ミステリー デリバティブのヘッジ処理は否認されたのか?
今日は、ふっと思いついたことを想像して書いてみます。
以前、といっても1年半ぐらい前だと思うのですが、新日本石油が行ったデリバティブを使ったヘッジ取引について、お上がヘッジなんかじゃないということで否認したことをこのブログでも書きました。
デリバティブというのは、金融派生商品ともよばれますが、ようするに絵に餅を書いて商品として売っているようなものです。この商品は、お客さんに大もうけさせたり大損させたりするようにも設計できますし、逆にお客さんのビジネスから生ずるかもしれないリスクをヘッジさせるようにも設計できます。絵に描いた餅ですから何でもできちゃう。
このデリバティブは、契約した時点からデリバティブから生ずる損益がお客さんに帰属すると考えられるから、原則的には、時価で評価してねと会計も税務も決めています。でも、お客さんの実際の取引から生ずるかもしれない損をヘッジするために使うような場合は、評価損益を繰延る処理を会計も税務も認めています。
新日本石油は、石油を産油国等から買ってきて、それを売ることをビジネスとしています。この商売の一部について、売値が固定されているけど、仕入値が変動するようなものがありました。もし、原油価格が高騰すると、売値を上げることができないから損をするかもしれない。これはいやだということでデリバティブを購入し、仕入値もあたかも固定されているように会計上も税務上も処理しました。ところが、お上がやってきて、このデリバティブは、損をヘッジするために買ったものじゃない!と断定して否認したのです。
その結果、新日本石油は、追徴税額として、約125億円ほど払うことになりそうだというプレスリリースが平成18年11月1日になされました。
そして、この処分は納得できないということで、お上に審査請求(お上の処分を取り消してくださいと国税不服審判所に直訴すること)をなすというプレスリリースが、平成18年12月22日なされました。
また、半期報告の監査報告書において「会社は、平成18年11月1日、東京国税局より、ヘッジ取引についての更正通知を受領し、本年11月30日までに納付した追徴税額13,348百万円を納付時に長期仮払税金として計上している。」と書いています。
ところで、平成19年3月8日に監査委員会報告第63条「諸税金に関する会計処理および表示と監査上の取扱い」の改正が公表され、「追徴税額に関して、課税を不服としてその撤回を求め法的手段を取ることを会社が予定している場合も想定されるが、その場合であっても、法的手段を取る会社の意思のみでは未納付額の不計上あるいは納付税額の仮払処理を行うことは適当ではない。」とされました。
つまり、更正などで税金をいっぱい支払った場合は、平成19年3月期以降においては、長期仮払税金などという資産で計上せずに、過年度法人税等として、損益計算書に費用として計上しなければなりませんということです。
たとえば、武田薬品工業においては、平成19年3月期において、移転価格の追徴税額を過年度法人税として570、080M円計上しています。
一方、新日本石油の平成19年3月期の連結損益計算書を読むと、税金等調整前当期純利益172,205M円に対して 法人税、住民税および事業94,954M円となっています。130億円くらいの過年度の税金を払ったのだったら、過年度法人税が普通は計上されるはずですが、されていない。
また、プレスリリースも平成18年12月22日の審査請求以降は音沙汰なし。
ということは、ひょっとして、新日本石油の主張が通って、更正処分は取り消されたのかもね♪
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