♪ 以前、このブログで租税特別措置法が期末に飛んでしまったらというようなことを軽く書いていたのですが、現実味を帯びてきましたねえ。とりあえず4月になったら土地を売買するな!ということでしょうか。
さて、キッコーマンが「退職給付信託設定に関するお知らせ」を3月19日にプレスリリースしました。
「当社は、平成20 年3 月19 日開催の取締役会において、当社が保有する株式の一部を拠出し、退職給付信託を設定することを決議しましたので、下記のとおりお知らせいたします。
1. 信託設定日 平成20 年3 月25 日(予定)
2. 信託設定額 4,200 百万円(予定)
3. 信託設定益 3,000 百万円(予定)
4. 業績への影響
上記の退職給付信託設定に伴い発生する退職給付信託設定益3,000 百万円を特別利益に計上する予定でありますが、固定資産除却損等の特別損失の計上が見込まれるため、通期の連結業績予想についての変更はありません。」
株式市場が低迷している今日この頃、にもかかわらず信託設定益が30億円も計上できるなんて景気のいい話だねと思って、第3四半期の短信を読んだところ、連結貸借対照表にその他有価証券評価差額金(会社が所有している上場株等の税引き後の含み益)が110億2,000万円も計上されているようですので、そんなに気張った取引ではありません。
退職給付信託って
退職給付信託って、退職給付会計が導入されたときに、莫大な会計基準変更時差異(新基準と旧基準の退職給付引当金の差額みたいなもの)を埋めることなどを目的として開発された信託商品です。従業員の退職一時金や年金にあてるために設定された他益信託で、原則的に会社は、信託財産を戻すことができないこと等から、設定時に、次のような仕訳をすることが認められています。
退職給付引当金 ××× 有価証券 ×××
信託設定益 ×××
なぜキッコーマンが信託を設定したかというと固定資産除却損と信託設定益をぶつけて業績をよく見せたいという思いがあるのかもしれません。
ちなみに、税制上の取り扱いですが、このブログでも昨年の6月から7月ころうんうんとうなったのですが、委託者である企業は税法でいうみなし受益者に該当することから、信託財産の拠出のときに生じた譲渡益は、税務上は認識せず、信託財産から生ずる所得はその企業で認識することになるものと考えられます。
みなし受益者になる要件として、信託を変更する権利と停止条件付きでもいいから財産の給付を受ける権利があることが必要です。おそらく信託を変更する権利は委託者にあると思います。また、企業は、原則として、信託財産を返還することができませんが、たとえば、年金資産>退職給付債務となった場合の超過額等は返還することが可能となるので、財産の給付を受ける権利もあると考えられる。だから退職給付信託の委託者はみなし受益者となるのではないかと。
いちおう、「お上の言の葉」をまとめた平成19年度税制改正の解説P294に「一定の条件に該当する場合に委託者に元本又は残余財産が給付されることとなる信託(退職給付信託など)が現在存在しますが、このように停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者も、ここでいう「信託財産の給付を受けることとされている者」に該当することとなります。」と書いてありますしね♪
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