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2008年4月17日 (木)

貸付金の利息はどのように決めるのか

信託大好きおばちゃんは、4月から某大学院のファイナンスの授業を受けていると書きましたが、ときどき、そこで学んだことの知識の整理のための記事を書きます。

 ファイナンスの仕事に従事していらっしゃる方でしたら、たぶん当たり前のことであり、信託大好きおばちゃんの理解の浅さに驚かれると思いますが、素人が、こつこつ、知識を根付かせて積み上げていく過程ですので。

Q Aが100万円お金を借りたいといってきた。この人と同じ格付けの人が1年間に貸倒となるリスクは3%である。この100万円のお金を調達するコストは1%

この資金の貸付による利益を1%はとりたい。

この場合、Aに対する金利を5%と決めることは妥当か

A 妥当ではないようです。

リスクを3%と考えるのは妥当ではありません。 3%というのはAと同じ格付けの人100人にお金を貸した場合、3人が貸倒となるようなことです。この場合の損失の期待値は100万円×3%=3万円となりますがこれは無意味だと考えられます。

なぜなら、Aが破産になると100万円損するし、ちゃんと支払えば5万円の利益がでます。3万円の損などはありません。

天気予報で雨の降る確率が3%だからといって、雨が3%降るということがないのと同じことです。

この3%というのは、たくさんの貸出先がある場合、みんなAと同じ状況ではないので、結果的に生じる損失の総資産に占める割合がそのくらいになるだろうということです。大数の法則とかいうもののようです。

貸倒率というのは、平均値ですが、実際は、平均値ぴったりの貸倒がおこることは稀です。たとえば、学校のクラスの生徒の平均身長を求めた場合160センチとしても、160センチの生徒がいるとは限りません。また、160センチ前後の生徒がいっぱいいるケースもあれば、130センチくらいから180センチくらいまで、まんべんなく異なる身長の生徒がいる場合もあります。

貸倒率も同じです。過年度の状況からみて、毎年3%前後の貸倒率で推移している場合もあるならば 最大5、6%くらいになる年があるような場合もあります。もし、貸倒率の平均値が3%であることから3%のリスクプレミアムを加えたにもかかわらず、過年度と同様に5%の貸倒が生じた場合は、予想に反して大きな損失を被ることになります。

このようなリスクを防ぐために、平均の貸倒率と過年度の各年の貸倒実績率の差をベースに標準偏差(偏差の二乗を合計して平均をとり、それ平方根)を求めます。たとえば、標準偏差が0.53であるならば、貸倒率がぶれてもほぼ3.53%までにおさまるということになるようです。そして、このような方法で、信用リスクプレミアムの利率を決めるようです。ですから、本件では、利率は 1%+3.58%+1%=5.58%がベースとなるようです。

平均利率+標準偏差で、85%の貸倒リスクがカバーできるそうです。でも、残りの15%のリスクはカバーできません。不測の事態が生じた場合も加味して金利を設定すれば、金融機関のリスクは減りますが、高い利率だと、借りてもらえなくなるリスクが増えてしまいます。

不測の貸倒リスクに備えるために、利率を上げるという方法でなく、金融機関は自己資本を充実させます。このために自己資本比率規制、BIS規制が定められているようです。

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